仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「デザイアグランプリ敗者復活戦! 狐と亀をハンティング! 逃げるギーツとタートルズを狩るのはナーゴか、それともタイクーンか?」
「正直気が進まないよね……」
「アタシも……あの2人じゃね」

 すっかり気落ちしている景和と祢音。

「大丈夫です! そんな2人のためにとっておきのアイテムを用意しました!!」
「……新しいバックルとか?」
「またアタシたちに戦えって言うの?」

 ツムリの手がいつの間にか青くなり、ゴムマリみたいな球体になっていた。そしてその手に握られていたのは……

「先ずは対ギーツ用”お~い~な~り~寿~司~”これがあれば間違いなくギーツを釣れます。超神田寿司・擬宝珠檸檬様のオススメの1品です」
「いや、ツムリさん……その、声が。え? お稲荷さん?! いやいくら英寿が食いしん坊だからってそれは流石に……」
「そしてこれは対タートルズ用”か~め~さ~ん~ホ~イ~ホ~イ~”人型なのでエサとしては別のものを用意する必要がありますが、大量のエロ本か現金があれば簡単に釣れます」
「エロ本はイヤだけど、現金かぁ……ちょっとお父様に借りて来る」
「祢音ちゃん?!」

 1時間後、ツムリが用意したアイテムを使ってギーツとタートルズが引っかかるのを待つ2人。

「いや、流石にこれは無理でしょ……」
「あ、釣れた」
「はぁあああああああ?!」

 祢音の言葉に驚く景和。目の前にはお稲荷さんをパクパク食べている英寿、エロ本と現金に釣られてホイホイの粘着床に引っかかっている両津が居た。

「ふっ……こんな美味いお稲荷さんを用意するなんて……やるな、タイクーン!」
「ちっくしょう、祢音ちゃんか?! なんでこんな所にエロ本と現金なんて用意してるんだよ! 汚ぇぞ!!」
「いやアンタら、もっと主人公としての自覚を持てよ!!」

 思わず景和もツッコミを入れる2人であった。


思縁II:だからこそ彼が居る

 サロン中枢部。一部の人間には”デザイア宮殿”と呼ばれている場所にギロリとツムリは居た。モニターに表示されたパンクジャックの敗北を見るなりギロリは怒りを含めた言葉を吐く様に言い放つ。

 

「パンクジャック……最後まで役立たずだったな!!」

「……ライダー同士が戦うなんてルール違反です!」

 

 そのギロリに涙目で糾弾するツムリ。だがギロリも引かない。引くわけがない。

 

「世界を守るためには、ギーツに変わる救世主が必要だ! これは……新たなデザ神を鍛える試練なんだ」

 

「そんな……パンクジャックさんが……」

 

 サロンの別の場所。一般的に休憩所とも呼ばれる場所に居た景和は雨で濡れた身体を拭いていた。後から来た祢音からパンクジャックが敗北した顛末を聞いて、景和の心は激しく揺さぶられていた。

 

「景和はまだ迷っているの?」

 

 祢音からの問いかけに景和は言葉を出せずに居た。

 

「決めたよ……私は私のやり方で戦う。使えるものは何だって使うって決めたの」

 

 祢音の決意の表情を見てもまだ、決心ができない景和であった。

 

 雨が降り続いている。その中を歩いている者が居た。正しくは2人。だが1人は歩いている男に背負われている。先の戦いで傷ついた英寿である。背負って歩いているのは両津だ。

 

「! ……? あれ? 俺は……」

「おー。目が覚めたか」

「両さん……? そうだ! パンクジャックは?! ……いてててて」

「まぁ落ち着けよ。もう少しで着くから」

 

 両津の広い背で目を覚ますも、全身の痛みが酷く考えが纏まらない英寿。両津に言われる通り大人しくした。

 

「アイツは無事かな……?」

「ウィンか? どーかなー……さっき見たら敗北にはなっていた。退場か脱落かまではわからんけどな」

「そうか……」

「あんなに派手な爆発だってのに警察も消防車も、当然救急車だって来やしねぇ。お陰でどっかのバカをワシが背負わなきゃならんくなったってワケだ。感謝しろよ?」

「ありがとう……感謝してるよ」

「? 随分ガラでもない事言うな。頭でも打ったか?」

「……そうかもな。俺らしくない、よな」

「ケッ! いつもの浮世英寿様はどうしたい?」

 

 英寿からの返事が無い。再び眠ってしまった事を悟った両津は歩き続けた。

 ようやく馴染みの風景になってきた。神田二丁目の風景。目指していたのは超神田寿司だ。深夜なので店の灯りは消えている。裏口の擬宝珠家の入り口に回る。引き戸に手をかけるも当然鍵がかかっていたので引き戸を叩いた。

