仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「デザグラ第一回戦、海賊ゲームを無事に勝ち抜けた両津勘吉様。戻ったサロンには意外な方がいらっしゃいました。更にその後にも……両津様の今後はどうなるのでしょうか?」 
「ツムリちゃん、案外面白がってなーい?」
「いえ別に」

 ツムリはどんなにテンション高くても塩対応。


珍戦F:何?ワシが仮面ライダー?!

 1回戦で生き残った参加者がサロンに戻ってきた。英寿とウィン、道長がチームを組んでいた丹羽一徹という老人。そして途中参戦した鞍馬祢音。最後に一人だけ残った両津も戻ってきた。数時間前の喧騒はどこへやら。計6名にはこの広い空間は少し寂しいものがある。

 

「いやぁ、随分減ったなぁ! あれアンタは……」

 

 1Wave目の勝ち残り参加者には居なかった筈の鞍馬祢音の姿を見て驚く両津。パンクジャックとして参加した時にも一際目立つ女性ライダーだ。どんな経緯からかはわからないが途中参戦となり、どうやら今回も参加者唯一の生き残り女性ライダーとなったらしい。

 

「もしかしてご存じ? スーパーセレブTVの鞍馬祢音でーす♪」

「そーだそーだ、祢音ちゃんだ。纏や檸檬に教えてもらってワシも良く見ているよー! 家出は無事に出来たかい?」

 

 鞍馬祢音。登録名は「仮面ライダーナーゴ」。猫の意匠が目立つヘルメットのライダーだ。元々は鞍馬財閥の令嬢で家のしつけが煩わしく、家出しては外ロケ生配信を行いSPに捕まるまでがお約束となっている。配信内容もどこまでが本当か怪しいものだと両津は思っていた。

 

「あー! その様子だとあんまり熱心に配信見てないな~? 絶賛失敗継続中です。シクシク~」

 

 泣き真似をして可愛らしく振舞うその様子に両津は愛想笑いの笑顔で返した。そして祢音は両津の事をじっくり見始めた。両津は祢音が急に態度を変えた事を質問する事にした。

 

「どうしたの祢音ちゃん? ワシの顔になんかついてる?」

「えーとですね……おじさん、最近どこかでお会いしましたか?」

 

 ギクリとする両津。冷や汗を流して言葉を返す。

 

「や、やだなぁ祢音ちゃん。ワシみたいなおじさんなんてそこいらに沢山いるでしょ? なんか別の人と勘違いしてなーい?」

「そーかなぁ……? ねーねー道長ぁ~」

 

 そういうと祢音は道長の傍に行った。

 

「やべぇな……やっぱり仮面ライダーになるやつはどこか抜け目が無いかもしれん。気を付けないと……」

 

 両津の小声のボヤきには気付かず、道長に質問する祢音。

 

「なんだよ? だから俺に馴れ馴れしくするな!」

「大事な質問なんだからちゃんと聞いてよ! ねーねーあのおじさんさぁ、もしかしてパンクジャックじゃない?」

 

 その祢音の質問にピクっとなった道長は珍しく祢音の顔を見て話しだした。

 

「どうしてそう思った?」

「いや……だってあの手足の長さでしょ? 後は所作? ほらパンクジャックもガニ股だったじゃん?」

「はぁ……普通そう思うよなぁ。なのにどうしてアイツは……」

「道長?」

 

 ブツブツとぼやきはじめた道長を心配した祢音は、手を道長の顔の前でヒラヒラと振ってみたり顔を引っ張ったりと試すが自身の思考に没入した道長は全く反応がない。そこで最終手段に出た。

 

「ミ・チ・ナ・ガ……」

「うわああああああああ?!!」

 

 色っぽく小声で囁いた後に道長の耳に息を吹いた。これは道長も不意を喰らって驚く。

 

「なななななな……何してんだお前?!」

「よーやく気付いた。で? 道長はあのおじさんどう思う?」

「知らねぇよ! ギーツに聞け!!」

「何よそれ? わかったよ! ねー英寿ぅ!!」

 

 カウンター席に座っている英寿に駆け寄る祢音。相手をした道長は顔を真っ赤に染めてグッタリとしていた。その様子を傍らで見ていた一徹はニコニコ笑っている。

 

「いやいや、若いっていいなぁ」

 

