仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~ 作:唐 十三郎
「ようやくか……」
「まぁまぁ。お寿司美味しかったじゃない」
多少呆れ顔の英寿。それを宥める景和。
「ふむふむ……ガッチャードライバーはトレカ2枚で変身するのか」
「あ、両さんが何か次のライダーの研究してやがる!」
ウィンが両津にとって痛い所をを突いた。
「あんたまさか……ここを放ったらかして向こうのクロスオーバーに出るんじゃないだろうな?」
「ち、違う! ただな、新ライダーがどうなっていたのか調べておこうかと」
英寿は両津のスマホを奪い取り、チャットアプリの履歴を辿った。
「何々……”こっちを早々に畳んでそっちに行くからよろしくな”だと?」
「両さん! 裏切り行為は許さないZE!!」
ガッチャード、今から楽しみです。
罰散M~I:激しい後悔を抱いて
浮世家の朝。疑似家族とは言え今の英寿とギロリ、そしてツムリは家族としての体を取っている。今朝もギロリが作る朝食を摂り、本業のタレントとしての出勤前に茶をすする。そして英寿はギロリに質問した。
「何故ゲームマスターは俺を落とそうとしている?」
「さあね……コンシェルジュの私にはわからない」
笑顔で返すギロリ。だが英寿の顔からは怪訝そうな色が拭えない。
「今まで何度も世界を救ってきた。ゲームマスターは俺の何が気に入らないんだ?」
「本当の理由は何ですか?」
サロンにて。ツムリがギロリに問いただす。
「ギーツはデザ神になるために、我々運営の秘密に近付こうとしている。これ以上野放しにはできない」
「だから脱落させて、奴の記憶を消す。だろ?」
ソファに座っている晴家ウィンが差し込んできた。ツムリは心配そうな顔で反論した。
「ですが! ……運営として公正と言えるのですか?」
ツムリの心配を他所にギロリは淡々と言葉を紡いだ。
「これもデザイアグランプリを存続させるためだ」
そしてウィンに向かって指示をした。
「次のゲームでギーツを退場させろ。手段は問わない」
「オッケー……!」
親指を立てサムズアップをキメたウィンがニヤリと笑って返した。
少し経って、誰も居ないガランとしたサロンでギロリはとある場所に電話をかけた。
埼玉県こど〇動物自然公園に良く似た雰囲気の建物だ。ジャマーガーデンと言う、作業服を着込んだ謎の男がジャマトを栽培している場所である。彼は今日も敷地内の様々な温室を行き交い、ジャマトたちの育成に勤しんでいた。ここで古めかしい電話機がけたたましく呼び鈴を鳴らした。楽しみを邪魔された事へ憤りを覚えたのか、眉間にシワを作り苛立たし気に電話機に向かう。
「なんだこの忙しい時に」
ガチャリと勢い良く受話器を取り、苦々し気に声をかけた。
「はいはい。何の御用でしょうか!」
「相変わらず忙しいみたいだな。早速で悪いが次の指令だ」
「ようやくか。待ち遠しかったよ。私の可愛い成果がようやく活かせるみたいだね」
「その事で少し確認したい事があるのだが」
「なんだい?」
「デザイアドライバーをジャマトに使わせるとはどういうつもりだ? 私はそこまで育てろと指示はしていなかったが」
「やつらが勝手に学習してるんだ。賢い個体もいるようだぞハハハハ!」
楽し気に語る作業服の男。反してギロリは苦々しい表情になる。
「……研究も程々にしてもらいたいものだ」
「ジャマトが強ければ、仮面ライダーも戦い甲斐があるってもんだろ」
「それを決めるのは私だ」
「勝手な事を……こっちも運営の一部であるって事、忘れちゃいないだろうね?」
「……わかった。それで相談だが、今度はそのドライバーを使えるジャマトを多めに頼めるか?」
「ほう……何か考えたか」
