仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「デザイアグランプリ第3回戦を前にしたオリジナルストーリーも今回で5話目。前回はセレブムーブで高級寿司店を貸切るなんて大見得切った英寿様でしたが」
「別に大見得切った覚えは無いぞ」
「それはさておき、いよいよこの作品のUA(ユニークアクセス)も10000件に到達しました。これもほぼ毎日更新の成せる業(わざ)ですね」
「業(わざ)って文字、こういう使い方でも良いのか? ネガティブなイメージだと思っていたが」
「意外ですよね。さておき10000ですよ。素晴らしい。ではこの喜びを桜井景和様どうぞ」
「いきなり俺?! えーと……あの、その、ありがとうございます! 頑張ります!」

 緊張が手に取る様にわかる祢音は非常に残念そうな顔をしていた。

「景和……あんな挨拶だと今後UA数が落ちるかも知れないよ?」
「え? どどどどどどうしよう?!」

 祢音の何気ない一言が景和を激しく動揺させた。

「例え桜井景和様の恥ずかしい挨拶でUAが極端に落ちたとしてもこの小説は今後も続けていきますのでご安心くださいね」
「何気に挨拶振ったツムリさんが一番酷くない?」

 この作品もとうとうUA10000達成です。今後とも頑張ります。


認者V:衝動が駆け巡る

「そうですねぇ。何分貸切となると日頃いらっしゃるお客様からの売り上げも考えなければならないので」

「そうだろうな。幾らになる?」

「200。せめて150は頂けますかねぇ?」

 

 超神田寿司は神田の本店だけで年商3億は稼ぐ超一流店だ。月の売り上げでおよそ2千5百万。日によるがだいたい一日の売り上げは100万程度。翌日は珍しく座敷の予約が入ってないため若干売り上げは落ちるが、それでもカウンターとテーブルだけでも50万程度の売り上げは出せるだろう。そのため夏春都の出した金額は英寿に対してのハッタリも含めていた。だが、

 

「なんだ。思っていたより安かったな。じゃあ500で良いよ」

「は? ……今何と仰いました?」

「500で良いと言ったんだよ」

「英寿様、またまた御冗談を。500ですよ?」

「構わないさ。前金でいいだろ? 急ぎ使いの者に持って行かせるから確認してくれ」

「前金で? あまり冗談が過ぎると怒りますよ」

「冗談かどうかは受け取ってから判断するんだな。使いの者から俺に連絡が入ったら30分後にもう一度店へ連絡する。じゃあまた後で」

 

 タチの悪い悪戯だと思っていたが、それからおよそ30分後、身なりの整った壮年の男性が店に訪れた。

 

「浮世英寿様の使いで参りましたギロリと申します。擬宝珠夏春都様にお目通り頂けますか?」

 

 直ぐに奥から現れた夏春都は紳士然としたギロリの態度に目を見張った。隙が無い。ここまで警戒したのは久しぶりだ。

 

「アンタが使いかい……? 立ち話もなんだから奥に来な」

「お気遣いありがとうございます。申し訳ありませんが用もありますので、取り急ぎ英寿様からの約束のものをお渡ししましたらこれで失礼します」

 

 ギロリは懐から札束の入った封筒を5つ取り出し夏春都に手渡して直ぐに店を出た。夏春都は大急ぎで自室に戻り枚数を数えた。どれだけ数えても間違いなく500枚。500万円がいきなり送られたのである。目を丸くしていたその時、店に電話が入った。

 

「ちゃんと使いの者から受け取ってくれたみたいだな」

「え、ええ……確かに」

「じゃあ貸切の件は成立って事でいいよな?」

「……大変失礼しました。超神田寿司一同お待ちしております」

「別にそんなに畏まらなくて良いよ。それと明日は両津勘吉が居るんだろ?」

「は、はい。あの、勘吉とお知り合いで?」

「まぁ最近知り合ってね。それで頼みがあるんだが」

「な、何でございましょう?」

 

  ★

 

 夏春都は昨夜の顛末を語った。正直、夏春都も肝が冷えたし夢でも見ていたのかと疑った。だが間違いなく500万の現金は受け取っていたし現実だと思いきるしか無かった。

 

「勘吉。浮世英寿の接客はアンタがやるんだ」

「はぁ?! なんでワシが? 普通そこは呼び戻した憂鬱と夜婁紫喰。厨房を三吉が構えるのがスジなんじゃねぇのか?」

「アタシもそう言ったんだがねぇ。とにかく浮世英寿が聞かないんだよ」

 

 ――両津勘吉の握った寿司が食べたい――

 

 英寿が夏春都に頼んだのがこれである。

 

「……あんにゃろう。どういうつもりだ?」

「さぁね。でも万が一粗相があったら事だからね。だから保険として憂鬱も呼んでおいた」

「まぁそこまで気を利かせてくれたのはありがたいな」

 