 祢音は英寿に同じ質問をした。

 

「英寿はどう思う? あのおじさん、パンクジャックだと思うんだけど」

「違うな。だいたいパンクジャックならコイツだ」

 

 そう言うと英寿は隣に座っているウィンを指した。

 

「え? ……誰?」

「おやー? 俺の事を知らないのかい、祢音ちゃーん?」

 

 ウィンはカウンターに立てかけておいたフライングVを掴みギター演奏を始める。

 

「俺は~知る人ぞ知るパンクロッカー! はーれーるーやー……ウィーーーーーン!! 宜しくぅ!」

「は……はい。よろしくお願いします」

 

 ウィンのノリについていけない祢音は英寿の後ろに隠れるように挨拶をした。

 

 「おいおいおい……つれないなぁ。それにホラ、俺の登録名は英寿の言う通りパンクジャックなんだぜ?」

 

 ウィンが指差すと空中投影されたモニターに「晴家ウィン/仮面ライダーパンクジャック」と書いてある。

 

 「そうですね……でも……」

 

 ウィンの均整の取れた体格と記憶の中にあるパンクジャックを重ねていく。どう考えても体型が一致しない。混乱する祢音はとうとう考えるのをやめた。

 

 「うん! まぁいいや。ありがとう英寿! それとウィン……さん。これからよろしく♪」

 

 

 少し時間が経った後、両津は夜の亀有を歩いていた。デザグラに参加している間、携帯に纏から鬼の様に連絡があったので急ぎ超神田寿司に戻ったのだ。超神田寿司の閉店作業を終えた後、急ぎ電車に乗って亀有駅まで戻った両津は夜道をとぼとぼ歩き愚痴をこぼす。

 

 「くっそー夏春都め……コッテリ搾りやがって。なーにが”新規のお得意さんを10件開拓してきな”だ。無茶言うんじゃねぇよ、バッキャローイ!!」

 

 予想していたよりも超神田寿司が忙しかったらしく、猫の手も借りたい状態だったらしい。両津が戻って事なきを得たが、遅刻した罰として言いつけられたのが、先の愚痴で言っていた話である。しかもサロンに財布を忘れたらしく両津専用で設けられた入り口に向かって戻るハメになり、こうして深夜の遅い時間に亀有まで戻る事となった。サロン入り口のマンションに向かって歩いていたその途中の亀有公園で意外な人物から声をかけられた。

 

「よう、良い夜だな。両津勘吉」

「浮世英寿……なんでこんな所に?」

 

 サテン地の白いシャツに白いジーンズ。赤いスニーカーを履いた英寿は両津に近付いて来た。1メートルほど手前でピタリと止まるが身長差があるため両津は少し見上げるカタチになる。すると英寿は傍らにあるベンチへ向かい腰を下ろした。

 

「奢るよ。少し話をしないか?」

 

 英寿はいつの間にか缶コーヒーを2本持っていた。1本を両津に差し出す。

 

「天下のスーパースター、浮世英寿様がこんな所で下町のおじさんと缶コーヒーデートかよ?」

「別に構わないさ。それにこれは俺に取ってとても大切な事なんだ」

「ふうん……まぁ奢ってくれるならワシは別に構わないけどなー」

 

 英寿から受け取った缶コーヒーはまだ暖かかった。恐らく買ってからまだ時間は経っていないであろう。

 

「あちち……微糖のヤツか。よくワシの好みなんて知っていたな」

「まぁね。これでも調べるのは得意だからさ。でもアンタについてはまだわからない事が沢山あるんだ。それを教えてくれないか? ”パンクジャック”」

 

 その言葉を聞いて口に含んだコーヒーを盛大に吹いた両津。ゲホゲホとむせ返り、英寿はその様子を見てケタケタ笑い出した。

 

「慌てるなよ。せっかく奢ったコーヒーが勿体ないだろ?」

「ゲホゲホ! な、なーにが”勿体ないだろ?”だ! このクソガキ、何処まで気付いてた?!」

「……むしろアレで気付かない奴の方がどうかしてるだろ? 体型なんてそのまんまだし」

「う、うるせーよ!」

 

 呼吸を整えようやく落ち着きを取り戻した両津。途中で見かねた英寿が背中をさすってもしてくれた。

 

