仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「リアリティライダーショー、デザイアグランプリ!! 後半戦に入る前にライダーの皆さまは嘘発見器を使って何かされているようです」
「こいつが中々の曰く付きの品でなぁ……」

 両津は”真実くん”で起きたドタバタを思い出す。よくよく考えたら国家規模で生産中止に追い込まれたのも仕方ない。誰も嘘がつけない社会と言うのは最早ディストピアとなるからだ。

「とは言えだ、一度作られたモノはカタチを変えて作られる。このアプリもそういったもんよ」
「そうなんですね……デザグラにこういう要素があまり無くて良かったかもしれません」
「それな! とは言え英寿とかに使ったらどうなるんだろうな?」
「フ……キツネの嘘は見抜けないだろうな」
「ほほー……」

 ロコツに下卑た笑みを浮かべる両津。何か企んでいるらしい。

「じゃあ私は早速チラミにこのアプリを紹介してきます」
「おう! じゃあワシはジーンって言う福くん似のサポーターに売り込んでくるぜ」
「やめろお前ら! 話しが破綻どころじゃ済まなくなる!!」

 とことん嘘と言う要素がある事によって成立する話なんだなとつくづく思う。



玉晒VI:築いたものは崩される

 英寿は両津から”真実くん”の使い方を教えてもらう。質問に答える人間の指紋と声紋の登録。これを行わないとアプリとしてマトモに作動しない。その昔存在した単体のデバイス版はヘッドバンド型になっていて嘘を見抜くと真っ赤に光る。このアプリは嘘を見抜くと警告音を鳴らし、画面に大きく”嘘”と出る使用になっている。

 

「じゃあ準備も出来たから質問しよう」

「お手柔らかに」

 

 皆が固唾をゴクリと飲んで見守っている。

 

「では最初の質問だ”お前はデザスターか”」

「ノーだ」

『……』

 

 スマホには何の反応も無い。祢音が両津に訊ねた。

 

「両さん、このアプリ壊れてない?」

「どうかなぁ? 出来りゃ昔のデバイス版を持って来たかったんだがよ」

「君たち色々失礼だな!」

 

 流石に大智もいつもの冷静さが失われつつあった。

 

「浮世英寿、君もいきなり直球過ぎるだろうが。演じている簡くんだってそこまでドストレートじゃないだろうに」

「言うんじゃない。じゃあ気を取り直して別の質問だ。ナッジスパロウ、お前は”今朝はトイレに行った”」

「ノ、ノーだ……」

『嘘』

「していたか」

「と言うかこの音うるさい!」

「こんなに派手だと心臓に悪いね……」

「と言うか英寿、マジメにやる気ある?」

 

 スマホの画面にはこれでもかと”嘘”の字が某世紀なアニメで御馴染みのマティスEBフォントで点滅し、けたたましいサイレンで警告している為、祢音と冴は心底五月蠅そうにしていた。そして英寿が悪ふざけをしているように見えた景和からツッコミが入る。

 

「浮世英寿、もう少し真面目にだな……」

「悪かった。では質問の仕方を変えよう。ナッジスパロウ、お前は”タイクーンをかばっている”」

「……ノーだ」

『嘘』

「大智くん……」

 

 大智の返答の結果に瞳を潤ます景和。大智は気恥ずかしさからか頭をかいてソッポを向く。

 

「続けよう。ナッジスパロウ、お前がタイクーンをかばうのは”自分がデザスターだと疑われないためだから”」

「ノーだ」

『……』

 

 スマホには反応が無い。

 

「大智くん!」

「善意だとでも言うの?」

「なんか意外……」

「ヘッ! 結構男気あるヤツじゃねぇかよ大智!」

「……うるさいな。もう良いか?」

 

 流石にここまで来ると大智の気恥ずかしさがトップギアに入ろうと言うもの。ここで英寿は最後の質問をする事にした。

 

