仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「リアリティライダーショー、デザイアグランプリ!! 初日の夜にライダーたちが親睦会を行おうとしたところ、両津様は突然の呼び出しをされてしまいます。しかもそれが中川様! これは見逃せません!!」
「あれ? ツムリちゃん、今日はちゃんと前書き説明やってねぇか?」
「それがそのぅ……いよいよ筆者様のなけなしのネタが尽きたようでして……”今日はちゃんと説明ヨロ。頼むよツムリちゃーん!”と言ったきりバックレされまして」
「おい! 読者たち!! 筆者を責めるんじゃねぇぞ! アイツだって毎日働きながらコレ書いてんだからな!! ヒマじゃねぇんだぞ!」

 明後日の方角、所謂”第四の壁”を飛び越えて読者に向かって説得する両津。

「それで今日は私と両津様の出会いの話をお送りするそうです」
「あー、第一話”珍戦K~I :何?ワシが仮面ライダー?!”の時か。あん時はいきなりプラモ屋で声をかけられたから驚いたぜ」
「……覚えてないんですね」
「え? 違った? アレか、パンクジャックの代役を頼む為に超神田寿司に迎えに来た時の事か!」
「本当に覚えてないんですね……」
「え? 何でそんなに悲しそうな顔するの?!」

 真相はこの後すぐ!!


照裏VI:見抜くモノと見抜かれるモノ

 声だけの謎の存在であったサポーターとは中川圭一その人であった。

 

「ようやくこれでマトモに話せるな」

 

 と言うが早いか中川の首をガッと掴む両津。

 

「言え! お前が知っているデザグラに関して全てだ!! ワシの取り調べはしつこいのは知っているだろう?!」

「わ、わかりました! わかりましたから!! とにかく落ち着いてくださいよ先輩?!」

「まったく……まだるっこしいマネばっかりしやがってよぉ……」

 

 中川の首から手を離し、座布団にドカっとアグラをかく両津。中川も両津に習いアグラで座り込んだ。

 

「じゃあ改めて質問だ。中川、お前はいつからデザグラに関わっていたんだ?」

「……およそ一年前くらいですね。最初はオフィスの僕宛てに届いた1通のDGPからのメールでした。思えばそれが全ての始まりだったんです」

 

 中川圭一は中川財閥の御曹司である立場上、国内にある中川グループ各社の社長業も警察官勤務の合間にこなしている。警察官としての業務が優先のため各社の経営に関われる時間は極めて少ない。そのため通常の運営はそれぞれの社に副社長を据えて、中川自身の行動は優秀な秘書数名によって管理されていた。故に不信なメールや郵便物は厳しいチェックが入る。当時届いた内容はこうなっている。

 

ΞΞΞΞΞΞΞΞΞΞΞΞΞΞ

 

  拝啓

 親愛なる中川圭一様へ

 こちらはデザイアグランプリ運営局です。この度そちらの中川財閥は栄えあるデザイアグランプリのスポンサーの一つとして抜擢されました。

 つきましては今後早急に以下の要求に応じて頂く様ご準備下さい。

 

 ・当座の資金として日本円で6兆円

 ・中川財閥が繋がっている警視庁・消防庁・医療界隈・政府幕僚 これらの上層部の名簿。

 ・中川財閥が関わっている最新テクノロジーのデータ。

 

 以上どれか1つを3日以内に対応できない場合、4日目の正午にそちらのメインデータにアクセスを行いそちらの運営を停止致します。

 連絡先は――

 

ΞΞΞΞΞΞΞΞΞΞΞΞΞΞ

 

 当時の担当秘書は中川に確認をするまでも無く、フィッシングメールの類だと思って処分した。だがそれが過ちだった。文面にあった通り、4日目の正午にそれは実施されたのである。

 

「あー! 思い出した!! そんな事もあったなぁ!!」

「ええ……あの時は破滅が訪れたと思いましたよ」

 

 両津も良く知っている事件だ。数日とは言え中川財閥まとめて株価が大暴落した時である。当時は暫く中川がやつれていて、最初はからかっていた両津だったが、あまりに中川からの反応が薄かったのでやめた。思えばその頃から中川の笑顔が減った気がしてきた。気付いた両津は急ぎ土下座をして詫びをする。

