仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~ 作:唐 十三郎
「あと、今日は2回更新を行っている。既に読んでいるなら構わないが、もしまだそっちを読んでいないなら先ずはそちらから読む事をオススメするぞ」
ツムリと英寿の説明を他所に両津は土産寿司の作成を急いでいた。
「くっそー……まさか読者への振舞い用の寿司まで用意するなんて思わなかった。正しく猫の手も借りたいってのこういう事だなコンチクショー!」
「猫? アタシも手伝おうか、両さん?」
ここで名乗りをあげた祢音。
「マジか? 助かるぜー。じゃあそこの砂糖を取ってくれ」
「オッケー! えーと色が白いからこれかな? はーい」
「サンキュ! ってこれ塩じゃねぇか!」
「えー? 色が白いから同じじゃないの?」
「全っ然違ぇよ!」
「もー、見てられないよ。両さん、はい砂糖」
「お、おう。景和に頼むか。酢飯の混ぜ方わかるか?」
「えーと、こんな感じで良いかな?」
「手際が良いな……うん。良い感じだ。じゃあ中トロとタコとイカを切り分けてくれるか?」
「いいよ! うん、出来た!」
「早いな! しかも切り方も上手い……」
「後は何やろうか?」
「えーと……やれるなら握りも手伝ってくれるか?」
「こんな感じかな?」
「……ワシの握り方より早い! しかも……美味ぇ」
「いやいや、両さんに比べたらまだまだだよ~」
その様子を傍らで見ていた夏春都と纏と檸檬。
「婆ちゃん、これは早めに景和くんを囲っておいた方が良くないか?」
「ああ、思わぬ掘り出し物だよ。あのボウヤ、かなりの原石だ」
「景和は凄いのぉ! 勘吉も凄かったが更に上が居るとは驚きじゃ!」
檸檬が目を輝かせて景和を見つめていた。そこへ夏春都が余計な事を言い始めた。
「檸檬……結婚するならああいう男を今の内に捕まえておきな」
「婆ちゃん、檸檬にはまだ早いだろ……」
「どういう事じゃ、纏?」
桜井景和。既に擬宝珠家にロックオンされている事を彼はまだ知らない。
深夜に差し掛かる頃。サロンでは道長とウィンが空中投影された大型ヴィジョンに映るマリアの前身である麻里竜二として最後の試合。チャンピオン防衛戦のクライマックスに差し掛かっていた。相手選手の鋭い攻撃をかわす度に鍛え上げられた肉体から迸る汗が飛沫となって周囲に飛び散る。この試合を振り返る度にマリアは語る「自身に迷いもあった時期であったので非常に苦戦していた」と。幾度と相手選手のクリーンヒットを受けてしまい、ともすれば判定を取られかねなかった最終ラウンドで大勝負に出た。相手の僅かなスキをついて繰り出した空中飛び膝蹴り。見事相手のアゴに入りKOを取る。
「うぉおおおおおおお!! やっぱりココだよココ! やっぱり竜二さんの伝説は今でも輝いているぜ!!」
「……結局最後まで見ちまったか。でもやっぱり竜二さんは何度見ても良いなぁ!!」
この日の道長は仕事が休みであったため、手短に済まそうと朝早くからサロンに訪れウィンとの約束で配信サイト”DAJYON”(ダジョーン)で麻里竜二の試合動画を一緒に見ていた。途中から何故かコンシェルジュのギロリも参加。飲み物や乾きものなどを提供してくれた。夕方に差し掛かり英寿たちが食事に行くと誘ってきたがすっかり動画に夢中になり断る事に。日頃の道長の態度から素直に応じる事は先ずあり得なかっただろうが、この時は完全に動画に夢中になっていたため、断る態度も珍しいものになっていたらしい。
「わりぃ! メシとかじゃねぇわ。いつまた竜二さんの試合動画なんてじっくり見られるかわからねぇし!!」
これが超神田寿司で景和と祢音が言っていた「あんなに明るい道長」である。
サロンのソファで2人が余韻に浸っている時、訪れる者が居た。ツムリである。手には何やら小ぶりの箱を4つ抱えていた。カウンターに座ったツムリへギロリが声をかけた。
「家には帰らなかったのか。英寿様はどうした?」
「もう少し残るみたいです。募る話もあるみたいなので置いてきました」
そしてソファに居る2人を見て軽くため息を吐く。
「全く……サロンの設備を私用で使うのもどうなんでしょうか? ギロリ、貴方も本来は止める立場では?」
「まぁ偶には良いじゃないか。私もあのマリアという人物がどんな格闘家だったのか興味もあったからね」
「格闘家として。だけですかね?」
「! 何の事だか……おい、何をする!」
軽く冷や汗を流すギロリ。どうやらこの男も現在のマリアに興味を持ったらしい。すかさずギロリのスパイダーフォンを奪い、写真フォルダの中身をチェックするツムリ。恐ろしい事にその画像はサロンの空中投影されたモニターに映し出され、ジャマト迷宮でのマリアの様子が動画も含めてかなり保存されていた。
「いつの間に……」
