仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「デザイアグランプリ敗者復活戦! とうとうギロリが本性を剥き出しにしてきました。果たして皆さまは倒す事ができるのでしょうか?」
「ツムリ……貴様一体どっちの味方だ?」
「あら来てたんですかギロリ」
「来て悪いか?! 私だってこの作品に出ているんだぞ。前書きに来てはいけない道理があると言うのかね?」

 恫喝を交え主張するギロリ。だが対するツムリは涼しい顔で接している。

「どうでも良いですけど、こちらに溜まっているグラスを片付けて頂けますか?」
「グラス……な、何だこれは?」

 サロンのカウンターに備わっているシンクには大量のグラスが置かれている。

「皆さまがここで食事をしても誰も片付けないんですよ。貴方コンシェルジュでもあるんですからさっさと片付けてください」
「全くだらしない……これだからライダーと言うものは……」

 そう言いつつもしっかりとグラスを洗い始めたギロリ。几帳面な性格だと言う事を物語っている。

「はぁ……これで最後か」
「まだありますよ?」
「は?」

 ツムリがデザイア神殿に連れて行くとそこには様々な食器の破片や袋菓子のゴミなどが散乱していた。

「なんだこれはー?!」
「昨日ここのモニターを使ってカラオケ大会が開かれたんですよ」

 持ち込まれたカラオケ機器を操作すると一番歌われていたのはツムリの持ち歌「デザイア神殿にようこそ」らしいが。

「わかった……これは私への挑戦だな! 大掃除だ! 徹底的に掃除をするぞ」
「はーい頑張ってください」

 気の無い声で返事をするツムリ。とても応援する態度には見えないが。



思縁VII:だからこそ彼が居る

 ギーツとタイクーンに突進してきたグレア。グレアの重い拳が二人を襲う。それを見て祢音もバックルを手に取り急ぎ変身した。

 

「変身! はぁあああああああああああ!!」

「おっと……こりゃ楽しくなってきたなぁ!! てやぁああああああああ!!」

 

 少し距離が離れていたタートルズも突進してきた。だがグレアの硬い装甲は生半可な攻撃ではダメージを与えられない。

 暴走するギロリを見てゲームプロデューサーことニラムは呟いた。

 

「己のコントロールが効かなくなるとは……彼らとの接触が原因か」

 

 ギーツ・タイクーン・ナーゴ・そしてタートルズ。それぞれが武器を手に取りグレアに4方向から突進する。

 

「はぁあああああああああああ!!」

「うぉおおおおおおおおおおお!!」

「たああああああああああああ!!」

「でぇやぁあああああああああ!!」

 

 ギーツとタイクーンはレイジングソードを。ナーゴはビートアックスを。タートルズはビッグウィンドファンを。

 だがグレアは全身に配置された円形の器官”デフレクトピット”から電磁偏向シールド”サークルデフレクター”を展開した。ただでさえ硬い防御力が更に高められてしまった。

 

「ぬおおおおおおおおおおおお……はぁっ!!」

「「「「ぐはあああああああああああ!!」」」」

 

 更にヒュプノレイを分離させビームを射出して4人を攻撃する。その飛び火はとうとう神田明神本殿にまで至り、美しい外観を誇るその佇まいのあちこちに大きな穴が開いていく。

 

「ばっかやろう! これ以上暴れるんじゃねぇえええええ!!」

「クッ! スペックが段違いだな……」

「弱音を吐かないの! 退場するのはアイツなんだから!!」

「! そうだね、祢音ちゃんの言う通りだ!!」

 

 ナーゴはビートアックスのボディ中央のレバーを動かして、アーミングプレイの様な音色を出した。

 

『 ROCK FIRE TACTICAL FIRE 』

 

 ギーツとタイクーンもレイジングソードのボタンを押してレイズチャージを行う。

 

『『 RAISE CHARGE 』』

 

 それを見たタートルズはこっそりギーツに耳打ちした。

 

「おう英寿、ちょっと思いついたんだけどよ」

「? ……まーた面白い事考えたなぁ。わかった!」

『 TACTICAL RAISING 』

「じゃあ両さんもよろしく頼むぜ」

「あいよー! じゃあ景和と祢音ちゃん、後はよろしくなー」

 