 ここまで言い切ると夏春都はキセルで喫煙を始めた。流石にここまで説明すると疲れてくるので、一服して気持ちを落ち着かせたかったのであろう。白煙をモワっと吐き出して不敵な目つきをしてニヤリと笑う夏春都。

 

「でかしたね勘吉。浮世英寿なんて大物、アンタみたいなロクデナシが一体どこで知り合ったんだい?」

「ロクデナシは余計だ。まぁ色々あってな」

「このまま浮世英寿が今後ウチを御贔屓にしてくれたら、この間言ったお得意10人分の新規獲得の件はチャラだ。アイツ1人で10人分、いや2~30人分の価値がある。せいぜい気張りな」

「マジかよ……アイツにおべっか使わなきゃならんのは何だかなぁ~」

 

 両津は夏春都の下卑た笑いに同調し切れなかった。何分相手はあの英寿だ。マウントをどんどん取ってくる可能性がある。

 

「客を選べる立場だってのかい! そういう偉そうな口はもっと稼げるようになってから言いな!! ……と、言いたい所だけどね。わかるよ。アイツは危険過ぎる。アンタ、変な事に首突っ込んでないだろうね?」

「! や、やだなー夏春都。ワシはいつも安全だぜ。常に心はセーフティロックかけてるから」

「……ホント、アンタも嘘がつけないね。良く今までそんなバカ正直で生きてきたもんだ。もう少し腹芸を身に付けな」

 

 見え見えの嘘を言っている両津の態度を見破る夏春都。更に小声で言葉を続ける。

 

「あんまり纏に心配かけんじゃないよ……」

「あん? 何か言ったか?」

 

 だがその言葉は両津には届かない。

 

「ふん! 肝心な時は難聴になるんだね。コイツは!」

「うるせーな。通し勤務明けで眠いんだよ。少しは寝かせてくれよ」

「まぁそれなら後で時間やるから少しは寝ておきな」

「あ? 随分気が利くじゃねぇか」

「ウチに取って大事な日になりそうだからね。アンタの体調も万全じゃないといけないくらいヤバい事になってんだよ」

「お、おう……わかった」

「但し、寝るのは皆で打ち合わせをした後だ。纏が風呂から上がったら一度店を手伝いな」

「そうだな、そろそろ昼時で忙しい頃か。じゃあワシも風呂浴びてくるか」

 

 そう言って夏春都の部屋を出る両津。直ぐ後で風呂場から纏が両津に放った豪快なビンタの音が聞こえてきた。

 

「覗きに来るんじゃねぇ! この変態オヤジ!!」

「ち、違う! 誤解だー!!」

 

「……はぁ。本当に大丈夫かねぇ?」

 

 夏春都は風呂場から聞こえてくる2人の喧嘩声を聞いてため息を漏らす。そして電話だけのやり取りではあったが浮世英寿の声を反芻していく。余裕を常に見せるが相手に隙を一切見せない。遠い昔、そんな男と会っていたような気がしたが恐らく気のせいだろうと自分を納得させる。だが昨晩聞いた声はどことなく懐かしい優しさを感じさせた。

 

 ランチタイムが終わって直ぐ。超神田寿司の人間でも限られた者のみ夏春都の部屋に集まった。

 一応は一家の大黒柱の擬宝珠夜婁紫喰(ぎぼし よろしく)。パッと見は地味だが幼少から夏春都が鍛え上げた実力は息子の憂鬱にも負けない。だが最近腰痛が目下の悩みだ。

 そして妻の擬宝珠 桔梗(ぎぼし ききょう)。三味線の先生をしていたが夏春都の声掛けで擬宝珠家に嫁入りした。この話、夏春都の独断で決めたものらしく夜婁紫喰は全く知らぬままに縁談が決まったらしい。だが2人とも仲睦まじく子供にも恵まれた。現在身重で檸檬の妹が産まれる予定になっている。

 その横に憂鬱・纏・檸檬の3人が座る。更に両津と板長の三吉が招かれた。今日の打ち合わせはこのメンバーで行う。

 全員揃ったところで夏春都が口を開いた。

 

「まだ纏と檸檬にはきちんと伝えていなかったから、改めて言っておくよ。今夜ウチの店に浮世英寿が来る。貸切だ」

 

 その言葉に纏も檸檬も一瞬我を忘れかけた。気を持ち直した纏が聞き直す。

 

「嘘でしょ? ウチにあの浮世英寿様が来るってのかい? しかも貸切?」

「嘘じゃないよ。ちゃんと前金で全額払ってきた」

 

 そう言うと夏春都はタブレットの予約表と、昨晩ギロリから受け取った500万の札束をちゃぶ台に置いた。これを見て改めて全員がどよめく。

 

「憂鬱を呼んだのもこのためさ。改めて感謝するよ。悪かったね急に」

「何言ってるんだ! ウチにとって超大物をお招きする晴れの日に来ないなんてバチが当たるよ!」

 

 力いっぱい爽やかな笑顔で返す憂鬱。見守る一堂も誇らしげだ。但し、夏春都と両津を除いてだが。夏春都は重くなった口を開き説明を続けた。

 

