仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「デザイアグランプリもいよいよクライマックスです。皆さん無事に生き残れる事はできるのでしょうか?」
「あーあ、いよいよワシらは不参加かぁ」
「クッ……やはりタートルズを蹴り飛ばしてでもドライバーを奪うべきだった」

 結構物騒な事を言い始めた英寿。

「何? お前がその気ならワシだってそれなりの態度取ったぞ?」
「ほう? 具体的には?」
「ツバの舞」
「子供か?!」
「でも確実にドライバーから手を離すだろ?」
「……流石、植木流ホンダラ拳総帥に認められた男だ」
「認められてないからな! 流石にあのホンダラオヤジに認められたら首を吊るわ!」
「え……でも確か麻里愛との結婚を認められてホンダラ拳次期総帥の座が約束されていると資料に……」
「誰だそんなデタラメな資料を用意したのは?!」
「両さま~アタシですわ~!!」
「お前かマリアー!!」

 英寿やギロリが騙されたデタラメ資料はマリアが捏造したものらしい。


罰散X:激しい後悔を抱いて

「じゃあ行ってくるぜ」

 

 英寿から頼まれた出前を配達用の車に乗せた両津は見送りをしてくれる夏春都・纏・そして檸檬に対しぶっきらぼうに言葉をかけた。

 

「勘吉、大事なお客さんだ。途中で寄り道しないこと。こっそりつまみ食いしないこと。何かあったら二度とウチの敷居を跨がせないからね。いや、いっそアンタを殺してアタシも自害するか……」

「何を物騒な事言ってるんだよ夏春都!! わかったよ、ちゃんと届けて来るから安心しな」

「そんなアンタだからいつも心配なんだよ! ……纏、アレをやってあげな」

「うん! ほら勘吉!!」

 

 纏が手に持っていたのは火打ち石だ。カチカチと鳴らして切火を軽く浴びせる。昔から伝わる出かける者への魔除けのおまじないだ。

 

「切り火かよ。縁起でもねぇぜ。わざわざそんな事までしなくってもよぉ」

「バーカ! 昔からやってるゲン担ぎだろうが。そんな事言ってたらバチが当たるぞ」

「纏! 檸檬もやる!」

「はいはい。ほらよ」

「ちゃんと勘吉が英寿さまに寿司を届けられますように。そして”いつもの”勘吉が無事で帰ってきますように」

「へっ! あんがとよ檸檬。纏も。じゃあ夏春都、行ってくる!!」

 

 気合いの入った声を出して出かけた両津。車が見えなくなるまで3人はその場から動かず両津の無事を祈っていた。

 

 港区にあるフォトスタジオ。外資系大手企業のPR宣材などの撮影などで使われる場所である。英寿は今日、ここである映画の宣材用写真を撮影していた。受付に一度立ち寄り、敷地内の駐車場に車を止めに行く。改めて受付にて入館証を受け取った。

 

「凄いスタジオだな……ワシらみたいな一般人はなかなか入れんぞ」

 

 実際通常の出前なら受付に渡して終わりとなる。だが今回は注文を頼んだ英寿たっての願いで両津に直々に運んでもらいたいとの事なので、両津は恐る恐る館内に足を運んだのである。

 

「えーと、撮影をしているのは3FのAスタジオだな。しかし特上寿司はわかるが助六もとはねぇ。意外に庶民派なのか?」

 

 英寿が注文したのは特上15人前と助六2人前。助六とは稲荷寿司と太巻き寿司をセットにしたものである。稲荷もそうだが通常は超神田寿司の様な高級店ではメニューに載せないものだ。こちらの味付けは以前と同じく檸檬が行った。幼稚園を休ませ平気なのかと夏春都に聞いてみたが、檸檬たっての願いだそうだ。

 

「まぁ檸檬もミーハーな所があるからな。天下の浮世英寿様に上手い助六を食わせてやりたいなんざ乙女ってとこかねぇ」

 

 今の両津にかつて英寿が店を訪れた事は記憶に無い。それどころかデザイアグランプリに関わるあらゆる事を忘れている。あれだけ皆で楽しんだ夜の記憶も全て……

 スタジオに辿り着いた。入り口近くに居たスタッフに声をかける。

 

「まいど! 超神田寿司です!!」

「ああ、英寿様から伺っています。みなさーん! 英寿様から差し入れのお寿司が届きましたよー!!」

「「「「はーい!!」」」」

 