 

「おーい、ワシだー! 遅くなったが帰ったぞー。誰か出てきてくれー!」

 

 両津がそう言ってから数分経った。ようやく誰かが来てくれたらしい。灯りが点いていないままで鍵が開けられた。だが誰も出てこない。不思議に思った両津は一気に引き戸を開けた。

 

「おい、どうした? ! ぐあ!!」

「バケモノめ! 大人しくやられるもんか!」

「おい、皆を呼んで来い!!」

「超神田寿司をナメんじゃないよ!!」

「バカ! ワシだ! 両津勘吉だ!!」

「え? ……勘吉? 皆待って! こいつ勘吉だよ?!」

 

 玄関に入るといきなり棒か何かで何度も殴られる。ヘトヘトになってきて帰ってきている身には精神的にもかなり応える歓迎だった。玄関に居たのは纏をはじめ店の職人たちだ。それぞれが手にホウキやらモップやらの長物を持っていて、うち何名かは包丁まで手にしていた。もし万が一それで攻撃されていたら何かしらの裂傷を与えられたかと思うと両津は少しだけ恐怖する。

 

「ひっでぇなぁ……帰ってきていきなりこれかよ」

「ご、ごめんねー! またあのバケモノが襲ってきたのかと思ったら皆、気がピリピリしてさー」

「また? おい、ジャマトに襲われたのか?! 皆無事か?!」

「う、うん……皆無事。母さんが少し具合が悪くなったけど今は大丈夫。職人も誰一人ケガはしてないから」

「あー、脅かすなよー。て言うかやるじゃんお前ら!」

「当たり前だろ! 俺たちを舐めんなよ、イチロー!」

 

 職人の1人がニヤリと笑って返す。だが纏だけは聞きなれない言葉を繰り返し反芻していた。

 

「ジャマト……ジャマト……ジャマトって言うのかあのバケモノは……」

「おい纏」

「ひゃい?!」

 

 集中し過ぎていた纏は両津の急な呼びかけに驚き素っ頓狂な可愛らしい声を上げる。

 

「何驚いているんだよ? まぁいいや、とにかく誰か手を貸してくれ。怪我人が居るんだ」

「何がまぁいいやなんだよ! え? 今何て? 怪我人?!」

「おう。ここまで担いで来たがワシももう限界だ。誰か手を貸してくれ。玄関前に寝転がしてある」

「おうや、ようやく我が家のノライヌが帰ってきたかい?」

「カンキチ? ……カンキチ――!!」

 

 奥から夏春都と檸檬が現れた。皆が戻って来ないから心配で様子を見に来たらしい。檸檬は両津に飛び込んできた。

 

「おー、良かったなぁ檸檬。ちゃんと皆が守ってくれたんだな」

「うん! 神社で見た変なのが町に沢山現れたけど、皆が守ってくれた!」

「そうかそうか。無事なら何よりだ」

「全く……少しは自分の心配もしたらどうだい? アンタだってボロボロじゃないか」

「うるせぇやい! せっかく無事に帰ってきたのに言う事がそれかよ夏春都……とにかく誰か手を貸してくれ。もうワシも力が入らん」

「フン! 人助けをしてきたのは褒めてやるよ。それで怪我人ってのは誰だい?」

「見りゃわかるよ。手当してやってくれ」

 

 夏春都が玄関先まで出て見ると暗がりの中に確かに誰かが寝転がされているのを見つけた。そしてその人物の顔を見るなり一気に青ざめた。

 

「英寿さん……英寿さんかい?! しっかり! しっかりするんだよ!!」

「止せって夏春都。気を失ってるんだ。今は何処かでゆっくり休ませてやってくれ」

「……!」

 

 一瞬泣き崩れそうなくらいに顔を歪めていた夏春都は気を入れ直していた。

 

「皆、手を貸しな! アタシの部屋に運ぶんだ。纏は先に行ってアタシの布団を敷いておくれ」

「「「はい!」」」

「婆ちゃん、檸檬も何か手伝う!」

「よし。檸檬は湯を沸かしておくれ。少し多めの方が良いね。誰か! 檸檬を手伝っておくれ」

「はい! じゃあ檸檬ちゃん、一緒に行こうか」

「うん!」

 

 仲居の1人が檸檬と一緒に厨房に向かう。

 玄関先に両津と夏春都だけになると夏春都はようやく気を緩めたのか眼鏡を外し涙を拭く。

 