「ナッジスパロウ、タイクーンと両さんの作った朝メシは美味かったか?」

「! ……ノーだ」

『嘘』

「おう! 明日の朝ももっと美味いメシを食わせてやるからよ。楽しみにしとけ♪」

「ああ。楽しみにしているよ!」

 

 両津のその言葉に屈託の無い笑顔で応える大智。ここで景和と交代となる。

 そして質問をする人間も交代する事となった。

 

「両さんが……質問するの?」

「ああ。イヤか?」

「イヤって言うよりさ~……」

「強引そう……」

「まぁ両さんだからな」

 

 祢音と冴、そして英寿は正直な印象を隠さず話す。日頃の態度から考えたらそう思うのも仕方無いだろう。

 

「まぁ桜井景和も、両津勘吉相手だと嘘は先ずつけないだろうね」

「知ったような事言うんじゃねぇよ大智!」

「見てきたままの意見だよ。”両さん”」

「ヘッ! 急に距離縮めてきてもメシのクォリティで特別扱いはしねぇぞ」

「おや残念。皆、明日の朝食も今朝と同様に美味いそうだ」

「大智くん……」

「仕方ない。景和、両さん相手なので覚悟しておこう」

「うん……そうだね」

 

 景和は深呼吸して両津の質問に答える。

 

 数分後、景和と両津のやり取りが終わると冴が景和に掴みかかろうとしていた。

 

「どうしてそんな大事な事を隠していたの?」

「ごめん……だって言った後でも皆はジャマトを攻撃できるの?!」

「それは……」

「厳しい質問だね」

「タイクーン……お前もとんでもない質問をするようになったな……」

 

 景和は目に涙を溜めて訴えた。相手は元々人間なのかも知れないからだ。

 

「やる」

 

 皆が悩んでいる間に両津が真っ先に答えた。

 

「そんな……嘘でしょ両さん?」

「やる。大智、アプリを使うから質問しろ!」

「わかったよ、両さん……」

 

 指紋と声紋を登録した両津は皆が完全に緊張している中でスマホの画面を指を乗せながら見せている。大智はその一言を質問するのが怖くなっていた。大智の方を英寿が叩く。

 

「ナッジスパロウ……辛いなら代わっても良いんだぞ?」

「おやおや、舐められたものだね……大丈夫。ちゃんと質問できるさ」

 

 覚悟を決めた大智は両津に質問した。

 

「両さん、アンタはジャマトの正体がデザグラで退場した人間でも……倒す事ができるのかい?」

「ノーだ!」

『嘘』

 

 何度も点滅するその画面を見て誰も口を開けなくなった。そして両津は言葉を続ける。

 

「そんなクソッタレなデザグラだから、とっとと終わらせてやりてぇんだよ……」

「「「「「!!」」」」」

 

 改めてデザグラの暗部が垣間見えた5人にこの言葉は重くのしかかってきた。だがそこに良くも悪くも空気を壊しに来た者が居た。

 

「はいはいは――い♪ なーんか試合前に面白そうな事やってるじゃなーい?」

 

 騒々しいテンションで現れたチラミは両津が持って来たスマホを素早く奪った。

 

「嘘発見器ねぇ……アタシの知らない所で勝手に変な空気にしてるんじゃないわよ!!」

 

 スマホを素早く操作したチラミは”真実くん”を急ぎ消去した。

 

「てんめー! このグラサンオネェが!! 何勝手に消してるんだよ?!」

「スマホごと壊されなかっただけ感謝なさい。アプリなら取り直せば良いでしょ? 合法で提供されているアプリなら……ね♪」

「! てめぇ……」

「なーによ、そのツラ? あんまり煩いと強制脱落よ?」

 

 ”真実くん”は国が非合法としたため、例えアプリでも一般流通は許されていない。両津が用意したのは有志が作成した非合法のものなのでインストールするには少々厄介な手順を行わなければならない。

 

