仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「リアリティライダーショー、デザイアグランプリ! さぁ皆さま頑張って……両津様?」
「おう?」
「何か今日はいつもよりも気が抜けてらっしゃるような」
「そっとしておいてやれ」
「英寿様……」

 いつになく元気が無い両津の様子に皆が心配がっている。

「ねぇ英寿……両さんどうしたの?」
「うん……推しの競争馬が今日亡くなったそうだ」
「そうか、あの馬は両さんが懇意にしていたんだな……」

 そう頷いた大智は両津の傍に近付く。

「カワカミプリンセス……キングヘイローとタカノセクレタリーの娘だね」
「ああ。良い娘だったぜ」

 生前のカワカミプリンセスの活躍したレースの動画を見ながら微笑む両津。

「両さん、今夜は飲もう!」
「珍しいな、大智から誘うなんてよ」
「フッ……僕だって誘う事くらいするよ。それに今日はアンタの話を沢山聞きたいからね」
「俺も!」
「俺もだ」
「アタシも!」
「……アタシも」
「私もご一緒します」
「あーもー! 仕方ないわねー。今日はデザグラはお休みでいーわよー! 適当に歴代デザグラハイライト総集編でも流して濁しましょ」

 チラミまで今日ばかりは大目に見るようだ。

「皆が見送ってくれるってよ。じゃあなお姫様。あの世でも好きなだけ走ってこい!」

 2023年9月11日カワカミプリンセス永眠。天国でのびのび過ごしてください。どうか安らかに。
 


照裏IV:見抜くモノと見抜かれるモノ

 サロンにてライダーたちは私服に着替えてくつろいでいた。景和はネルシャツにジーンズ。祢音は白のスウェット。冴はジャージ。大智は整ったYシャツにジーンズ。個々人の趣味が現れている。景和・祢音・冴は男女境界線上に置かれたテーブルを囲んでトランプでババ抜きをしていて、大智は読書を続けていた。ジョーカーを引いて若干凹んだ景和は質問をした。

 

「それで、デザイアカードには何て書いたの、皆?」

「そんなの貴方には関係無いでしょ」

 

 冴は即答で塩な態度を取る。

 

「いや、デザスターが誰か見抜く手がかりになるかもしれないでしょ? ちなみに俺は……」

「”退場した人たちが蘇った世界”……だろ?」

「え?」

 

 読書をしていた大智が本を閉じて景和が続けようとした言葉を当てた。更に祢音を見て言葉を続ける。

 

「……”本当の愛”」

「なんでわかったの?」

「ちょっとした推理さ」

 

 大智は祢音の問いに右のコメカミを人差し指で軽く小突いて笑顔で返した。ジャマト戦との景和の発言。開幕セレモニーの祢音の態度。二人の発言や行動を観察した上で導いた答えは見事に的中していた。

 

「ちょっとした行動で人間の考えている事なんて、見えてくるものさ」

「なんか凄い……アタマ良いんだね」

「君たちは特に単純で、わかりやす過ぎなんだよ」

 

 テーブルに置かれたトランプの捨て札を眺めている大智。恐らくジョーカーの持ち主も見抜いているのだろう。そして冴を見つめて問いかけた。

 

「そして君は”身体能力の維持”かな?」

「だいたい正解。……そう言うアンタは?」

「全人類の記憶……」

 

 大智は冴の問いを聞いて立ち上がり答えた。

 

「「「は?」」」

 

 3人はその答えに対し意味がわからず口をポカンと開けた。

 

「知識こそが最高の財産だからね。わからないのは、あの男」

 

 その言葉を言うとサロンの入り口に目を向ける。英寿がヨタつきながら歩いてきた。そして大智に応えるように告げる。

 

「”俺がデザイアグランプリのゲームマスターになっている世界”……ま、俺が何考えているかわからなくて当然だ……狐だからな」

 

 そう言うと英寿は景和が現時点唯一確保できた景和自身の寝床であるソファに疲れた身体で座り込んだ。

 

「ちょっと英寿……。? 英寿疲れてる?」

「ちょっとな……」

「何かあったの?」

「……言いたくない」

「ふーん……あれ? 首のソレって」

 

 景和は英寿の首元に目立つ赤い痣みたいなものを見つける。

 

「やだ! キスマークじゃない!!」

「うーわ……英寿もそういう場所で遊ぶんだ。意外だね」

 

