仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「リアリティライダーショー、デザイアグランプリ! 初日の夜はいつになったら終わるんでしょうか?!」
「悪いなー皆。筆者に聞いたら”たぶん明日の更新分で終われたらよいね”だとよー」
「全然構わないが」
「むしろ俺たちリラックス出来てるっていうか……」
「親睦会、楽しんでまーす♪」
「うん……だから両さん、もう少し引っ張ってもいいかな?」
「フン……両さんが用意してくれた酒は僕たちが美味しく頂こう」

 英寿・景和・祢音・冴・大智の5人はすっかり和んでいた。

「お前らズルいぞ! ワシだってそろそろカメラが回ってない所でゆっくり飲みてぇのによ!!」
「仕方ない。これも主人公の定めさ」
「いや、英寿。今回お前の不幸がクローズアップされるぞ」
「は? おい、待て! あんなの曝すんじゃない!! 俺はもう忘れたいんだ!!」
「あ、もしかしてキスマークの?」
「うるさいタイクーン! だからそこに触れるな!!」
「あ、ようやくわかるんだ~」
「全く……どんな店で遊んできたんだか」
「英寿が遊ぶ店か。これは気になるねぇ!」
「うるさいお前らは見るな!!」
「では浮世英寿様の不幸が今明かされます!!」
「や――め――ろ――!!」

 果たして英寿の運命や如何に?


照裏VIII:見抜くモノと見抜かれるモノ

「さぁさいよいよ回想シーンだ! 遠からん者は音に聞け! 近くば寄って目にも見よ~!」

「勝手に要らん口上を足すんじゃない!!」

 

 月光刑事の口上に両津がツッコミを入れた。

 

  ★

 

 ジーンが英寿と呼びだした時の事。英寿がジーンからの勧めを受け、ドリンクの注文をした後になる。

 

「やあやあ待っていたよ、ムーンちゃんとビーナスちゃん!」

「ジーン様ぁ、ご注文ありがとうございました~♪」

「お待たせしました~♪ ムーン&ビーナスのスペシャルルームサービス……でぃす!」

 

 野太い声のゴツいバニーガール……バニーボーイと言った方が良いかもしれない。そんな妖怪2人を快く出迎えたジーンの心底嬉しそうな態度に英寿はドン引いていた。ムーン&ビーナスと名乗った2人は当然月光刑事&美茄子刑事だ。

 

「おいジーン……なんだこのバケモノ2人は?」

「! ショック――! あの大スターの浮世英寿様からバケモノって呼ばれたわ~」

「ダメよムーン! アタシたち、プロのコンパニオンなんだから!! それにバケモノなのは事実なんだから認めなさい!!」

 

 自分の事は棚に上げて、さりげに相棒をバケモノ呼びするビーナスと名乗った美茄子刑事。案外仲が良くないのかもしれない。

 

「英寿! バケモノだなんて2人に失礼だよ! 彼らは僕たちデザグラのコンパニオンをしているのさ。愛嬌があって可愛らしくてね。他のデザグラファン達にも人気者なんだよ」

「コ……コンパニオン?」

「そうだよ。じゃあ2人とも、英寿に自己紹介をしてくれ」

「ムーンライダーでぇす♪」

「ビーナスライダーよん♪」

「あ……ああ」

 

 ジーンが使うVIPルームは大画面のモニターの正面に横長のソファが置かれたシンプルな家具配置だ。英寿も気付かない間にソファ前には大き目なテーブルが置かれ、数種類のドリンクとフルーツの盛り合わせ、そしてピザが用意されている。ムーンとビーナスの2人は英寿を挟んで並んで座る。ムーンの左手にはジーンが座った。ゴツい男2人に挟まれて完全に気分が悪くなってきた英寿である。それぞれがグラスを手に取るとジーンが乾杯の音頭を取る。

 

「では、浮世英寿のデザグラ復帰と今後の勝利を祝して~」

「「「乾杯!!」」」

「か……完敗」

 

 思わずうわずって文字変換までバグる英寿。顔色から敗色濃厚だ。最早飲んでいるドリンクの味までわからなくなってきていた。辛うじて炭酸入りだと言うのは感じ取れていたが、その炭酸さえ舌先からどんどん失われていく。