 

「すまん! 知らなかったとは言え、からかって悪かった!!」

「や、やめてください先輩?! 僕もとても無闇に相談できる状況じゃ無かったんですから!!」

 

 そして続きを説明する。中川財閥が事実上ショートしかけて程なく、中川の私用携帯に非通知の電話が入ったらしい。

 

   ★

 

『我々からのプレゼントはお気に召した頂けたかな、中川圭一様』

「どういう事ですか? この事態は貴方が?!」

『おや? 3日前にお送りしたメールはご確認されなかったのかな?』

「メール?」

『ハハハハ だとしたら余程優秀な部下をお持ちのようだ。30分後に改めてご連絡をしましょう。良いお返事を期待してますよ』

 

 相手から一方的に電話が切れると中川は急ぎ秘書たちに確認をした。幸いメール自体は念のため保管されていて中川もその文面を読むと無闇に担当秘書を叱れなくなった。秘書がやった事は行って当然とも思えたのである。改めて30分後キッカリにまた非通知の電話が入った。

 

『メールはご確認頂けたかな?』

「ふざけた真似を……貴様、わざとこうするつもりだったな!」

『滅相も無い。予め連絡をして無視されたから実行に移しただけですよ。人聞きの悪い』

「わかった……お前たちの要望に応えよう」

『おまえたち……何故こちらが複数の存在だと?』

「……ここまで馬鹿げた事が個人で出来るのは、この世界で1人しか居ないさ」

『両津……勘吉。かな?』

「……貴様、どうしてその名前を?!」

『図星だったようだね。面白い。改めてお話をする機会を作りましょうか』

「待て! その前にこちらの要求が先だ!! ウチのメインデータの復旧をしろ!!」

『”しろ”? 何か言いましたか? こういう場合はどうやって頼むんでしたっけ?』

「! ……失礼しました。どうか復旧をして、ください」

 

 苦虫を噛み潰した様な顔で電話先の相手に懇願する中川。そしてその声を聞いた相手はたいそう喜んだと言う

 

『ハハハハ!! それだ! それこそが、リアル!! 良いでしょう。急ぎ復旧を行います』

「一つ教えてくれ……貴方たちの、本当の目的は何だ?」

『デザイアグランプリのスポンサーになって頂きたい』

「……違うだろう!」

『おお怖い。先ほど貴方がその名前を仰ったじゃないですか?』

「! 先輩?」

『ええ。その話はまた改めて。私はニラム。どうかよろしくお願い致します』

 

   ★

 

 これには両津もただ驚くしかなかった。

 

「ワシ……?」

「ええ。デザグラの目的は先輩と言う存在です。正しくは、先輩を意のままに操る状態。要は運営のコマですね」

「これはまた……ん? でもだとしたらおかしくねえか? ワシに直接頼めば良いだろうがよ」

「先輩、あなたがそれを言うんですか?」

「え? 何で?」

 

 ため息交じりに中川が質問する。ここで両津は自身でも驚く事になる。

 

「先輩……ナビゲーターのツムリさんと初めて会った時の事、覚えてます?」

「えーと……亀有のプラモ屋で会ったのは改めてだから、パンクジャックの代役の頃か」

「やっぱり覚えてないんだ……」

「どういう事だ?」

「もっとずっと前から先輩はツムリさんと会っていたんですよ。僕も話だけしか聞いてませんが」

「ええ――――――?! ウソだろ? あんなトンチキな衣装着た美人のねえちゃんなんて一度会ったら忘れる訳ねぇだろうがよ?!」

「つくづく場所とタイミングが悪かったんでしょうねぇ……」

 

 6年程前、亀有の町を逃走するひったくり犯を自転車で追跡中の時。

 

 ――おめでとうございます。厳選なる審査の結果、今日から貴方は仮面ライダーです――

 ――うるせぇ! それどころじゃねぇ!! 犯人が逃げちまうだろうが!!――

 ――え? あの? ちょっと?!――

 

 5年程前、人気カードゲームの限定デッキ発売日の時。

 

