仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~ 作:唐 十三郎
「何だよ帰ってきたんじゃねえか」
意外に早かったツムリの帰還に両津は呆れていた。
「そりゃあこんなお目出度い時に休んではいられませんもの。早々に戻りました。皆さまのツムリです」
「さりげにアピールしてるんじゃねえよ……」
「さてさて、ようやく今回で初日の夜も終わりです。思えば長かったですね……」
「照裏IIIから始まった展開だからな。気付くと今日で9日目か。纏め方が下手なんだよ筆者は」
本当に申し訳無い。
「とは言え、明日の更新分からはいよいよ2日目となりますね」
「本当は別のシーンも書きたがっていたらしいぞ。冴ちゃんの泥酔とか」
「何それ? アタシ聞いてない!!」
往年のライダーヒロインの様な事を言う冴。
「見てみろ、筆者の脳内プロットにはそう書き記してあったんだ。まぁあんまり長いと読者様が呆れるだろからお倉入りさせたんだとさ」
「助かったぁ~!」
「でもご安心を。いざとなったら前書きパートで復活もあり得ます」
「やめてよツムリ! アタシに恥をかかせないで!!」
「”ツムリ”? ”ツムリさん”では?」
「は、はい……やめてくださいツムリ様……」
「様までは行かなくて良かったですけどね。とは言え気合い入れて今夜を終わらせましょう!」
こうしてようやく初日の夜も終わる。
「80年前って……太平洋戦争の前じゃねぇか! いくら何でもそんな昔にデザグラがあるワケがねぇだろ!!」
「あったからこうして俺が変身してんじゃねぇか! このスットコドッコイ!!」
若返ってもこの祖父と孫の喧嘩腰は変らない。むしろ若返った分勢いもついてもっとタチが悪くなったのかもしれない。
「だいたい何で若返ってるんだよ?!」
「そりゃコイツだ。このIDコアな」
勘兵衛ことシーガルーダが指差したIDコアは両津がいつも見ているものと形状が異なっていた。通常は円形に斜めに2ヶ所突起部が出ている物だが、モニター越しで見るそれは更にそれぞれ反対にも出ていて計4か所の突起部がある。
「こいつは俺が80年前に使っていたIDコアじゃねぇ。このラボで作った特別品だ。ま、インチキIDコアってとこだな」
「インチキIDコアだぁ?」
「この辺の説明はコロ助の出番だな。頼むぜ」
「畏まりました」
そう言うとモニター外にフレームアウトしていた江崎教授が戻ってきてインチキIDコアの説明が始まる。
「通常は記憶デバイス”アドクレスト”と言う箇所がストレージ装置として機能しているのがIDコアなんだがネ。これが個別認識以外にもスコアや各行動等、デザグラ参加者の情報も記録しておる」
「そうか、ワシらはこのコマみたいなブツに管理と監視をされてんのな」
両津が真剣な表情で頷く。興味を持ったモノへの知識欲は人一倍貪欲なのが両津の良い所だ。
「そこで我々はこのアドクレストの疑似拡張を行えないかと試みた。お陰でその分形状は若干変えざるを得なくなったがネ」
「それで形が違うのな」
「左様。そして増やした部分に別の要素も足してある。勘兵衛さんのモノへ行ったのはデザグラ監視を防ぐジャマー機能と肉体の活性化。このインチキIDコアがセットされているドライバーを装着している間は勘兵衛さんは全盛期の肉体を取り戻す事が出来る」
「! すげぇな、ガチのアンチエイジングじゃねぇか!!」
「凄いと思うよネ? ワシもそう思う。……だが、まだまだ未完成でネ」
「未完成? 何か問題があるのか?」
「それはだね……」
「! うっぷ……気持ち悪い」
江崎教授が話している後ろに居た勘兵衛が突然不調を訴えた。
「あちゃあ……じいさん、早く変身解除してドライバーを外せ! スパーク、空きバケツ持ってこい!!」
「わかった、そっちは頼む!!」
「おい、勘兵衛、大丈夫なのかよ?!」
急ぎ変身解除した勘兵衛は見る見る元の100歳越えの老人の姿に戻る。見るからに具合が悪そうだ。モニター越しの姿に驚く両津。見るからに若々しい男が一気に老人の姿に戻り具合が悪そうにしているのだから無理は無い。
「大丈夫だ両さん! おいじいさん、アンタここに来る前に何杯飲んできた?」
「ううう……焼酎を……5、6杯……」
「あちゃあ……だから飲んでから変身するなって言ったろ!! 孫の前でカッコつけるからそうなるんだ」
「待たせたな、バケツだ!!」
急ぎスパークが何の変哲も無い金属のバケツを持って来た。良く掃除とかで使う何処のホームセンターや金物屋でも当たり前に入手できる物だ。
「さぁじいさん、とっとと吐いて楽になんな!」
「バカやめろ! そんなもん見せるんじゃねぇ!!」
