仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

41 / 161
「デザイアグランプリ最終戦は洋館ジャマトからの攻撃に防衛しながらスコアを稼ぎます!」
「防衛戦……洋館ジャマト」
「正式名称はラフレシアフォートレスジャマト。フォートレスは英語で要塞とか城塞とかですね」
「ぬぬぬ……ツムリちゃん、スペックも知ってる?」

 神妙な顔で質問した両津。ツムリはデータを調べた。

「身長:224.2メートルで体重:2450.8トンですね」
「ふーむ。向こうと比べて小型か? だとしたら違うのか」
「両津様、何を比べていたんですか?」
「戦艦大和」
「? また何故急に?」
「いやーてっきり”戦艦ジャマト”とか言っているのかと思ってさ」

 両津はかなりのミリタリーマニアだ。


罰散XI:激しい後悔を抱いて

 ――まさか城を? それは無理だ!――

 

「まさかな……」

 

 道長が疑念を抱いて呟いた頃、タイクーンとナーゴはジャマトライダーと対峙していた。

 

『 NINJA STRIKE 』

「てやぁああああああああ!!」

『 ROCK FIRE 』

「…よし!」

 

 ニンジャストライクで縦横無尽に斬りつけるタイクーン。そしてビートアックスのエレメンタドラムを1回タップしてロックファイアを選ぶナーゴ。タイクーンの攻撃の途切れ目を狙ってアックスモードに持ち帰る。

 

「たぁあああああああああ!!」

『 TACTICAL FIRE 』

 

 インプットトリガーを押してタクティカルファイアの炎を浴びせる。タイクーンとの連携を行い優勢に思っていたが、

 

『 JYA!JYA!JYA!STRIKE!』

 

 ジャマトライダーはジャマトバックルのパワーで大量の触手をでの殴打も含めた回し蹴りを繰り出してタイクーンとナーゴをぶっ飛ばした。

 

 蹲る二人にゆっくり近づくジャマトライダー。そして口から妙な事を呟く。

 

「コンナ トコロデ ダツラクスル ワケニハ……」

「! やっぱり……」

 

 先日戦ったジャマトライダーも同じことを呟いた。前回のデザイアグランプリでジャマトに倒され退場した仮面ライダーギンペン、平 孝人(たいら たかひと)が散り際に苦悶の表情で残した言葉。

 だがこうやってタイクーンが躊躇している間に周りではジャマトたちによって一般市民がどんどん傷ついていく。

 

「数が多くて……守り切れない!」

 

 ナーゴが嘆きの声を上げた。

 

「これが……最終戦なのか?」

 

 周りの状況で圧倒的不利を感じたタイクーンも焦燥感に見舞われた。そこへナーゴが更に弱気な言葉を続けていく。

 

「やっぱり……無理なのかも」

「! ……」

「今までアタシたちが生きてこられたのは、命がけで世界を守ってくれる人が居たから……英寿って言う、デザ神が居たから!!」

 

 場所が変わって、英寿と両津はスタジオにて互いの真剣な表情を見つめ合っていた。英寿は両津にデザイアグランプリの事を尋ねている。

 

「すまんな。そのデザイアなんとかって言うのは全く知らん」

「そうか。と言う事は恐らくアンタも……」

「? ワシがどうかしたのか」

「……それは」

 

 英寿がその問いに答えようとした所、スタジオの外で悲鳴が上がった。

 

「おい! なんかヤバいぞ!! 変な奴らが手あたり次第に襲ってい、ぎゃぁあああああああ!!」

 

 入口に戻り注意を促していた男の声が、途中から断末魔の叫びに変わった。

 

「ぎゃぁあああ!!」

「何? 何なの?!」

 

 次々とスタッフに危害が及ぶ。無事なスタッフは逃げ惑う。英寿と両津の目の前に数体のジャマトが現れた。

 

「な、何だよこいつら?!」

「来たな……ジャマトたちめ」

「ジャマト……おい! こいつらは何だ?!」

 

 初めて見る怪物たちに驚く両津。だが正反対に英寿は落ち着いていた。

 

「説明は後だ。皆を逃がす。両津さんも手伝ってくれ!」

「両さんで良い……皆そう呼ぶからな。でもどうやって逃げる?」

「何か奴らの注意を逸らせれれば良いんだが? おや?」

 

