仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「普段は葛飾区亀有公園前派出所で勤務している両津勘吉様。昨日のデザグラ1回戦から明けて本日は本業の警察官として勤務中。同僚で又従妹の擬宝珠纏様と今日も楽しく過ごされているようですが、今日は果たして一日無事に過ごせるのでしょうか」
「いや、ツムリさん。俺も出てきたんですけど」

 景和を無視してお茶をすするツムリであった。


変攻II:愛僧渦巻く迷宮の脱出ゲーム

 両津と纏は昼下がりの亀有をパトロールしていた。こうして二人が見回っている限り亀有の町は今日も平和そのものに思えた。挨拶を返してくれた老婆の微笑みが暖かい。新しいメニューを出したから食っていけと誘ってきたラーメン屋の大将の笑顔が輝いている。二人が熱々だと冷やかす主婦たちは今日も元気だ。

 

「とても物騒な事件が起きているようには思えないね」

「だろ? 考えすぎなんだよ。もっと気楽にいこうぜ。お、纏! あの店、冷やし中華始めたってよ! どんだけ気が早いんだよ。まだ梅雨にもなってないぜ」

「ほんと、勘吉って呑気だねぇ……。あれ? 何か連絡が来ている」

 

 纏は署から送られていたメールに目を通した。その書いてある内容に大いに驚く。

 

「なにこれ……?」

「どしたー?」

 

 怪訝そうな顔をしている纏に声をかける勘吉。纏は画面を見せる。

 

「原因不明の路線バス失踪。本日葛飾区にて公営バスが定刻にバス停通過をしていない為に調査した所、現在消息不明。誘拐事件に発展する可能性あり。所轄及び警視庁全体で捜索を開始する。バスの特徴及び車種の情報は貼付ファイルを確認する事。また乗客は交通系電子マネーの記録から最低でも4名。乗客の詳細情報については急ぎ調査中。追って連絡する。――何だと?!」

「勘吉! 事件だよ!!」

「まぁ焦るな。添付された情報を見てから行動だ。とりあえずバスが視界に入ったら必ず確認だ。特に止まっているヤツな」

「……うん!」

 

 両津の的確な指示に高揚した纏は少し気持ちを落ち着けた。こういう所は流石長年の経験が生きる。ダメ警官と日頃言われている彼でも、ここ一番は頼りになるなと纏は感心していた。

 

「後は、大きな車両が普通に停車できる古い工場や開発地域の周辺。大きな道路の路肩も見落としがちだ。バスが停車していても違和感は無いからな」

「そうか。普段居てもおかしくないからね」

「そういう事。部長たちに連絡してパトロールコースを少し変えよう」

 

 そう言うと両津はスマホで派出所に連絡しようとした。だが急に呼び出し音が鳴り響く。

 

「あれ? 鳴ってるよ?」

「いや、こっちじゃない。……って事は、こっちか――」

 

 両津はデザグラ参加者が全員手渡される特殊デバイス「スパイダーフォン」を取り出した。急ぎ通話呼び出しに出る。

 

「はいこちら両津。なにーデザグラ?! 今からか?!!」

 

 今朝、派出所の外で両津がボヤいていた単語「デザグラ」が聞こえて、纏の眉がピクりと動く。慌てた両津は纏に指示を出す。

 

「よ、良し! 纏、お前は亀有駅東交差点へ行ってから国道318号を北上してパトロールだ! ワシは環七南通りまで行ってそこから318号を南に下る! 後で落ち合おう!!」

「う、うん!」

「よし、後でな――! うぉおおおおおおおおおお――!!」

「ちょっと待ってよ勘吉! あぁ――、もうあんな所まで行っちゃった」

 

 両津の行動が気になった纏は意を決して後を追う事にした。早く追いつくために一度派出所へ戻って自転車を借りる事にする。派出所を出た纏は北上して、両津が来ている筈の環七南通りに辿り着いた。辺りをキョロキョロ見渡すと、両津が先ほどと変わらない速度で走り続けていた。