「下らない推測はするな。じゃあ後にデータを送るから目を通してくれ」
勢いよくガチャリと音を鳴らして電話が切れた。耳を押さえた作業服の男はニヤニヤと笑いながら自分が持っていた受話器を置いた。
「こっちもやられてばかりじゃ癪だからねぇ。フハハハハハハ」
目前の木々に実るジャマトの幼生体たちも男の声に合わせて鳴き始めた。
老舗蕎麦屋の「山茂登(やまもと)」。
店内から桜井景和の姉、桜井沙羅の声がする。
「もう本当、ありがとうございます大将!」
「丁度人手不足だったしこっちが大助かりだよ!」
「お待たせしました! 世界一美味しいタヌキソバです!!」
蕎麦屋の従業員服姿の景和が店の奥から沙羅が注文したタヌキソバを持って来た。熱々で美味そうだ。
「ねぇ、俺この仕事向いているかもしれない。タヌキソバ愛ハンパ無いし!」
「感謝の気持ちは忘れないようにね。人間は1人じゃ生きていけない。周りの人たちの助けがあって今の景和があるんだから」
「もちろん! 頼りになります、大将!!」
気合いの入った景和の声に大将の福岡福男も笑顔になる。
「就職先が決まるまで時々手伝ってよ!」
「はい! 任せてください!」
ソバを啜りながら二人のやり取りを見守る沙羅。だがここからどんどん様子がおかしくなっていく。
「タヌキソバ、マジタヌキソバ!」
「うんうん、そーだねー」
「タヌキソバ、マジで神だから」
「そっかー。神かー」
「タヌキソバで全て解決するし」
「うーん、もうそこまで行くと姉ちゃんわからないかなー」
二人のやり取りを見ていた大将も少しだけ引いた。
「沙羅ちゃん、景和くんが何で就職キマらないか何となくわかった気がするよ……」
「……気付いちゃいましたか。暖かく見守ってくださいね、大将」
「うん。まぁ景和くん、マジメだからOK!」
ここで入り口の引き戸がガラガラと開いた。3人組の親子が来店したようだ。
「いらっしゃいませ!」
「3人なんですけど空いてますか?」
「3名様ですね。直ぐにご用意できます。はい3名様いらっしゃいました! ん? あれ? 纏ちゃん?」
勢いでお客様の対応を行った景和。今一度振り向いたら先日知り合ったばかりの超神田寿司の孫娘、擬宝珠纏が居た。更に、
「なんだ景和じゃねぇか」
「奇遇じゃのう。お主、ここで働いておったのか?」
「両さんと檸檬ちゃんまで?!」
両津勘吉と擬宝珠檸檬も居た。親子連れに見えたのはこの3人だと仕方ないかもしれない。
テーブル席に通された3人。大将と沙羅が挨拶に来た。
「これはこれは超神田寿司のお嬢さんがた。ご無沙汰しております!」
「お久しぶり、大将。調子はどう?」
「お陰様で。店も以前の賑わいが戻りつつあります。これも檸檬ちゃんのご指導あっての事です!」
「うむ! この店の味が無くなるのは婆ちゃんも檸檬も辛かったからの。ご助力出来て何よりじゃ!」
「そんな事がなぁ~。それでそっちの姉ちゃんが景和の姉貴ってか」
「桜井沙羅です。ウチの景和がお世話になっております!!」
「いやいや沙羅さん、そんなに畏まらなくても良いって。こっちこそむしろ勘吉が迷惑かけてんじゃないかって心配になってるくらいだからさ」
「なんだとー?!」
丁寧にお辞儀をする沙羅に応じる纏。だがその言葉に両津が反応してしまった。いつものやり取りが始まるかと思ったが、そこに景和が現れる。
「お待たせしました~! 世界一のタヌキソバ3丁です!!」
「おおー!! 待っておったぞー!!」
目を輝かせた檸檬がタヌキソバに心奪われている。その湯気に含まれた香りを吸った両津も既に一口目を早く啜りたいと躍起になっている。
「これが檸檬イチオシのタヌキソバか。確かにこりゃ美味そうだ!」
「ちょいまち。子供の前でがっつくんじゃないよ。ちゃんと頂きますをしてからだ」