「勘吉……」

「あん?」

「ありがとう……」

「ヘッ! 礼を言われるほどの事じゃねぇよ。それよか英寿の手当を頼むぜ。ワシももう疲れちまってよ……」

 

 そう言うなり両津はその場にへたり込み、下足入れへもたれかかるようにして寝入ってしまった。豪快にイビキまでかいている。

 

「アンタも本当に良く頑張ったね。ありがとう」

 

 その夏春都の感謝の言葉を両津は決して覚えていなかったが、誰かから優しく頭を撫でられた事だけは長く覚えていたという。

 

 襖越しに差し込む陽光で目を覚ます両津。天井の木目から超神田寿司・擬宝珠家の物である事は何となく気がついた。だが普段感じない甘い匂いが鼻をくすぐる。胸の辺りに何かが乗っていて鬱陶しくもあった。何が乗っているのかと頭を少し動かすと、そこには眠っている纏が居た。

 

「うわぁあああああああああ?!」

「な、何?! どうかした?!」

「ん~……纏、カンキチ、うるさい……」

 

 横にはパジャマ姿の檸檬も居る。どうやら両津の横に布団を敷いて眠っていたらしい。

 

「……そうか、ワシは英寿を背負って超神田寿司に戻っていたのか」

「あー……アタシもすっかり眠っちゃってたかぁ。あー……眠い」

 

 纏はどうやら寝ずの看病をしてくれたらしいが、疲れがピークに来て両津に身体を預ける形で眠ってしまったらしい。

 

「いつまでそこに居るんだよ。重いぞ」

「! 誰が重いってんだよ! 」

 

 頬を赤らめた纏がガバっと起き出して両津の胸からどく。Tシャツ姿とは言え胸を押し付けるように眠っていたのだ、今更ながら多少の気恥ずかしさを感じたのだろう。

 

「! そうじゃカンキチ! 怪我は平気かの?!」

「あ? おう……」

 

 檸檬がようやく目を覚まして両津を気遣う。言われた両津は少し首を肩を動かして調子を見てみる。顔から足にかけて擦り傷や裂傷には絆創膏や包帯が施されていてしっかりと手当を受けていた事を物語っていた。

 

「あー……何とか大丈夫だろ。手当ありがとな」

「……あんなに生傷作ってどこで何やってたんだか」

「全くじゃ! 皆、心配したんじゃぞ!」

「……悪ぃ。でもこれは大切な事なんだ。だからもう少しだけ待っていてくれや」

 

 涙目になっている纏と檸檬の頭をそっと撫でる両津。その大きな手は暖かく、愛おしい者たちを決して傷つけないように優しく撫でていた。

 

「何だよいきなり」

「くすぐったいぞ、カンキチ」

 

 鬱陶しい素振りも見せたが、決して嫌な顔をしていない纏と檸檬の2人であった。

 

 洗濯してくれたデザイアグランプリのジャケットに袖を通し、夏春都の部屋に向かう両津。伺いもなく襖を開ける。

 

「おーい、入るぞー!」

「ちったぁ返事くらい待ちな! 全くせっかちだねぇ」

「よう両さん。調子はどうだい?」

 

 手当を受けた英寿も至る所絆創膏や包帯塗れだが、いつもの落ち着きを取り戻していた。




 筆者です。「思縁II」をお送りしました。
 ギーツ本編で言うなら「謀略IR」の中盤、雨の中で逃げた英寿のシーンに当たるわけですが、両さんも居たので2人の逃亡劇にしてみました。

 実を言うとこの話かなり書き込んでしまいまして、若干分割をさせます。キリの良い所まで書きこんでいたらまさかの6500文字越え。頼みますから筆者に30MSイルシャナちゃんを組ませる時間をください。
 
 いよいよガッチャードの放送前日ですね。筆者も非常に楽しみです。令和ライダー5作目。新たなライダーはどんな活躍をするのか。面白い事に仮面ライダ剣(ブレイド)も平成5作目です。両方ともカードの力を使って戦うライダーなんですよ。もしかしたら冬の映画とかでブレイド参戦もあるかもしれませんね。

 最終回感想はしばらく控えます。むしろこのままどんどん書き進めて思い出した時に書くくらいが丁度良くなってきたかなと。やはりこの作品書いている限りはギーツロスはまだまだ来ませんね。皆さまも同じ気持ちを共有出来ていたら幸いです。

 では明日は今残っている分をもう少し書き足してお送りします。このままズンドコ書き進めて、書き溜め分30000文字くらい貯金出来れば幸いですね。
 
 明日も17:30更新ですのでよろしくお願いします。

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