仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~ 作:唐 十三郎
「フッ……今度こそ浮世英寿の不敗神話は終わる。終わらせるのはこの僕だ!」
眼鏡をクイッと上げて不敵な笑みを浮かべる大智。
「と、まぁイキっている大智様ですが」
「おい! ……なんか君も性格変わったかな、ツムリ?」
「平常運転です。と言うよりここだと羽根を伸ばせますので」
「リラックスしている?! これは興味深いね……」
「さて、ここで読者様からリクエストが来ておりまして」
「唐突だね。それで何かな?」
「では大智様にはクイズに答えて頂きます!」
用意されたセットに大智を連れて行くツムリ。
「クイズ王の僕に挑戦とはなかなか面白い趣向だね。良いだろう、何でも来たまえ!」
「ではこちらの骨格標本をご覧ください」
そう言うとツムリは骨格標本にかかっていた布をめくって中身を見せた。
「おや? 変わったものを持って来たね」
「流石大智様、人目で見抜くなんて流石です。ではこの骨格標本について説明をお願いします!」
「はぁ……簡単すぎじゃないか? この足の形、肋骨の特徴……そして何より脳の容積の少なさ。これは現代人のものじゃない。遥か太古の猿人の標本だ!!」
確信を持って答えた大智。ツムリが複雑な表情をする。
「残念ながら不正解です……これは現代人のものと言われています」
「は……? 何……だと?」
「ではこの骨格の持ち主に来て頂きましょう?」
「嘘?! 居るの?!!」
「……ワシだよ」
両津が複雑な表情で現れた。
「はぁあああああ?! ウソを言うな!!」
「いや、マジだって」
「だってこんなに脳の容積が少ないんだぞ! あり得ないだろ!!」
大智は骨格標本の頭部をペシペシ叩く。
「気軽にワシの頭部をペシペシ叩いてるんじゃねぇ!!」
「ウソだ! こんな事があるなんて?!!」
コミックス54巻参照。両津勘吉は骨格から規格外。
ジャマーガーデンにて。アルキメデルの計らいで用意された1室のベッドの上で目を覚ます道長。朝日が目に眩しい。改めて室内を見るもベッドと机、クローゼットがあるだけの殺風景な部屋だ。幸いながらコンセントは備えられているため、無傷で持ってこれたスパイダーフォンの充電は行えた。電波は繋がっているみたいだが通話は試していない。洗濯されたデザグラユニフォームに袖を通して部屋を出ようとする。だがドア前にはアルキメデルが居た。
「うわ?! 居、居たのか? いや、居たんですか?」
「そろそろ目を覚ます頃かと思ってね。朝食にしないか?」
「あ、はい……ありがとうございます」
廊下を歩き、温室を2つばかり通り抜けると別の温室にテーブルと朝食が用意してあった。コンソメスープ・サラダ・ハムエッグ・そして焼き立てのパンだ。
「1日の始まりはしっかりした朝食だ。さぁ食べよう。いただきます」
「……頂きます」
テーブルには塩としょう油、そしてソースが入った小瓶が用意されている。黙々と食べていくアルキメデルと道長。そこへメイドジャマトが現れ2人分のコーヒーを用意してくれた。
「あ、ありがとう……」
「うん。今朝の食事も実に美味い。コックにお礼を伝えておいてくれ」
「ジャ! ジャジャ~♪」
その言葉に嬉しそうに返したメイドジャマトは空いた食器を片付けて何処かに行った。コーヒーを啜る道長はその味の良さに心奪われそうになりつつもアルキメデルに質問をする。
「あの……一体アンタたちは何を?」
「ふむ。キミもここを見てわかってるんだろう?」
「ジャマトを育て……デザイアグランプリに送り込んでいる」
「正しいが完全じゃないね。……理想の世界を叶えることさ」
「理想の……世界?」
「さて、それを飲んだら手伝ってくれ。何せ君みたいに建築に詳しい者が少なくてねぇ。図面とか見る事ができるのは助かるよ」
「あ、はい! それで今日は何処を?」
「5番の温室だ。配水管と空調が以前から良く無くてね。あと、壁面にヒビも入っている。必要なものがあったら言ってくれ。揃えるから」
「はい。宜しくお願いします、場長!」
「本当に助かるよ。こういう事は知識だけ持ち合わせても中々……経験が大事だからね」
「そうっすね。俺の親方もそれ良く言ってます」
「知識だけではダメなんだ。うん。遠い昔、あの人に言われた言葉を今更思い知るなんてねぇ……」
「遠い昔……?」
道長は早速アルキメデルと共に目的の温室に向かった。
景和と沙羅が暮らす部屋にて。沙羅が景和からの電話を取って通話していた。
「珍しいねぇ。アンタがお泊りなんて」
「ちょっと友達ん家に。しばらく帰れないかも」
景和の傍にはツムリが居た。友人の家と言うのはウソだ。景和はデザグラのサロンを出た廊下で沙羅に電話していた。万が一景和がデザグラの事を伝えてしまわないか、ツムリが監視していた。
「まさか彼女?!」
「! ……」
一瞬本当の事を言いかけるも目前のツムリが腕を思いきり交差して『✖』のジェスチャーをしていた。ぐっと堪えて返事をする。
「いや、そんなんじゃなくて」
「そんなワケないよねー♪」
食い気味に沙羅が否定する。我が姉ながらこういう所は有難いが若干悲しくもなる景和であった。
「……そー言う事なんで、戸締りは忘れないようにね」
サロン内に戻る景和とツムリ。大智が何やら厚い本を読みふけっていた。後ろを付いて来るツムリにボヤく景和。
「だからぁ、そんなに監視しなくてもデザグラの事は喋らないって」
「そうかも知れませんが、一応仕事ですので」
