仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「デザイアグランプリ第三回戦も終了。いよいよ次のステージに進みますが、これで英寿様と両津様は脱落となりました。残されたライダーたちで世界の平和は守られるのでしょうか?」
「まだだ! まだワシは終わらんぞ!!」
「ああ、俺もだ。そしてここからが……ハイライトだ」

 敗退したのにまだ意気込む両津。そしてフィンガースナップでキメ顔をする英寿。

「負け犬のお二人はさっさと出て行って頂けますか?」
「負け犬って……ツムリちゃん、かなり塩じゃね?」
「フ……流石姉さん」
「その姉プレイもいい加減気持ち悪いので終わりにしてください」
「えぇ……?」

 塩も過ぎればなんとやら。流石の英寿も動揺し始めた。

「いい加減お二人とも諦めて他の作品に出ませんか?」
「他の作品だぁ?」
「例えばどんな?」
「次の仮面ライダーガッチャードの二次創作とか」
「「それはない」」

 仮面ライダーガッチャードの二次創作はまだ考えていません。引き続きギーツVSこち亀をよろしくお願いします。



罰散IX:激しい後悔を抱いて

 浮世家の朝。

 デザイアグランプリのナビゲーター・ツムリが、背面が白黒のダイヤ柄になっているタブレットを手に持ち庭先で撮影をしていた。

 

『佳境を迎えたデザイアグランプリ。第三回戦にてタイクーン・ナーゴ・バッファが不屈の活躍で勝ち抜ける中、パンクジャックがゲームマスターに操られ前回のデザ神・ギーツこと浮世英寿と破竹の活躍を見せていたタートルズこと両津勘吉が共々まさかの脱落? 果たして結末はどうなってしまうのか』

 

 撮影を終えたツムリは振り向き、庭先から二階を見ていた。浮世英寿の自室だ。英寿はカーテンの隙間から差し込む朝日で目を覚ます。

 

「朝か……」

 

 前回で脱落した英寿はデザグラに関しての記憶を失っていた。ふと視界には壁に貼ってある自身のポスターがある。以前に広告で使われたものでコーヒーカップを構えたポーズで余白にはキャッチコピーが書いてある。

 

 ――鏡を見ろ。スターの1日はそこから始まる――

 

 父であるギロリが作った朝食を食べ終え、これまたギロリが入れてくれたコーヒーを啜る。まだ朝食に手をつけてないギロリが訊ねた。

 

「英寿。君の今日の予定は?」

「雑誌の取材が5件にグラビア撮影が3件。夜はバラエティ番組の収録だ。確かアメト――……」

「忙しいなスターは」

「いや最後まで言わせてよ。それに”スター・オブ・ザ・スターズ・オブ・ザ・スターズ” いい加減覚えてくれよ。仕事で忙しいのはわかるけどさ」

「そうだったね。失礼」

 

 言わせねぇよと言わんばかりの態度で英寿の言葉に被せたギロリ。不貞腐れた英寿は再びコーヒーを啜る。

 

「やっべ、こんな時間か。じゃあ行ってくる!」

 

 急ぎ玄関に向かう英寿。様子を窺うようにツムリが現れた。

 

「デザイアグランプリに関する記憶は、完全に消去されたようですね」

「何か不満でも?」

 

 明らかに怒気を含めた言い方でツムリに質問するギロリ。そこに返すツムリ。

 

「ギーツを落としたやり方は明らかにデザイアグランプリのルールに違反しています」

「黙れ! ……デザイアグランプリを存続させる為だ」

 

 同じくらいの頃、超神田寿司の擬宝珠家の食卓にて。

 やはりデザグラの記憶を消された両津が皆の朝食の準備をしていた。今朝は4時に起きて豊洲市場に買い出し。行きつけの鮮魚店にて旬の魚介を入手して、戻った後は仕込みの開始。寿司屋の仕事はかなりタイトだ。通常の従業員と異なり擬宝珠家の居候でもある両津は家族と分担して食事当番もする。今朝は同じく非番の纏と一緒に行っていた。

 

「おう、アジ焼けたから玉子焼きもワシがやるぞ」

「任せたよ。アタシは味噌汁と納豆と佃煮用意しておく」

「あいよ!」

 

 寿司屋の板前としての修業で身に着いたものもあり、かなり要領良く手早く進める二人。息の合い方を見ていると夫婦と言い張っても疑うものも居ないだろう。

 擬宝珠家の全員が食卓に集い、朝食を食べ始める。

 

「「「「「「「頂きます!」」」」」」」

 

