仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「リアリティライダーショー、デザイアグランプリ!! 前半戦を終えた皆さまは後半戦までに様々な思いを抱え始めました」
「どいつがデザスターかって、ハッ! くっだらねぇ事よくも思いつくもんだ。胸糞悪ぃぜ!」

 憤慨する両津。だが無理も無い。心理戦で出し抜くのは両津もあまり好きなやり方では無いからだ。やるなら真っ向勝負。まぁデバイスへレギュレーション違反のパワーアップとかは良くやっているが。

「でもこのストーリーも仮面ライダーギーツの人気の要因ですからねぇ」
「そうなんだよなぁ……世の中どんどんおかしくなってきてるって現れでもあるもんだぜ。こんなん日曜朝9時から見せていて良いのかよ? 子供のトラウマになるぞ」
「そこは大丈夫です! オモチャ購買層のメインターゲットである5歳児~10歳児はそこまで良く理解していませんから!」

 声高らかにツムリがとんでもない事を言っている。

「そーやって甘く見てると今にどんどんエスカレしていくと思うぜ」
「大丈夫です! 現在放送中のガッチャードはまるでバランスを取るかのように明るめの作品になっています!」
「後発の作品に期待を押し付けるような事を言うんじゃねぇよ」

 胸糞展開多めだったけど筆者は結構ギーツを好んでいた事を敢えて言っておく。


玉晒V:築いたものは崩される

「ここの警護担当か……別に悪気があって来た訳じゃないんだ」

「ラサラチャ。ポキョケラピピファツエファツオキョスピファツームキョガツームラタダラビ。ツンエファンピジガラピピゼラアーブカカヅ。」

「言葉が通じないってのもキツいな……」

「チャキョトキョツームラタダラビビラサラでテテツームキョガラチャファ。ピピファツエファツモキョラサキョレレトキョチャピ、アテピテオズピリガビ……」

 

 道長に迫ってくるジャマトライダー。掴みかかろうとしてきたので咄嗟にその手を払う。

 

「……やるしかないか」

 

 ひび割れたIDコアを差し込んでドライバーを装着した道長。だがその時異変が生じ、道長は全身に痺れを受ける。

 

『 D-D-D-DRIVER 』

「ぐあぁああっ?!」

 

 その場で膝を付き、ドライバーの異常に驚く道長。突然受けた全身の痺れに驚き、額から脂汗をかいている。

 

「? ハァ! ハァ! ハァ! おい……どうした? 動け! 動いてくれ!!」

 

 ジャマトライダーは容赦無く道長に襲い掛かる。大振りのパンチをしてくるが道長は咄嗟によける。そしてドライバーから火花や電流が迸る様子を見て焦り出してきた。

 

「! おい! 何でだよ? 動け! ……動けぇえええええええええええ!!」

 

 かなり強引な手段であった。両手を組み合わせIDコアに向けて叩きつけたのである。IDコアが収まっているのはドライバーの中央。ベルトバックルのど真ん中。人体で言う丹田。ヘソの位置。様はミゾオチである。外骨格に覆われていない内蔵と筋肉のみの人体の急所。自らの全力の拳をそこへ当てたのだから自殺行為そのものである。だがその苦痛を伴う行為の功名かデザイアドライバーが稼働し始めた。

 

『 E-E-ENTRY 』

「ぬあああああああああああ!!」

 

 ジャマトライダーの蹴りが飛んでくる直前にバッファのエントリーフォームになった道長。ジャマトライダーの蹴りも何とかヘルメットが防ぎ辛うじて立ち上がる。しかし状態異常は続いており、身体を動かす度に苦痛が伴うようになった。

 

「うがぁ! ぬん! ぬああああ!!」

 

 殴られる。蹴られる。投げられる。ジャマトライダーとの単純な腕力勝負では差は圧倒的に開いていて、レイズバックルすら無い今のバッファでは殆ど勝ち目の無い勝負だった。だが諦めずに戦いを続ける道長。そう、これはもうデザグラではなく生きるか死ぬかの戦いなのだ。諦めたら今度こそ殺されて死ぬしかないだろう。