 大勢のスタッフが働いていた。延べ10人前後がテキパキと動いている。長机を数個並べて簡易的な休憩場所を作り上げると、両津から受け取った寿司桶を並べて紙皿とプラコップを並べていく。

 

「英寿様、休憩入りまーす!」

「えーと、超神田寿司の人は待ってくれているかな?」

「はい! あちらでお待ち頂いています」

 

 タキシード姿の英寿が訊ねた。撮影スタッフが誘導した先では両津が所在なさげに、ガラにも無く緊張して待っていた。

 

「お待たせしてすいませんでした。浮世英寿です」

「あ、はい! 超神田寿司の両津です!! 今日はご注文ありがとうございました!!」

「ぷ! ははははは……!! なんだかイメージと違うなぁ。予想していたより面白いな」

「いやぁ……あんまりこういう所にゃ縁が無くて。へへへ……」

 

 英寿の自然体の笑顔に少し緊張が解けた両津。これがスターダムをのし上がった浮世英寿の魅力なのだろう。

 

「まぁ立ち話も何だ。昼メシはまだだろ? アンタの分も頼んでおいたんだ。一緒に食べよう」

「え? ワシのも?」

「ああ。助六2人前は俺とアンタの分だ。もちろん特上の中で好きなものがあったらそこからも食べて良いぞ」

「そりゃあ有難い。じゃあ遠慮なくお呼ばれされますか」

 

 英寿と両津は長机の一番端で差し向いとなって座った。

 別の寿司桶で持って来た助六をスタッフが用意していく。取り皿としょう油、お茶が入ったプラコップを渡されると二人は割り箸を手にして手を合わせた。

 

「「いただきます!」」

 

 早速稲荷寿司を取り、二人はパクリと口にする。

 

「「うん、美味い!!」」

 

 一口目の感想も見事に息ピッタリにハモる二人。心の底からの声だ。

 

「やっぱり檸檬の味付けは抜群だな」

「? アンタが味付けもしたんじゃないのか?」

「いやぁ、ウチの味は全部又従妹の檸檬ってのが決めてるから。でも握りはワシがやってるぜ」

「そうか。うん、俺が今まで食べた中で最高の稲荷寿司だ」

「そんなアンタ、いくら若いからってオーバーな。天下の英寿様ならもっと美味いもの食ってるでしょ?」

「いや、きっとこれが最高だ。……そしてたぶん俺は前にもこれを食べていたんだよな」

 

 少し寂しそうな顔をした英寿は真剣な表情で両津に向き直る。そして恐らくこの為に両津を招いたと思う言葉を口にした。

 

「頼む! 俺にデザイアグランプリの事を教えてくれ」

 

 一方その頃、ジャマーガーデンでは作業服の男がギロリと電話をしていた。

 

「意外だったよ……あのギーツが脱落とはな」

「それがどうした?」

 

 対するギロリはまるでつまらないものでも聞いているかのような態度を取っていた。作業服の男は楽し気に言葉を続けた。

 

「今度こそ! 我がジャマトが世界を滅ぼす番だ!! へへへ……とっておきのラスボスが目覚めたぞ」

「成長したライダーは他にも居る我々を見くびるなよ」

「タートルズ。あいつも一緒に脱落したんだって?」

「フン! 別にあんな男なんか居なくても」

「良く言うねぇ……ギーツに迫る勢いだったみたいじゃないか。息も合ってたらしいし」

「あんな粗野な男なんか別に問題外だが」

「案外……ギーツと共に脅威になるからアンタが排除した……って所か?」

 

 その言葉を言った途端に電話が勢いよく切れた。電話先のギロリが怒り混じりに受話器を叩き置いたのだ。受話器に当てていた方の耳を軽く押さえた作業服の男がニヤニヤ笑いながら呟いた。

 

「図星だったみたいだねぇ~」

 

 直ぐ近くに居たジャマトに向かって楽し気にする作業服の男。

 

「栄養と! 学習で! ジャマトは進化する~♪」

 

 その言葉に応える様に以前よりもより禍々しい姿になったルークジャマトは唸り声を上げた。

 

 そしてサロンにて。急ぎ集められた祢音・景和・そして道長の3人に次のデザイアグランプリ開始を告げるツムリ。モニターには大型戦艦級の大きさで空を我が物顔で突き進むラフレシアフォートレスジャマト(洋城ジャマト)が映されていた。その姿は古城に巨大なラフレシアが寄生したような姿である。恐らくその古城とは先日皆で脱出した迷宮そのものだと思われる。

