仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~ 作:唐 十三郎
「ツムリちゃん、今もしかして舌打ちした?」
塩分が濃そうなツムリの態度に恐る恐る尋ねる両津。
「そんな事ありませんよ。お二人に戻ってきて頂けて嬉しいに決まっているじゃないですか~」
「そ、そーお? 何か心の底から嫌そうな顔つきだったからさ~」
「強いて言うなら英寿様です」
「あ……やっぱり」
そう言うと英寿に向き直るツムリ。
「あの姉プレイマニア、記憶を失ってもデザ神の力で家族プレイは続行中だったんですよ? いちいち姉さん姉さんと呼ばれて身の毛がよだつ思いをするこっちの身にもなってください!」
「フ……でもそろそろその嫌な気分も気持ちよくなってきているんだろ?」
「あり得ません!」
「嫌よ嫌よも好きの内」と言うが果たしてツムリの心中はいかに?
サロンへ戻ったライダーたちと英寿、そして両津。待っていたギロリの顔面に両津は渾身の右拳を叩きつける。だがその拳はギロリが左手で受け止めた。両津はギロリに怒鳴りつける。
「なんだよ? 大人しく殴られろよ!」
「断る。それにサロンでの暴力行為は御法度だ。それでもやろうというなら私も尽力するがね」
「御法度が聞いて呆れるけどな! ワシらをハメたクセによ!!」
「……せっかく拾った命を無駄にするなよ、両津勘吉。だいたい、何故君らが此処に居る?」
その問いには英寿が答えた。
「バッファのIDコアを触ったからな……アイツが知っている俺の記憶をな。ゲームマスター!」
その言葉に景和と祢音が驚く。
「ゲームマスター?!」
「ギロリさんが?!」
両津の拳を払ったギロリは吐き捨てるように言い放つ。
「……何処までも悪運の強い男だ」
「ギーツと、それにタートルズのIDコアをくれ」
「君たちは既に脱落した身だ」
英寿の願いを断るギロリ。更に残酷な言葉を続ける。
「仮面ライダーの資格は無い」
その言葉を一笑する英寿。
「フッ……敗者復活しようなんて気は更々無い」
「ならば何故ここに?」
「仮面ライダーが全滅すればジャマーエリア区域が滅ぶ。それはアンタの望みじゃないだろ?」
英寿の言葉には返さず、景和と祢音に指示をするギロリ。
「タイクーン、ナーゴ。君たちのどちらかがゲームをクリアすれば済む話だ」
「……俺には無理ですよ。そもそもジャマトって何なんですか? 退場した人たちと何か関係があるんじゃ?!」
「!」
その言葉に両津の眉間のシワが一層深くなる。両津はジャマト迷宮で遭遇した噺家ジャマトの言葉を思い出した。
―― ひどいよ 両さん ――
両津の顔に曇りが起きていた事に気付かず景和は言葉を続けた。
「こんな迷いの中で、どう戦えっていうんですか?」
「理想の世界を叶えたくないのか?」
淡々と返すギロリにすっかり弱気になっている祢音が答えた。
「叶えたくても、実力が無いんです……今はまだ」
「そうか。よしわかった、ならば君たちの助けになるアイテムを用意しよう」
そう言うとギロリは赤いアイテムボックスを持って来た。その中身を見て景和はため息をするように呟いた。
「ブーストバックル……」
「ギロリ、言った筈だ。俺たち参加者はゲームマスターの駒じゃない。戦うかどうかは自分たちで決める」
英寿がギロリに諭すように語る。英寿を睨みつけギロリは問いかけた。
「ならば何故、君は戦う? 例えラスボスを攻略しても、君はもうデザ神にはなれない。なのに何故?」
「俺の世界を守るためだ」
英寿はそう答えるとギロリの用意したブーストバックルを手に取った。英寿は景和に優しい声で語る。
「このバックルは借りていくぞ」
「え?……」
「この世界は俺に、……いや、俺たちに任せておけ」
「おい、勝手にワシも含めているんじゃねえぞ」
「じゃあ行かないってのか? アンタが大人しく、世界をジャマトたちに好き勝手されて黙って見ていられるのか?」
「ああ?! 誰に言っているんだテメェ! そんな事されて大人しく指くわえて居られるワシだと思ってるのかよ?」
ニヤリと笑う両津。右手の親指を一旦上げて一気に下へ勢い良く降ろす。海外全般では忌み嫌われるジェスチャーだが。その二人のやり取りを見てギロリが笑いだした。
「ハハハハハハ……却下だ! お前たちにはもう、仮面ライダーの資格は無い!!」
「あります」
奥に居たツムリが現れた。黄色いアイテムボックスを2つ持っている。
「浮世英寿様と両津勘吉様には仮面ライダーの資格があります」
「ツムリ、どういう意味だ?」
