仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~ 作:唐 十三郎
「ちょっと待て! 別にマリアは運命の恋人でもなんでもないぞ!!」
全力で否定する両津勘吉。
「……おかしいですね。こちらの資料にはそのように書かれていましたが」
「誰だ?! こんなデタラメな資料を用意したヤツは!!」
その頃のゲームマスター
「? 違っていたのか? おかしいな、スポンサーから渡された資料にはそれっぽい事が書いてあった気がしたのだが……」
どうやら今回のマリアの参加はゲームマスターのミスリードらしい。
「どうやら音声認証で開く扉のようですね……扉を開く合言葉が必要かもしれません」
壁には文字らしき模様をあしらった飾り石が埋め込まれている。
問題はその数だ。
「長いな……」
「長いね……」
「……何かの暗号か」
英寿と祢音がその飾り石の先を見つめて呟く。長さにして6~7メートル程度。
4〜5センチ四方角の飾り石に模様らしきものが描かれ真横一直線にズラーっと貼り付けられている。
「しかしこの長さ……もう少し何とか出来なかったのか? とにかくチェックしてみよう」
英寿の言葉に皆が動く。
「じゃあ撮るぞー」
「はーい♪」
「イェーイ♪」
「おい! 記念撮影じゃねぇぞ!」
「いいじゃねぇか。マリアちゃんも、ねー?♪」
「アタシ、どうせ一緒に撮影するなら両さまとが良いです……」
「塩? マリアちゃん、両さん以外にはマジで塩?!」
両津とマリアは飾り石を撮影していく。だがさっきまでの落胆はどこへやら、ウィンが割り込んでマリアとの2ショットと決め込んだ。攻略対象とされたマリアはとことん塩だったが。
「邪魔すんじゃねぇ、どいてろ! もっぺん撮り直しだ。じゃあそこに右手を置いて左手は指2本を立てろ。Vサインでいいから」
「はーい♪」
妙な指示だが的確ではあった。何分この飾り石、かなりの数なのだ。とても写真一枚では収めきれない。そこで石10枚に対し1枚の撮影で、次々と写真撮影していくという手段に出た。マリアは右手を使って目隠しもしていくので、6枚目からは小学生の葉山良樹にも参加させ枚数チェックの為の指を立てさせた。良樹もウィンと同様に記念撮影のノリだが、身体が小さいために特に邪魔にもならない。マリアとの2ショットはなかなか楽しそうだ。一見微笑ましい様子だが見ている両津はボソリと呟く。
「あの小僧、将来性癖が歪まねぇ事を祈るぜ……」
天然の聖母の美貌を持つマリアだ。子供だとしても油断はならない。色々な意味で細心の注意をしながら撮影を進めた。枚数は14枚にもなった。
「やっぱり文字なんでしょうか?」
「うーん、まだ良くわからんな」
景和が両津に尋ねるも、何とも言えない態度を取った。ここで一徹が質問をする。
「両さん。文字だとして何文字くらいになりますか?」
「えーとそうだな……136文字ってところか」
「136文字……」
「? じいさん、何か心当たりがあるのか?」
「そうですねぇ。もう少しじっくり見てみないといけませんが、もしかしたら……」
そう言いかけた瞬間、城の方を見張っていたツムリと道長から皆に注意を促す声が聞こえた。
「おい! 何か来るぞ!!」
「皆さん、気を付けてください!」
「「「「ジャジャジャジャジャジャジャジャ!」」」」
メイド服と執事服を着た大量のジャマトたちが建物からやってきた。ライダーたち皆はジャマトたちに包囲された。ツムリが力強く喋る。
「ジャマトです! ライダーの皆さん、お願いします!!」
言うが早いかデザイアドライバーを装着したライダーたちは変身ポーズを取り始めていた。
『『『『『『SET』』』』』』
ライダーたちの眼前に空間投影されたバックルの名前がそれぞれ表示される。一徹に『 PROPELLER 』。祢音に『 BEAT 』。道長に『 ZOMBIE 』。ウィンに『 MONSTER 』。英寿に『 BOOST 』。そして両津に『 BIG WIND FAN 』。
6人がそれぞれ声に出す。
「へ~ん……」
「「「「「「変身(しん)!」」」」」」
ドライバーに装着されたバックルにアクションを与え、6人が同時に変身をした。
『『『『『『 READY……FIGHT!』』』』』』
それぞれ装着したレイズバックルの固有名を追いかけて各ドライバーが一斉に鳴った。そしてジャマトたちが襲い掛かる。その戦いを見て一般人たちが怯え始めた。
「お姉ちゃん、怖いよ!!」
「大丈夫……英寿様と祢音ちゃんが守ってくれるから」
「ば……バケモノがこんなに!!」
「あの人たちは……いったい?」
ただ一人例外を除いて。
「凄い……凄いです! 両さまが変身するなんて!!」
