仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~ 作:唐 十三郎
「全く……色々勿体ぶりやがって、おう来い!!」
両津が黒衣の男の襟首を掴んで現れた。
「な、何をする!」
「”何をする”じゃねえよ。そのグラサンも取って皆に挨拶するんだ……よっと」
「ちょ、ちょっと! 返してくださいよ――!」
黒衣の男のサングラスを素早く取る両津。慌てた黒衣の男は目元を手で隠すも激しく動揺していた。
「もー! まだ僕の正体をここで明かす訳にはいかないんですからね! 早く返してください! 返せってんだよ、この角刈り!!」
「うるせー!! どうせ遅かれ早かれ読者さんにはバレるんだから、とっとと明かせってんだ。それにお前、怒りが露わになってワシの事まで角刈り呼びになってんぞ?」
「しまった! ……返しなさい。返しなさいってば。もー、返せよ角刈り――!!」
関係無いが、こち亀でも角刈り呼びは終盤期の呼び方なのでアニメなどでは出てないよね。
「舐めるな貴様ぁあああああああ!!」
「どちらがです? 貴方は僕の大切なものを傷つけた。これはその罰です」
ヒュプノレイを展開してそれぞれからビームを何発も射出するグレア。だがアポロも同じく赤いヒュプノレイを展開してサークルデフレクターで防ぎきる。
「! やるじゃないか……」
「その攻撃は無駄ですよ。そして僕にはこういう事も出来る」
ドライバーの突起部分。アドバンスドイグニッションを捻りエンジン音を響かせたアポロはグレアに突進する。
「! このパンチは?!」
「パンチだけではありませんよ」
「?! ぐはぁ!!」
腕部と脚部から炎を噴き出して徒手空拳を次々繰り出すアポロ。それを見ていたギーツたちはただただ驚くだけだ。
「あの攻撃って……」
「ああ、ブーストバックルと同じだ」
「でもブーストバックル使ってないよね?」
「だな。イミテーションつってたろ? 模造品ってとこだな」
吹っ飛ばされたグレアはフラフラと立ち上がるも限界が来ているのか足がガクついている。それでも最後の力を振り絞り、ヒュプノレイを胸部を中心に集め出した。
「1点集中……流石にこれは防げまい」
手にしたプロビデンスカードを2度スキャンするグレア。
『 SHUT DOWN 』
「最早チリも残さん! 喰らえぇええええええええ!!」
高出力のビームを撃とうとしたその時、アポロはアドバンスドイグニッションを捻り叫ぶ。
「来い、プライドロン!!」
改造F40ことマシン名”プライドロン”のヘッドライトが2回点灯し、アポロの目前へエンジン音を響かせて爆走してきた。
「なんだと?!」
「さて、お前の強度を僕に見せてくれ。プライドロン!」
グレアの集束ビームがプライドロンに撃ち込まれた。恐らくコマンドツインビクトリーの数倍もの威力であろうその攻撃を真正面で受けているが、特に何も影響は出ていない。
「どんだけいじってるんだよ、あのF40?!」
両津が驚愕していた。
「バ……バカな? あの攻撃で無傷だと?」
グレア、ギロリも驚愕している。
『なかなかの強度だネー! ワタシも鼻が高くなるヨー!』
「ええ、ありがとうございます教授。予想以上の出来栄えです!」
『エッヘン! でもそろそろ決めないとマズいヨー。残り時間もあと僅かだネー』
「おっと……では決めるとしましょう。教授、お願いします」
『シフトカーとタイヤ交換システムが間に合えばもっと凄いんだがネー。まぁ仕方ないよネ。では行くヨー! ヒッサーツ……スッピ――ド!!』
ドライバーのナビAIが叫ぶとプライドロンのタイヤが次々と射出された。その数、前輪と後輪合わせて4つ。射出されたタイヤたちはグレアに次々襲い掛かる。
「! グハ! な…何だと?! こんな、バカな?!」
その様子を見ていたタートルズこと両津も呆れかえる。
「いやー、ホントに馬鹿な攻撃だ」
「ねぇ両さん、あのライダー何なの?!」
「……狂った自動車マニア2人が酔っぱらって意気投合して悪ノリでとんでもない事思いついたんだろ」
「自動車マニアって怖いなぁ……」
「いや、その言い方は誤解を招くからやめろー!」
そしていつの間にか新しいタイヤを履いているプライドロンが周囲をぐるぐると回り始めた。
「はぁあああああああああああ!!」
タイミングを測るかのようにアポロも腰を少し落とす。その挙動に気付いたタートルズは急ぎ皆に注意を促し叫ぶ。
「! マズい! 皆、離れろ! 巻き込まれるぞ!!」
「「「?!」」」
射出されていた4つのタイヤの攻撃で弾かれたグレアがプライドロンの回転の中央に飛ばされてきた。ギーツ・タイクーン・ナーゴの3人は急ぎジャンプでプライドロンの回る外に飛び出す。だが注意を促したタートルズは出遅れてしまった。
「たぁああああああああああああああああ!!」
「ぐあぁあああああああああ!!」
「なんでワシまで――――?!」