 

「ぐぁあああああああ!!」

 

 首を掴まれ大樹の幹に押し付けられたバッファ。そこで僅かにジャマトライダーに油断が生じた。膝蹴りで相手が怯んだ隙に、掴んでいる腕を支点にしてバッファの体ごと巻き付き、腕折りの体勢を取る。どんな生物であろうとも人間体を取っている以上関節が存在する。全力の腕折りを決めると馬乗りになってひたすら殴り続けるバッファ。

 

「うあ! ぐぁあ! どぅああああああ!!」

 

 獣の咆哮を上げながら何度も殴り続けた果てにジャマトライダーは爆発四散した。だがそこへ更なるジャマトライダーたちが数体現れる。先ほど倒したジャマトライダーが残したドライバーにジャマトバックルが差し込まれている事を見つけたバッファは急ぎ取り外し、自身のドライバーの左スロットに差し込んだ。

 

「! なんだ? 何なんだ?! ぐぎゃぁあああああああああ?!」

『 JYAMATO 』

 

 ”浸食” この言葉が最も相応しいだろう。ジャマトバックルを使用した事により自分の中に明らかな異物を取り込んだ事を道長は実感する。無数のミミズやヒルのようなものが自身の体内をデタラメにかき乱し膨大な力を得る代わりに筆舌し難い苦痛を与えて来る。ジャマトフォーム特有の黒いプロテクターを装着するも、その激痛によってその場で倒れ込むバッファ。変化があったのはプロテクターだけじゃなく、ヘルメットの左目側に緑色の怪しい光が輝いている。渾身の力を振り絞ると自身が倒れている地面から幾重の触手が生えてジャマトライダーたちを襲った。その強大な力に数体のジャマトライダーたちも爆散する。それと同じタイミングで強制変身解除された道長。

 

「う……うう……」

 

 よろけながらも歩く事は出来た。温室を出て、初めてジャマーガーデンの敷地外に出る。その時目前に広がる風景は……

 

「これは……?」

 

 それは”廃墟の街並み”。そう表現するのが妥当だった。明らかに地方都市の市街地らしいが、おびただしい数の植物の蔓に巻かれている。夕陽に照らされたビル群には動いている人間は見当たらない。

 

「何処だここ?! さいたま? 高崎? 裏かいて東京工芸大学厚木キャンパス? いやマジでわっかんねぇなぁ……」

 

 先ほどまで殺されかけた事なんてとうに忘れ、道長は今見ている風景が果たして何処なのかと考えながら歩いていた。

 少し離れた場所で事の顛末を見守っていたアルキメデルがコケそうになっている。

 

「いやいや道長くんは大物と言うか何と言うか……」

 

 ズリ落ちそうになっていた眼鏡を整え直し、慈しみのある優しい声で呟く。

 

「……やれやれ。君の居場所はここだけだと言うのに、道長くん……」

 

 デザイアグランプリトレーニング用エリアV-1010にて。トレーニングを続けていた冴と祢音はようやく一区切り付ける事にした。息が上がりかけた祢音は大きく息を吐く。

 

「はぁ~~~……」

「案外スジがいいじゃない」

「相手の裏をかいて逃げるのは慣れてるから。家出でね」

「そう。でも、逃げてるだけじゃ本当の愛は手に入らない」

「えっ……?」

 

 冴の顔には少し陰りが見えた。年下の祢音に対し姉の様に接しているその態度は、今の祢音にとって実の姉の様な頼もしさを感じていたのでこの態度は予想外だったようだ。

 

「どんなボールも、受け止めて、投げ返さないと」

「うん! あ~疲れたぁ……」

 

 トレーニングを通じて祢音の奥底に秘めている感情を見抜いたらしい冴は、自分らしく振舞える最大の方法でエールを送っているようだ。そして祢音に質問をした。

 

「ねえ……桜井景和って、どういう人?」

 

 そして突然始まるインタビュー。今回は仮面ライダーナーゴ・鞍馬祢音(18)へ。

 

 ―― ジャマーボール前半戦を終えてみての感想は? ――

 

