仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~ 作:唐 十三郎
「やり~! 英寿に勝ったぜ!!」
「っ! この狐の舌を唸らせるとはやってくれるぜ」
「まぁ別にワシだけの勝利じゃないけどな」
「そうだな。デザグラではそうは行かないから覚えておけ」
「で、次何やる?」
「……まだやる気なのか?」
「そりゃー波に乗って勝ち星取っておこうかなって。勝ち癖って必要だろ?」
「それは……確かに」
「ちょっと待ってよ! 2人だけズルいよ!!」
ここで景和が名乗りを上げる。
「何だよ景和。お前も何か勝負したいのか?」
「そうだねぇ……でも出来れば有利なものが良いけど」
「かー! これだから若者はイヤだねぇ。直ぐにマウント取りたがる。あーヤダヤダ」
「じゃあお互いの好きなもので勝負しようじゃないか!」
「好きな物……格闘技?」
「! 格闘技……空手!!」
「待て! それは手足の短いワシが不利じゃね?」
「両さん、手加減しないよ……」
「待てと言ってるだろうが! 景和、お前はまだ闇落ちは早いだろ~」
「クククク……いくぜ、両津勘吉!!」
「なにするだー?!」
演じられている佐藤瑠雅くんの趣味は空手。本当に肉体派なんだね。
「……うん。美味い」
とうとう英寿も美味いとその感想を口にしたのだった。
「ぃよっしゃぁあ!! どうだ、英寿!! 超神田寿司の味は?」
「うん。恐れいった。今まで喰った中で最高のお稲荷さんだった」
「お前にそこまで言わせたんだから、やっぱりアイツは大したもんだ」
「アイツ?」
「こっちの話だ。おい夏春都! 約束だからな、いいだろ?」
夏春都はゆっくりとため息を吐いて渋い表情で返した。
「仕方無いねぇ……好きにしな」
「最初から素直にそう言っておきゃ良かったのによ。おい英寿、お前に会って欲しいヤツが居る。この店のモンだから構わねぇよな」
「? 外部の人間じゃ無いなら構わないけどな」
「よし! 憂鬱、檸檬を連れて来てくれ!!」
「わかった!」
厨房に居た憂鬱が大急ぎで檸檬と纏を呼んでくる。数分後、余所行き用のピンクのワンピースを着込んだ檸檬が纏と共に現れた。
「おお~ ホンモノの浮世英寿様じゃ……。! なんと、祢音ちゃんも来ておったのか?! 今夜は何という夜なのじゃ……」
「良かったねぇ檸檬。ホラ、英寿様に挨拶してきな!」
「うむ!」
突然店内に現れた幼女の姿。景和と祢音は軽く驚く。
「女の子……?」
「うわ~なんて可愛らしいのかしら♪」
檸檬は英寿の前に立つと大きな声で挨拶をした。
「う、浮世英寿様。本日は超神田寿司にお越し頂きありがとうございます。大女将、擬宝珠夏春都の孫の檸檬です。どうか今後とも御贔屓にお願い致します」
「ふむ。おい、さっき言っていた会って欲しいと言っていたのはこの子でいいんだな?」
「ああそうだ。コイツがお前に会いたがっていたんだよ」
カウンターの両津に確認する英寿。そして両津の返事を聞いた後、座席から立ち上がり、檸檬と同じかやや低めの目線になるまで腰を落として挨拶をした。
「浮世英寿です。美味しいお寿司を御馳走になっています」
まさかの英寿の行動に思考が追い付かない檸檬。憧れのスターの顔が目前にあるのだ。冷静を保つ方が難しいだろう。英寿の行動に夏春都が慌てて駆け寄ってきた。
「英寿様! わざわざそこまでしなくとも……」
「いいんだよ。それにこのお嬢さんにはそれだけする価値がある」
「どういうこと?」
「英寿が頭を上げられないくらいの価値?」
英寿の態度にやはり驚く祢音と景和。そこに英寿が説明をする。
「さっき食べたお稲荷さん、あの味付けはこの子が決めたものだ」
「嘘でしょ?」
「こんな小さな子が?!」
その言葉に拍子抜けを喰らったのは両津を始めとした超神田寿司の面々だ。浮世英寿は気付いていたらしい。
「それだけじゃない。この店の味を決めているのはこのお嬢さん、擬宝珠檸檬の舌だ」
「はぁ?!」
「味、全部?!」
「なんだ、そこまで知っていたのかよ」
両津が後に続ける。
「英寿の言う通りだ。そこの檸檬は神の舌を持つ神童でな、米の炊き方から調理の仕方、この店のありとあらゆる味の管理をしている有難い存在なのよ」
「……凄いねぇ~」
「見た目は可愛らしいお嬢ちゃんなのに……」
祢音と景和は檸檬をしげしげと眺める。緊張が取れないのか檸檬の表情が固い。
「と言うか英寿さまよ。お前、檸檬の事知っていたんだな」
「まぁね。中々姿を見せないから病気でもしていたのかと心配したもんだが」
「あー……そういう風にも考えられるか」
「何にせよこうして会えたのは何よりだ。お礼も言いたかったからな」
「お礼?」
言うが早いか英寿は檸檬の頭を撫でて言葉を紡ぐ。
「擬宝珠檸檬さん、いつも超神田寿司の味を守ってくれてありがとう。今日こうして美味しいお寿司を食べる事が出来たのは貴女のお陰です」