景和の言葉にキリっとした態度で返すツムリ。その姿勢に呆れつつも景和は深々と頭を下げる。
「あ……お疲れ様です」
ツムリは無言で頭を下げて景和の言葉に返した。ため息を吐きながらソファに腰をかける景和。ふと気になった事を質問した。
「! そういえば、デザグラって何処で放送してるの? ネットでもやってないみたいだし……」
「はい! テレビでもネットでも見られません」
「? じゃあ皆はいったいどうやって……うわぁあああ?!」
突然座っていたソファが下から持ち上げられ、宙返りをさせられた景和。背中から落ちてしまい見事にダメージを負う。
「いった……! 何?!」
振り返るとそこには冴と祢音が居た。
「このラインから先は男子禁制! 立ち入ったらタダじゃすまないよ!」
「すまないよ!」
良く見るとサロンの床に赤いガムテープで線が引かれている。男子側女子側と区分分けされていた。
「もうすんでないし……あれ?」
その言葉に改めてサロンを見渡してみる景和。大部分が他のライダーたちの住居スペースとして仕切られていて、残っているのは僅かだった。
具体的に言うと、女子側には簡易的な鉄骨で仕切りカーテンまで施されている。ラインギリギリまでゆったりと場所取りをされていた。男子側は大智がキャンプ用のテントを持ち込みそれとは別に専用チェアも用意している。アウトドアの趣味でもあるのだろうか? カウンターは会議室とかで使われるキャスター付きのパーテーションで仕切られてギーツのライダークレストが書かれた張り紙がされている。英寿のスペースとして取られたらしい。更にカラーコーンと危険地帯用ビニールテープで仕切られた場所はタートルズのクレストが書かれた紙を貼っている。両津が確保してあるのだろう。祢音の場所として確保された場所のカーテンをめくり中を見る景和。
「あ? あれ?! そんな……」
「! 男子禁制っ!!」
怒った祢音が景和を掴み床に叩きつける。
「俺の場所もう無いじゃん! 英寿ぅ……ちょっと場所分けてぇ!!」
「居ないよ」
思わず英寿に助けを求めるも大智が声をかける。
「……運営側と秘密のミッションの打ち合わせ。だったりして」
「英寿がデザスターだって疑ってるの?」
「まぁねぇ」
大智の軽口に冴が質問した。隠す気も無く返事をする大智。
「ええ? なんでなんでなんで?!」
祢音も疑問の声を口にする。そしてそこにフィンガースナップから返す大智。パチンと指を鳴らして言葉を続ける。
「何故ギーツは”ハイライト”と言うキメ台詞を多用していたのか? んん? 正解は……”デザグラがショーだと言う事を知っていた”から」
「……言われてみれば、確かに。知ってる風だった!」
大智の言葉に景和が喰いつく。確かに今までの英寿の態度は何か隠しているフシが多かった。そして大智は口元に笑みを浮かべている。
「狐はだますのが、お手の物だからね」
その頃の英寿はVIPルームの1室に招かれていた。ソファに腰かけていた青年が英寿に声をかけた。
「どうも! 呼び出して済まなかったねぇ英寿君。直接会えるなんて感動だよ! まさかゲームマスターに牙を剥くなんて本当に凄い。君は俺を飽きさせない」
嬉しさで言葉を次々送るその青年は整った髪の一部に青と白のメッシュが入っていて、裾の長い黒いジャケットを着込んでいた。屈託の無い笑顔で英寿を出迎える。
「ずいぶん馴れ馴れしいな。誰だアンタは?」
「ああ、ごめんごめん! 一人で盛り上がっちゃって。俺はジーン、君のサポーターだ!」
青年は立ち上がり自身の名を告げた。
「この間のジェットバックルは気に入ってくれたかな?」
右手を差し出し握手を求めるジーン。
「ゲームマスターのヤラセが無ければ君に黒星が付く事も無かった。ギーツの不敗神話、これからも楽しませてもらうよ」
「フッ……好きにしろ」
そう言うと英寿はその手を握った。そしてジーンはその握った手を一気に引いて、英寿を胸元に引き寄せる。
「早く知れると良いね。君が何者で、君が生きている意味が何なのかを……」
その言葉に英寿の心は揺さぶられ、眉間に深いシワが刻まれる。
「まぁ立ち話も何だから座りなよ。ドリンクを用意しよう」
「じゃあせっかくだ。御馳走になるかな」
ジーンの勧めに応じた英寿。だが彼はこの事が大きな過ちだと数分後思い知る事になる。
筆者です。「照裏III」をお送りしました。
さて、ジャマーガーデンでの道長とアルキメデルのやり取りがテレビ本編とだいぶ異なっています。あくまで筆者目線での展開です。解釈不一致だと思われる方も多いと思われますが、申し訳ありません。ここからの彼らは筆者のシュミです。今後もこういった独自解釈が増えますのでご容赦頂ければ幸いです。嫌な方は回れ右でお願いします。
ジーンがようやく英寿と直接会いました。こちらはだいたいは本編準拠ですが、やはり良からぬ事が起きます。それについてはまた今後明かされますのでどうかお待ちください。
さて今回、筆がノリにノリまくって7000文字弱となりましたので流石に分割させて頂きました。どうか筆者に余裕をください(弱気)
前書きの小芝居は本当に読者様から頂きました御意見を取り込ませて頂いてます。54巻で両さんが人間ドックに行った折、骨格からして人間離れしていたと発覚する話です。大智君もここまでだとは予想つかなかったみたいですなw
では明日も17:30更新ですのでよろしくお願いいたします。
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