 祢音と冴はそれがキスマークだと確信した。

 

「! 嘘だろ? ……アイツらかぁ」

「どこ行ってたのさ……?」

「言いたくないって言ってんだろ! ……あー、もう最悪だ!!」

 

 珍しく不貞腐れて落ち込む英寿。ライダーたちが心底不思議がってた。

 

「英寿、アンタ変わったねぇ……」

「ああ。冷静沈着、常に人を化かす事で勝利を手にしてきた浮世英寿を変えたとしたらあの男の存在だろうね」

「おーい! 帰ったぞー!!」

 

 両津が大荷物を抱えて現れた。景和が笑顔で出迎える。

 

「両さん、お帰り! ……なんか荷物多くない?」

「おう。しばらく此処に寝泊まりだろ? 何かと物入りかと思って支度してきた。大荷物で大変だったぜ!」

「大荷物って……まさか?!」

 

 景和はサロンの入り口に向かった。入り口の外の廊下には大きな梱包物がドンッと置いてあった。

 

「おう、お前らちょっと手伝えよ。ヒマだろ? 駄賃代わりに酒も持ってきてるからよ!」

「じゃあアタシ手伝う!」

「おう! 助かるぜ祢音ちゃん」

 

 祢音が真っ先に挙手をする。

 

「アタシはパス。試合中のお酒は断っているし」

「僕もだね。何の得があってそんな事を?」

「つれないねぇ……まぁいいか景和、あのデカいのを片付けるぞ」

「え? 俺、強制?」

「だってお前の寝床でもあるんだぞ」

「は?」

「あー……お前のクレストの張り紙、剥がれていたのか」

 

 そうして両津が一脚のソファの下から剥がれていた張り紙を見つけた。確かにタイクーンのクレストが書かれていた。

 

「じゃあここって俺と両さんの場所だったの?」

「おう。場所取りの時にお前がどっかに行っちまうからよ。流石に場所無しはキツいだろうからな」

「あーりがとー両さーん!!」

 

 泣きそうな顔になる景和。そして両津は景和の頭を撫でる。

 

「喜ぶのは後だ。とっとと片付けようぜ!」

「うん!」

「フッ……お人好しが2人居たら流石に俺も変るさ」

 

 英寿が笑顔で景和と両津を見つめた。

 

「どしたぁ英寿? 随分疲れてるみてぇだが」

「何でもないよ! さて、俺も手伝うか。目の前でいつまでもガサゴソされたら落ち着かないからな。タイクーン、向こう持ってくれ」

「うん! いくよー!!」

 

 こうして両津・景和・祢音・英寿の4人で大荷物を片付けだした。

 

「そういう理屈なら仕方ないか。僕も早々に静かにして欲しいものだからね」

「……そうなるかぁ。早めの睡眠には代えられないものね」

 

 結局、冴と大智も手伝う事になった。

 

 小一時間程でだいたいの荷物が片付いた。中でも一番大きな荷物は組み上がってようやくその正体がわかった。

 

「二段ベッドだ!!」

 

 景和が楽しそうにしている。

 

「おう! これならスペースも稼げるだろ? このサロンは天井が高いから大丈夫だと思ったんだ!!」

「ありがとう両さん!!」

「お前は下段使えよ。ワシは上段使うから」

「え? 良いの? 両さん落っこちたりしない?」

 

 二段ベッドのデメリットの一つである。寝相が悪いと落ちる可能性がある。

 

「だからよ、柵が高めのものにしておいた。凄いぞコイツ、アタッチメント式だけど電源タップも付けれるし」

「へぇ……最近の二段ベッドも進化しているな」

 

 英寿がしげしげと眺めていた。大智も興味深そうに見ている。

 

「O社の高級品じゃないか……ハシゴじゃなくて外付け階段で素材はヒノキ。中々のモノだと言うけど、……手触りが素晴らしいね」

「お、流石に知ってたか」

「当然だよ。とは言え僕が触れる事は無いと思っていたが。中々面白い経験だね」

 

 冴も組み上がった二段ベッドを見て考えた。

 

「いーなーコレ……下のコたちに使わせてあげたいなぁ……」

「どしたぁ冴ちゃん?」

「! 馴れ馴れしく呼ばないでよ!! ただ、こういうベッド欲しいなぁって……」

「なんならやるぞ?」

「は? これから使う為に用意したんでしょ?!」

「いや、だからよ。デザグラ終わったらコイツも用済みだ。その後で良いならな」

「……考えとく。ありがとう」

 