超高速で周りを走るプライドロンを壁に中央の存在へ幾度も蹴りを浴びせるアポロ。グレアだけの筈がタートルズにも攻撃をしていく。
「だぁ! てぇや! でぇい! とぉ! せぇ! どぅえりゃ!」
「ぐは! ぶへ! ぐが! ぶほ! げふ! ぐはぁ!」
「いで! あだ! ぐひ! にゃ! ぐえ! ぎゃん!」
無事にプライドロンの外へ逃げ出した3人はその執拗な必殺技を見て恐怖する。
「凄い……」
「執念深い技だな……思いついた人間の性格が垣間見える様だ……」
「あちゃ――……両さんまで巻き込まれちゃったねぇ」
青ざめている3人を他所に、アポロはフィニッシュキックを決める。
「せいやぁああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「ぐはぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「だぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
その猛スピードの連続キックの遠心力を止める為に着地時に足のグリップを行うとブレーキ音が鳴ったアポロ。さながら愛車、プライドロンのブレーキ音と酷似していた。
「やりましたね……」
『ああ見事だったヨ! だが良いのかい? ゴリラくんも巻き込んでいたヨ?』
「え? ああ――――?」
後ろを振り返ると倒れているグレアだけではなく、猛攻撃で強制解除された両津もボロボロになって倒れていた。急ぎ変身解除して駆け寄る。
「だ、大丈夫ですか――?」
「……だ、大丈夫なわけねぇだろ、コンチクショウ」
『相変わらず丈夫だネェ……』
グレアも両津の傍で倒れていた。だがそれでもまだ立ち上がろうとする。
「まだ……だ。まだ、私は……私は……」
「うん。とは言え君はここまでだ」
「! ニ……ニラム?」
いつの間にかニラムが現れ、スッっと手をかざすとグレアの変身が解けてギロリの姿になっていた。
「! 待て……待ってくれ! ジャマトは今も成長し続けている。私が仕切らないでアイツらとどう対抗すると言うんだ?!」
「貴方の代わりはいくらでもいる」
「!」
身体がどんどん崩れてきて苦痛に歪むギロリの言葉に対して笑顔で返すニラム。その笑みは傍から見ると不気味にも感じられた。その返事に絶望へと叩きこまれ膝をつくギロリ。
「私は……私は何のために……」
「おい」
その目に涙を溜めて悔しさを吐露するギロリ。だがそこに声をかける者が居た。両津である。
「何かね……? 私への文句か?」
「違ぇよ。もしワシが願いを叶えて、お前の役目も無くなったら」
「?」
「店に食べに来い。まだちゃんと食べに来てなかったろ?」
「! ……全く、君と言う男は。それが倒しに来た相手に言う言葉かね? ……ありがとう」
その言葉を残して笑顔でギロリは消えた。身に付けていたヴィジョンドライバーを残して。
そのヴィジョンドライバーを手に取ったニラムは笑顔で振り返り、ライダーたちに礼を言う。
「ありがとうございました皆さん。では……ごきげんよう!」
そう言うとプライドロンの右ドアを開けてそのまま座席に乗り込む。
「では僕もこれで」
「待てよ」
イミテーションドライバーを取り外したアポロこと黒衣の男もプライドロンの左ドアを開けて言葉少なに立ち去ろうとした。だが、両津が声をかける。
「何か?」
「……またな」
「……ええ」
愛僧も無く返事をした黒衣の男はドアを閉めてプライドロンを走らせた。だが両津は彼の返事だけで満足したらしく、その笑顔は爽やかなものだった。変身解除した景和が声をかける。
「ねぇ両さん、あのライダーって知り合いなの?」
「まぁ、たぶんな……」
「? 何か引っかかる言い方だね」
「っせぇなぁ。と言うか景和! 良くもワシを騙しやがったな!!」
「全くだ!」
変身解除した英寿も笑顔で割って入ってきた。
「まさか俺まで巻き込んで化かすとはな」
「化かすのは狐だけじゃない。狸だってやるときはやるんだよ!」
「猫もねん♪」
変身解除した祢音も混ざってくる。景和と祢音の2人を見て両津が悔しそうな顔になる。
「お前ら見事に騙してくれたもんなぁ……景和は完全に演じてたし、祢音ちゃんがこのシナリオ書いたって……つくづく狸も猫も恐ろしいぜ」
「でも亀さんの頑丈さがなきゃ、ここまで上手くはいかなかったよ。ありがとう、両さん」
「よ! 流石だね~亀は万年!!」
「そりゃ長生きって言われてるだけだ。頑丈さの話じゃねぇぞ」
ひとしきり笑っていたが、景和は英寿に改めて声をかける。
「英寿、君の願いを見たよ」
「……下らないだろ?」
「そんな事無いよ」
――俺がDGPのスタッフになっている世界 浮世英寿――
「俺にはよくわからないけど、きっと君がお母さんに逢う為に必要な願いなんだろ?」
「! 何故それを知っている?」
今まで英寿がこの願いを言ったのは祢音・両津・ウィン。この3人だけだ。景和にはまだ言っていなかった。そこへ祢音が謝罪の言葉を告げた。
「ごめん! 私が話しちゃった……」
