仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「リアリティライダーショー、デザイアグランプリ! 打倒校長ジャマトを目指すライダーの皆さまはそれぞれで活動をしております。両津様と英寿様は浅草の両津様の母校にて校長室の見学を行いました」
「なあ両さん、あの時計台が両さんが花火で壊したやつか?」
「ああ。他の所と比べてまだ新し目だろ? ワシが花火で壊してから修理をしたからなぁ」
「ここから見るとスカイツリーが見えるな」
「ああ。今時この学校に通える奴らが少し羨ましいぜ。毎日スカイツリー見放題じゃねぇか」

 時計台よりも遥か先に天を突くスカイツリーが見える。

「もし今通っていたら、結果としてスカイツリーに花火をぶつけていたんじゃないか?」
「おいおい……いくら何でもワシが東京のランドマークをだな。……やりかねない」

 その場にうずくまって過去の黒歴史と今後の展開に怯える両津。この作品の筆者ならやりかねない。


照裏XVIII:見抜くモノと見抜かれるモノ

 千葉県時空が原。この一面畑ばかりの寂しい土地の真ん中に、両津の上司である大原部長の邸宅がある。両津・英寿・ツムリの3人は邸宅の門の前に居た。

 

「両さん、今度は何処だ? と言うかここは日本の何処なんだ?」

「千葉県だよ。時空が原って言うヘンピな田舎さ」

「千葉ぁ?! 俺もロケで何度か来た事があるけど、こんなに何も無い場所だったか?」

「探せばあるんだよ。土地なんてタダ同然のこんな田舎がな」

「タダ同然の田舎で悪かったな」

 

 門が開き、大原部長が現れる。

 

「や、やだなー部長。聞いていたんですかぁ?」

「お前の大声なんて屋敷の中に居てもわかるわ! もっと声量を落とせバカモン。ご近所迷惑だろうが!」

「いやいや近所って……周りに家なんて全く見えませんけど?」

「見渡す限り畑ばかりだな」

 

 英寿の言葉で大原部長の顔が赤くなった。確かに言う通り周りに家なんて一軒も見えない。

 

「言うんじゃない! とにかくいつまでも立ち話も無いだろう。早く入りなさい!」

「はーい! お邪魔しまーす♪」

「お邪魔します」

「失礼致します」

 

 大原邸は敷地面積がかなり広い邸宅で、かねてより武家屋敷に憧れた大原部長が1人娘のひろみを嫁に出した事をきっかけに市川から転居する際に構えたものである。見渡す限りの田舎なので食料の買い出し等が不便だが、運送インフラがある程度整えられた昨今なので何とか暮らしていけるらしい。通勤時間片道3時間を犠牲に手にした彼の城だ。

 

「両津さん、お久しぶりね」

「どうも奥さん、ご無沙汰しております!」

「まぁまぁこんなにお客様が来るなんて……これなら何かお茶菓子を買っておくんだったわ……」

「そう言うと思ってちゃんと用意しておきましたよ。アキバ名物メイドまんじゅう! 余ったら部長と一緒にどうぞ!」

 

 両津は手土産の袋を出迎えてくれた大原部長の妻・良子夫人に手渡す。

 

「秋葉原にそんな名物あったか?」

「秋葉原で何か買っていたのはこれか」

「所謂”静かなブーム”と言うらしいです。味は普通のお饅頭みたいですね」

 

 玄関から上がり込もうとした折に大原部長は英寿に向かって居直る。

 

「君、室内に上がるのにサングラスは無いだろう。失礼だとは思わないのかね?」

「いや、これは……」

 

 思わず両津の顔を見る英寿。両津は頭を抱え英寿にサングラスを外すジェスチャーを見せる。

 

「良いのか……? 仕方ない。大変失礼しました」

「ちょっと待て! もしかして君は……」

 

 サングラスを外した英寿の顔を見て驚く大原部長。だが両津が横やりを入れた。

 

「えーと、コイツはですね~ワシの知り合いの工務店で働くウキヤくんでです。今日は勉強のために連れてきました」

「ウキヤくん……そうなのか? それじゃあそちらのお嬢さんは?」

「ウキヤくんの姉のツムリちゃんです。何か一緒に来たいって付いてきちゃって」

「姉のツムリです。どうかよろしくお願いします」

「これはこれは……若いお嬢さんには面白みもない家ですが、どうかゆっくりしていってください……アタタ!」

「アナタ、みっともないですよ」

 