モニターに世間にはあまり”見せられないよ”な映像が映って急ぎ両津は通話を切った。数分後改めて先方から通話通知が来る。モニターの先には今にもお迎えが来そうな勘兵衛と、介抱するジョニーとスパーク、そして江崎教授が映っていた。
「おい江崎、どういう事か説明しろ! なんで勘兵衛は倒れた?」
「うむ。これが若返りの副作用。アレを使うと使用者の体力を極端に奪う」
「具体的には?」
「全力疾走をしているのと同じ状態になる」
「! 酔っ払いが全力疾走していたのと同じって事か? そりゃ具合も悪くなるわ」
「だから実用化にはまだ早いし、そもそも酒を入れてから変身するなと何度も注意しているんだがネ」
「両さんの前だからって無理しちゃってまー……」
「これでまた飲酒時のデータが取れたな。全く役に立たないだろうが……」
ジョニーとスパークもすっかり呆れている。
「ケッ、年寄りが無理するからこうなるんだ」
「ゴリラくん、口を慎みたまえ! 何故君が本来デザグラに実装されていないバックルをちゃんと使えてきたか考えた事があるのかね?!」
「え……? まさか勘兵衛が?!」
両津の言葉に江崎教授がビシっとたしなめる。その珍しく真剣な態度で察する両津。
「そう。勘兵衛さんはテスターとして危険をかえりみずにバックルを使ってきたのだヨ」
「勘兵衛……」
「おい、コロ助。それは勘吉には言うなって言ったろ……」
フラフラになりながらジョニーが用意した水を飲んでいた勘兵衛が言った。
「別にバカ孫のためだけにやってる事じゃねぇさ。コイツぁワシ自身のワガママでもあるんだ」
「何だよ? まさかデザグラに参加する気じゃねぇだろうな?」
「そのまさかだよ。こんな面白ぇ遊びがあるか? 英寿のヤロウをコテンパンにしなきゃならねぇからな」
「英寿を?」
その言葉に立ち上がる勘兵衛。拳をグッと握って吠える。
「あのヤロウ! ワシが何度も電話しても直ぐ切りやがって! ワシの事を何だと思ってるんだ?!」
「それ完全に着信拒否じゃねーか。見事にウザがられているなー……」
「ケッ! 80年前からちっとも変ってねぇ!! 昔からアイツはそうだった……全部背負い込もうとしやがってよ」
俯く勘兵衛。その目には一瞬だけ涙が滲んでいた。だがスックと向き直り眉間にシワを刻んでモニター越しの両津を睨みつける。
「だから勘吉! ワシが行くまで決して倒れるんじゃねぇぞ!! ワシも必ずデザグラに参戦してやるからよ!!」
「ワシがそうそう倒れるかよクソジジイ。お前が復帰する前にワシがデザグラ終わらせてやるから安心して隠居して遊んでろ!」
「あーそーかい! なんだかムシャクシャしてきたな。おい、お前ら飲むぞ!!」
目前の3人に号令をかける勘兵衛。3人はまたかとゲンナリしていた。
「またかよじいさん……」
「これは今夜も午前様だな」
「一度飲みだすと長いからネー勘兵衛さんは……」
「うるせぇ! これが飲まずにいられるかってんだ!!」
新しい酒をラボの冷蔵庫から取ってくる勘兵衛。そして江崎教授がモニターの向こうに声をかける。
『じゃあ中川くん、ゴリラくん。今夜も長くなりそうだからこの辺で。また何かあったら連絡したまえヨ!』
「ええ。あまり飲み過ぎないように」
「おう。勘兵衛に付き合うのも程々にな」
『善処するヨ……』
そして通話が終わった。横に居た中川に両津は質問する。
「なぁ中川、もしかして連中こうやって毎日飲み続けているんじゃねぇのか?」
「ええ……請求書の半分以上は酒代です」
すっかり疲れた顔の中川がボヤいた。どうやら酒代が目下悩みの種らしい。
「じゃあワシらもそろそろ1杯飲んでシメるとするか。月光刑事、酒は持ってきてんだろうな?」
「もちろんだ。我々も付き合おう」
「ああ。上物の酒だ。有難く飲めよ」
手慣れたもので月光刑事・美茄子刑事は4人分の酒を早々に用意する。それぞれ杯を手にすると両津が音頭を取る。
「仕切り直しだな。じゃあ改めてクソッタレなデザグラに~……」
「「「「乾杯!!」」」」
それぞれの杯をグビっと飲み干す4人。
「ぷは! 結構イケるな~、このオーマジオウって酒!!」
「”逢魔時王”な。その文字表記は止せ。色々誤解を招くし東映ファンが五月蠅い」
「んだよ、酒の銘柄の読み方くらいでケチケチするな」
酒が入り舌が滑りやすくなっている両津に月光刑事がたしなめる。
「おう、中川も良い飲みっぷりじゃねぇか。もう1杯イケるか?」
「……はぁ~い♪ もっちろんですよぉ!!」
「あれ?」
1杯飲んだだけで急に態度が変わる中川。どうも様子がおかしい。
「おい美茄子刑事! お前本当にロマネコンティを持って来たんだろうな? 中川が妙だぞ」
「失敬な! ちゃんと確認してこうしてロマネコンティをだな……あ――――?!」