 ギーツがジェットモードの推進力で宙に上がるとタートルズは唐突に明後日の方向に走り去った。

 

「ちょっと、両さん?!」

「全く……絶対悪だくみでしょ、アレ……」

 

 景和が驚き祢音が呆れた。

 

『 TACTICAL RAISING 』

「考えても仕方ないや、行くよ祢音ちゃん!」

「うん! 行こう景和!!」

 

 それぞれ武器を構えて再び突進するタイクーンとナーゴ。それぞれの武器に蓄えられた特大級のエネルギーがグレアを抑え込む。

 

「ぐ……ぁあああああああああああ!!」

「てぇぁあ……あああああああああ!!」

「こ……これしきの事で、私を……何?!」

 

 気付いた時には遅かった。神田明神本殿の上空、その少し上まで飛び上がったギーツは既に突進を仕掛けている。ライダーキックの体勢を構えたギーツは溜めていた特大級のエネルギーをそのままグレアへの突進力に変換した。

 

『 COMMAND TWIN VICTORY 』

「たぁああああああああああああああああ!!」

 

 全身に水色のエネルギーを纏ったギーツは特大級のライダーキックを放つ。グレアを押さえていたタイクーンとナーゴも絶妙なタイミングで躱す。

 

「ぐぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 そのまま方角としては南東、先ほど木端微塵となった随神門があった辺りへ吹っ飛ばされていくグレアだが、彼の最悪はまだ続いていた。

 そう、そこにはタートルズが待ち構えていたのである。

 

「1番、バッター両津くん。背番号4……」

『 TYPHOON CHARGE 』

 

 やる気の無いウグイス嬢の真似で野球の実況中継の様な事を言い始めたタートルズ。

 ビッグウィンドファンバックルのレバーを動かし、初代ライダーの変身ベルト中央部に備えられていた風車”タイフーン”の意匠をしている風車が超高速で回転し緑と白のオーラが集まってくる。

 

「あれは……タートルズ? 一体何を……?」

 

 最早成す術も無く吹き飛ばされるままのグレアは、その刹那にタートルズの姿を見るもこの後の不幸は予想していなかった。

 

「英寿選手の投げた魔球ギロリが飛び込んできた。果たして両津選手、これを打つのか? それとも見送りか?」

『 TYPHOON FINISH 』

 

 急にテンションを変え、さながら実況アナウンサーの様な口調になる。そしてバックルで作られたエネルギーは手にした大ハリセン、ビッグウィンドファンに集まる。ハリセンをおおきく振りかぶって絶妙のタイミングを捉える。

 

「! まさか……まさかまさかまさかまさかまさか? やめろぉおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 ギロリのその絶叫が正しく両津にとって最高のタイミングを取る呼び水になるなんてとても思わなかっただろう。

 

「ここ……だぁあああああああああああああああああ!!」

「ぷぉぎゃあぁあああああああああああああああああ!!」

 

 ”打ち返した” 正しくこの言葉のままだろう。

 タートルズはギーツが吹っ飛ばしたグレアを大ハリセンで打ち返したのである。

 

「打った――――!! これは大きい、大きいぞー! 両津選手が打ち返した打球はそのまま真っすぐ飛んでいって……入ったぁあああああああああああ!! ホ――ムラン!!見事神田明神本殿を吹き飛ばしましたぁああああああ!!」

 

 テンションの高いタートルズの実況そのままで、哀れホームランとなったグレアことギロリは打ち返された勢いで神田明神本殿を粉々に吹き飛ばしたのである。大きな火柱が起こり、その場にこれまた大きなクレーターが出来た。

 

「やったな、両さん!」

「おう! あたぼうよ!!」

「これがやりたかったの……?」

「呆れた……ギロリで野球ゴッコって……」

「「ウェーイ!!」」

 

 ゆっくり舞い降りてきたギーツにハイタッチするタートルズ。そのまま呆れていたタイクーンとナーゴにも強要してきた。

 

