仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「デザイアグランプリ第3回戦前のオリジナル展開。今日でとうとう3日目、私たちギーツキャラは出ないままです」
「明日は大丈夫ですよね?!」

 景和が心配を募らせている。

「もーちょっとお休みでも良くない?」
「ああ、バカンスも時には必要だ」

 祢音と英寿が緩みきっている。

「そのお気持ちはわかりますが」
「わかるんだ……」
「残念ながら出演はもう決まっておりまして」
「だよねぇ」
「4日目は英寿様から登場となります」

 その言葉に英寿が驚愕する。

「なん……だと?」

 まだ休む気マンマンだったらしい。



認者III:衝動が駆け巡る

「じゃあな纏。部長に迷惑かけんじゃねぇぞ」

「アンタだって麗子さんに迷惑かけんなよ。じゃあ行ってくる!」

「おう! 気ぃつけてな~」

 

 憎まれ口を叩く両津に見送られ、纏と大原部長は深夜のパトロールに出かけた。酔っぱらって路上で寝込んいる中年男性を介抱したり、コンビニ前でたむろして大声ではしゃいでいる未成年の集団に声をかけたりと深夜パトロールもなかなか忙しい。幸いながら纏と大原部長はこの辺りの顔見知りも多い為、つまらないトラブルにはならなかった。

 

「この辺りも最近は物騒になってきましたね」

「世間が不景気だからな。皆、不満が溜まっているんだよ。だから大人は酒に逃げたり若者は元気を持て余して非行に走る。何とも悲しい話じゃないか」

「全くですよ。まぁ景気に関係無く飲む奴も居ますけどね」

「両津の事かね?」

「ええ。最近は檸檬が居る所ではあまり飲まなくなりましたが」

「ははは。良い事だ。ようやくアイツも自分のだらしなさを少しは顧みるようになったんだなぁ」

 

 擬宝珠 檸檬(ぎぼし れもん)。纏の妹で現在4歳。長く伸ばした髪を左右で縛るツインテールの髪型をしている擬宝珠家の末娘だ。4歳児とは思えない超絶な味覚を有していて、祖母の夏春都の英才教育の賜物で超神田寿司をはじめ、神田の有名飲食店の御意見番として鎮座している。両津が擬宝珠家に住み着くようになったのもこの娘が両津に懐いたのが大きい。自分に懐いている幼子が意見してくる。そうなると根が素直な両津も抵抗も反発も出来なくなる。やろうとすれば檸檬当人を悲しませるし、当然の事で纏や夏春都も説教に入る。擬宝珠家は両津がようやく世間一般基準を身に付ける最適な環境となったのである。

 

「しかし、そうなると少し寂しいものもあるね」

「どうしてですか? 勘吉が真面目になるのは部長さんだって嬉しいでしょ?」

「そりゃあそうさ。でもそうなるとワシが接してきたあのバカな両津がどこかに行ってしまうような気がしてね」

「でもいつまでも同じってワケにはいかないでしょ? 誰だって歳を取るし、体力だっていつか無くなるんだから」

「……纏くん。こう言っては何だが、あの両津がそうそう体力の衰えが起きると思うかね?」

「いや、はい……無さそうですね」

「非情に素直でよろしい。アイツが署へ配属になって随分経った。それから毎日のように顔を合わせてはアイツがバカをやって、それをワシが叱って……なかなか成長しない奴だったが、君たち擬宝珠家のお世話になったらようやく大人の姿勢を取り始めた。これが何ともね」

「部長さん……」

 

 それまで胸の奥にしまっていた、夕方に署長との電話で知った事が再び身体を駆け巡った大原部長は震えながら纏に懇願した。

 

「だから纏くん! 両津の事は迷惑かも知れんが、ちゃんと信じてやってくれ!!」

「は、はい……でもどうしたんですか? 夕方も何か様子がおかしかったし」

 

 纏の言葉が無ければその先も続けて言ってしまうだろうと言う事を大原部長は痛感する。

 

「……なんと情けない。纏くん、ワシは弱い人間だ。我が身可愛さで肝心な事を言えずにいる。許してくれ」

 

 涙を零しながら嗚咽を漏らす大原部長。そんな姿を見て纏はミニパトをゆっくり路肩に止めて、彼の背中を優しく摩る。

 