 顔を赤くして冴はそっぽを向いた。内心その言葉を嬉しがっているようだ。

 

「さてとー、ようやく片付けたから飲むとするかぁ!!」

「いぇーい! ゴチになりまーす!!」

「じゃあ俺も付き合うか。イヤな気分は飲んで忘れるに限る。うん!」

 

 恐らく一番幸せな景和が高らかに声を上げた。英寿も乗り気だ。

 

「どうする? 僕も手伝った身だから御馳走にはなるけどね」

「だからお酒は飲まないっての。……ソフトドリンクで良いなら付き合うけどさ」

 

 大智の問いに冴が答える。彼女も少しだけ打ち解けてくれたようだ。

 

 皆がそれぞれ飲み物を手に取る。

 景和と大智はビール。祢音は未成年のためコーラ、冴はミネラルウォーター、英寿はワイン。そして両津は日本酒だ。

 

「よーっし、それじゃあクソッタレなデザグラに~」

「「「「「「乾杯!!」」」」」」

「両津様」

 

 乾杯の音頭を取った両津の背後に突然ツムリが現れた。

 

「おう、どうしたツムリちゃん。一緒に飲むか?」

「いえ。両津様にお呼び出しがありまして」

「はぁ? 時間考えろよ。明日だ明日!」

「でもそれが……――でして」

「!」

 

 ツムリが小声で耳打ちした。その言葉を聞いた両津は手にした日本酒を一気に飲み干した。

 

「?! 両さんペース早っ!」

「どうした両さん?」

 

 景和が驚き英寿が訊ねる。

 

「悪ぃな皆。ちょいとヤボ用が出来た。酒は皆で飲んで構わねぇからよ。先にやっててくれや」

「え? いいの?」

「酒好きで有名な両津勘吉が、珍しい事態のようだね」

「なんだ知ってたのかよ」

「僕を誰だと思っているんだい。アンタが有名な酒豪で、過去に都内の立ち飲み屋を網羅した特集本を出した事も知っているよ」

「あったなー、そんな事も。じゃあ皆、ゆっくり飲んでてくれ!」

 

 そういうと両津はサロンから出て行った。

 

「せっかくの飲み会なのにー」

「よっぽどの事なんだね」

「仕方ない。アイツの好意に甘えるとするか」

「では両津様の代わりに私が」

「「「「「結局オマエが飲むんかい!」」」」」

 

 既に酒を用意したツムリに皆からのツッコミが入った。

 

 VIPルームの一室を訪れた両津。

 

「おう、来たぞ。皆を待たせているから手短にな」

『突然呼びつけて申し訳ありません。両津勘吉様』




 筆者です。「照裏IV」をお送りしました。
 先ず前書きは失礼しました。別のテーマで執筆中にカワカミプリンセスの訃報を知ったので急遽変更しました。ウマ娘から入った人間なので申し訳無いのですが、カワカミプリンセス推し馬なんですよ。悲しさを両さんとライダー達に慰めて頂きました。今後も筆者のメンタル次第ではこういう事もあるかもしれませんがどうか宜しくお願いいたします。

 今回の本文もテレビ本編を交えたオリジナル展開です。次回は完全オリジナルだけになりますかね。
 二段ベッドは筆者の幼少期の実体験の話も混ざってます。寝相悪かった筆者はしょっちゅう落ちて妹に怒られていましたがw 
 どんどん性格が崩れてきた冴さんは次回か次々回にかなりはっちゃけさせます。冴さんファンの人、今から謝罪しておきます。本当にすいません。かなり楽しんで書きますw
 
 さて、文字数アンケ。日頃ご協力頂いている皆さまありがとうございました。目安は知れたので一旦下げさせて頂きます。それとは別で新たなアンケを展開する事にしました。10月入るまでやってみて、結果で決めようと思います。と言うのも、アンケにあります通り、18禁の小説も書いているんですが、最近執筆を投げて途中のものを読み返したんですよ。どうせならこれもちゃんと完成させて陽の目を浴びせてあげたいと思った次第です。どうかご協力お願いします。

 では明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いいたします。

追記

 読者様から「祢音未成年じゃね?」と言われて気付き、少しだけ内容変更しました。星乃夢奈ちゃんが大人びているのと、周りの役者さんたちの雰囲気で設定確認を怠った事をここに謝罪します。

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