「アンタたちもこんなアプリ程度にブルブル震えていたらライダー失格よ。特に景和ちゃん。アンタにはペナルティが必要ね……ニンジャバックルを渡しなさい」

「は……はい」

「うーん、イイ子ね~。ではこれは冴ちゃんにでも渡しておこうかしら」

「アタシに?」

「そ。景和ちゃんの態度次第ではアンタの判断で返しても良いわよ~。もちろんアンタが使っても良いし」

「そんな……」

「仕方ない。預かっててよ、冴さん……」

「景和……」

 

 俯いている景和にそれ以上声がかけられない冴。その様子をとあるVIPルームで見ていた人物が苦々しい態度を取っていた。例のスーツを着たカエルの置物のような存在だ。

 

「おいおい……丸腰じゃ困るな。よし桜井景和、お前に相応しいシークレットミッションを与えてやる」

「困るのはこっちだよケケラ。もし景和くんがデザスターなら余計なアイテムを渡してほしくない」

 

 ジーンは招かれても居ないのに現れて、カエルの置物じみた謎の存在をケケラと呼ぶ。どうやら顔見知りの間柄らしい。

 

「あいつが? デザスター? まっさかぁ!」

「プレイヤーはそうは思ってないんじゃないかな?」

「どう思っているかは知らんけどねぇ……せっかく盛り上がってきた所にあのグラサンオネェめ、余計な水差しやがって!!」

「ハハハハ! それじゃあ両津勘吉だ。君もあのお巡りさんのノリが好きなのかい?」

「バカ言え! 俺ぁあんな奴は仮面ライダーだなんて認めてねぇからな!!」

「へぇ……これは意外だった」

 

 ハトが豆鉄砲を喰らったような顔で驚くジーンはその場に腰を落としてあぐらをかいた。

 

「意外か?」

「うん。てっきりウマが合うものだと思っていたよ」

「バカ言え。それに何上がり込んでんだよ?」

「いーじゃん。せっかくだから一緒にそれぞれの推しを応援しようよ」

「知るか。両津勘吉も好きじゃないが浮世英寿も好きじゃねぇ」

「あー……ケケラのその言い方だと”まぁまぁ好きだけど俺の推しには叶わねぇよ!”って所かな?」

「! 勝手に人の言っている事を捏造するんじゃねぇ!!」

「まぁまぁ。せっかくだから楽しもうよ~」

 

 2人……正確には1人と1体と言った所だが、ジーンとケケラはモニターを見ていた。今にもその場で崩れ落ちそうな顔をしている景和がアップで映っている。

 

「くぅ~~~……! これだ! このショボくれた惨めな顔が、輝かしい勝利の顔に変わるのを楽しみにしているぜぇ、桜井景和!!」

「ケケラ……君も随分彼への感情が拗れているよねー……」




 筆者です。「玉晒VI」をお送りしました。
 
 さてお待たせしました。テレビ本編ではまだ存在していなかった、”綺麗な大智くん”です。まぁ最終回まで見てきたからこそ存在し得た訳ですが、果たして拙作の大智くんはいつまで綺麗なままで居られるのか……。困った事にテレビ本編だと至る所で景和くんの障害になっていくんですよね。果たして拙作ではどうなるやら。何とか第一衝突は避けれましたが、乖離IIとIIIだけで結構なフラグ立ててると言うねw これは今から色々大変だ。
 その分の汚れ役を今回はチラミにお任せしました。山崎さんとチラミファンの方々本当に申し訳ございません。でも何か言いそうでしょ、チラミなら?w

 そして今回から本格登場のケケラさん。こやつもかなり性格をネジれさせています。本文最後の辺りも拙作のオリジナル部分ですが、ケケラなら何か言ってそうだなと最終回まで見終えた人間なら思う訳ですよ。
 TTFCと恐らく円盤にて(未所持)オーコメ版を視聴する事ができるんですが、24話は福くんと俊藤さんでのオーコメなんですね。ようやく拙作の本文にも出てきたカエルの置物?としての姿と今後登場する人間としての姿についての裏話とか聞けて面白いです。考えてみるとケケラってずっと景和の事は”桜井景和”とフルネームでしか呼んでいないんですよね~。

 では明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いします。

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