「纏くん……?」

「どうですか? アタシも子供の頃は我儘言ってヤンチャで暴れて……。そうして疲れ切ったら祖母や兄からこうやって背中を摩ってもらっていたんですよ」

「あ、ああ……だいぶ落ち着いたよ。悪いね」

 

 先ほどまで身体を駆け巡っていた衝動はウソのようにピタリと止まった。家族が多い擬宝珠家では下の子のヤンチャなんて当たり前なので年上の誰かがこうして面倒を見る事は当たり前だった。檸檬も時折我儘を言って皆を困らせていたので纏が面倒を見た。最近は両津がその役目をする事が多いのだが。

 

「何だかみっともない姿を見せてしまったね」

「とんでもない。今も胸にしまい込んでいる気持ちが辛いでしょう。これくらいしか出来ないアタシですが、部長さんの役に少しでも立てたなら嬉しいです」

 

 纏のその言葉で決心した大原部長は、彼女の気持ちへ応える為に最低限の事だけ伝える決心をした。

 

「いいかい纏くん。両津が”デザグラ”または”デザイアグランプリ”という言葉を言ったら、何も聞かずにいるんだ。いいね?」

「ちょっと待ってください?! もう一度お願いします!!」

「デ、”デザグラ”と”デザイアグランプリ”だが……まさか纏くん?!」

 

 纏は耳を疑った。それは確かに両津が今朝派出所前で伸びをしていた時にボヤいていたのと、また昼頃に纏と別れる直前に携帯電話でやり取りしていた言葉だったからだ。

 

 ――まさかデザグラやジャマトの件と関係してるんじゃないだろな?――

 

 ――はいこちら両津。なにーデザグラ?! 今からか?!!――

 

「アイツ、その言葉を言ってました」

「――! だから日中何処かに消えたのか! それをワシと来たら……事情を知らなかったとは言えアイツに何て事を!!」

 

 大原部長は今更ながら署長からの連絡が来る前に両津へ取った態度を大いに悔やむ。そしてそんな姿を見て心を揺さぶられる纏。心の中で何かが大きな音を立てて崩れそうな気がした。

 

「部長さん、知ってます? 戻ってきた時のアイツ、アゴに怪我していたんですよね……」

「! 言われてみれば……そうか、それで」

「部長さん! 教えてください!! デザグラって何ですか? アイツは今どうなっているんですか?!」

「済まない纏くん。ワシも詳細がわからないんだ。ただ、本庁の刑事たちでも手に負えない難事件だとしか」

「難事件……」

「いいかい! この事はまだ誰にも言っちゃいけない! もちろん両津本人にもだ!」

「な……なんでですか?」

「我々の身勝手でアイツ自身が危険に合う可能性もあるからだよ。ワシたちは今まで以上慎重に且つアイツが悟らないよう自然な態度で振舞わなければならないんだ」

「……わかりました」

「……済まないね。そしてありがとう。ここまで言えてようやくワシも少しだけスッキリできた」

「いえ。でも辛かったでしょう? それで今日の部長さんのアイツへの態度だったんですね。納得出来ました」

「ははは……何ともみっともない。さて、落ち着いたら喉が渇いてきたな。何か飲み物でも買おうか?」

「じゃあ、秘密を厳守するって事で奢ってもらえますか?」

「キミ……最近どんどん言い方が両津に似てきたね」

「?! ちょっとそれどういう事ですか!」

「似た者ふう……ゴホン! まぁまだ早いか。何せ以前アイツはせっかくの君との縁を台無しにしたからねぇ~」

 

 ニタリ顔で纏をからかう大原部長。これは纏にとってまだダメージが大きい話だ.