 

「君たち本当にラッキーだね。英寿と共に飲めるなんて滅多に無いよ」

「本当! ジーン様には感謝しなくっちゃ♪」

「あらぁ? 英寿様、顔色が悪いわよ? 大丈夫? オッパイ揉む?」

「もー! ビーナスったら、アタシたちオッパイないじゃない! 雄っパイならごっついのがあるけどぉ♪」

 

 心底楽しんでいるジーンの様子とムーン&ビーナスと名乗った2人の態度に呆れる英寿。特にジーンはその若々しい外見からは想像も出来ないくらいに場の楽しみ方が慣れている。これが長年芸能界を生き抜いてきた貫禄だとでも言うのだろうか。

 

「なんなんだ、コイツら……おいジーン、お前はしょっちゅうコイツらと飲んでいるのか?」

「いや、呼んだのは今回で2回目だ。彼らは最近運営ライダーからコンパニオンになったばかりだからね」

「最近……」

 

 その時、英寿の中で何かが繋がりそうだった。2人の所作と最近起きた事、そして以前あった事がゆっくりと結びついていく。

 

「でもでも~ジーン様のお陰で他のデザグラ視聴者さんたちにも好評なんですよ~」

「そーそー。今度チラミ様から新しい番組のキャラクターをやらないかと提案もあってー♪」

「そりゃ凄い。デザグラも益々華やかになるねぇ。そう思うだろ、英寿」

「ああそうだな。お前らもさぞ嬉しいだろうな。”仮面ライダーニャンコ”そして”仮面ライダーニャンコマゴニャンコヒマゴニャンコ”……」

 

 英寿のその言葉に場が一瞬静まる。そこへ変態2人が神妙な口調になる。

 

「覚えていたのか……」

「とっくに忘れられていたのかと思ったよ……」

「これでも記憶には自信があるんでね。と言うかお前らキャラ濃すぎなんだから忘れたくても忘れられるか」

「フッ……正しくスターだな」

「大したものだ。我々が勝てないのも無理はない」

「? と言うかお前らの負け方って」

「あーん! それ以上言わないでぇ~!!」

「もー! 英寿様ったらイケズぅ♪」

 

 英寿がその先を言おうとするも必死で止める月光刑事と美茄子刑事。

 

「へぇ……2人ともライダーだったんだ。只者では無いと思ったけどね」

「そーなのー♪」

「アタシたち、残念ながら負けちゃった! テヘ♪」

「それでどんな負け方したの」

「それはだな」

「もー! 英寿様のいけずぅ!! そんなおイタな口には月に代わっておしおきよ♪」

「あ、アタシもー! 金星に代わって、愛の奇跡を見せてあげるぅ♪」

 

 英寿の言葉を遮るために凶行手段に出た2人。月光刑事は英寿の口に、美茄子刑事は英寿の首筋に強烈にキスをする。ゴツい男2人からキスをされた英寿は見る見る顔色が悪くなった。

 

「ぷはぁ! はーゼーはーゼー…… 久々の大仕事だった」

「ああ、お互い良い仕事したな、ムーン!!」

 

 相棒の健闘を誇らしげにサムズアップ、親指を立てて讃える美茄子刑事。だが英寿の様子がおかしい。

 

「……」

『 SET 』

「「へ?」」

『 MAGNUM 』

 

 突如マグナムフォームに変身したギーツこと英寿はマグナムシューター40Xを撃ち、月光刑事のトレードマークとも言えるツインテールの右束を吹き飛ばした。

 

「ひぃいいいいいいいい?!」

『 READY……FIGHT!』

「! 外したか……」

「ちょちょちょ!! ちょっと待って英寿様!! 単なるおふざけじゃない?!」

「やめて! アタシたち今、丸腰なんだから!!」

「じゃあ俺のバックルを貸してやるから変身しろ。今すぐ殺してやる!」

「ちょっと英寿! ここでの殺傷沙汰は即退場だよ?!」

「! ……命拾いしたな」

 

 変身解除した英寿は眉間に深いシワを刻んでいた。フラフラと立ち上がり、VIPルームを出ようとする。

 

「ちょっと英寿! まだドリンクもピザも残っているよ?!」

「要らん! もう帰る。じゃあな……」

 