「ほら、景和も! 祢音ちゃんも!!」

「う、うぇーい」

「……ウェーイ」

「ノリ悪ぃなぁ2人ともよぉ!」

「! おい両さん……喜ぶのはまだ早いみたいだぞ」

 

 クレーターの中央、そこにはまだグレアが立っていた。どうやらサークルデフレクターを幾重にも展開して最悪の事態だけは回避していたらしい。

 

「はぁ……! はぁ……! あ、危なかった……今のは危なかったぞ、お前らぁあああああああ!!」

 

 仁王立ちで禍々しいオーラを噴き出しながら皆を恫喝するグレア。タートルズもこれには驚いていた。

 

「あっちゃあ……あれだけやってもどうやら仕留め損ねたみてぇだな……」

「ど、どうしよう……? 俺たちもう戦う力なんて」

「流石に……無理、かな?」

「……万事休す。ここに来てハイライトとはな」

 

 皆が諦めかけていたその時、ニラムが目の前に立っていた。

 

「これ以上、大切なプレイヤーに傷をつけられては困る」

 

 その言葉と同時に英寿の様に右手でフィンガースナップ、指鳴らしをした。

 その時である。遠くから自動車のエンジン音が近付いていた。

 

「あの音は……まさか!」

「自動車……だよね?」

「バカな! ジャマーエリアの中だぞ?!」

「! そうだよ。まだゲーム終了になってないよね?!」

 

 昨晩の洋館ジャマト戦から一夜明けたが、まだゲームは継続中。すなわちジャマーウォールは健在であり、ジャマーエリアは解除されていない。生き残っている一般人も恐怖から車やバイクでの移動は殆ど行っていない。そう、現時点で自動車を動かせるのはデザイアグランプリの参加者か運営の人間に限るのである。

 

「しかもあの音は……間違いねぇ! フェラーリF40のエンジン音だ!!」

「F40……たしか、凄い高い車って……」

「あー……お父様の知り合いで持ってる人が確か居たかも」

「F40……日本に59台しか入らなかった車だな」

 

 かなり遠くの場所から走行している筈だがその爆音がこの神田明神まで聞こえているのは現在周囲に全く自動車やバイクが走っていないため、余計な騒音が無いからだろう。

 

「ちょっと待って? って事はあの車って何キロで走っているのさ?!」

「恐らく最高時速だろうな……」

「F40の最高時速……300キロかよ」

 

 その爆音がどんどん近付いて来た。どうやら国道17号をドリフトでカーブしたらしくアスファルトがタイヤを切りつける音が派手に聞こえた。随神門があった辺りでようやくブレーキを踏んだらしいが、境内の石畳の上でドリフトを行いタイヤゴムが派手に熱で溶ける匂いを巻き散らしながらその車が現れた。

 

「な、なんだコイツは?!」

 

 タートルズがヘルメットの下で目を見開く。それも仕方ない。原型こそF40であっただろうが、その車は外観からかなり手が加えられていたからだ。

 

「これが、F40?」

「いや、違うな。俺が知っているF40じゃない」

「うん……これ別物だよ」

「F40をここまでいじるバカなんて……」

 

 両津の脳裏に浮かぶその人物はたった1人だけだった。だがもしその当人だとしてもここまでの改造をするだろうかと言う疑問もあった。

 現れた車は車体の色こそ赤だが、縦に白のラインが太く描かれ、タイヤも純正品とは違うものが履かれている。特に目を引くのは大きく取り付けられたリアウィングだ。両側面にタイヤが付いているそれは一見無駄としか思えない風体をしていた。だが、だがもしそれが、使用する事を前提で取り付けられていたとしたら……? そんな事を両津が考えていたら、運転をしていた人間が左ドアを開けて降りてきた。

 

「お待たせしました」

「まぁ良いとしよう。しかし少し時間がかかったね」

 

 ニラムが質問した男、この酔狂な改造F40を運転していた人物は謝罪の言葉と共に現れた。その人物はニラムと共に時折とある場所でデザイアグランプリを鑑賞していた黒いスーツを着たサングラスの男であった。少しパーマがかかった長い金髪が風で揺れる。サングラス越しでも美青年と言う事がわかる甘い顔立ちをしていた。