「え? あ、ひゃ! ひゃい!! とんでもありまひぇん!!」
驚きのあまり素っ頓狂な返事をする檸檬。
日頃の浮世英寿の態度を知っている者からすればかなり意外な態度を取った事に全員目を丸くした。初見である超神田寿司の面々もあくまで有名タレントとしての面でしか知らないから、こういう態度を取るのは知らなかったわけで。
「へぇ~……良かったなぁ檸檬!」
「凄い……英寿が褒めた上で感謝の言葉を告げた」
「ちょっと英寿大丈夫? お酒回った?」
「酔ってない。だいたいそんなに飲んでないが?」
実際ビールを開けている英寿も景和もそこまで飲みが深まってはいない。ツムリだけはこっそりと既に4杯目に入っていたが。
「お前たちも感謝しておいたらどうだ? この子の舌あっての超神田寿司だぞ」
「それもそうね。擬宝珠檸檬ちゃん、今日は美味しいお寿司を食べさせてもらってありがとう!」
「と、とんでもないお言葉! どうしよう纏! 祢音ちゃんにもお礼を言われたぞ!」
直ぐ傍に居る纏に驚きを吐露する檸檬。日頃冷静沈着幼女として有名な檸檬だが、流石に英寿・祢音と2大有名人からお礼を言われたので動揺が隠せないようだ。
その言葉に景和が反応する。
「纏……ああ、この人がさっき両さんが言っていた」
「そ、擬宝珠纏。檸檬と同じくここの孫娘だ」
「そうか、お姉さんが。纏さんありがとうございます。玉子焼き美味しかったです!」
「あ、どう致しまして! えーとお名前は?」
「これはすいません、桜井景和と言います!」
「じゃあ歳も近そうだから景和くんで! アタシの事は纏で構わないよ」
「初対面でそれは申し訳無いよ……じゃあせめて纏ちゃんで」
奥ゆかしい態度を取る景和に爽やかに笑顔を見せる纏。誰もがそうだが、自身が誠意を込めて作ったものを食べてもらって感謝される、これほど嬉しい事は無いだろう。
「えーと、英寿様と祢音ちゃん。そして景和くんと……こちらの綺麗な方は?」
「ツムリと申します。浮世英寿様の姉をしております?」
「ツムリさんねー、よろしく! ん? 様? しております?」
ツムリの発する言葉はあくまでデザグラスタッフとしてのものが強い。酔っぱらいの戯言として聞き流してもらうために両津が気を回した。
「だーはははは! ツムリちゃん、飲み過ぎて来たんじゃないかー? おーいアガリお替わりだ」
「いえ私、お茶よりもこちらのお酒が気になります」
「まだ呑むのかよ……えーと、獺祭かぁ。また良い所狙うなぁ。はいよ獺祭入りましたー!」
「「「「ヘイ!!」」」」
今度は店内にやってきた纏も含めて4名の威勢の良い返事が店中に響く。
英寿と祢音は檸檬に改めて今日のオススメを尋ねていた。景和は纏に玉子焼きのコツを聞いている。皆が和気あいあいと過ごしているその様子を見て夏春都はホッとため息をついた。そこに微笑んできたものが居る。厨房内に居た憂鬱だ。
「両さんに任せて良かったよ」
「結果そうだったってだけだよ。全く運の良いヤツさね」
「でもそれで檸檬も笑顔になれたんだから良かったじゃないか」
「……ふん。まぁそうだね。アタシの取り越し苦労だったかもしれないね」
「それにしても……」
「どうしたい?」
浮かない顔をする憂鬱。何か疑問があるようだ。
「檸檬の事はあまり口外していないんだろ?」
「ああ。以前に誘拐事件もあったからね。元々あまり言ってこなかったが最近はなるべく町会や商工会の連中にも釘を刺してはいるよ」
「だよなぁ。だとしたら英寿さんは何で檸檬の事を知っていたんだろ?」
「! ……そうだねぇ」
確かにそこは大いに疑うべき所であった。だがわざわざ感謝の言葉まで述べてくれた。金払いも良い。これほどの上客なのだから何をどう調べてきたのかは目を瞑ろうと思っていた。と思った矢先、ここでアクシデントが起きる。
「! 変身!!」
超神田寿司の店内は緑色の閃光で満たされた。
筆者です。「認者VIII」をお送りしました。
今回も3000文字と短く刻んでしまって申し訳無いです。でも今回も丁度面白く引きそうな所が偶然そうなってしまったんですよねぇ。ちなみにこの後控えています「IX」と「X」は4000字程度です。更にもう少し場面を変えて1エピ書いたら認者は終了。次の話に進む事となります。そこからはまたギーツ本編準拠で独自解釈が入ります。
さて、檸檬ちゃんの描写には筆者の個人的感情もだいぶ入っているために解釈不一致される方も多いのかなと心配にはなりますね。そう考えるとまだまだこち亀への深掘りが足りないのかな。とは言え今回のエピ、書いてて凄い楽しいです。こればかりは二次創作の楽しみ方ですね。もはや中毒になります。
最後の引き際で何事と思われた方も多いと思いますが真相は明日の更新までお待ちください。唐突に変身したうっかりさんは誰でしょね?w
ではまた明日の17:30更新をお待ちください。
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