 

「皆さんラスボスが現れました。これより最終戦、戦艦ゲームを始めます。今回はスコア勝負です。ラスボスが退去するまで街の防衛をしてください」

「たった3人だけで……」

 

 弱気な態度を見せる祢音。

 

「スコアトップの方がデザ神となり、理想の世界を叶える事ができます」

「勝てば……本当の愛が手に入る」

 

 ――本当の愛が欲しい 鞍馬祢音――

 

 退場したライダー変身者が言っていた言葉と同じ言葉を発していたジャマトライダーの事が頭でフラッシュバックする景和。

 

「やってやるよ……退場した人たちを蘇らせる為に」

 

 ――退場した全ての人たちが蘇った世界 桜井景和――

 

 眉間にシワを寄せ決意を呟く道長。

 

「勝つのは俺だ。そして全ての仮面ライダーをぶっ潰す力を手に入れる」

 

 ――全ての仮面ライダーをぶっ潰す力 吾妻 道長――

 

 ライダーたちはサロンを後にした。

 

 既に市街地は上空を洋城ジャマトが高層ビルを破壊しながら徘徊し、大量のジャマトを地上に降ろしていた。そして地上は大量のジャマトたちが一般市民を次々襲っていて、沢山の犠牲者が出ていた。

 逃げ惑う一般市民をかき分けながらライダーたちは駆けていく。

 まっしぐらにジャマトたちに突進する道長。

 

「スコアの高いジャマトは俺がもらう!」

「俺は人命救助を!」

「勝つにはどっちも大事だよね!」

 

 景和と祢音は人命救助に向かう。ジャマトに襲われるも恐怖やケガで動けなくなっている者も多数居るからだ。

 

「ふん!! はっ! ……とぅえりゃ! ったぁ! はぁああああああ!」

 

 襲い掛かってくるポーンジャマトを次々払いのける道長。気迫も今までで最高潮となっているのか動きもかなり素早い。ジャマトたちが怯んだ隙を見て変身を行う。

 

『 SET 』

「たぁ! 変身!!」

『 ZOMBIE~READY……FIGHT! 』

 

 変身して早々、その手に握られたゾンビブレイカーを振り回すバッファ。優勢かと思ったのも束の間。ポーンジャマトたちが爆散していく隙をついてルークジャマトが触手を伸ばしてきてバッファを縛り上げる。

 

「逃げて!」

 

 景和が襲われている女性をジャマトから守る。

 ポーンジャマトたちから攻撃を受けつつも変身に入る。

 

『 SET 』

「変身!!」

『 NINJA READY……FIGHT! 』

「ぬん! てぃ!!」

 

 そして手にしたニンジャデュアラーで一気に斬りつけるタイクーン。

 

「大丈夫ですか?!」

 

 逃げきれなかった青年を介護する祢音。そこへ新たなポーンジャマトが襲ってきた。いつまでも生身のままでは防ぎきれないと判断した祢音は急ぎ変身に入る。

 

『 SET 』

「へーんしん!!」

『 BEAT READY……FIGHT! 』

 

 いつもより変身時のタメは少なくしたナーゴ。だいぶ焦りが出始めている。だが躊躇している余裕も無いためビートアックスで次々と襲ってくるポーンジャマトたちを殴打していく。

 

「うわぁああああああああああ!!」

 

 ルークジャマトの攻撃に怯むバッファ。

 

「こいつら……パワーアップしてやがる。いっそ本丸を叩くか!」

「マサカ シロヲ ソレハ ムリダ……」

「え……?」

 

 バッファの言葉に反応して喋り出したルークジャマト。

 それはかつてデザイアグランプリに参加した消防士の豪徳寺武(ごうとくじ・たけし)/ 仮面ライダーシローが言っていたものと同じものであった。

 

 ――まさか城を? それは無理だ!――

 




 筆者です。「罰散X」をお送りしました。
 いよいよ罰散も10話目です。まだまだ終わりが見えないぞーw
 いよいよ最終戦ですね(棒)わー、このまま英寿と両さんは復帰できないのか(棒)いや、まぁ、復帰しますよ。当たり前じゃないですか。

 さて更新頻度が上がれば上がるほど後書きも書くネタが無くなってきましたw 今回はあんまし小ネタ入れれなかったですからね。今日はこの辺で締めましょう。

 では無事に書ききれたら明日も17:30更新ですのでよろしくお願いします。

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