仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「リアリティライダーショー、デザイアグランプリ! 校長ジャマトを倒すために皆さまがそれぞれ動いています。両津様は英寿様と共に時空が原で大原部長の邸宅を作成しています。大原様は自慢の品として両津様が打った刀を持ってきて頂きましたが……」
「あー、昔ワシが打った刀だな。あんときは大変だったぜ」
「どんな発想したら自分で刀鍛冶をするなんて所に行き着くんだよ?」

 英寿がボヤキ混じりに聞いてみる。

「……誤魔化すのに必死だった。買い直す金も無かったからな」
「だいたい鍛冶場道具を揃えるのだってかなりの出費だったろうに」
「その辺はノープロブレム。知り合いのツテで払い下げの中古品を格安で譲ってもらった」
「そんな知り合いまで居るのか」
「結構居るぞ。タレント・アイドル・ミュージシャン・建築家・アニメ監督・声優・コメディアン・政治家・ヤクザ・大学教授・会社社長・宇宙人・閻魔大王・神とか」
「待て待て待て待て。多い多い。そして最後の辺りがおかしい」
「とは言っても事実だからなぁ」

 そしてこの話が終わる頃に英寿もその神の一柱となる事を彼はまだ知らない。


照裏XX:見抜くモノと見抜かれるモノ

 両津が打ったその刀は正確には打刀(うちがたな)と分類されるものである。

 打刀は室町初期に登場し、室町後期には武士が太刀(たち)に代わって打刀を用いるようになり、以後明治初期まで実戦で用いられた刀である。日本刀と言えば、この打刀を思い浮かべる者が多い。太刀と比べると反りが浅いのが特徴だ。と、大原部長が講釈を行う。

 

「元々はアイツのドジがきっかけでね」

「と言うと……」

「ワシの昇進祝いに署の連中皆で金を集めて買ったという100万円の打刀をアイツが遊んでいて刃こぼれを作ったらしい」

「それはまた両さんらしいと言うか……」

 

 呆れ混じりに英寿が相槌を打つ。その後に寮へこっそり持ち帰った両津は刃こぼれの修復に挑むも、強引にグラインダーで行おうとしたのが決定打となり、その太刀を折る事となった。

 

「その後アイツは、寮の自室に鍛冶場道具を一式揃えてこの打刀を作る為に数日欠勤した。表向きは風邪だと言ってね」

「ほ、本格的に打ったのか?!」

「付き合わされた本田の話だと図書館で何冊も鍛冶の本を借りてきて全て読破し、全て独学で作ったそうだ」

「その結晶がこの刀ってワケか……」

 

 曇りのないその刃を何度も眺める英寿。優れた刀は名刀、或いは妖刀とも称される。その輝きや切れ味に魅入られて、人としての道を外れる者も少なくない。柄や鞘こそ白木のシンプルな造りだが、飾り気が無く純粋に刀としての存在感を大原部長は気に入っていた。

 

「まぁコイツのせいでワシの昇進もお流れになったのだがね……」

「? それはまたどうして?」

「ゴホンゴホン! まぁ色々あってね!」

 

 咳払いをして誤魔化す大原部長。この刀を受け取ったのは葛飾署にて昇進の祝いを受けていた頃で、せっかく手にした日本刀で演舞を行う様に皆に促されていたら居合の一閃で葛飾署を切り落とすという凄まじいオチが付いたのである。5階建ての巨大な建物を斬り落としたその刀は、”両さんが打った魔剣”とか”大原部長の妖刀”とかの銘が勝手に付けられた。

 そんな事を知らずに言った英寿の一言が、この後の珍事に繋がるとは。恐らくこち亀ファンくらいしか想像できないであろう。

 

「大原さん、良かったらコイツで是非アンタの腕前を見せてくれないか?」

「ワシのかね? 拙い剣術だがそれでも良ければ……」

 

 謙遜である。大原部長は警察の剣道大会で日本一の腕前を持つ達人だ。両津にとって最高の師であり、そして最大のライバルである。かつて両津は屈強な大原部長に勝つためにシミュレーションソフトを駆使して戦った事もあった。

