仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~ 作:唐 十三郎
「ちょっと待って?! 勘吉のバカ、よりによって神田明神で戦うの?」
「あら纏様、ごきげんよう。そうですよ、なるべく開けた場所をと私から指示させて頂いたので」
「ちょっとツムリちゃん?! 勘弁してよ~……なんでアタシの思い出の場所でドンパチするのさー……」
頭を抱え込む纏。それも仕方ない。地元民の纏にとって神田明神は特別な思い入れがある場所なのだから。
「それは申し訳ありませんでした。そういえば神田明神に関して面白いものがありまして」
「! ……な、なにかなー?」
思いきり冷や汗をかきだした纏。悪い予感がしてきたらしい。ツムリはスパイダーフォンの画面を操作して一枚の画像を見せた。
「纏様が臨時の巫女さんをやった時の写真です。とっても可愛らしいですよね」
「やっぱりそれか――――!! ツムリちゃん、そんなの消して! マジで消して!!」
「そうですか? とっても可愛らしいですよ?」
「やめてよもー! すっごく恥ずかしかったんだから!!」
「一緒に写っている妹の檸檬様も、ご友人の磯鷲早矢様も、とてもお綺麗で」
「檸檬と早矢はまだいいよ! アタシなんて髪型も整えさせられたし、とにかく辛かったんだから!!」
「消すのは構いませんが……祢音様も持ってますよ、この画像」
「! 何で祢音ちゃんまで?!」
「両津様が面白がってグループチャットに貼っていましたから」
「あーいーつーかー……!」
果たして両津は無事に超神田寿司の敷居を跨げるのであろうか?
両津の先導で英寿は神田明神に至る参道である明神男坂を走る。急勾配の坂道を石段にしたもので成人男子でも駆け足で登り切るならそこそこの体力が必要だ。
「見ろ、英寿! あいつら慣れない坂道でヘバってきてやがる!」
「ほ、本当だ! いや、両さん……俺もまだ病み上がりで身体がズキズキと……」
「なんだよ、天下の浮世英寿様がだらしねぇなぁ! おら、早く走らないと追いつかれちまうぞ!!」
「マジかよ……うーわ、マジできっつぅ……」
汗だくになりながら50メートル弱の急勾配を走り切る両津と英寿。境内に入り、明神会館を横切ると本殿が目前にあった。
その様子をデザイア神殿でモニターしていたギロリは歓喜のあまり笑みで顔を歪ませている。
「猟犬が狐と亀を見つけた」
ただしモニターの向こう、神田明神境内では男坂を登ってフラッフラになった運営ライダーたちが疲れ切って照準もロクに合わせられない状態で両津と英寿にレイズアローやレイズウォーターを撃っていた為あちこちに飛び火して、神田明神境内にある重要な歴史物を次々壊してしまっていたが。
「あーあー。明治天皇御臨幸記念碑や御百度石まで粉々だぁ……バチ当たりな奴らだぜ」
「アンタがここに誘導しなきゃ、アイツらも罰当たりにはならなかったんじゃないか……?」
モニタリングしていたギロリは後ろを振り向く。
「君も覚悟が出来たようだね」
背後に居た景和にそう声をかけるギロリ。
「はい……」
一晩じっくりと考えた景和は己の心と向き合い、ようやく決心をしたらしい。
境内を逃げ続ける両津と英寿。そして強烈な気配に気づくと正門である隨神門の上に景和が立っていた。景和に向かって英寿が声をかけた。
「よう! 狩人さん」
「へぇ……なんだか良い顔する様になったじゃねぇか、景和!」
両津も景和の真っすぐな眼差しを見つめて声をかけた。
「英寿……両さん……2人には色々助けてもらったし、感謝してるよ! けど……俺にも叶えたい世界がある……」
その言葉をしっかりと胸に受け止め、ゆっくりと返す英寿と両津。
「タイクーン、お前は間違っちゃいない……」
「ああ。お前の願いはお前だけのモンだからな!!」
そして3人はそれぞれレイズバックルを構え覚悟を決めて、自らのドライバーに差し込んでいく。
『『『 SET 』』』
「……変身」
「変身!」
「変身っ!!」
『『 GREAT! RAISING SWORD 』』
『 BIG WIND FAN 』
『『『 READY……FIGHT 』』』
ギーツはコマンドツインバックルでレイジングフォームへ。タートルズはビッグウィンドファンフォームへ。
そしてタイクーンもギロリから渡されたコマンドツインバックルでレイジングフォームに変身する。
「景和も英寿と同じくギンギラかよ……」
「油断するなよ両さん。タイクーンは……強い!」
「うぁあああああああああああああああああ!!」
隨神門の上から飛び降りてギーツに斬りかかるタイクーン。その刃をギーツは自身が振るうレイジングソードで受け止めたが、続けざまタイクーンの猛攻が攻めてきた。
「たあああああああああああああああああ!!」
「お前は強くなったよ……だがな!」
隙が出来たタイクーンの脇腹に回し蹴りをするギーツ。タイクーンの勢いがそのまま自らに跳ね返る。
「ぐあぁあああああああああ!!」
「まだまだ甘い!」
ギーツの蹴りで吹き飛ばされたタイクーンの先にはタートルズが待ち構えていた。