 家長の夏春都・店主である憂鬱・その妻の桔梗・長女の纏・次女の檸檬・そして居候の両津。この6人で食卓を囲む。今朝の献立は白米・味噌汁・アジの開き・玉子焼き・白菜の浅漬け・納豆・海苔佃煮。食欲の旺盛な両津と纏は幾度もお替わりをする。ここで憂鬱が質問する。

 

「今朝の玉子焼きはどっちが焼いたんだい?」

「ワシだな」

「勘吉だね。味、どう?」

「うん。だいぶ上手になったねぇ、両さん!」

「ヘヘヘ! ありがとよ♪」

「ふん! まだまだだって事でもあるんだ、浮かれてるんじゃないよ!」

 

 ここで夏春都のお叱りが入る。厳しい鞭である。愛があるかははた目にはわからない。

 

「うっせぇ! んな事言ってちゃっかり全部食ってるじゃねぇか」

「戦争中はこんなに贅沢に玉子なんて食えなかったんだよ。残したらバチが当たるだろ。あーもったいないもったいない」

「ケ! おう、檸檬。どうだワシの玉子焼きは?」

「ふむ! どれどれ~…… !」

 

 両津が焼いた玉子焼きを口にした檸檬は一瞬無言となった。だが、

 

「うむ! 纏の味に迫ってきておるの。やはり勘吉は天賦の才があると見た!!」

「相変わらず難しい言葉を知ってるなぁお前は……」

 

 ここで檸檬は立ち上がり、両津の傍に寄ってきた。

 

「? どうした檸檬?」

「なーに、褒めてやろうと思っての。カンキチは良く頑張っている。えらいえらい!」

 

 そう言うと檸檬は笑顔で両津の頭を撫でてきた。

 

「おいおい、大人をからかうんじゃねぇよ。でもあんがとな。昔、珍しく母ちゃんに褒められた時の事を思い出したぜ」

 

 カラカラと笑う両津。それを見て真剣な眼差しになるものたちが居た。夏春都と纏である。

 朝食を終え、皆の食器を片付ける。洗い物も両津の仕事だ。皆が食卓から立ち去ると廊下で1人グスグスと泣いているものが居た。檸檬である。妹の異変に気が付いた纏は檸檬に声をかける。

 

「……檸檬」

「纏……カンキチは、カンキチは一体どうしたんじゃ?! あんなに悔しそうなカンキチは見ていてとても辛いのじゃ! うぁあああああああああん!!」

「ごめんね。アンタが一番今の勘吉を見ていて辛かっただろうに、良く我慢したね」

 

 檸檬の頭を抱きしめて頭を優しく撫でる纏。檸檬の気持ちが落ち着いた頃に二人は夏春都の部屋に向かった。

 

「勘吉の様子がおかしい? アイツがおかしいのはいつもだろ」

 

 部屋に設置されたデスクトップPCで鮪の輸入業者からのメールチェックをしている夏春都。当然全文英語だ。

 

「そうじゃなくてさぁ……少し前から間違いなくアイツがおかしくなってるんだよ婆ちゃん」

「そうじゃ! 檸檬は今まであんなに悔しい味の玉子焼きは食べたことがないぞ。まるで屈辱感そのものじゃ!」

 

 檸檬の味覚は「神の舌」と称され、作り手の心理状態まで見抜く恐ろしいものだ。そんな彼女が見抜いた今の両津は屈辱感に満ちたものだと言い切った。実は夏春都も纏も気付いてはいたが上手く言葉に言い表せないので黙っていた。味だけなら間違いなく美味いものであったからだ。

 

「いったいカンキチは誰にいじめられたんじゃ? あんな悔しい思いをしているのにカンキチ自身はそれをされた事を覚えておらんみたいじゃし……」

「みたいだねぇ。態度はいつも通り。でも間違いなく何かされたみたいなんだよ」

 

 纏はまだ家族には「デザイアグランプリ」の存在は相談していない。何故なら纏自身もそれが何なのかわからないからだ。

 

「ふん……惚れさせた女たちをここまで心配させるなんざ、これだから両津の男は嫌いなんだよ」

「! 婆ちゃん?!」

「べ、別に檸檬は……」

「へん! アンタたちも本当にウソが下手だねぇ」

 

 夏春都は纏だけじゃなく檸檬も淡い感情を抱いている事は少し前から気付いていた。どう考えても両津に父性なんてものは欠けているし、そうなると確実に男としての魅力に魅かれているのだろう。4歳児まで惚れさせる両津という存在に軽く眩暈がしてきた。そこへ内線電話が入る。

 