 ジャマトたちのうち1体が寿司桶にまだ残っている特上寿司に興味を示した。

 

「クキョ、ラサツームビツロヴァツラサモルクビビコガヅ」

「センラオチャ。ラサラチャテテウ?」

「テテウスジツームラタダラビビトテスガツロキョモルク▲アピスジキョツラチャファ」

 

 沢山のジャマトたちが寿司桶を囲んでいた。その隙に皆を逃がす英寿。

 

「早く逃げて!」

「英寿さん、ワシらも逃げようぜ!」

「英寿で構わない。しかし両さん、アンタの寿司は凄いな。あいつら全員の気を引いてくれた」

「ハハハハ……なんだか複雑な気分だけどな。ところでこれからどうするんだ?」

「逃げながら、ライダーたちを探す」

「ライダー?」

「ああ。世界を守る、仮面ライダーだ」

「そんな奴らが……」

 

 朧げにその言葉にデジャヴューを感じる両津。だが悠長に考えている余裕は無い。何せそこいら中にジャマトがうろついているからだ。二人はスニーキングをしながらジャマトたちに見つからないようにスタジオを飛び出した。外では至る所に黒煙が上がり、未曾有の脅威が始まった事を物語っていた。

 

「何なんだよこれは……?」

「さっき居たアイツら、ジャマトたちが人間を襲っているのさ」

 

 スタジオは高台にあるため、少し周辺を歩くだけで街並みが一望できた。至る所でジャマトたちが人間を襲っている。

 

「早く皆を助けないと!」

「わかっている。だが今の俺たちでは力が無い。だから先にそれを探しに行くんだ!」

「探すって言ってもどうやって?」

「どこかでデカい戦闘が行われているハズだ。先ずはそこに向かう」

「デカい戦闘って言ってもなぁ……。? な、なんじゃあありゃあ?!」

「! どうやら馬鹿と煙は高い所が好きみたいだな」

 

 二人が見つけた遥か先には洋館ジャマトが高層ビル群を破壊しながら漂っていた。建物の形や方角から六本木辺りである事は簡単にわかった。

 

「行こう! 俺たちが求めているものがアソコにある!!」

「えーい、こうなりゃヤケクソだぁああああああ!!」

 

 二人は混乱する街中を走り始めた。

 

 英寿と両津が向かっている場所ではナーゴたちが戦っていた。

 

「英寿って本当に凄かったんだよ!」

「簡単じゃないんだね、世界を守るってのは!」

「うるさい! ギーツなんて居なくたってやれる!! デザ神になるのは、俺だぁ!!」

 

 ナーゴとタイクーンの会話を聞いてバッファが吼えた。なかなか目の前のルークジャマトを倒せず、焦りが見え始めていた。

 

「ねぇ景和。英寿以外でデザ神になれるとしたら誰だと思う?」

「……両さん。俺がなりたいと思っていたけど、やっぱり俺じゃあの人には叶わない!」

「だよね……アタシも!」

「でももうあの人も居ない……」

 

 英寿に次いでデザ神に近いと思われた男、両津勘吉。二人は脳裏に両津の顔がチラついていた。ガサツで大雑把かと思いきや、誰よりも細かく計算高い。家族思いでライバルの筈の他のライダーたちにも暖かく接する男。

 

「クッ……タートルズかよ。あんな奴、あんな奴なんて居なくても!!」

 

 ゾンビブレイカーを振り回し僅かながらもルークジャマトにダメージを負わせるバッファ。だがどれだけ繰り出しても致命傷にはならないため疲労ばかりが蓄積していく。

 

 サロンにて戦い続けるライダーたちをモニターするツムリとギロリ。

 

「ギーツ抜きで世界を守れるのでしょうか?」

「その為に彼らに試練を与え鍛えてきたんだ。やってもらわなければ困る」

 

 ギロリが冷静に言い放つもツムリは現状に不安しか感じなかった。

 

 現状打破の為にドライバーを半回転させるバッファ。

 

『 REVOLVE ON 』

「はぁっ! とぅえりゃあ!」

 

 ゾンビバックルで得られるプロテクターが下半身に展開された。麻里竜二の試合を見ていた事によって今までよりも蹴り技のキレが凄まじくなっている。

 その戦い方を見ていたギロリは戦況から判断した感想を述べる。

 