 

「勘吉? パトロールじゃないのかよ?! 一体どこに向かっているんだ?」

 

 適度な距離を取りながら両津を尾行する纏。中川4丁目の交差点に辿り着いたが、両津は南に向かわず横断歩道を渡っていく。

 

「あれ? あっちは足立区で管轄外だぞ?」

 

 そして北上していく両津。反対車線で自転車を走らせるわけにもいかないため、自転車を置いて駆け足で急ぎ追いかける纏。両津はレストランを横切ると、その先にある古いマンションへ向かった。

 

「あんな所に一体何が?」

 

 息を切らせながら走り続ける纏。両津の背中が見えるもマンション管理人室近くの扉の中に入っていった。

 恐る恐るその扉を開ける纏。だがそこには、

 

「物置? おーい勘吉――居るかー?」

 

 だが返事は無い。

 

「あのー何か御用で、お巡りさん?」

「ひゃい?!」

 

 素っ頓狂な声を上げて後ろを振り返ると中年男性が立っていた。どうやらこのマンションの管理人らしい。

 

「い、いや、こちらの地域に不審者が居ると通報を受けてパトロール中です! 失礼しました!!」

 

 とっさの出まかせを言って誤魔化す纏。もう一度物置内を見渡して誰も居ない事に落胆し場所を後にした。トボトボと寂しそうに歩きパトロールに戻る。

 

「どこ行っちゃったんだよ、アイツ……」

 

 

  ☆

 

 

 デザグラのサロン。両津以外のライダーたちは皆集まっていた。そこにようやく両津が現れる。

 

「わりーわりー。すっかり遅くなっちまった」

「遅ぇよ、両さん! 早く来ないと退場になっちまうぜ♪」

「うるせぇ! こっちは仕事で忙しいんだよ!!」

 

 遅れてきた事に嫌味たっぷりで声をかけるウィン。それに対してしかめっ面で応える両津。全員集まった事を確認しツムリが口を開く。

 

「ジャマーエリアが現れました。皆さん、直ぐにミッションに挑んでもらいます」

 

 空中投影されたモニターには建物の見取り図らしきものが映っている。

 

「今度は何のゲームだ?」

 

 と、道長。

 

「腰に優しいやつで頼むよ」

 

 と、一徹は腰をさすりながら言う。

 

「いや、そんなの無いだろう」

 

 と、一徹に肩を回してニヤけるウィン。

 皆の態度に構わずツムリは説明を続ける。

 

「第2回戦の舞台は、こちらです!」

 

 ツムリが右手を斜めに上げるとサロンの様子が変わる。突如天井と壁が無くなり青空が見渡せた。しかも周りは雲海だ。今この場所は天空遥か高くにあるのだろうか? そして皆の足元の床が無くなった。

 

「え?」

「おい?!」

「マジか……?」

「何だと――?!」

「ほえっ?」

「――ふん」

 

 そしてツムリもこの展開は予想していなかったらしく口を開けて驚く。

 

「え?」

「「「「「「ぎゃああああああああああああああ!!」」」」」」

 

 腕組みをして冷静沈着な英寿以外全員の絶叫が地上に向かって落ちていく。

 気が付くと彼らは何も無かったかのように広い場所に居た。周りの景色から察するに何処かの庭園らしい。何も無かったと言うのはウソだ。ただ一人だけ庭園の床にめり込んで人型の大きな穴を開けていた。両津勘吉である。

 

「い、いてててて…… 死ぬかと思った」

 

 目立った擦り傷1つも無く、両津は穴から起き上がった。どうやら打ち身くらいはあるみたいだが。

 

「かなりの高さから落ちたと思ったが、何でこんな深さの穴くらいで済んでいるんだ? いや、それでもここまでの穴を開けるくらいの衝撃ならもう既にくたばっていてもおかしくないのに……」