 そして英寿はVIPルームを後にした。

 

「やれやれ怒らせちゃったか」

「ジーン様、大変申し訳ありませんでした!」

「本当にごめんなさい!!」

 

 土下座する変態2人。だがジーンはいつものアルカイックスマイルでニコニコとしている。

 

「別に気にしなくて良いよ。英寿だって機嫌が悪くなることもあるよ。それよりそこのピザ、俺1人だと食べきれないから君たちで食べてくれるかな?」

「え? よろしいのですか?」

「ああ。是非とも。このピザはオススメだからね」

「「いっただっきまーす!!」」

 

 遠慮と言う言葉を知らないのか変態2人は即で食べ始める。

 

「ちょっと、ビーナスぅ! アンタ、アタシより1枚多く食べてるでしょ!!」

「そんなムーンだって代わりにバナナを3本も食べているじゃない! そのぶっとくて長いバナナ、アタシにも寄こしなさいよ!!」

「はははは。中々良い食べっぷりだね~」

 

 ジーンの言葉もロクに聞かずに食べ続ける変態たち。そしてジーンは小声でひっそりと呟いた。

 

「しかしあの英寿が感情をむき出しにして怒るなんて初めて見たな。彼をそうしたのはやっぱりあの男、両津勘吉か……」

「「! ……」」

 

 ジーンから両津の名前が出てきて内心驚く月光刑事と美茄子刑事。目前の食事を続けつつも聞き耳を立てて……いるようには見えなかった。

 

「ちょっと! それ最後の一枚じゃないのさ! 結局アンタばっかピザ食べちゃって許せないんですけどー!!」

「アンタだって結局キウイ・パパイヤ・マンゴーまで平らげて良くそんな事言えるわね!! もうこうなったら決闘よ♪」

 

 そう言った2人は結局卓上にあった食べ物を全て平らげきり、いつの間にかテーブルまで片付けて入り口に並んでいた。

 

「ではジーン様ぁ、何かありましたらまたご連絡ください♪」

「また急ぎ馳せ参じますわ。ではごきげんよう~♪」

 

 バタンとドアが閉まるもその外では2人の言い争いの声が微かに聞こえてきた。2人が出て行った後でジーンは再び呟く。

 

「やれやれ慌ただしい2人だ。もう少しゆっくりしていっても良かったのに」

 

 ソファから立ち上がり背伸びをするジーン。大きく伸びをした後はまた少しだけ呟いた。

 

「羨ましいな、両津勘吉……」

 

   ★

 

「と言う訳でな」

「そりゃ全力でお前らが悪いんじゃねぇか。命落としても文句は言えんぞ!」

「そんな?! アタシたち乙女のキッスまで差し出したのに!!」

「誰が乙女だ。鏡見てこいバケモン」

「とまぁ、冗談はここまでにしてだ」

「冗談じゃ済まされないレベルだったと思うんだが……」

 

 両津のツッコミも聞かず言葉を続けていく月光刑事。

 

「浮世英寿がサポーターと連携を取っていくと厄介だぞ両津。どれだけ仲良く出来てもデザ神になれるのは1人だけだ」

「そうだ。そして今回はデザスターと言う見えない妨害者まで出てきた」

「……ああ、わかってるよ」

 

 月光刑事と美茄子刑事の言葉に苦虫を噛み潰したような表情になる両津。そう、結局は自分以外ライバルなのだ。

 

「ところでよ、聞いていいか?」

「何だね?」

「お前ら何で負けたんだ?」

「! いや、それはだな……」

 

 狼狽える月光刑事。美茄子刑事も嫌そうな顔をしている。

 

「4歳の女の子に負けたんですよ」

「中川くん! それは言っちゃイヤ~ン!!」

「はあ?! よりによってそんな子供にか?」

「言わないでって言ったのにぃ~……」

「月光刑事、諦めろ。これは我々が一生背負わなければならない咎だ……」

 

 美茄子刑事がスンスン泣いている月光刑事を慰めている。そもそも彼らの戦闘スタイルとデザグラのルールの相性が良く無かった。

 