「やはり次期デザ神はバッファか。順当な所だな」

 

 その言葉に怪訝な表情をするツムリ。彼女の目から見た現状はあまり芳しいものでは無い。確かに確実に成長してきているバッファをギロリは高く評価しているが、ツムリ自身はそれでもまだ実力不足だと感じている。

 その時、洋館ジャマトのラフレシア状に展開している大きな口から強烈な熱線がライダたちに向けて撃ち込まれた。

 

「! うぐっ……うわぁああああああああああ!!」

「! うわぁああああああああ!!」

「きゃぁあああああああああああ!!」

 

 3人は直撃を喰らい吹き飛ばされる。

 

「ぐぅ……ラスボスの、お出ましか!!」

 

 この時バッファの脳裏にはかつてギーツが巨大な城ジャマトにブーストライカーで突入し見事撃退した時の事を思い出す。

 

 ―― 城ってのは内側から崩れるものだ ――

 

「……あの中に入れば!」

『 SET FEVER!』

 

 フィーバーバックルを差し込み、レバーを回して引き当てたのはアームドプロペラ。急ぎ構えて空に浮かび上がるバッファ。

 

「どうやら運が、巡ってきたようだな! はぁっ!!」

 

 何とか洋館ジャマトの館内への侵入を図るバッファ。だがジャマトは無数の巨大な触手を伸ばしてバッファを阻む。熱線、そして触手の波状攻撃を浴びて地面に叩きつけられる。

 

「ぐはぁ……この野郎……」

 

 だがここに予想もしていない人間が2人現れた。

 

「おい、あそこだ!」

「おい、大丈夫か?!」

 

 その姿を見たナーゴとタイクーンが大いに驚く。

 

「英寿?!」

「両さんも……何でここに?」

 

 叩きつけられた衝撃で軽い脳震盪を起こしかけていたバッファはようやく声の主とその傍に居る人物2人に気付く。

 

「ギーツ?! タートルズも……」

「ギーツ? 何の事だ?」

「タートルズって……ワシか?」

「そうか、脱落したから記憶を消されたのか……どけ! お前たちの出る幕は無い!」

 

 そう言い放ち再び立ち向かおうとするバッファ。だがダメージが足にまで及び、もはやマトモに立ち上がる力も残っていない。

 

「ぐぅ! 畜生……畜生!!」

「誰だか知らないが、無理するなよ! 勇気と無謀は違う……」

 

 ―― 勇気と無謀は違う ――

 

 それはかつてデザイアグランプリで英寿が道長に言った言葉だ。

 

「この期に及んで……マウント取る気か?! 今度こそ勝つ、俺が勝つんだ!」

「止せ、馬鹿野郎! どうしてコイツの言う事が聞けないんだ?! ここで引かないと間違いなくお前が死ぬって言ってんだぞ!!」

「! タートルズ……どうして……本当に……アンタって人は」

 

 両津が真剣な表情で叫んだ。その言葉に少しだけ決心が揺らぐバッファ。

 

「命が惜しくないのか?!」

 

 だがタイクーンが叫んだ言葉で自身の誓いを思い出す。

 

「自分の理想のために他人を蹴落とす! そういう奴らが許せなかった!」

 

 かつて親友であった今井透が2人組のライダーたちから暴行を受けバックルを奪われた。さらにジャマトに襲われて消滅したのを目撃したことで全てのライダーを憎悪するようになった。

 

「だから……だから仮面ライダー全員をぶっ潰す力を手に入れるんだ!!」

「関係無い人まで巻き込むなんて逆恨みだよ!!」

 

 ナーゴが反論する。だがその声ももう今の道長には届かない。

 

「黙れ! 俺からすればどいつもこいつも変らないんだよ!!」

 

 洋館ジャマトに向き直り、僅かに残った力を振り絞ったバッファは突進していく。

 

「……うぅううううううううう、うぉりゃぁああああああああああ!!」

 

 だが、力を溜め込んでいた洋館ジャマトは今までで一番強力な熱戦を突進してきたバッファに撃ち込んだ。爆炎の中で強制変身解除される道長。

 

「うぎゃぁあああああああああああああ!!」

「道長ぁ?!」

 