 ツムリの美貌に鼻の下を伸ばす大原部長を良子夫人が尻をつねる。

 

「そうそうゆっくりもしてられないんですよ部長。例のモンの続きをしに来たんですから」

「何? オマエがやるのか?!」

「例のモノ?」

「ああ。今日はそいつを片付けに来たんだ」

 

 両津が割って入る。そして英寿が訊ねる。

 

 庭先に出るとその目的の物が目に入る。広めの庭先には建物がもう一棟作られようとしていた。だが今の段階では土台が組み上げられているだけだ。

 

「この状態から随分放置していてな。まぁワシの無茶がいけないんだが」

「そーですよ。予算もあまりないクセに中川に頼むから。アイツも随分心配していましたよ~」

「どういう事だ?」

 

 今建設しようとしているのは娘の嫁入り先、角田家のための別邸だ。将来的にはこの家を子育てが一段落したひろみとその夫、角田に譲り渡そうと考えていたが、純和風の邸宅よりも洋風建築の方が住みやすそうと考えた大原部長が中川に相談したのである。中川建設で出てくる余り材や廃材を工面して、なるべく少ない予算でも建てられるように調整していた。だが最近の不景気による材料の高騰によってなかなか良い建材が手に入らず結果として長らく放置せざるを得なかったのである。

 

「だからこうしてアッシが出張ってきたわけでござんすよ、と……」

「でもお前、何も運んで来なかったじゃないか。材料も無しにどうするんだ?」

「ヘヘヘ……そいつぁ見てのお楽しみってヤツですよ!」

 

 中川から送られた図面のPDFファイルをタブレットで確認する両津。大まかに目を通すと英寿に声をかける。

 

「おう、例のバックル貸せよ」

「パワードビルダーバックルを? 両さんがやるのか?」

「ああ。まだお前に基礎工事はやらせてなかったからな。ワシがやるのを見て覚えろ」

「わ、わかった……」

 

 英寿はパワードビルダーバックルを両津に手渡す。

 

「へへへ……使ってみたかったんだよなーコレ。じゃあ行くか!」

『 SET CREATION 』

「……変身!」

 

 両津は往年の1号ライダーを模した変身ポーズを決め込む。すると目前にトーラスリアクターから放出されたエネルギーがバックル毎のテーマとなる文字をグラフィックで映す。通常パワードビルダーで書き上げられるのは”Safety First(安全第一)”だが、何故かタートルズが装着した今回は”Safety Comes Second”となっている。

 

「”安全二の次”って……大丈夫かよ、両さん」

「うるせぇ! 黙って見てろ!!」

 

 警告色の鉄骨が地中から生え、建物か足場の骨組みのようなものが自動で建築される。各所から建設現場特有の建材がガコガコと組み上がる音がしている。同色の2本のロボットアームが上下装甲を生成し配置された。

 

『 DEPLOYED POWERED SYSTEM GIGANT BLASTER READY……FIGHT! 』

 

 手にギガントブラスターを取った姿、パワードビルダーフォームになるタートルズ。だが、この姿を見て大原部長は腰を抜かしてしまった。

 

「り、両津……何だその姿は――――?!」

「あ……えーとですね。ほら! あれですよ! 中川の所で新開発されたパワーアシスト! 部長もスカイツリーの建設の時に見てくれたでしょ? あれの最新版なんです!!」

「パワーアシスト……? あの非力な者でも力仕事が出来る様に補助するスーツか」

 

 パワーアシストとは実際に世間で導入されはじめた力仕事の補助をする道具である。建設業だけではなく、農業・運輸業・漁業などでも活躍する21世紀のアイテムである。ただ、ライダースーツをパワーアシストと言い切るにはかなり無理があるように思えたが……




 筆者です。「照裏XVIII」をお送りしました。

 お待たせしました。久々に大原部長の登場です。さてさて、部長の願い通りに庭先に別荘は建つのでしょうか?

 今回急に部長を書きたくなったのは、先日発売されたコンビニ売りの「秋本治のナイス!なチョイスこち亀2」の中に「嗚呼! 我が青春電車の巻」が掲載されていたのがきっかけです。若かりし頃の部長と良子夫人が出てくる朗らかな話ですのでご機会ある方は是非にチェックをオナシャス。

 さて、今夜も早々にしめましょう。明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いします。

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