仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~ 作:唐 十三郎
「やっぱり群馬じゃねぇか。う……わかった、もう言わないから!」
両津の発言に無言の圧をかけるツムリであった。
「アイツは、前回参加者の桜井景和か? なんだってこんな所に居るんだ?」
これには両津も軽く驚いている。前回デザグラでほんの僅かだがパンクジャックとしてペアを組んだ桜井景和が目の前に現れたからだ。景和のペアは結局道長となり、自身はイカサマカジノディーラーだった小金屋 森魚と組んだのでそこまで長い時間を過ごしたわけではない。だが、彼の純粋なひた向きさは両津の記憶に深く焼き付いていた。
状況に困惑してるのは景和も一緒だ。だが彼は単に目の前に有名人が居た事にであったが。
「有名人が二人も?」
「英寿さまだ!」
「祢音ちゃんも居る!」
「かわいい~♪」
景和が言うなり姉弟と運転手はライダーたちに近づいた。目的は英寿と祢音。メディアで人気者の二人に近づきたいのは世間では誰でも思うだろうから仕方ない。
子供たちが訪ねた。
「なんでなんで?」
「みんなこそ……なんでこんな場所に?」
「道路にいきなり穴が開いて砂に沈んで……気が付いたらここに居たんです」
祢音の問いに運転手が答えた。そして首を摩りながら苦言も言ってきた。
「それよりこの妙な首輪外してくれよ!」
一般人の皆の首には植物のツルを編んで作られたような首輪が巻かれている。そこにツムリがルール説明をする。
「彼らはジャマトに連れ去られた一般人です。それでは第2回戦、迷宮脱出ゲームを始めましょう。先ずは近くの一般人とライダーでペアになってもらいます」
男の子は直ぐに英寿の隣に来た。名前を葉山良樹(はやま よしき)と言う。憧れのスターとペアになれて幸せそうだ。
「初めまして尾形次郎(オガタ ジロウ)。おとめ座のA型……」
バス運転手は祢音とペアになろうと急ぎ近づき、聞いてもいない自己紹介を始めるも、
「おい、お前のペアは俺だ」
道長に首を掴まれ引き離される。運転手の希望は空しく道長と組む事になった。
「よろしく!」
「あ……お願いします」
「こちらこそ!」
景和には爽やかに挨拶してきた一徹が近付きペアとなる。
祢音には姉の葉山梢(はやま こずえ)がペアとなる。
「一般人の皆さまを保護しながらこの迷宮を脱出できたら勝ち抜け。守り切れなければ脱落です」
「ふーん……で、俺は誰を守れば?」
「ワシとペアになる者も居ないな」
ルール説明をしているツムリにウィンと両津が訪ねた。
「晴家様には……私です」
「! オッケーベイベー!」
それを知ったウィンは馴れ馴れしくツムリの肩に腕を乗せる。その態度にツムリは少し嫌そうな顔をした。
「あれ? ワシは一人か?」
「? おかしいですね。予定ではもう一人いらっしゃるのですが」
「あのー……様子を見ると言って向こうに行った人が居るんですけど」
ここで景和が手を上げた。
「ほら、もしかしてあの人じゃないですか? おーい、こっちですよー!」
景和が声をかけた先には遠くから一人、こちらに歩いて近づく者が居た。少し長めのスカートを履き、清潔感のある白いロングシャツを着た長い黒髪の女性だ。首には景和たちと同じ首輪が巻かれている。こちらの様子を見ていたその女性は一人の男を見るなり走りだしていた。
「もしかして……やっぱり! 両さまー! 私ですー!!」
「ん? げ! もしやあれは……?!」
「両さま――! 貴方のマリアですわ――!!」
「やっぱり! マリアか――?!」
古城を模した建物の庭園を駆けてくるというシチュエーションもあり、その人物が駆ける様はまるでプリンセスのような錯覚を誰もが感じた。
ただし、名前を呼ばれている両津勘吉は例外だったが。
両津がマリアと呼んだその人物は両手を広げて両津に飛びつく。
「「「「「「「嘘っ?!」」」」」」」
ウィン・景和・運転手のオガタ・祢音・道長・一徹・そして英寿。
計7名はこの光景に大いに驚いた。
深窓の令嬢のような美しい女性が相手とするにはとても似合わない、野獣のような両津勘吉に自ら抱き着いたからだ。
「どういう事だってばよ……?!」
と、ウィン。
「ありえない……なんであんなおじさんに?」
と、景和。
「よ、よりにもよってあんなヤツに……」
と、尾形。
「いやいや、若さって羨ましいなぁ~」
と、一徹。
「何? もしかして両津さんの彼女?!」
と、祢音。
「マジかよ……あんなオヤジに美人の彼女が……」
と、道長。