 英寿から刀を受け取った大原部長は鞘から抜き出して、その美しい刀身を全て陽光に晒す。

 

「これが……両さんが造った刀!」

「どれほどの気迫で打ち込まれたものなのでしょうか……」

 

 英寿もツムリも刀を構えた大原部長に魅入られていた。良子夫人は久々に見る夫の本気にまだ出会った頃の少女時代を思い出す。お互い大学生で青春を謳歌していた頃だ。

 

「……ふん!」

 

 上段から振り下ろされた刀は光を照らし美しい弧を描く。

 

「たぁ!」

 

 更に突きを繰り出す。その風圧だけで数メートル先にあった庭木の枝がザワっと揺れる。

 

「風が……」

「大原様の剣技だけで大気が震えていますね」

 

 かつての大惨事の件もあったため、日課の素振りの時も敢えてこの刀には触れずにいた。だが浮世英寿という希代のスターに自分の剣舞を見て貰えていると言う嬉しさに大原部長は舞い上がっていた。もっとかみ砕いて言うなら”調子に乗っていた”のである。

 

「きぇええええええええええええええ!!」

 

 示現流は大原部長の本来の流派では無いが若気の至りで学んでいたもので、野良犬剣法とも自称する両津相手に本気を出す時は多用してもいる。その勢いのある剣圧は、ようやく壁まで仕上げたせっかくの一軒家を見事縦に真っ二つとぶった切る事となった。

 

「な……何やってんすか部長――――――! せっかく建てたのにぃ~!!」

「す……すま――――――――――ん!!」

 

 結局両津はギーツに変身した英寿の力を借りて、一軒家をもう一度建て直す事となった。

 小一時間もするとパワードビルダーバックルをギーツに渡して内装作業を行わせる。最後の仕上げを終えてようやく一息付けた英寿は変身解除をした。

 

「できた――!」

「あ~……ようやく終わったか」

 

 ようやく出来上がった一軒家。3LDKと言うシンプルな間取りだが、いずれ子育てを終えた老夫婦の終の棲家としては丁度良いだろう。その頃にはこの時空が原にももう少し住居が増えるとありがたいものと大原部長は願う。

 

「2人ともお疲れ様。素晴らしい! 仕上がりも並みの建築会社なんて目じゃないぞ、両津!」

「ヘヘヘ! 部長がそう言ってくれるなんて珍しいっすね。こりゃ明日は雨かな?」

「うるさい! 調子に乗るんじゃない。全くこれだからお前は……」

 

 いつもの調子で両津を窘める大原部長。とは言え、最高の出来で仕上がった建物を見て自然と笑顔になる。

 

「もう行くのか? せっかく夕食を用意しようと思っていたのに……」

「そいつぁありがてぇ話なんですけど、急ぎ戻らなけれりゃならんのですよ」

「そ、そうか……残念だな。最近は超神田寿司に戻っているのか?」

「いやー、用事がなかなか片付かなくて」

「そうなのか……」

 

 チラリと英寿の顔を見る大原部長。英寿の表情から何かを察する。だが両津は気付かぬ存ぜぬで屈託の無い笑顔を見せる。そしてこんな事を言った。

 

「ワシらが居なくなるからって寂しがらないで下さいね、部長!」

「な、何を言っているんだバカモン!」

「それに、この後で嫌でも賑やかになりますからね、ヒヒヒ!」

「? どういう事だ?」

「そいつぁ後のお楽しみって事で。それじゃあまた!」

「お邪魔しました、大原さん」

「お邪魔致しました」

 

 玄関を出て外門を出る3人を玄関先から見送る大原夫妻。もう一度感謝の言葉を告げようと3人を追いかけるも外門を出ると3人の姿は消えていた。

 

「あれ? 両津たちは一体どうやって?」

 

 周りに自動車が走って行った音も無く不思議がっていたその時、爆走してきた自動車があった。

 

「お父さん!!」

「お義父さん、無事ですか?!」

「お祖父ちゃん!!」

「おじぃちゃーん!!」

「お、お前たち……一体どうして?」

 