「だがね、浮世英寿のたっての願いで握るのは勘吉になった」

「え? 両さんが?!」

「あー……なんかそんな事になっちまってよ。悪いな憂鬱。……おい。おい! 憂鬱泣くな! お前のせいじゃない!!」

 

 憂鬱の悪いクセで感情が揺さぶられると一気に涙脆くなる。瞳に涙を溜めてボソボソと呟き出した。

 

「俺の……俺の腕前じゃ、あの浮世英寿様に満足してもらえないのか? まだまだ修行が足りないって事か?!」

 

 溜めた涙を一気に流して嗚咽を漏らす憂鬱。だが皆慣れているもので家長の夏春都が軽くたしなめる。

 

「別にアンタの腕がどうこうって話じゃないよ。単に浮世英寿が勘吉の寿司を食いたいってだけさ。ただそれじゃ万が一が起きたら事だからアンタは調理場でしっかり勘吉をサポートしてもらう。いいかい?」

「なーんだ! そーゆー事かぁ!!」

 

 すっかり笑顔になる憂鬱。まだ付き合いが浅い両津はこれを見る度動揺させられる。

 

「あいっかわらず浮き沈みが激しい奴だな……」

「それが憂鬱じゃ。慣れろカンキチ」

 

 両津の横で檸檬がぼやいた。

 

「しかしあの浮世英寿さまが来るなんて凄いのぉ。檸檬も会うのが楽しみじゃ!」

「そうだね、檸檬。幼稚園で自慢できるぞ!」

「うん♪」

 

 笑顔になる檸檬と纏。だがその2人の様子を見て夏春都は険しい顔つきになる。眉間にシワを作り口を開いた。

 

「檸檬。アンタはダメだ。自分の部屋に居なさい」

「……え?」

「纏。アンタは檸檬が勝手に店へ来ないように見張っている事。いいね!」

 

 夏春都の真剣な声が雷のように落ちた。それを聞いた檸檬が真っ白な顔になった。

 

「な……なんで? なんで檸檬が英寿様に会っちゃダメなのじゃ?」

「アンタがまだ子供だからだよ。纏も良くお聞き」

 

 夏春都は貸切になった経緯を説明する。浮世英寿が貴重なプライベートで来る事。その為に他の客に見られる事を避けたいと願った事。突然の予約の為に500万も大金を即金で用意した事。

 

「超神田寿司はお客様を満足させなければならないんだ。幼稚園で自慢なんて以ての外だよ」

「で、でもそれなら檸檬が会うだけでも何とかならないかい?」

「! ……そうじゃ! 挨拶くらいなら構わんじゃろ?」

「そこだよ。確かに檸檬はウチにとって大切な味の番人とも言える大事な存在だ。だけどね、子供に味の管理をさせているって事を不愉快に思う大人だって多いんだよ。だから檸檬は今夜店には近づけさせない。いいね」

 

 一層険しい顔つきになった夏春都。もうこうなると誰も口を挟めない。檸檬は涙を浮かべて今にも泣きそうだ。だがここで口を出す者が居た。

 

「ちょっとそいつぁスジが通ってねぇんじゃないか、夏春都?」

 

 両津勘吉である。




 筆者です。「認者V」をお送りしました。

 近況ですが、なんとか体調は戻りつつあります。執筆はこれから数日は途切れずにいけますかな。せめて「認者」は全て上げきりたいです。

 今回これと言った小ネタは書いてないのですが、強いて言うなら超神田寿司のことについて上げてみましょう。
 今回は言うなれば浮世英寿VS超神田寿司。セレブVS高級店。英寿が尋常じゃない成功者である事はこの作品の読者様方ならご存じだとは思いますが、対抗する超神田寿司の規模はどれくらいに設定しようか考えてしまったわけです。この辺りは現実的な飲食店成功者の例を数件参考にして良い所だけ取り入れました。飲食系成功者ってだいたい数店舗運営維持されているんですよね。超神田寿司は一応支店もありますが、今回は本店だけの話に集中しないといかんなぁとか色々考えていました。
 あとご感想頂けて嬉しかったのは英寿と夏春都の電話を介した心理戦の描写ですね。前回と今回にかかる部分で書いていたわけですが、この辺りは筆者が好きなジョジョとかライトノベル作品の雄、SOW先生の著作の影響が大きいかもしれません。何より熱入れて書いてた場所だったのでお気に召して頂いたご感想を頂けるだけでモチベが上がりますねぇ。
 さて、擬宝珠憂鬱。ここでようやく書く事が出来ました。実はプロット時点では憂鬱の出番は無かったのですが、超神田寿司の一大事って事を強調するために登場させました。申し訳無いけど父親の夜婁紫喰よりも頼りになる感じが強いでしょ? ちゃんとポイントポイントで彼も動いていくのでご期待ください。

 では明日も17:30更新です。よろしくお願いします。

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