「これはいきなりハイライトだな……予想外ってのはいつだって起きるもんだ」
と、指をパチンと鳴らす英寿。それぞれの驚き方をしている。
ちなみに小学生の葉山良樹は状況がわからずキョトンとしていて、中学生の葉山梢はまだそういうのも早いのか、ただ女性が男性に抱き着いているだけで顔を真っ赤にしていた。ツムリは何も動じず無表情だ。
皆の狼狽には全く気付かず、マリアは両津を抱きしめながら頬ずりをして過剰なまでの愛情表現をしている。
「ああん両さま――! マリアとっても怖かったですわー!!」
「ワシは今、この状況が一番怖いけどな……」
「もー! 両さまったら、イ・ケ・ズ♪」
二人だけの空気になろうとするも、すぐさま皆が集まり両津とマリアに詰め寄ってきた。
「いいいいいいい……いったい何なんですかぁ?!」
「そ、そーだよ君たち! 状況わかってる?! あ、ありえないんだけど!!」
そう言ってきたのは景和と尾形。内心ジェラシーが凄い。
「り、両津さん! そんな美人さんとお付き合いしていたの?!」
「いやぁ……若いっていいねぇ。ぜひ私もお近づきになりたいものだ」
祢音は上ずりながらも両津に質問をした。恋バナでもしたいのだろうか? 一徹はマイペースなれどもマリアに興味津々だ。
「おい! 今はじゃれついている場合じゃないぞ。……マリアって言ったか。連絡先を教え……いや、何でもない」
道長は正論を言おうとするも本音が垣間見えた。
「ふん……アンタにまさかこんな綺麗な人が居るなんてな。良かったら俺にも化かされないか?」
庭園の花を摘み、マリアに差し出しウィンクをする英寿。今の時点では一番タチが悪い。だが上には上が居た。
「ハーレルヤー!!」
突然叫んだウィン。何処から持ってきたのかフライングVのギターを構えている。
「オーベイベ、マリーア! 俺とペアを組もーうぜぇ~♪ 今日だけじゃない、これからーもー! これからーもー! ずーうーぅとぉおおおおおおおおおおおおおおお!!」
告白しながら歌い出した。ツムリに歌ったものより当社比2000%越えの魂が込められた渾身の歌だ。その様子にツムリは少しイラっとしている。
「私には両さまが居るのでお断りします」
「即答?!」
満面の笑みで断るマリア。そしてウィンは真っ白い灰になるも、すぐに復活し少し涙を潤ませ怒りの表情で両津に詰め寄った。
「両さん! 何なのこのコ?! 鉄壁じゃない!!」
「あー鬱陶しいなぁ。おいマリア、いい加減離れろ。そして皆に挨拶だ」
「あ、はーい♪」
両津の言葉には絶対服従なのかマリアは姿勢を正し、お辞儀をしながら皆に挨拶をする。
「初めまして。両さまと同じ職場で働いている麻里 愛と申します。職場の皆さんからは名前の読み方を変えてマリアと呼ばれています。これは両さまが付けてくれたんですよ♪」
その清楚な聖母のような微笑みにはあの道長でさえ一瞬顔を緩めてしまった。英寿もいつもより表情が緩い。他の男たちはもう緩みっぱなしだ。
「「「「マリアちゃん、かわい~い」」」」
「うわ……キモ……」
若干祢音が引いた。
「凄い可愛いねー♪」
「そーだねー♪」
流石に小学生にもこれは刺さるのか、マリアの可愛さを認識した弟の良樹に反応する姉の梢。ツムリは無表情だ。
皆の様子に一番冷静なのは両津だ。そのため、この場の空気を入れ替えるためにいつもの説明に移る。
「あのな……盛り上がっているお前らには悪いが、コイツは男だ」
誰もが無言になった。だがその沈黙は一瞬で崩れた。
「いやいやいや、ありえないでしょ?」
「……とことんふざけたオヤジだな。とうとう狂ったか?」
「何を言ってるんだか~」
「冗談が好きだねぇ」
「お肌ツルッツルじゃない」
「フ……何を言うかと思ったら」
一斉に喋り出したので誰が何を言ったかは割愛しておこう。だがウィンだけは一際大きな声で両津に食ってかかる。
「おい両さん! お前色々失礼だろ? 俺たちにも、そして何よりこんな天使みたいなマリアちゃんにも!!」
「……まぁそう言うと思ったよ。残念だ。ああ残念だ。今からお前らに現実を見せてやろう!! マリア――! スカートを捲れぇええええ!! こいつらにお前の男を見せつけてやるんだぁあああああああ!!」
「はーい! わかりましたわ――♪」
「! これは危険です!」
両津の叫びにとてつもなく危険なものを感じたツムリは、急ぎ葉山姉弟を抱き寄せ二人の目をそっと塞いだ。
ちなみにわかる人にはわかる言葉で言うと、マリアは「ノンホルノンオペアリアリ」である。
数分経過した。皆が真っ白になっている。例外はツムリと、彼女に瞳を塞がれていた葉山姉弟、両津、そして元凶となったマリアだ。