 自動車は嫁に出したひろみの夫、角田英雄が運転してきたものだ。孫の大助とさくらも一緒に居る。

 

「? だってお父さん、危篤でもう数日の命だって……あれ? 元気そうね」

「はぁ? 一体誰がそんな狂言を……」

「両津さん」

「あらあら。私たち見事に両津さんに引っ掻き回されちゃったみたいね」

 

 良子夫人がニコニコと笑っている。久々の娘夫婦と孫たちに会えて心底嬉しそうだ。

 

「そうそう、みんな見てよ! 貴方たちのための新しい家が出来たのよ!」

「新しい家……? 嘘! すっごーい!!」

「いつの間に……この間来た時はまだ土台だけだったのに」

「うわ、すっごーい!」

「あたらしいおうちだー!」

 

 喜ぶ娘たちの姿に大原部長は目に涙を溜めている。

 

「あのバカ……! 両津のバカはどこだ――――――?!」

 

 風のように現れて風のように消えた両津に向けたその言葉が時空が原に響いた。




 筆者です。照裏XXをお送りしました。

 皆、知ってるんじゃん! 両さんの刀!! ご感想本当にありがとうございました。
マンガ原作52巻6話「迷(?)刀鍛冶両津見参の巻」、アニメ287話「最後のプレゼント」からインスパイアしました。このエピは神作品なのでご存じ無い方は是非チェックしてみてください。
 とは言え筆者はマンガ原作の方から入り、アニメは最近になって知ったんですけどね。アレンジも神でした。
 
 マンガ原作はこちらのまとめサイトをご覧になるとわかりますが、
https://youngjumpkatan.doorblog.jp/archives/12311702.html
簡単に概要を書きますね。
 部長の誕生日のお祝いに皆で70万の刀を購入。届いた刀で遊んだ両さんが刀を刃こぼれさせてしまう。急ぎ修復しようとするも失敗。決意した両さんは寮に鍛冶場道具を持ち込み刀を打つ事に。無事に部長の誕生日に刀を渡すも部長は激怒し両さんは逃亡。だが怒った理由はその見事な刀。部長の見立てでは200万くらいの逸品。誤魔化しで作った刀がバレたくない執念で本物以上の出来栄えになるという両さんの人柄がわかるオチでした。

 ではアニメはどうなるかと言うと、
 本庁昇進が決まった部長にサプライズでお祝いを用意する派出所の皆。署員から集めた金で100万の刀を購入。刃こぼれのシーンは同一ですが両さんの妄想が膨らんでいて浪人姿の両さんが見れます。刀の修復失敗からの刀鍛冶へジョブチェンするシーンも少し膨らんでいます。ここで事情を知らず具合が悪いと誤解し様子を見に来た本田君が真相を知り巻き込まれますw 部長の栄転は葛飾署の集会で行われます。そこへ本田君のバイクで乗り込む両さん。手渡された刀を見て怒る部長。謝罪する両さん、けれど怒った理由は数千万の値打ちになる刀の出来栄えでした。真相を知ってたいそう喜ぶ部長。皆に促され剣舞を見せます。けれども居合の一閃で葛飾署を斜めにぶった切ります。この顛末で本庁栄転はお流れ。怒った部長は両さんを追いかける。こんなアレンジとなっています。

 まとめサイトで見れますが、両さんは最終的に20本の刀を打った果てに部長への一本が出来上がります。その試し打ちの刀たちが迷走に迷走をしたのか変形刀も数本混ざっていて、果てには手裏剣まで打っていますw 両さん暴走し過ぎwww
 しかも20本で数千万の値打ちが付くような刀は匠でもなかなか難しいらしいみたいですね。流石両さんだわ~……
 
 せっかく部長を出すのでこんなエピを書いてみたくなりました。そしてこのエピは実は今後に断片的に繋がっていきます。どういう風に繋がり、そしてどう結実していくかは今後ともお読み頂ければ自ずとわかります。と言うかバラしていきますw
 
 久々に後書きが長めになりましたね。では明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いします。

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