子供の頃に観た変身ヒーローの特撮ドラマ。まさか自分の想い人がそのヒーローに変身するのを目の当たりにして、マリアのテンションは爆上がりだ。
「行け―! 両さまー!! そこですわー!!」
拳を振り上げ応援するマリア。気分は完全にヒーローショーのちびっこだ。
「おいアンタの連れ、大丈夫か?」
「あーまー平常運転だ……」
「マジかよ? 全然動じないどころかノリノリじゃねぇか」
バッファがタートルズに声をかけた。普段冷静沈着なバッファでもこれは意外だったのだろう。
その頃、ナーゴがビートフォームの主力武器であるフライングVシェイプをしたギター型MIDIコントローラー……ではなく、ビートアックスを振り回しジャマトを撃退していたが、彼女の目の前に別の執事ジャマトとメイドジャマトが対で現れた。だが二体はその場に立ち尽くし、ブツブツと何かを喋っている。
「ヘン……シン」
「ヘン……シン」
「え、今喋った?」
「「ヘン、シン!」」
二体のジャマトは腰に何かをあてがった。何とそれはデザイアドライバーだ。左側のスロットに禍々しいバックルを装着すると見る見るうちに変身していく。その姿はデザグラのライダーたちとは一線を画したジャマトらしい禍々しい姿をしていた。
『 JYAMATO 』
ドライバーから耳障りな電子音が響いた。
「おいおいおい、ジャマトが変身しやがったぞ?!」
ウィンが叫んだその時、ジャマトライダーが伸ばした触手がタートルズの腹目掛けて飛び込んだ。
「ぐわあああああ!! なんでワシがぁ?!」
「両さま?!」
吹っ飛ばされたタートルズの周りにメイドジャマトたちが取り囲む。武装したジャマトはよろめくタートルズに次々襲い掛かる。だがその時、
「両さま――――!!」
マリアが勢いよく飛び込んだ。
瞬間、メイドジャマトたちはその場に立ち尽くし、ユラリと倒れていく。
「両さま! お怪我はありませんか?」
「ああ、ワシは大丈夫だ。それより……危ねぇ! マリア、後ろだ!!」
サーベルを構えた執事ジャマトが数体、マリアの背後から飛びかかろうとしていた。
「ふん!」
数体の執事ジャマトたちも一瞬固まったが、すぐさまその場に崩れた。
「な、なんだ?」
「……何が起きたんだ?」
パンクジャックとバッファもこれには驚く。恐らく人生で初めてみる光景だ。生身でジャマトと戦う人間は様々見ていたが、可憐な乙女の姿をした者が次々とジャマトたちにクリーンヒットを与えていたのである。
すっくと立ちあがったマリアは集まっているジャマトたちに飛びかかり、渾身の蹴り技を次々繰り出していく。
「でぃやああああああ!! ふん! はっ! とぅ!!」
中段の回し蹴り、からの足払い。そしてしゃがみながらのアゴ先を狙った垂直蹴り。飛び上がって相手の後頭部を狙った回し蹴り……と。まるで蹴り技のバーゲンセールのような攻め方だった。
「両さん! マリアちゃん、強すぎるんですけど――?!」
「あの蹴り技って……まさか?!」
マリアの強さにひたすら驚くウィン。そして何かに気付く道長。
「へへん。アイツ強いだろう。ミッチーは何かに気付いたみてぇだな」
「ミッチーって言うな! けどさ、ありえないだろ? あの蹴り技って麻里 竜二の……」
道長が呆然としていたその時、少し離れた場所に居たジャマトライダーから再び触手が伸びて、マリアに襲い掛かった。だがマリアは渾身の飛びヒザ蹴りで弾く。
「てぃやあ!!」
軸足でほんの僅かに地面に立ったマリアは少しも無駄が無い動きで触手を蹴りで粉砕した。
「間違いない! 麻里 竜二だ! 竜二さんの蹴りだ!!」
麻里竜二。それはマリアの一年前まで名乗っていた名前。キックボクサー選手時代のリングネームだ。
「嘘だろ?! あの伝説のキックボクサー竜二さんの蹴り技?!!」
これにはウィンも驚いた。道長とウィンは現役時代のマリアのファンだったのだ。それぞれ直接試合会場に出向いて応援をした事もある。
ウィンは両津に質問した。
「両さん、マリアちゃんって竜二さんのなんなのさ?!」
「本人だよ。今はああだが、マリアは麻里竜二本人だ」
「「嘘だろ?!」」
「竜二さんがまさか、今はあんなに可愛くなっているなんて……」
「でも強い! あの頃の竜二さんよりもっと鋭くなっている!!」
慌てるウィン。態度こそ落ち着いているが内心心臓がバクバク跳ね上がっている道長。
次々とジャマトたちを蹴り倒すその姿はまるで神話に出てくるワルキューレ。戦乙女の様な気品と美しさと強さが共にあった。男だが。
マリア単騎でジャマトたちを圧倒していたが突如異変が起きる。遠くで様子見していたジャマトライダーたちが突進してきた。繰り出した攻撃をマリアは軽く躱すが、突如首輪が締まり出した。
「グッ?! な、なんですの?」
マリアだけじゃない。一般人たち皆の首輪が一斉に締まる。