 

「申し訳ありません。試運転も兼ねて竹芝から来ました」

「君も本当に物好きだね。とうとうあんなマシンまで用意したのか……」

 

 2人のやり取りを見ていたタートルズ、両津は呆れながらも呟く。

 

「マジで最高速度で来やがったか……あんな馬鹿げたウィングまで付けてそれって事は、中身もかなりいじってるな」

「……そうなの?」

「ああ。あんなの付けたら速度は確実に落ちるからな」

 

 車に疎いナーゴ、祢音が訊ねる。その問いに両津はタイヤ付きリアウィングを指差して説明した。

 

「では仰っていた通りにアレの排除で良いですね」

「うん。まぁ適当に頼むよ」

 

 ニラムの言葉が聞こえたグレア、ギロリはその言葉に怒り心頭となる。

 

「適当だと……そんな奴に何が出来ると言うのだ!!」

「出来るか出来ないかは貴方が決める事ではありませんよ」

 

 その言葉を返すと共にその男の手にはヴィジョンドライバーと似たものが握られていた。

 

『 IMITATION DRIVER 』

 

 ドライバー本体から音声が鳴る。ヴィジョンドライバーの音声に比べたら幾分か壮年の落ち着きが感じられる声に聞こえた。その音声が発せられると黒衣の男の腰に装着される。

 指ぬきグローブが嵌めらている右手の親指をドライバー上部に乗せた。

 

『 APOLLO, LOG IN 』

 

 待機音が鳴り続ける間に本来ヴィジョンリーダーがあるべき場所に備えられた突起物を捻る。F40と同じエンジン音が周囲に響き渡る。

 

「変身……」

 

 変身シークエンスこそグレアに似ているが、グレアと異なり赤い球体が現れる。それは間違いなく炎。太陽の輝きだ。各所に展開された疑似太陽はその炎の揺らめきを意匠として残しプロテクターに変わる。ドライバーのパネルにも変化があった。まるでカイゼル髭に似ている点滅が固定されていた。

 

『全く、あれほど言ったのに君もワガママだネー!』

「すいません。だが今回ばかりは僕も我慢が効かなくて」

『仕方ないネー。わかっていると思うけど、この力は3分間だけだヨー。無茶はしないよーにネー!』

 

 どうやらベルトが発している言葉と会話しているらしく、その声に聞き覚えのある皆が反応する。

 

「あれって両さんの……」

「インチキバックルの音声?」

「でもあれって普通に会話してる、よね?」

 

 そしてそのシニカルかつ陽気な声の主を最も知っているであろう両津は頭を抱えながら渋い顔をしていた。

 

「やっぱりアイツだったか……インチキ教授め」




 筆者です。「思縁VII」をお送りしました。
 久々に集中したのか今回は5000文字越え。まぁこれも新しい仮面ライダーをいち早くお届けしたかったのが強いですね。本来でしたら両さんのホームランまででも良かったのですがw
 
 さて、先ずは新たな仮面ライダー、アポロを登場させました。仮面ライダーXのアポロガイストの威光が強いのか、ギリシャ神の名前のライダーって居ないんですよね。お陰で即採用とした次第です。多分他所の二次創作辺りではありそうですが。
予想はされていた読者様も多いと思われますが、黒衣の男が変身します。イケメンが仮面ライダーになるのって当たり前ではありますが彼が変身するとシャレになりません。なので制限時間を付けました。
 かいつまみ触れるならイミテーションドライバーは2種類の音声になっていまして、一つ目は変身シークエンスと必殺技に1人、ナビゲーションAIでもう1人。
 変身シークエンス等の方は安定の宮本充さんをイメージしています。ナビAIは松山鷹志さん、声質的に似ている方で土師孝也さんでも良いかもしれませんね。

 とりま両さんは気付いてしまいましたが、まだ本文で正体は明かしません。そのうち書きますけどね。

 仮面ライダーアポロに関して今の時点で書けるのはここまでにしておきます。

 さて明日も無事に書ききれば17:30更新ですのでよろしくお願いします。ギロリは明日の朝日を拝めるのか?

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