「彼が一番最初に叶えたからです」
ギロリの問いに真剣な眼差しで答えるツムリ。デザイアカードを見せる。
「”俺が死ぬまでデザイアグランプリに参加できる世界”……と。彼が死なない限り、彼は仮面ライダーギーツです」
皆が驚く中でツムリは1つ目のアイテムボックスを開ける。中にはデザイアドライバーとギーツのIDコアが入っている。
「浮世英寿……まさかこうなる事まで計算に入れていたのか?」
「そうだと言ったら? 更にそれだけじゃないぜ」
「なん……だと?」
ギロリの驚きの声に合わせるように今度はもう一枚のデザイアカードを見せるツムリ。
「”脱落した奴を俺が好きに再び仮面ライダーにする事が出来る世界” これも彼が叶えた願いの1つです。これで両津様は再び仮面ライダーになる事ができます」
そして2つ目のアイテムボックスを開ける。中にはやはりデザイアドライバーとタートルズのIDコアが入っている。
「俺の言葉を信じるか?」
英寿は語る。
★
英寿の部屋には自身のポスターが壁に貼ってある。以前に広告で使われたものでコーヒーカップを構えたポーズで余白にはキャッチコピーが書いてある。
―― 鏡を見ろ。スターの1日はそこから始まる ――
その対面には長手の鏡、姿見が置いてある。その鏡の右上にはメモ書きが貼ってあった。
―― 俺の右に出るものがいたとしたら それは奇跡だ ――
姿見の右手には別のポスターが貼ってある。やはり英寿自身が被写体となっているが、着込んでいる衣装は別のものだ。やはりこちらにもキャッチコピーが書いてあった。
―― スターにも裏がある。君も覗いてみるかい? ――
こちらのポスターは張り付けてあるのは上部だけで、まるで下からわざと捲らせるようにしてあった。下部左手には3センチ程度の折り目がついており、物凄――く小さな文字で「ココダヨ」と手書きで書いてある。そこから一気に捲るとポスターの裏側には文字がびっしりと書き連ねてあった。そこにはこう書いてある。
『記憶を消された俺へ。このメモはくれぐれも家族には秘密に。バレたら何もかも終わる。世界が危機に陥ったら、怪物と戦う戦士を探せ。戦士は動物などの生き物を模したヘルメットを被っているのが特徴だ。戦士たちは怪物たちの中心にいる。気を付けろ、戦士が全て倒されたら世界は終わってしまう。そうなる前に急ぎ戦士に出会うんだ。戦士は腰にドライバーと称された変身ベルトを巻いている。それが戦士の証。”仮面ライダー”それが俺が出会う戦士たちだ。怪物の名は”ジャマト” そいつらは人間を襲う。絶対に見つかるな。怪物にやられてしまうと記憶が戻るチャンスを失う。戦士のドライバーの中心に嵌められたIDコアという円形のパーツに触れ。そうすれば消された記憶を思い出せる。後はツムリからドライバーを受け取れ。ドライバーを受け取れば世界を救う力を取り戻せる。この世界を救え。戦え、”仮面ライダーギーツ”』
★
「やってくれたな……」
苦虫を噛み潰した様な顔をするギロリ。
ここで両津に疑問が生じた。
「あれ? じゃあ何でワシに最初に逢ったんだ? 別にその時は戦っていなかったろ? ワシも記憶失ってたし」
「そう言えば……」
「まさか”お寿司が食べたかった”っていう理由じゃないよね?」
両津の疑念に景和と祢音も反応した。当の英寿は口を閉ざしている。だが少しだけ顔を赤らめていた。
★
ポスター裏のメモ書きには続きがあった。「追記〇月×日」と書いてあるので比較的最近だ。そこにはこうあった。
『先ずは超神田寿司に勤めている両津勘吉と言う警察官に会え。コイツの握る寿司は最高だ。もしそいつが俺と同じく記憶を失っていたら一緒に別の戦士を探せ。例え記憶を失っていても機転は利くし腕っぷしもある大した奴だ。とにかくここの稲荷寿司は早いうちに食っておく事だ。最高の味で……飛ぶぞ』
★
流石にこれを聞いて景和・祢音・そして両津自身は盛大にズッコケた。
「お前マジで稲荷寿司が食いたかっただけじゃねぇか?!」
「……本当に気に入ったんだね」
「……両さんの稲荷寿司が英寿の胃袋を掴んじゃったんだ」
3人の言葉を聞いて若干口調が荒くなる英寿。
「いいじゃないか! 本当に美味かったんだからさ!!」
「確かにあの味ならな……」
「本当に美味しかったですからねぇ~」
土産寿司を食べたギロリも納得せざるを得なかった。ツムリに至っては緊張が解けて笑顔になっている。
「また皆で食べに行こう。今度は父さんもな」
「……何を勝手に」
デザイアドライバーを手にした英寿、そして両津。IDコアを差し込んで変身の準備をする。両津は更にツムリからビッグウィンドファンバックルも受け取った。