「ケホッ! な、何?」
「カハッ! だ、大丈夫?」
「ゲホッ! し、締まっている?!」
「ガハッ! た、たすけ……」
英寿が呟く。
「まずいな。特定のジャマトが近付くと首輪が締まるのか。ナーゴ! コイツを借りるぞ」
「え?」
祢音の返事を待たずにビートバックルを抜き取る英寿。
『 REVOLVE ON!』
ドライバーを回転させて、空いた右側のスロットにビートバックルを差す。
『 SET! DUAL ON! BEAT!& BOOST! 』
身体は回転しビートアーマーが上半身に、ブーストアーマーは下半身に装着される。
『 READY……FIGHT! 』
その音声を追いかけるようにギーツの手に握られたビートアックスのボディ部分、叩くとドラム音が鳴るパッド部分を軽く指で叩くと軽めのスネアの音が「タン!」と小気味良く鳴る。
『 METAL THUNDER 』
電子音が鳴るとギターネックにあたる位置に配置されたフレットを模したスイッチの一部を右手でコードを押さえるように構え、左手の親指と人差し指で持ったギターのピックアップ位置に配置されたレバースイッチを何度も上下に動かしエネルギーを溜めていく。チャージされていくのを感じさせるギターソロの様なエフェクト音が両肩のアーマーに施されたスピーカーから鳴り響く。まるでライブ演奏だ。
「みんな、伏せていろ!!」
英寿が叫んだ瞬間、ビートアックスから蓄積された大電流が放出される。
『 TACTICAL THUNDER 』
電子音が一面に響く。ジャマトライダー2体に大量の雷が降り注いだ。一瞬にして黒焦げになるも、直ぐに復元されようとした。
「一般人を抱えていては、逃げるしかない!」
英寿の号令で一行は城の様な建物の中に突入した。
筆者です『変攻IV』をお送りします。
先にお詫びを。前回の後書きにも書いていますが、『変攻III』にて加筆修正を行わせて頂きました。バス運転手の尾形次郎、巻き込まれた姉弟・葉山梢と葉山良樹。この人物たちの呼称箇所と終わり部分です。今後もUPしてからのブラッシュアップが多々行われるかもしれませんがお付き合い頂ければ幸いです。そんな姑息なUA稼ぎだなんてめっそうもない!
本編と比べてお気付きの方も多いと思いますが、扉の暗号は筆者アレンジが行われています。本格的なネタバレはまだ先ですので、今回は控えておきますし、もし気付いた方もご感想はそれまで控えて頂けると有難いです。大した事は無いネタなんですけどね。まぁ実際そんなのあったらどれだけ面白いのかなって実験も含めてます。
また今回、何とか頑張ってデザイアドライバーとレイズバックル、デバイスの表現や音声を書き込んでみました。「珍戦」の時は決して手を抜いた訳ではありませんでしたが、この辺に異を唱える方からの誤字報告機能での修正を多数頂きましたので、そちらの書き方を参考に構成をした次第です。まぁまだ「珍戦」の時は書き始めでその辺りの認識が浅かったと笑って頂ければ有難いですね。あまりに厳しい指摘や、当人なりの拘りが今後強まるようなら受け入れるかはわからなくなりますが。とは言え非常に参考になったのは事実です。ありがとうございます。
またそれと並行した話でも無いのですが、執筆していくにあたり、変身後の各キャラの名称をどうすれば良いかとも悩みますね。今回はあえて思うままに書き進めてみたのですが、読み辛いとか変身前と変身後でライダー名として書くべきとかご意見あると有難いです。
では今回の小ネタを。
道長とウィンが麻里竜二のファンだった・・・ウィンはそのファイトスタイルから。ミッチーは偏見入りますが、あーゆーお仕事の人って結構格闘技好きの方が多そうなイメからですね。またミッチー、本編中でデザグラ記憶を失っている時に英寿から「サインしてやろうか」と言われた時に「いいのか?」とめっちゃ嬉しそうだったんですよね。きっと麻里竜二のサインも欲しがるでしょうw
ビートアックス・・・ギター型MIDIコントローラーっての本当にあります。本編のビートアックスも原型は何かはまだ特定ついていないのですが、その形状やスイッチ類の構成から土台となっているものがある筈です。どういうものかと言うと、鍵盤無しのシンセイサイザーの音を鳴らす為に外付けで付けるスイッチコントローラーです。詳しくは「DTM」か「DAW」と言う単語で調べて頂くとなんとなーくわかると思います。ちなみにバンダイさんで出ているオモチャは完全にあれ一台で完成された子供向けのオモチャですから誤認しないでくださいね。
ではまた明日の夕方17:30の更新をお待ちください。お楽しみに!
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