 ナーゴの声も空しく、道長は膝を付きその場に倒れ込む。最早立つ力も残されていないだろう。倒れた道長に駆け寄る英寿と両津。

 

「おい! おい、しっかりしろ!」

「なんで突っ込むんだよ、ちくしょう……」

 

 サロンに居るギロリは倒れたバッファを見て感情を顕にして叫んでいた。

 

「バッファめ……勝ちを急ぎ過ぎだ!!」

 

 英寿に抱えられた道長の呼吸は荒い。果たして手当しても助かるかわからないくらいダメージを与えられていた。

 

「何故だ……俺とお前の何が違う? 何故お前に出来て、俺には出来ない?」

 

 瞳に涙を溜めて悔しそうに英寿に問いかける道長。だが今の英寿にはデザグラの記憶が無いために道長の言っている事が理解できなかった。

 

「?……何の話だ?」

「とぼけるな! お前が言ったんだろ? 負けなければ……いつか勝てる日が来るって!」

「俺が……」

「ぐはぁああああああああ!!」

 

 道長の悲痛な叫びと共にバッファのIDコアにヒビが入る。ドライバーを取り外した道長は英寿に押し付けた。そして英寿はそれを掴み両津に手渡す。

 

「全部嘘だったのか? 俺たちを化かしてただけなのか? もし違うと言うなら、証明して見せろ……お前の言葉を信じさせてみろ!」

 

 身体の至る所が電子分解されるように原型が崩れていく道長。それでもまだ言い足りない事があるらしく、両津の顔を見つめる。

 

「タートルズ……あれだけ言ったのに何で来ちまうんだよ。アンタはライダーになるなって言っただろ? どれだけライダーが憎くても、アンタだけは潰したくなかったのにさ……」

「道長……」

「道長さん……」

 

 

 その言葉に神田明神での言葉の真意をようやく汲み取ったナーゴとタイクーン。彼もまた、両津の魅力に惹かれた1人だったのだ。

 

「こんな事ならアンタの言う通り寿司……奢ってもらっておきゃ、良かったな……」

 

 道長の手をそっと握る両津。その手は今まで触ってきたどの手よりも大きく温かかった。

 

「だったら、今度こそ来いよ道長。待ってるぜ」

「!」

 

 その両津の笑顔にようやく憑き物が落ちたかのように笑顔で返す道長。

 

「あ、ありがとう……両、さん……」

 

 そうして道長は消えていった。

 

『 MISSION FAILED 』

 

 ドライバーから非情にも退場を告げる音声が鳴った。

 

「道長?!」

 

 ナーゴが振り向いた隙にジャマトライダーを押さえていた手が緩み、反撃のチャンスを与えてしまった。

 

『 JYA!JYA!JYA!STRIKE! 』

「きゃぁああああ!!」

「うわぁああああ!!」

 

 その攻撃で吹き飛ばされた祢音と景和は強制変身解除となる。そして倒れている2人に止めを刺そうと新たなジャマトの群れが現れ出した。2人に英寿と両津が駆け寄る。

 

「ここは引くぞ、タイクーン、ナーゴ!! お前らが退場したらゲームオーバーだ! この世界を救えなくなる……」

「英寿、祢音ちゃんは任せた! ワシは景和を連れていく!」

「ああ、急ごう!!」




 筆者です「罰散XI」お送りしました。
 まさかの5500文字。結構書いてしまいました。切り所が難しい辺りでしたからね。書ける所まで書く事が出来て何よりです。読むの大変かも知れませんがお付き合い頂けたら嬉しいです。

 ライダー関係、言いたい事沢山あるのですがそれはまた明日の更新の後書きにしておきます。

 さて今回の小ネタと言うかハイライトはただ一つ。道長の散り際です。
 道長の心残りは本編だとライダー打破ですが、拙作では両さんの寿司にしておこうかなと思いまして。先の話で申し訳ないのですが、今後道長は両さんと距離が縮まる事になります。まだ詳細は明かせませんが確定ですのでどうかよろしくお願いします。ちなみに彼の散り際の言葉は仮面ライダーBLACKのバトルホッパーの散り際に似せました。
 
 では明日も無事に書き上げきれたら17:30更新ですのでよろしくお願いします。

この作品をお読みになっている貴方は

  • 男性
  • 女性
  • どちらとも言えない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。