 

「も――……ホントそれは勘弁してくださいよぉ~!」

「はははは! まぁ良いだろう。何が欲しいかね?」

「じゃあコーヒーお願いします! 高いやつ!!」

「コーヒーだね。良し良し。アイツが奢らせなかった分、纏くんに奢るとするか! そこのコンビニで買ってくるから少し待っていなさい」

「は~い……」

 

 大原部長がコンビニに行っている間、纏もミニパトから降りて今朝の両津のように背伸びをする。

 

「――っと。はぁ……ホント、デザグラって何なんだよ、勘吉……」

 

 心の淀みを吐き出すように深呼吸する纏であった。

 

 

 翌日の昼前。引継ぎ業務を終えて葛飾署から帰宅する2人。両津自身はいつも通りだが、一緒に歩く纏は胸中穏やかでいなかった。先の大原部長の言葉が耳に残ったままだ。当の両津は目の前で大あくびなんかしていたが。

 

「ふ、あ~あ……クソ、眠いなぁ……ロクに眠れなかったからなぁ」

「え? 勘吉、仮眠していたじゃん」

「いやー、一緒に部長と仮眠していたろ? そしたらワシの横でスンスン泣いてたんだ。”両津……両津”ってな。怖くて眠れなくなったよ」

「あー……なるほど」

「やっぱり署長からワシの件で何か言われているんじゃねぇか? ……ダメだ。サッパリ思いつかん。そこまで強烈な事件なんかやらかしていないハズなんだがなぁ」

 

 目の前で呑気な態度を取っている両津に対し、すっかり呆れる纏。

 

「おいおい何言ってんだ?! アンタ今デザグラとか言う大変なモンに関わっているだろーが!」

 

 と喉元まで出かけたが必死で押さえた。大原部長との約束もあるのでこれは迂闊に聞けない。額に手を当ててため息を漏らした纏に両津が声をかけた。

 

「どした? 纏も寝不足か? ため息なんて吐いていたら幸せが逃げるぜ」

「いや、アンタのせいだから!」

「あ? 何でワシなんだよ」

 

 その一言に左手の甲で両津の右肩をパシンと叩いた纏。これまた身に覚えの無い両津はキョトンとした。

 

「もういい! とっとと帰るよ。婆ちゃん待たしたら悪いし!」

「何だってんだよ……?」

 

 結局纏は不貞腐れたまま、両津は纏の態度に困惑したままで帰路を共にした。

 

 昼前の超神田寿司。ランチタイムを迎える少し前に纏と両津の二人は帰宅した。

 

「ただいまー」

「帰ったぞー」

 

 いつも通りに裏口から帰宅する二人。

 

「纏ー、カンキチー、お帰りなのじゃー」

 

 檸檬が明るく2人を出迎えた。トレードマークと言える長いツインテールは檸檬が動く度にピョコピョコと良く跳ねる。

 

「カンキチは着替えたら部屋に来いって婆ちゃんが言ってた」

「え? ランチタイムの手伝いは?」

「これから忙しくなるだろ? いいのかよ?」

「うむ。大事な話があると言ってたからの」

 

 纏が怪訝そうな顔つきになる。そんな纏の気分を吹き飛ばすように両津が声をかける。

 

「じゃあ纏、先に風呂入ってこいよ。ワシは夏春都の部屋に行くから」

「わかった。さっさと行きな。婆ちゃん待たせたら悪いし」

「いくら生い先短いからって、ちょっとくらい待たせても構いやしねぇだろ」

「聞こえてるよ勘吉!!」

 

 2人がやり取りをしていると擬宝珠家の家長、擬宝珠夏春都が現れた。




 筆者です。「認者III」をお送りしました。
 大原部長の激重感情回、先ずはここまでとなります。なかなかいい感じに拗れたものが書けた気がします。両さんもいつまでノホホンとしていられるやら。今後が楽しみです。
 さて擬宝珠家が本格参戦となります。驚いた事にご感想にて超神田寿司をとありまして、その言葉が出た時点で既にこの話のプロットが上がってました。気持ちが一致した? それとも思考を読まれていた? これには結構驚きました。
 擬宝珠家に関してここで書こうと思いましたが、何分まだまだ序盤。多く語るのは後の話で良いかなと思いまして少し控えておきます。

 劇場版無事に見てきました。キングオージャーに泣かされましたw いや、マジで。ギーツはひたすら笑わされましたね。ミッチーが素敵でした。

 さて、少しだけ白状しますと筆者体調崩しました。少しだけ書き溜め分があるので明日以降3日分は何とかなるのですが、それ以降は正直分からなくなってきました。故に途中で更新休みを取る事があるかもしれませんのでご了承お願い致します。

 明日はまだ平気。夕方17:30の更新です。どうかよろしくお願いします。

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