「わぁってるよぉ! いちいち小姑みてぇな事言いやがって」
「全く、檸檬よりも勘吉の方が子供みたいなんだからさあ……」
3人が箸を持って両手を合わせた。
「「「いただきます(なのじゃ)」」」
一斉に食べ始めた3人。その反応は……
「こりゃ美味い!」
「うーん、美味しい♪」
「うむ、流石じゃ!」
一口啜るだけで幸せな顔になっている。
「凄い……あの檸檬ちゃんが嬉しそうだ。世界一美味いわけだよ」
「おう! ウチの味も檸檬ちゃんに見てもらってより一層美味くする事が出来てよ」
「大将、景和……あのお嬢ちゃん何者?」
景和から沙羅に両津たちの簡単な説明がされた。特に檸檬が4歳で店の味見をしている神童だと聞くとすっかり感心してしまった。
「この間食べた超神田寿司の?! ……凄いね。こんな可愛らしいお嬢ちゃんなのに」
「なーに、まだまだ生意気なハナタレですよ」
「アンタが言うな勘吉!」
「檸檬、ハナなんて垂らしてないもん!」
両津の軽口に纏と檸檬が反論する。ヤブヘビだったとこれは両津も反省したらしい。
「オラ、とっとと食わないとせっかくの美味いソバも伸びちゃ台無しだぜ。さっさと食おう」
「それもそうか」
「うむ。確かにの!」
急ぎズルズルと極上のタヌキソバを胃に流し込む3人。
「「「ごちそうさまでした(なのじゃ)」」」
満腹感ですっかり幸せそうだ。
「しっかし檸檬のお使いに付いてきて正解だったぜ! こんな美味いソバにありつけるなんてよ」
「そういえば3人とも、今日はどうしたの?」
景和が訊ねた。そして纏が答える。
「婆ちゃんのお使いでね。今日は三吉さんが用事で居ないからアタシたちが付き添いで」
「最近物騒だろ? だからワシが纏と檸檬のボディガードだ!」
「アタシが居れば別にガードなんて要らなかったんだけどさ。婆ちゃんが連れてけって五月蠅くって」
「纏も女の子なのじゃと婆ちゃんが心配しての」
「何かいかにもあのお婆さんらしいよね」
まだ店で会っただけだが、なかなかツワモノっぽい雰囲気をしていた夏春都の様子ならと妙に納得した景和であった。
「いやいや、大事な擬宝珠家の皆さんからお代なんてもらったらバチが当たっちゃうよ!」
「ダメだよ大将。ちゃんと食べた分お支払いしないと、アタシたちが婆ちゃんから怒られちまう」
「そうじゃ! カンキチみたいに何でもツケるのは良くないって婆ちゃんがいつも言ってた!」
「夏春都のヤロウ……よりによって檸檬に言わなくてもいいじゃねぇか」
「両さん、そりゃあダメでしょ」
景和も少々呆れ顔になる。
「夏春都さんが言うなら仕方ないね。また今度そっちに顔を出すよ」
「ええ。婆ちゃんも楽しみにしてますから是非!」
「ではの。大将、景和。また会おうぞ」
「じゃあな景和!」
その時である。店先に居た一行の中で景和と両津の様子がおかしくなった。直ぐ近くには赤いツバ広の帽子を被った少女が歩いていた。
二人の足元にはそれぞれのIDコアが落ちていた。
「両さん……もしかして」
「ひょっとして景和もか」
二人は腹部を摩る。何度も何度も念入りに。
「やられた……?」
「ああ、ワシら二人して……デザイアドライバーを奪われちまったみたいだな」
筆者です。「罰散M~I」をお送りしました。
さてサブタイトルが変りました。読めますかね、コレ? 結構強引な当て字で造語なんですが気に入ってます。読み方も詳細もまたこの話が終わる頃にネタバレです。
さて、景和のタヌキソバ愛。元ネタはゼンカイジャーのソバ回を自分なりのアレンジで景和にぶつけましたw
FGOとウマ娘のイベが重なって少し大変ですので今回はここまでで。無事に書ききれたら明日も17:30更新です。
この作品をお読みになっている貴方は
-
男性
-
女性
-
どちらとも言えない