「全くだ、そんなんじゃワシらは……何だと?!」
「! でぇえええええええええい!!」
飛ばされつつも態勢を整えたタイクーンはそのままタートルズに突進する。体重が乗ったレイジングソードを大ハリセンで受け止めたタートルズは冷や汗をかいていた。
「あっぶね……やるじゃねぇか景和!!」
「……両さんみたいには、まだまだ出来ないけどね!」
半歩後ろに引いたタイクーンは上段からレイジングソードを振り下ろす。その攻撃は危険だと悟ったタートルズは大きく身を翻して躱す。境内の石床に大穴が開いて石つぶてが破片となってタートルズの身にいくつも当たっていく。
「いててて! こんにゃろう!!」
「はっ!」
「こっちか!」
「たぁ!」
タートルズの渾身の力を込めた大ハリセンが、やはり境内の石床に幾つもの大穴を開けていく。走力なら今の時点で一番早いタイクーンはタートルズの攻撃を避けて行って隙を見ては攻撃を繰り返す。だがそこへギーツも猛攻を仕掛けてきた。
「てぇりゃああああああああ!」
「! 英寿!!」
「っく! 危なかった……」
身の危険を悟ったタイクーンは急ぎ数メートル後ろに引いた。
「全く……もしかして両さん、遊んでる?」
「バカ言え! ……でも景和の成長が嬉しかったのは事実だな」
「だろうな。アンタはそういう人だよ」
ギーツの問いに笑顔で答えるタートルズ。だが状況が悪くなってきた。
『 FULL CHARGE TWIN SET 』
タイクーンのレイジングソードのゲージが満タンになったため、レイジングソードに備えられたキャノンバックルのロックが解けたのである。タイクーンは急ぎドライバーの右スロットに差し込んだ。レバーアクションを行いコマンドフォームキャノンモードになる。
『 TAKE OFF COMPLETE JET AND CANNON READY……FIGHT! 』
「行くよ、英寿……え?」
「さて、こっちもモタモタしてられない……なっ!」
「ぐはっ! てめぇ英寿! 何しやがる?!」
「ちょっと英寿? 何してんのさ?!」
突然レイジングソードでタートルズを斬りつけるギーツ。
「ふむ。まだ足りないか。はっ!」
「お、おい! やめろ! 何するだ――?!」
「え……嘘……まさか?」
タートルズの制止の声も聞かず何度も斬りつける英寿。不意打ちも含めて連続攻撃を喰らったタートルズはとうとう立てなくなり、その場に崩れた。
「よし、溜まったか」
『 FULL CHARGE 』
「お、お前……ワシを斬ってエネルギー溜めやがったか」
「遊んでいた罰だ。しばらくそこで寝ていろ。……俺が終わらせてやるから」
『 TWIN SET 』
ギーツはロックが解けたキャノンバックルを左スロットに差し込んだ。レバーアクションを行い、コマンドフォームジェットモードになる。
『 TAKE OFF COMPLETE JET AND CANNON READY……FIGHT! 』
目の前で起きた寄行にすっかり呆れるタイクーン。
「味方を斬ってゲージ溜めるとか反則過ぎでしょ……でも、いいの? 両さんの補助無しでさ」
「今更敵の心配か? いつもながらやっぱりタイクーンはお人好しだな」
気絶する両津を見る2人。
「それに2対1だとフェアじゃないだろ?」
「全く……どっちがお人好しなんだか! たぁああああああああ!!」
両肩のトロンキャノンから何発もの砲撃を行うタイクーン。だがギーツはジェットモードの推進力でこれを難無くかわす。境内の狛犬を蹴り飛ばしてそのままタイクーンに向けて石つぶての攻撃を行うギーツ。
「ぐはぁああああああああああああ!!」
そのまま地面に転がされたタイクーンは本殿の上に乗ったギーツを見上げて弱々しく呟いた。
「やっぱり……強い」
そしてそれに応えるかのようにタイクーンに言い放つ英寿。
「お前も本当に強くなったな……でも、俺の勝ちだ!!」
ギーツとタイクーンが激突している最中に国道17号の神田明神鳥居から随神門へ歩いてくる男が居た。ギロリである。
「ギーツとタートルズが生き残る結末は存在しない……」
筆者です。「思縁V」をお送りします。
さて、神田明神がメッチャクチャになる回です。纏ちゃんと檸檬ちゃんの思い出の地を荒らす罰当たりな回と言えばそれまでなのですが、公式HPや周辺地図を見ながら英寿と両さん、そして景和を動かすのは凄く楽しいです。
次回かその次にでもここでもっととんでもない事が起きますのでお楽しみに。そういえばまだ新しいライダーが出てきていませんね。つまりそう言う事です。
近況だと最近になってようやくこち亀の単行本を集め出しています。個人的には195巻の檸檬ちゃんの表紙と、196巻の纏ちゃんの表紙、そして197巻のマリアちゃんの表紙が気に入ってます。皆さんのオキニの単行本表紙も感想で教えて頂ければ嬉しいです。
では明日も無事に書ききれましたら17:30更新ですのでよろしくお願いします。
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