「それで、ワシに聞きたい事って何だ?」

「アンタはどうしてデザグラに参加したんだ?」

「ああ、それか……」

 

 運営から口止めはされていたが恐らく英寿は時間があれば調べ上げるだろう。そう考えた両津は今の時点で話せる限りの事を話す。

 

「じゃあアンタもどうして今回招かれたかまではわからないんだな?」

「ゲームマスターからは”ジャマトと生身で戦う事ができる一般人は候補者に選ばれる”と言われたけどな」

「それだけが基準じゃないさ。アンタも見ただろう? およそ格闘技やスポーツが得意じゃないやつだって招かれる」

 

 両津は英寿の言葉で日中共に戦ったチームメイト2人の顔を思い出す。恐らく1回戦の脱落者は殆どがそんな人間ばかりだろう。

 

「ところでアンタ、デザイアカードには何て書いたんだ?」

 

 英寿の言葉に両津はデザイアカードを見せた。極太の肉筆で書かれたその言葉を見るなり英寿は腹を抱えて笑った。そこに書かれているのは、

 

『この世界で一番の億万長者!!』

 

 と、書かれている。

 

「ハハハハハ!! マジか?! でもアンタを見てるとこの言葉も説得力が増すよ。久しぶりに腹が痛くなるくらいに笑える」

「そ、そんなに笑う事か? これくらい人間誰だって一度は考えるだろう?!」

「まぁな。でもだいたいがそんな大それた願いを叶えるような器じゃないんだよ。言葉にすればそれだけ軽くなるから」

 

 数多の願いは人の数だけあると言うが、大それた願いこそそれを叶えるための力量を問われるものだ。当然一生叶えられない者も大勢居る。

 

「ま、精々頑張れよ。勝つのは俺だけどさ」

「言ってろ。ワシだって負けんからな!」

 

 残っていたコーヒーをグイッと飲み干した両津は座っていたベンチから立ち上がる。

 

「さてもういいか? ワシ、サロンに戻らなきゃならんのよ。オマエはどうするんだ?」

「そうだな……じゃあ俺は帰るよ。父さんと姉さんが待っている」

「そーいえば今はツムリちゃんと家族だったな。オマエも酔狂なヤツだなぁ。前回のデザグラの願いがそれかよ」

「別にいいだろ? それに本当に叶えたい事は別にあるんだ。俺が本当に叶えたい願いは――」

 

 英寿がその言葉を発した瞬間、近くを走っていた自動車が鳴らしたクラクションでかき消されてしまい、両津の耳には僅かしか届かなかった。

 

「じゃあな”タートルズ”。2回戦で会おう」

「へん! 泣きっつらになるなよー」

「それはこっちの言葉だ。ところで最後に1つ聞いてもいいかな?」

「あ? なんだ?」

「あのさ……駅はどっちかな?」

「お前、迷子だったのかよ?!」

 

 その後、お巡りさんスイッチが入った両津は亀有駅までの行き方を丁寧に英寿に伝えたらしい。

 

 

 明かりが殆ど消えているサロンにて一人で酒を飲んでいる男が居た。晴家ウィンである。そこへ一人の男がユラリと現れ近づいた。大き目のフードを被り、顔色が全く伺えない覆面をつけた者。ゲームマスターである。

 

「早くも残り6人か。波乱の幕開けだな」

「なぁゲームマスター……簡単には退場しそうにないぜ、ギーツのやつ」

 

 その言葉に応えるかのように覆面を外すゲームマスター。そこから現れたのは、表向きはサロンのコンシェルジュを務めている男、ギロリだ。ギロリはウィンに冷淡な言葉を送る。

 

「それを果たすのが君の役目だ」

「わかったよ……あー、めんどくせぇなぁ。ん? おい、誰か来たぞ?」

「何?!」

「なんで覆面取ってんだよ?! 俺とツムリちゃん以外に顔見られたらヤベェんじゃねぇの? ほらとっとと被れよ!」

「わ、わかった!」

 

 そこに現れたのは忘れ物のサイフを取りに戻ってきた両津だった。

 

「ツムリちゃんもひでぇよなぁ……もっと何処にしまったか的確に教えてくれよぉ。なかなか見つからないからメチャクチャ時間がかかったぜ……おや、晴家ウィンじゃねぇか? お、飲んでるの? ワシも一杯飲ませろよー」