「冴さんがデザスターってことはないと思う。景和のこと、疑ってたみたいだけど……」

 

 サロンにて。ライダーたちが私服姿でくつろいでいた。但し両津の姿だけが見えない。皆、無言のままで後半戦に向け不安を抱えていた。そしてその沈黙の中で1人口を割ろうとしていた者が居た。

 

「皆に伝えたい事があるんだ……」

 

 桜井景和である。祢音が問いかける。

 

「どうしたの景和?」

「この先戦うのに、どうしても気になる事があって……」

「止せ、桜井景和!」

「大智くん……でも!」

 

 大智が景和の言葉を止めようとする。だが景和は心に溜めていた気持ちで今にも潰れそうだ。そしてそこへ両津が現れた。

 

「おうおう。何か賑やかな事になっているな。どうしたってんだ?」

「両さん……」

「両津勘吉……」

 

 飄々とした態度で現れた両津。恐らく全てを察しているのだろう。その事にいち早く気付いた英寿が笑顔で問いかける。

 

「両さんはだいたい知っているんだろう?」

「ああ、まぁな……」

「「「「?!」」」」

 

 景和と大智、冴と祢音の顔が強張る。今は誰がデザスターかもわからない。だがこの男の観察眼はいつも鋭い事に怯え始めていた。

 

「でもなぁ、そいつは当人が言わなきゃヤボってもんよ。だからコイツを持って来た」

 

 両津はスパイダーフォンでは無く私物のスマホを取り出した。そしてアプリの1つを起動させた。スタート画面には”真実くんVer5.963”と書かれている。祢音が質問した。

 

「”真実くん”? 何これ?」

「一昔前に流行った嘘発見器のデバイスと同じ名前だね。確かあまりに危険で国家規模で生産中止になったものじゃなかったのかな?」

「お、流石大智。物知りだな。そう、こいつぁソレのアプリ版だ」

 

 両津がケタケタと笑いながら言った。”真実くん”はかつて両津と中川が共同開発した嘘発見器で、あまりの的中率に使用者が怯え疑心暗鬼を募らせてしまった悪魔の製品である。犯罪発見に確かに役立ったが、誰も嘘が言えなくなると恐れたのだ。真実が全て正しい事とは言い切れないのが世の常である。

 

「あんまり大っぴらにもできねぇブツでよ。まぁこんな時くらいコイツで遊んでみるのも良いんじゃねぇか?」

「面白い。後半戦までまだ時間もあるみたいだ。余興としてやってみようじゃないか」

 

 両津の軽口に大智が乗った。そして英寿が取り仕切る。

 

「じゃあ言い出しっぺのナッジスパロウからで良いな」

「ああ。普通は全ての答えに”いいえ”或いは”No”と答えるのがルールだが、それで良いかい?」

「ああ。じゃあ始めるか」




 筆者です。「玉晒V」をお送りしました。

 さていよいよテレビ本編との分岐点が始まりました。この理屈を筆者が勝手に言っているのは”のび太くんの奥さんが誰になってもセワシが生まれる未来は確定事象”みたいなものとw いや別に近年見ていくとジャイ子ちゃんが奥さんでものび太くんのバイタリティ運命力なら、それなりに幸せな未来を掴んでいそうですけどね。意外にジャイ子ちゃんみたいなタイプ、美人で器量良しになりそうな気も……すいません、筆者の妄言でしたw
 
 本文お読みになって頂けていればわかりますが、こちらの作品での大智くんは景和を庇いました。あえてここで切ったのはたった1日だけでも読者の皆さまの気持ちを募らせようと言う筆者の打算ですw 概ね皆さまの予想の範疇を出る事は無いと思いますのでご安心ください。こちらの大智くんにはなるべく卑怯なマネはさせたくないんです。だが果たしてそのままで居られるかは別ですけど……

 この辺の展開、大昔に仮面ライダー龍騎やっていたテレゴング特番に近いですね。ちなみにアレは未放送版も円盤で収録されて現在はTTFCでも見る事が出来ます。いずれそういうのをアンケ機能でやってみるのも良いかもしれませんね。

 さて明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いします。

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