 ――おめでとうございます。厳選なる審査の結果、今日から貴方は仮面ライダーです――

 ――うるせぇなぁ……こちとら3日並んでんだぞ。列から出たら今日までの努力がパァだ。どっか行けよ……――

 ――あ、あのー? ……寝てる?!――

 

 4年程前、まだコロナ渦前の夏の時

 

 ――おめでとうございます。厳選なる審査の結果、今日から貴方は仮面ライダーです――

 ――本田ぁ! 企業ブースの配置は大丈夫だな?! 急がねぇと速攻で売り切れるぞ!!――

 ――だ、大丈夫でしゅよぉおおお!! だから待ってくださ――い!!――

 ――あ、あの? 話しを聞いてくださ――い!!――

 ――わりぃな! コスプレとか今は興味ねぇんだわ!!――

 ――あ、あの……写真1枚良いでしょうか?――

 ――いえ、貴方では無くてですね!!――

 

 3年程前、派出所の休憩所で仮眠をしていた時

 

 ――おめでとうございます。厳選なる審査の結果、今日から貴方は仮面ライダーです――

 ――うるせぇなぁ。おいマリア、酔っぱらいのねぇちゃんが入り込んで来たぞー!――

 ――あらあらいけませんわ。両さまのお休みを邪魔しないでくださいまし。お話ならこちらで伺いますから――

 ――いえ、だから私は! え、何この人?! 力が、強い……?!――

 ――もー、悪い虫は両さまに近づけさせませんわ!――

 ――もー……何なんですかぁ?!――

 

 その他にもありとあらゆる場所でツムリは両津と接触したが、ことごとく失敗に終わったらしい。ちなみにプラモ屋での時も日毎に失敗してようやく成功した通算10度目の接触だったそうだ。

 鉄砲玉のような両津を捕まえるのは大原部長も中川も毎度悩みの種であった。

 

「うん……ツムリちゃんゴメン。ワシ、すっかり忘れていた」

「だから僕の所にやってきたらしいです。スポンサーとしての勧誘はついでだったようです。ちなみに僕がダメなら麗子さんの所にも行くつもりだったみたいですよ」

「なんかゴメンね、中川くん!!」

「まぁ良いんですけどね。それだけデザグラも先輩を高く評価していたみたいですから。あのギロリってゲームマスターは最後まで反対していたみたいですけど」

「あの様子だったからなぁ」

 

 両津も中川もお互いにため息を吐く。両津が言葉を続けた。

 

「それで? ワシはともかくお前がデザグラを潰したい理由は?」

「先輩と同じですよ。デザグラに接触して実態を掴めば掴むほどマトモな組織じゃない事はわかりましたから。だが彼らは常に僕らなんて捻りつぶす事くらい朝飯前です。だからニラムと交渉したんです」

 

 ――両津勘吉の願いを中川君の自由にさせろ、と?――

 ――ええ。それがウチが今後スポンサーを続ける条件とします――

 ――面白い! 出来るものならやってみたまえ!! でもそれが出来なければ――

 ――ええ。お好きな様に――

 ――面白いねぇ!! 君が以前連れてきた数名のライダーたちもあっけなく敗北してきたからねぇ。いよいよ後が無くなってきたって所か。良いだろう! それこそが、リアル!!――

 

「そうか、やっぱりお前、他にもライダーを送りこんでいたんだな」

「ええ。残念な事に退場者も脱落者も出ました。脱落者は運営のライダーやスタッフとして参加させると言う限定条件を付けて辛うじてその存在は保てましたが、退場者は……」

「ジャマトのエサか……」

「恐らくは。すいません、ジャマトについては僕らもまだ詳しくは掴めてなくて」

 

 青い顔になる中川。関係者を送り込むのは彼自身も苦渋の選択だったに違いない。

 

「お前、もしかして最後までワシを参加させないために他の人間を」

「! ……そうです。僕は先輩に戦ってほしくはなかった。でもやっぱりダメですね。結局は先輩を頼るしか無かったんですから」

 

 俯いて苦笑いする中川に顔を近づける両津。そして息を大きく吸い込んで大きな口を開けた。

 

「ばっっっっっっっきゃろ――――――――――――――――――――――いっ!! あったりめぇだぁあああああああああああああああああああああ!!」

「せ……先輩?!」

 