「おいおい……これって職権乱用じゃねぇか?」
「うらやま……いや、けしからんな」
呆れ顔のツムリ。煽るウィン。内心羨ましがる道長と反応は様々だ。
「い、いや君たち。これはあくまで参考資料として揃えただけだ。何もやましい気持ちは無い!」
「……どーだかなぁ」
「おい、後で俺にもくれ」
疑うウィンはまだマシで、道長はとうとう欲しがり出した。
「はぁ……せっかく英寿様と両津様のご厚意でお土産を頂いてきましたが、これはやめておいた方が宜しいかもしれませんね」
「土産ぇ? ……嘘?!」
「えーと……超、神田寿司……?! あの超神田寿司か?!」
ツムリが持って来たのは超神田寿司のお土産寿司だったのだ。
「な……なんであの超高級店の土産寿司が?」
「まさか、タートルズの働いている寿司屋って……」
「ええ。超神田寿司です」
「「なんだよー! それ早く言ってくれよぉ!!」」
ここで激しく後悔する道長とウィン。
「言いましたけど、お二人ともあれだけ爆音の映像に夢中で聞いていなかったでしょう」
「そうだね……そうでした」
「すっかりハマっていたからな……」
真っ白な顔になる二人。文字通り逃した魚は大きい。
「英寿様の伝言です。味わって食えよ、と」
「ちっくしょう! 英寿の奴、ここでもイケメンスター様かよ?!」
ウィンが悔しがりつつも感謝している。
「それと両津様から。お前ら今度はちゃんと店に来いよ、と」
「! 誰が行くか!! 行きたくても……俺はお前を倒さなきゃならないんだぞ……」
行けなかった事を心残りにしてしまった道長。倒すべき相手の優しさに少しだけ胸が痛むらしい。
「はいはい。悔しい顔はそこまで! ギロリ、小皿を4つとしょう油を取ってください」
「人使いが荒い。? 私の分もかね?」
「せっかく人数分用意してくれたのですから。要らないなら私たちで食べますが?」
「いや。有難く頂こう。飲み物はどうするかね?」
「俺ビール! スパドラで!」
「……俺も頼む!」
「私は日本酒をお願いします」
「ふう……仕方ない。私も少し付き合うか」
こうして英寿と両津の気配りで超神田寿司の味にありつけたウィン・道長・ギロリであった。
DGPルール「美味い話には何かがある。けれどもゲームマスターが美味い食事に手を出してもいいじゃないか」
筆者です。「認者XI~F」をお送りしました。
なんとこのエピ、プロットの時点では存在しませんでした。ウィンも道長も見事に済寿司は食いっぱぐれていたんですね。しかしここは二次創作の面白い所、二人が食えなくて悔しがるだろうというご感想を頂いたので急遽書き上げてみた次第です。
では改めて今回のサブタイトルについての説明を。
「認者」。読みは”にんじゃ”です。普通に漢字の忍者から連想しました。日本語の妙な所で「認める者」と言う言葉はあってもそれを縮めた二字熟語は存在しないんですよね。
では認める者ですが、これは先ず派出所のシーンで書いた大原部長。前の後書きにも書きましたが、以前のご感想で「あの頑固者、大原部長にデザグラと言っても多分理解されない」というニュアンスのものがありまして。じゃあ強引に認める方法はと考えたら上層部からの連絡かなと。お陰で特殊刑事課も犠牲にしましたw
次に纏ちゃん。現時点ではまだ全てを知らない彼女なのでただ両さんに翻弄されているままなのですが、部長に言われたらまぁ仕方なしと。元々家族として繋がっていますからね。これは今後の展開をお楽しみくださいと。
次に夏春都婆ちゃん。今回一番大変だったかもしれません。英寿に翻弄されっぱなし。あまり細かく書いていませんが少女時代に英寿に抱いたものは恋心に似たものかもしれません。
そして檸檬ちゃん。景和を認める者として書き上げました。ギーツ本編をご視聴されている方ならご存じでしょうが、桜井景和の闇落ちを救う者としてこち亀キャラなら誰が良いかと考えていったら純粋な子供かなと行きついたわけです。時代劇マニアな所も有難かったです。アニメでも忍者ランドとかで活躍したし、京都の撮影所にも行ってました。タイクーンブジンソードも、闇落ちを抜きにしたとしたらきっとハマって喜ぶでしょう「景和が真っ黒の武士になったぞ!! やっぱり檸檬が見込んだ通りじゃ!!」とか幻視してますw
最後に、これはまぁ本当にオマケ程度で申し訳ありませんがウィンと道長ですね。英寿と両さんの気配りの土産寿司に心動かされましたので。お陰で少しだけこの2人も今後の方向性が見えた所はあります。
では予想以上に長くなった「認者」もここまで。無事に書き進めて行ければまた明日から新たなシリーズです。
変更なければいつも通りに17:30更新です。よろしくお願いします。
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