 

 道長は両津がその身で開けた穴を見てブツブツ言い始めた。彼は内装関係の仕事らしく恐らく得意分野では無いが、建築作業員の仕事で培われた見識を使って見てもこの状態はおかしいようだ。道長は両津に声をかける。

 

「なあアンタ、ここまで地面に大きな穴開けてなんで生きてるんだよ?」

「知るか――! 少しはワシの身を心配しろ――――!」

 

 両津が怒鳴る。正論だ。

 

 一徹がツムリに質問する。

 

「あの……ここは?」

「ジャマトが作った異空間のようです」

 

 その質問にツムリが返す。

 皆が怪訝そうに周りを見ていく。庭園はどうやら目の前にそびえ立つ大きな城のような建物の敷地内らしい。ここで両津がとんでもない事を言った。

 

「そうか、群馬か」

「「「「「「おい!」」」」」」

 

 これにはツムリまでもがツッコミを入れた。そのツッコミに素で返す両津。

 

「いやだってあの城みてぇな建物があるって事は、ここ群馬だろ? ほら、テーマパークのロ〇クハート城?」

「いやだからね、そういう特定の地域名や建物名はこういう作品では作中あまり言わないもんなの! ここはジャマトが作った異空間! オーケー?」

「知らねぇよ。だいたい何でなんだよ?!」

 

 かなりメタで危険な事を説明し始めるウィン。素で返す両津は本当に事情がわからないらしい。

 

「あーもー! これだからクロスオーバーの人は危ねぇんだ! こっちの世界観ぶちこわしだよ!!」

「知るか!」

 

 有名な地域や建物名がガンガン出てくるこち亀という作品ならではの態度である。うーん、ある意味迷惑。ちなみに特撮の場合、OPかEDのテロップに「撮影協力」という項目で実際の施設名が記載されている。興味のある人は調べてみるのも一興かもしれない。

 そんなやり取りをしていると祢音が英寿に近づき呼びかけた。

 

「ねねねね! あそこ!」

「こいつは奇遇だな……」

 

 祢音と英寿が見ている先には奈落に飲まれたバスの乗客たちと運転手が居た。そう、桜井景和が居る。その姿を見て両津が呟く。

 

「アイツは、前回参加者の桜井景和か? なんだってこんな所に居るんだ?」




 筆者です「変攻II」をお送りしました。
 今回もギーツ本編から改変、こち亀の世界観も含めオリジナル要素マシマシとなっています。お愉しみ頂けていますでしょうか?

 では今回の小ネタも。

擬宝珠纏と電子機器・・・今回の執筆途中まで気が付きませんでしたが、こち亀本編だと纏ちゃん、IT機器の類に全く詳しくなかったみたいですね。夏春都ばあちゃんがiPhone 3Gを使用している時に第1世代の携帯も完璧には使いこなせなかった超アナログ少女だったようです。両さんのお陰でスマホにもすっかり慣れたみたいですが。そのため、拙作での纏ちゃんはごく普通にスマホもタブも使いこなせる設定にしています。良くも悪くも両さんは運命の人だったのかもしれませんね(だいたい秋本先生のせい)

両さんの開けた大穴とミッチー・・・所詮両さんはマンガ・アニメの世界のキャラなんだよなぁって所をコミカルに書いてみたつもりです。またミッチーもそういう所変に真面目なので、こういう質問とか言いそうかなと思ってw

両さんのメタ発言・・・ご存じの方も多いと思われますが、こち亀って実際の建物や地域、企業名や商品名をバンバン出しているんですよ。あれは一体どこまで許されているんでしょうね? そんなマンガの主人公が特撮の世界に来たらまーこーなりそーだなと、Twitterとかで皆さまが考えられているネタをそのまま書いてみました。

では明日夕方17:30に次の話が更新されますのでよろしくお願いします。

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