「り、両津勘吉?! なんだってアンタ、こんな時間まで居るんだよ?」

「いやー、サイフを忘れちゃってさぁ。サロンに入れなかったら暫く無一文だったぜ。おう! ゲームマスターも居たのか。アンタも飲んでるのかい?」

「あ……ああ。晴家ウィンと相談をしていてね」

「……おい、アンタ。何か変じゃねぇか? その、色々と」

「何がかね?」

 

 両津が言うのも無理は無い。ゲームマスターことギロリは取っていた覆面とフードを慌てて被り直した為に前後ろが逆になっていた。

 

「おい! ゲームマスター! 逆っ、逆だよっ! 覆面とフードの前後間違えて逆になってる!!」

 

 ウィンの言葉にようやく気付き、覆面とフードを離れた場所で直したギロリ。その慌てた様子を見ていた両津は思いきり白い眼差しをぶつけた。

 

「アンタ、ホントにゲームマスター? 別な人が入ってるとかじゃないよなー?」

 

 そう言うと両津はゲームマスターの覆面をガシっと掴んだ。

 

「おい、何をする?! やめろ!!」

「いーじゃん、ちょっとぐらい見せろよー。誰にも言わないからさー」

「おい、止せって! ゲームマスターも困ってるだろ?!」

 

 楽しそうにゲームマスターの覆面を取ろうとする両津。ウィンが押さえようとするも両津の力が強すぎてなかなか止められない。流石行動理念が小学生から変わっていないだけはある。根っからの悪戯っ子だ。あまりしつこく絡む両津にギロリはとうとう本気の怒り声を出した。

 

「止めたまえ!!」

「あ……はい。すいませんでした」

 

 目の前のゲームマスターの怒りの様子にシュンと縮こまる両津。大人を怒らせると怖い。幼少期や小学生時分に関わった大人たちや、警官として葛飾署に配属して以来大原部長に散々怒られてきた記憶がトラウマとなって両津の脳裏を過る。

 

「もういいから……君は帰りたまえ。2回戦もどうかよろしく」

「あ……はい。ホント、すいませんでした」

 

 そう言うと両津はサロンを後にした。大の大人が背中を丸めてトボトボ歩くその姿は寂しいものがある。両津がサロン内から完全に消えた事を確認したウィンとギロリは二人して深いため息を吐いた。

 

「なぁ……本当にあのオッサンを参加させて良かったのか?」

 

 と言ったウィンの言葉に、

 

「仕方ない。彼のスポンサーがやたらとプッシュしてきたのだ。私も正直不安になってきたよ……」

 

 と返すギロリであった。

 

DGPルール「参加者を決める権限は、ゲームマスターにある。(だがしかし、スポンサーからの後押しがある場合その限りでは無い)」

 




 どうも筆者です。昨日に続き珍戦Fを投稿しました。
 白状するとこのギーツvsこち亀、かなり難産です。実際しっかりと検証したわけではないのですが、オリジナル書くより労力がかかってるんじゃないかと。制作にあたり、
・ギーツ本編再視聴
・手元のこち亀読み直し
・各作品のWikiを用意
・両さんのキャラぶれが起きそうな時は書き直し
 これだけやってます。
 更に筆者元々の執筆スタイルとしては
・プロット書き
・小ネタ集め
 ってのがあります。いくつか使うんですが、一番使うのがiCloudのメモ機能ですw

 では今回の小ネタの解説を
・サロンでの祢音:キャラ把握足りないかなと心配な部分もあるのですが、これくらいなら許してくれますよね? 許してください!
・夜の亀有公園での英寿:ちょっと天ボケ入ってるのは英寿役の簡くんの逸話を知ったからです。このくらいなら許されますよね? 許してください!
・深夜のサロンでの三人:ギロリの仮面見たら誰だってアレは考えませんか? 筆者だけ? そんな気持ちを両さんに行動してもらいました。だから怒られてます。これにはギロリも付き合ったウィンもグッタリw

 怒涛のように始まった第一話がようやく終わりました。
 既に第二話の構想は出来ていますが、先にガンダムキャリバーン組み立ててから執筆に入ります。楽しみにされる方には申し訳ありませんが、気長にお待ちください。
 ではまたお会いしましょう。

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