「何だい? 今少し取り込み中だよ」

「すみません、大女将。今、大口の出前が入ったんですが、どうしてもお客様が大女将に頼みがあると仰いまして」

「大口ってどれくらいだい?」

「それが特上寿司15人前と助六2人前を」

「はあ~。そりゃ大口だ。わかった、アタシが出よう」

 

 外線に切り替える前に軽く咳払いをして呼吸を整える夏春都。100歳を超えても相手への気遣いは忘れない。例え出前の注文の電話とは言え咳一つでも相手には不敬と取られても仕方ないからだ。

 

「長らくお待たせ申し訳ありませんでした。女将の擬宝珠でございます」

「いや、こちらも無理を承知でお願いがあって電話しました。先ほどの注文の件はどうでしょうか?」

「ええ。特上寿司15人前と助六2人前ですね。問題は無いのですが、何か別のお願いでもございましたか?」

「……そちらで働いている両津さん。両津勘吉さんに運んできてもらえませんか?」

「! 勘吉に……? 失礼ですが先にそちらのお名前を伺っても宜しいでしょうか?」

「……浮世、英寿です」

「! 英寿さん? アンタ英寿さんかい?!」

「は、はい……間違いなく浮世英寿本人です」

「……どうしても勘吉じゃないといけませんか?」

「お願いします! 両津さんに、両津勘吉さんにお願いしたいんです!!」

 

 電話口の声は間違いなく浮世英寿本人だ。夏春都はそれは確信した。だが彼女が知っている英寿そのものではない。完全に他人行儀だ。だがその切迫した態度は声から受け取れた。英寿もまた何かを失い、そして求めている。その為には両津勘吉と言う男が必要になっていた。

 

「申し訳ありません。お電話を切らずに少しだけお待ち頂けますか」

「はい! ……どうか、どうかよろしくお願いします」

 

 夏春都は電話機の保留ボタンを押して纏と檸檬に問いただす。

 

「今、英寿さんから注文が入ったよ。どうしても勘吉に持ってきて欲しいそうだ」

「英寿さまが……?」

「勘吉に……」

「纏。檸檬。一度だけしか聞かないよ。もしかしたら勘吉はこれで以前の様になるかもしれない。けれどもこの注文を受けたら勘吉は二度とこの家に戻れなくなるのかもしれない。それでも良いかい?」

 

 纏と檸檬はお互いの顔を恐る恐る見つめ合った。自分たちの決心が両津の運命を決めるからだ。互いの震える手をしっかりと握り、姉妹は夏春都に顔を向き直した。

 

「婆ちゃん、お願いします!」

「婆ちゃん、カンキチに行かせるんじゃ!」

「……わかったよ。全く、アタシら皆して馬鹿だよね」

 

 瞳を潤ませた夏春都は保留ボタンを押した。




 筆者です。「罰散IX」をお送りしました。
 いよいよギーツ本編最終回も目前に迫ってきましたね。
 先日Youtubeに上がった「【最終回直前】仮面ライダーギーツキャストが1年間を振り返る!超レア(!?)同時変身0.45秒ver.も披露!『仮面ライダーギーツ』スペシャル座談会」を視聴しまして、微笑ましくも寂しいものを感じた次第です。最終回を視聴したらガン泣きするかもしれません。ツイッター改めXでハッシュタグ「#仮面ライダーギーツ」で盛り上がりましょう。

 さて、記憶を失った英寿と両さんは果たしてどうなるのか。引っ張って申し訳ありませんが次回続きをお待ちください。

 では今回の小ネタです。

・屈辱感の玉子焼き・・・タレントの伊集院光さんがその昔、ラジオの企画でうまい棒の工場見学をしたらしく、その際に取り寄せたお便りで「貴方が知っているうまい棒の味は?」とお題を出したそうです。中村悠一さんとマフィア梶田さんのチャンネル「わしゃがなTV」でも企画しましたが、うまい棒ってかなりの味を出してきたんですよ。まぁお便りの大半はネタになっていまして、その中の一つが「屈辱感」です。何の事は無いネタでしたが、妙に頭に残っていまして。今回使わせて頂いた次第です。流石に屈辱感を感じる食べ物はイヤだなぁとw 肝心の両さんはデザグラに関しての記憶が無いのでそんなものを檸檬ちゃんに食べさせたという自覚すらありませんが。

 さて明日も無事に書ききれたら17:30更新ですのでどうかよろしくお願いします。

 追記

 ご指摘ありまして修正かけました。擬宝珠家三女の蜜柑ちゃんはまだこの時点で産まれていませんね。大変失礼致しました。お詫びに蜜柑ちゃんの誕生プロットを差し込もうかと思います。ウソです。

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