 突然の両津の大声に鼓膜が破れそうになる中川。耳から脳を揺さぶられる錯覚を覚え頭がクラクラする。

 

「なんで真っ先にワシを頼ってこなかったんだ……んなモン、他の奴らにゃ荷が重いだろうがよ!!」

「せ……先輩、すいません! 僕は……僕はそれでも! それでも貴方の今の幸せを奪いたくはなかったんです!!」

 

 中川は押さえきれない気持ちが溢れ、涙を流しハンカチで拭う。

 擬宝珠家という新しい家族と仲良くしている現在の両津。そんなささやかな幸せを最後まで守りたかった中川。2人の絆が多くの犠牲を出してきたかと思うと両津は少しだけ胸が痛くなった。

 

「ケッ! 何だか飲みたくなってきたな。おい中川、なんかルームサービスとか頼めよ。もちろんオマエの奢りな!!」

「! は、はい。是非とも奢らせてください!!」

「ヒヒ! あんがとよ。飲んでイヤな事は忘れようぜ。そして改めてワシらの戦いの始まりだ!!」

「は……はい! 改めてこれからよろしくお願いします!!」

 

 そう言うと中川は両津の使っているのとは色違いのスパイダーフォンを手に取った。どうやらVIP用のものらしい。

 

「……ええ。では待っています。先輩、何にします?」

「あ? 日本酒なら適当なもので構わんぞ」

「わかりました。……では日本酒を。もちろん一升瓶で。僕はロマネコンティがあったらお願いします。では宜しく」

「まーた高級酒をお好みざんすねぇ、中川様ったら!」

「冷やかさないでくださいよ。それに会わせたい人たちが居るんです」

「あ? 会わせたい人たちって……! おい、何だ? いきなり真っ暗だぞ?!」

「おっと、早かったですね」

 

 突然VIPルームの灯りが消えて真っ暗になった。入り口に突如スポットライトが当たり謎の人影が浮かぶ。

 

「まさか……まさかこの登場の仕方は?!」

「フハハハハ! フハーハハハハハ! 久しぶりだな両津! 覚えていてくれて嬉しいぞ!!」

「まさかお前は!」

「そう、そのまさかです!」

 

 両津の声に中川が続く。そして謎の人影は鮮やかな口上を告げた。

 

「そう! 華麗な変身、伊達じゃない!! 月のエナジー背中で受けて、正義のスティック、闇を裂く! 月よりの使者、月光刑事(げっこうデカ)! 今は改め、ムーンライダー! 只今参上!!」

 

 スポットライトに照らされた月光刑事改めムーンライダーはクルッと身体を向けてポーズを決めた。

 

「同じくアシスタントの美茄子刑事(びーなすデカ)! 今は改めビーナスライダーもよろしく!」

 

 スポットライトを操作していた美茄子刑事改めビーナスライダーもニョッキリ現れた。

 

「お前ら一体何やってんだよ?!」




 筆者です。「照裏VI」をお送りしました。
 両さんとツムリの過去のドタバタは今回の話を書いていてふと思いついたものです。よくよく考えたら両さん、マトモに捕まえられねぇんじゃないかなとw さて、ニラムの思惑が浮かび上がってきましたがまだ片鱗です。この辺りはおいおいと書いていこうと思います。テレビ本編以上にニラムもクセがありますので、その辺もお楽しみ頂ければと思います。

 そして皆さまへのサプライズ、月光刑事・美茄子刑事も登場ですw
 何故彼らが現れたのかはまた明日の更新分でお楽しみください。実は今回だけでなく前回でも断片的に書いてましたけどね。さて、英寿にキスマークを付けたのは果たしてどちらでしょう?w
 余談ですが、2人の口上の執筆時”使者”が”死者”と、”参上”が”惨状”と文字変換で出てきて爆笑していましたwww

 18禁小説のアンケート、ご協力頂きありがとうございます。10月まで置いておきますのでどうかよろしくお願い致します。意外に読みたいって票が入ってて嬉しく思います。現状はこのこち亀ギーツがメインなので、もし実施するとしたら18禁の方は週一か隔週一くらいですかねぇ。それでも良ければって所ですが。

 では明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いします。

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