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ……」
「これからの人生、何を信じれば良いんだ……」
「な……長生きするもんだなぁ……もしやもうお迎えが?」
「え? ウソ? もうあたし女失格なのかな?」
「ダメだ……やっぱり俺の人生に女との恋愛なんて不要だ……いや、アイツは男か?」
「は……は……ハイライトだった……」
そしてウィンは拳から血を流しながらひたすら床を殴り、意味の分からない事を叫び続けている。
「オーマイ! オーマイ! オーマイミートボール!! オーマイフランクフルト!! ビッグ、ビッグフランクフルトぉおおお!!」
精神崩壊した皆に構わず、ツムリにルールの再確認をする両津。
「じゃあワシはマリアを守ってこの迷宮を脱出すれば勝ちぬけなんだな」
「そうですね。ちゃんと守ってください」
「守るつってもなぁ……なぁマリア?」
「えー? マリアは両さまに守ってほしいです♪」
「……お前、ワシより強いじゃん」
「もー! それは皆にはナイショ♪」
マリアのいつもの態度にため息を吐く両津。そして周りを見渡し建物を確認する。
「ツムリちゃんでも出られない……か」
「……出口ならそこにある」
ようやく我に返った道長はすぐ近くの大きな扉にフラフラと歩き出した。
だが扉は堅牢そうで押しても引いても動かない。
「無理ですよ。その扉はどうやっても開きませんでした……」
フラフラだが歩けるくらいになった景和が言った。
ツムリが扉の横にあるインターフォンらしきパネルへ近づく。
「どうやら音声認証で開く扉のようですね……扉を開く合言葉が必要かもしれません」
壁には文字らしき模様をあしらった飾り石が埋め込まれている。
問題はその数だ。
「長いな……」
「長いね……」
「……何かの暗号か」
英寿と祢音がその飾り石の先を見つめて呟く。長さにして6~7メートル程度。
4〜5センチ四方角の飾り石に模様らしきものが描かれ真横一直線にズラーっと貼り付けられていた。
筆者です。「変攻III」をお送りしました。
今回は殆どマリアちゃんが持っていきましたねw 実際筆者も原作・アニメと両方でのインパクトが強く、今でも思い入れの強いキャラの一人です。
性別設定に関しては原作とアニメでは扱いが違うのですが、筆者のこの作品では「ノンホルノンオペアリアリ」にしていますw
今回のギーツvsこち亀で必ず登場させようと思っていましたが、丁度この話だと出しやすかったので執筆してみました。
いや実に楽しかった! 執筆しててこれも書こうあれも書こうと筆を進めたらまぁ止まらない止まらない。これもバス運転手のオガタさんと晴家ウィンという欲情を出したキャラが居たお陰です。そのためこの2人にはかなりダメージを与える事にしましたが。特に晴家ウィンね。楽しかった~w
今回はこのままだと後書きが終始マリアちゃんの話だけになってしまいますので、筆者の話を少し。
先ずはリアルの職場での話です。最近この小説の執筆を始めた件を同僚に話したら、まだ読んで頂く前に「でも両さんがライダーに変身するならライダーマンみたいに顔は剥き出しの部分があってほしいですねぇ」と言われたんですね。まさかの解釈一致でしたw やっぱり両さんにフルフェイスマスクを被らせるよりはパチモン感がバリバリある口出しの状態を望んでいる人が多いのでしょうね。
次にネットの友人との話。数か月ぶりに通話した時にやはりこの小説の事を話したんですが、まさかその方も結構こち亀には思い入れがあったとの事で。纏ちゃんとマリアちゃんに関しては解釈一致して何よりでした。最近は書いたネタを先にお送りしています(迷惑)
またこれも余談となりますが、今回の「変攻」から前書き部分をツムリを中心とした小話に変えてみました。いかがなものでしょうか? それに伴いお気付きの方もいらっしゃるかも知れませんが「珍戦」も既に変えてあります。お手数ですがお読み頂ければ幸いです。大した事は言ってなく、前の話のあらすじとそれに伴った小話を書いています。今後ここでもネタ出し出来るかと思うと楽しみです(ネタ貧乏にはなりますがw)
ではまた明日。夕方17:30に次の更新でお会いしましょう。
追伸:バス運転手の尾形さんと、巻き込まれた葉山姉弟の名前や呼称箇所。また終わり部分を加筆修正しています。申し訳ありません。
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