「自慢の月光が使えれば……!」

「! そうか、流石にあの戦闘機は持ち込めなかったのか」

「そうだ両津! 我々にとって愛機の月光が使えないと言う事は、カトちゃんが居ないケンちゃん! キヨシさんが居ないタケシさん! A先生が居ないF先生と言う事なのだ!!」

「いやいや、その人たちコンビじゃなくなってもピンで頑張れていたろ……」

 

 事の顛末としては異常な戦闘能力を秘めていた4歳児に白い猫型のヘルメットがトレードマークの美茄子刑事こと仮面ライダーニャンコマゴニャンコヒマゴニャンコがマグナム40Xで狙撃された事による。どうやらその4歳児は話に聞いていた檸檬の幼稚園での友人のようである。先に倒れた父親の遺志を継ぐ様なカタチで幼児の身なれどデザグラに参加。父を失った悲しみが彼女を強くしたのか、それとも元々檸檬のように才能に恵まれていたのかはわからないが、4歳児にしては恐ろしい戦闘力だったらしい。そして更に不幸は続いた。

 

 ――ぐはぁ!!――

 ――大丈夫か? ニャンコマゴニャンコヒマゴニャ! あだだ!! 舌噛んだー!!――

 

 その長ったらしいライダーネームを叫んだ所、黒い猫型のヘルメットを被った月光刑事こと仮面ライダーニャンコの舌が回らず噛んでしまい、その隙をついてこれまた狙撃されたと言う。

 

「バカかお前ら?! だいたいライダーネームで呼び合うのがそもそも間違いなんだよ!!」

「だって極秘任務なんだぞ?!」

「だからと言って偽名で呼ぶと自分の事かわからなくなるし!」

「はあ……どうしようもねぇな。だいたいなんだその早口言葉みたいなライダーネームは?」

「だって我々が付けたんじゃないもん!」

 

 口をぷくーと膨らませて怒る月光刑事。オッサンがやってもちっとも可愛くない。

 

「あ? じゃあ誰がそんなバカみてぇな名前付けたんだよ?」

「教授です……」

「! アイツか?!」

 

 中川が気落ちしながら説明した。どうやら月光刑事たちのライダーネームを決めたのはあの人物らしい。

 

「中川! あのインチキ教授を呼べ!! アイツにはワシも言いたい事が山ほどあったんだ!」

「は、はい! 少し待ってください!!」

 

 スパイダーフォンで連絡をする中川。そして手持ちの大判タブレットを用意してカメラ通話アプリを機動する。

 

「お待たせしました。教授はラボから動けないようなのでリモートでお願いします」

『おー! 久しぶりだネ、ゴリラくん!!』

「ようやく逢えたか……江崎コロ助……」

 

 中川が教授と呼んでいて両津も顔馴染みである男とは、希代のマッドサイエンティスト江崎コロ助教授の事であった。




 筆者です。「照裏VIII」をお送りしました。

 かくして英寿のキスマークの真相が明らかになりました。流石に月光刑事に唇奪われたら死にたくなるか殺意抱くかの2択でしょうからね。もし月光刑事たちとキスしたい方がいらっしゃいましたら是非ご感想お願いしますw

 さてせっかくなので月光刑事&美茄子刑事が変身するライダーに触れてみましょう。

・仮面ライダーニャンコ・・・本文にも書きましたがヘルメットは少し丸みのある黒猫を模したデザインです。まんまルナPボールを被っているとイメージ頂ければ宜しいかと。

・仮面ライダーニャンコマゴニャンコヒマゴニャンコ・・・ただ月光刑事に噛ませるためだけに命名したライダーです。こちらは白猫を模したデザインのヘルメットです。ほぼルナPボールのデザインを白くしています。セーラーヴィーナスこと愛野美奈子ちゃんの相方、白猫のアルテミスをイメージ頂ければと。

 いよいよ両さんと江崎コロ助教授がリモート越しですが対面を果たしました。次回更新分は両さんと江崎教授の掛け合いがメインです。これも構想から随分経ちましたがようやくお披露目です。

 18禁小説の件でのアンケート、投票された皆さまありがとうございます。YもNも日毎増えてきていまして数字の伸びを見ていると嬉しくなりますね。引き続きまだ投票されていらっしゃらない方も是非ご協力お願いします。
 

 では明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いします。

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