『『 ENTRY 』』
「ちょっと行ってくるよ。世界を救いに」
「やれやれ。世界が平和にならなきゃ、こちとら寿司も握れねぇからな!」
2人はギロリに向かってニヤリと笑った。
「じゃあ行くか英寿!」
「ああ、行こうぜ”両さん”」
筆者です。「罰散XII」をお送りしました。
前回の道長に続き、いよいよ英寿にも”両さん”と言わせました。早かった気もします。けどどうしてもこのタイミングで言わせてあげたかったんです。本編視聴勢ならご存じですが、英寿は唯一ライダー変身者たちを、基本的にライダーネームでしか呼んでないんですよね。当人がその場に居なくてもです。最終回はどうなるかわかりませんが。その為、両さんだけは特別扱いをしてあげようとこの二次創作を開始した頃から考えていたのですが、今回ようやくその日を迎えました。そのため、前日更新分に比べ若干短めとなってしまいましたが筆者的には非常に満足しています。その分明日の更新分は更にヒートアップしていきますから是非楽しみにお待ち頂きたい所です。
英寿の部屋のポスター裏のメモ書きは筆者の独自解釈が行われ、且つ暴走させました。両さんを同伴させるきっかけにした訳ですが、もう完全に遊ばせて頂いてます。お気に召せば幸いです。
では前日更新分の後書きで書けなかった事を。
先ずは昨年末に公開された映画「仮面ライダーギーツ×リバイス MOVIEバトルロワイヤル」をようやく視聴出来ました。久々にバイスに会えた!! 相変わらずの楽しいキャラで何よりでした。思えば本編終了後以来だから約1年ぶりです。気が向けば是非両さんと絡ませたいですね! 龍騎メンバーも良かったですね。ただ、萩野さんは完全におじさんになっていましたね……もう50歳ですか。若い頃のヤンチャをまだ続けているおじさんを見ているようで若干切ない気持ちにもなりました。まぁそれでこその浅倉威なのですが、歓楽街とかの片隅で見かけるような何十年経っても若者ファッションに身を包むヤバいおじさんを見るような嫌悪感を少し思い出して複雑な気分です。かと言って落ち着いた浅倉ってのもねぇ……。
そういえばスシローさんとのタイアップをしていたんですね。作中でスシローさんにて寿司を食べている英寿と一輝が出てきて微笑ましかったです。偶然ながらもそのシーンで英寿が言っていた「沢山の寿司を食べられる世界」をまさか筆者がこの作品で叶えつつあるなんて驚きました。やっぱり両さんが引き寄せたんですかねぇ。
では次の話を。
ギーツ本編円盤のオマケ映像で「仮面ライダーギーツ デザイアグランプリ ボーナスステージ」と言うのがあるんですが、今年の冬に発売される『仮面ライダーギーツBlu-rayCOLLECTION3』にて今度は道長が主役の番外編をお送りするという事が決まりまして。その「よろずや⁉ミッチー親方の一日」と言う作品にベロバ役の並木彩華ちゃんも出演が決まって、今から非常に楽しみになりました。PVの出来栄えから既に撮影は終えている様子ですし、ともすればバッファのパワーアップフォームも観れそうな気がしています。バッファの最終フォーム、出来れば皆さんも観たいですよね? そのため、その映像作品を見るまではこの二次創作を続けたいなと欲も出てきました。
改めて言うと、出来ればこの作品はしっかり書き進めて終わらせたいと考えてまして、そのためこの作品だけのオリジナルライダーと言うのもいくつか考えています。
先ずは両さんの専用アイテムを数点と中間強化フォームに最終フォーム。大ハリセンの次に持たせる武器なんかも考えています。
あと、これまた以前から言ってますが纏ちゃんも変身させる予定なのでほぼ彼女用の大バックルと中間強化、そして最終フォームもですね。
更に、先に言うとこち亀側からのライダー変身者は他に2名を選んでいまして元々それで確定でした。それに最近新たに1名を追加しました。この1名が変身するライダーはある意味全ライダーに対し冒涜的とも取れるものなので、登場したら皆さんがどんな反応をして頂けるか今から非常に楽しみです。是非その時は皆さんからのご感想をお願いします。
後書きでここまでの文量を書いたのは久々でしたね。勿論ここは筆者にとって日記みたいなものなので読み飛ばして頂いて全く構いません。大事なのは本文ですから。
では明日も無事に書ききれたら17:30更新ですのでよろしくお願いします。
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