「! どうした?」
「……間違えて”ロマネコンチッチ”を持ってきちゃった。テヘ♪」
「何だと――――?!」
ロマネコンチッチ。ロマネコンティとは雲泥の差がある安ワインで、タチが悪い事にラベルまでロマネコンティに似せてある。しかも原産国はあの赤い旗の中ノ国なのだからシャレになっていない。決してガイガーカウンターを当ててはいけない。
「おい中川……夜も遅いからもうその辺で」
「なーに言ってるんでしゅかぁ? 夜はこれからじゃないですかー! どんどん飲みましょうよぉ♪」
中川の悪癖として”安酒に弱い”と言うのがある。過去にもたった1杯の安酒で性格が豹変した。今も正しくその状態なのである。
「おい両津! 中川くんの様子が?!」
「諦めろ月光刑事。もうこうなると止まらん。嵐が過ぎるまで待つしかない……」
「……具体的には?」
「アイツが力尽きるまで。でもアイツの体力も底なしだからな……今夜はもう眠れんと思っとけ」
「そんなぁ……」
「だいたい美茄子刑事! お前が間違えて持ってくるのが原因なんだぞ?! どう落し前付ける気だ!」
「あんな異常にそっくりなボトル、間違えても仕方ないだろう?!」
「なーにゴチャゴチャいってるんだぁ、おまえらぁ?!」
「「「!」」」
完全に目が座っている中川。このままだと発砲もしかねない。
「だいたいなー、角刈りぃ!! オメーがもっと頑張っていればボクだって変身しなくてよいんだじょー?! わかってんのか? あ”?!」
「は、はい! わかっているであります!!」
「それと変態2人~! オメーらが脱落なんてしなきゃ、角刈り呼ばなくて済んだんだぞぉ!!」
「わ、わかってる! いや、わかっています!!」
「早々に負けて申し訳ありませんでした!!」
中川に土下座する2人。もはや両津含めて3人は中川に頭が上がらない。
「じゃあ今夜はフィーバーだぜ、いぇ~い♪」
「「「い、いぇ~い……」」」
生返事をする3人。そしてその直後、亀マークの掛け軸が落ちた。中川がプライベートで携行している自慢の44マグナムで撃ち抜いたのである。
「ヒック! あんましノリが悪いと一番声の小さい奴からけつあな増やすぞ……いいなぁ?!」
「「「は、はい!! い……いっえ~い♪」」」
こうして4人の長い夜は更けていく。
筆者です。「照裏XI」をお送りしました。
明日更新分からサブタイはそのままですが、いよいよ2日目が始まります。いやー長かった! 前書きにも書きましたが9日間も初日の夜を書いていたんですね。でもお陰でUA30000達成。本当にありがとうございます! これからも頑張りますので是非御贔屓にお願いします。
では今回は趣向を少し変えて、頂いたご感想にありましたものを整理してご案内していきましょう。
3博士が関わったライダー関係者たちについて。
・江崎教授・・・なるべく学者畑で、かつ故人の人をチョイスしました。それも主人公側で。江崎教授がなんだかんだ人付き合いが良く、人情味がある人物であるのを描きたかったのもポイントです。まぁクリムもシュラウドも江崎教授同様にネジは飛んでますがw
・ジョニー・・・アウトドア派のジョニーに合わせて、同じくフィールドワークが得意な響鬼さん。そして性格がベストマッチしそうなモモタロスを選びました。どちらとも意気投合して酒飲んでそうでしょ?w
・スパーク社長・・・こちらは一転。ラスボス側の人たちを。檀正宗社長も神崎士郎もどちらも一筋縄ではいかない性格してますからね。寧ろスパーク社長がまだ可愛く見えるくらいでw
ご意見として「レジェンドバックル作れるんじゃね?」とありましたが、残念ながら作ろうにも資料が無いとかなり難易度高いです。江崎教授にせよスパーク社長にせよ、関わっている人たちはもうこの世に居ませんからね。そのためのインチキフィーバーバックルです。爆発しましたけどw
桐生戦兎と万丈龍我が出るのでは?ともありましたが、出来れば出したいですね。但し、何処で出すのかが悩みどころ。確実にオリジナル展開になるでしょうね。或いは未視聴のビルドNEW_WORLDシリーズを履修して本文に組みこむとかかなぁ……
余談ですが中川がモモタロスを知っている風なのはふと出ただけだったのですが、ここから更に広がって、中川inモモタロスの二次創作が書けないかなと考えて居たりします。そうとうヒマがないと執筆は難しいでしょうけどね。
では明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いします。
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