「だからさ、次は正々堂々勝負しようよ」
「ふ……それはどうかな?」
「え?」
「おい、聞き捨てならねぇな。どういう事だ英寿?」
その言葉に驚く景和と両津。
「ヤラセが発覚したんだ。今回のデザイアグランプリはデザ神無しで打ち切りだろ」
「「「ええ――?!」」」
「打ち切り? じゃあ俺たちどうなるの?」
「おめでとうございます!」
皆の前に突然ツムリが現れた。
「皆さまには、優先参加の権利が与えられます。今日からも、貴方たちは仮面ライダーです!」
笑顔のツムリに連れられてデザイア神殿に向かう面々。そこで改めてツムリから説明される。
「デザイアグランプリは単に世界を救うゲームではありません」
「え?」
「……どういう事?」
ツムリの言葉に疑問が起きる祢音。そして質問する景和。
「そもそも世界を救うのにゲームである必要は無い。つまり、デザイアグランプリの正体は」
「そうです。世界を救うエンターテインメント……ようこそ、”リアリティライダーショー デザイアグランプリ”へ!!」
言わせねえよといった態度で英寿の言葉を打ち消して告げるツムリ。その手を上げると無数の目玉のような機械が現れた。どうやらカメラの様なものらしい。無数の機械が現れたと共に多くの声援が聞こえてきた。
――おおー、無敗の浮世英寿だ!――
――ツムリちゃんマジで可愛いなー!!――
――あれが桜井景和? 聞いてたよりもパッとしねえな――
――出たー両津勘吉! 引っ込めこの原始人!!――
「何……これ?」
「見られていた? 今までずっと?」
「おい、随分無礼な事言っているヤツがいるぞ」
「大勢のオーディエンスが注目しています!」
ツムリのその言葉が全てを物語っていた。デザイアグランプリは常に中継されていて、無数の視聴者が存在していたリアリティショーだったのだ。
とある空間にてニラムがその様子を見ていた。傍には女性秘書のサマス。それに鞍馬光聖。更には黒衣の男も居た。壁面の装丁こそネオンアートとなっていてあまりの派手さに目が痛くなるほどだが、テーブルやソファー等の調度品は一級品で揃えられている応接間だ。VIPルームと呼ばれているらしい。光聖が呟いた。
「これからも楽しませてもらう。次元を超越した、君たちが生み出す世界を」
用意されたコーヒーカップに口を付けて隣に居た黒衣の男にも声をかける。
「しかし驚いたよ。君までこのショーに出資していたとはね。中川さん」
「……色々とご縁がありましてね。僕としても非常に楽しみですよ」
中川と呼ばれた黒衣の男はサングラスを取り外して会釈をした。黒衣の男は両津の後輩で無二の親友とも言える男、中川圭一だった。
サマスはニラムに耳打ちする。
「スポンサーが期待されていますよ」
「ああ……デザイアグランプリ、新シリーズの幕開けだ!!」
別のVIPルームではとある青年が1人、同じくこの様子を見ていた。裾の長いジャケットを身に纏い、程よく整えられていた髪には青と白のメッシュが入っている。その育ちの良さが伺える顔つきに笑みを浮かべて呟いた。
「見逃さないよ……君たちの生きざまも、死にざまも」
DGPルール「デザイアグランプリはスポンサーとオーディエンスに愛される(ある意味かなり傍迷惑な)リアリティライダーショーである」
筆者です。思縁IRをお送りしました。
はい、ようやく書けました。仮面ライダーアポロの正体は中川くんです。いやー、今日まで長かった。実は中川くんを仮面ライダーにする案は随分前から決めていまして。ギーツにとってのジーンが居るなら両さんにとってのその存在は?と考えたら間違いなく彼でした。デザイアグランプリのスポンサーでもあります。
ジーンもようやく出せました。福くんの笑みを今後どう文章にしていくか、それも楽しみの1つであります。ケケラやキューン、ベロバもですね。チラミや冴さん、そして大智くん! 冴さんも大智くんもようこそこち亀ギーツへ。貴方たちも本編のままで居られると思うなかれ。特に冴さん、貴女は速攻でキャラ崩壊させます。
ご感想いつも皆さまありがとうございます。この作品を続けていける原動力になっています。かつてオリジナル書いていた時と比べてここまで毎日ご感想頂けるなんて思ってもいなかったので本当にありがたい限りです。お陰で新たな発想を見出すアイデアの元にもなっています。これからもどうか御贔屓にお願い致します。
さて、一応言っておきますが「思縁」はあと1話だけ続きます。このシリーズを始めた時の後書きにも書きましたが「オリジナルライダーを2人出します」と。1人は中川くんが変身した仮面ライダーアポロですね。ではもう1人は? 答えは明日の更新で明らかになります。
では明日も17:30更新ですのでよろしくお願いします。ようやく書き溜め分が出来てきたぞー!!w
この作品をお読みになっている貴方は
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どちらとも言えない