仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「リアリティライダーショー、デザイアグランプリ! ジャマーボール後半戦~♪ 点差を縮める為に招いた助っ人、タートルズファイターこと左近寺様。そしてタートルズソルジャーことボルボ様。お二人共に非常に逞しい方々なのですが」
「ま、鍛えているからな」
「フッ……まだまだですよ」
「どっちも単なるオタクだから誤解するなよ」
「「お前に言われたくないぞ、両津!!」」


 実際キャラメイクの時に原作者の趣味が反映されるのが世の常で、左近寺はギャルゲー。ボルボはミリタリー。だが両津はどうなるかと言うとそれらだけに留まらず、秋本先生が手を染めた趣味はだいたい把握してきていた。既存のアニメ・ゲームだけに飽き足らず、プラモ作成・ラジコン・ドローン・実機戦車に航空戦闘機やヘリ操縦。どこまで真実かはわからないが宇宙船操縦なんてのもあったりする。

「あのくらいちょっとやる気になればできるだろ?」
「無茶言うな!」
「流石に宇宙船まで操縦できるか!」

 ここでふと想像してしまったボルボは数歩引いて左近寺に耳打ちをした。

「今後は巨大ロボの操縦とかも無茶振りしてくるぞ」
「それは戦隊的なアレか?」
「いや、もっとシャレにならないガンダム的な……」
「流石にワシでもそこまで無茶振りできるか!!」

 今後MSを繰り出しても違和感は無いと思われる。


玉晒XI:築いたものは崩される

「冴さん!」

「オーライ、祢音ちゃん!」

 

 冴と祢音のパスラリーは良い感じに繋げられていた。それもその筈。パスカットするジャマトたちは次々にナッジスパロウとタートルズソルジャーから行われる援護攻撃の餌食となり、

 

「次! 右45度へ!!」

「サー・イェスサー!!」

「ジャパー!!」「ジャジャジャジャー!」「ジャパンニ!!」

 

 それでも倒せなかった場合はタートルズファイターが直接叩きに来るからだ。

 

「オラオラ! 俺たちの邪魔するんじゃねぇ!!」

「ジャマダナンテソンナー?!」

 

 そして地上より遥か高く上空ではタイクーンがボールを持ったまま待機していた。

 

「皆凄いなぁ……えーと、両さんは? お、居た居た。もう少し待機かな?」

 

 そして我らが両津勘吉ことタートルズは手ぶら故に悠々自適に、特にジャマトからの妨害も無くゴールへ向かって走り続ける。

 作戦は上手く行っているかに見えた。今の所は……

 

「祢音ちゃんか冴さんがゴールに近付いたら降りてこいって指示だったけど、あれ? 何で2人はなかなかゴールに近付けないんだ?」

 

 タイクーンが感じる違和感は当の2人にも伝わっていた。

 

「冴さん、なんかゴールが遠くない?」

「うん。と言うか、敢えて遠ざけられていると言うのが正解だろうね」

 

 そしてボルボことタートルズソルジャーとナッジスパロウもその異状に気付く。と言うかソルジャーは最初から気付いていたが。

 

「何故だ? 僕たちの援護は完璧だった筈だ!」

「ああ、完璧だった。恐らくそれ故に向こうの罠にもハマりやすかったんだろうな。さて……まだか?」

 

 ソルジャーは何かを待っているようだった。そしてそれは訪れた。

 

「居たぞ。そこから左70度の数体。そいつらが指令塔だ」

「わかった!!」

「ギーツが何故……そうか、そういう事か!!」

 

 突然その場に降りてきたギーツが言ってきた言葉の通りに砲撃を始めたソルジャーとナッジスパロウ。その位置に居た数体のジャマトが次々倒れていく。

 

「ジャッパー!」「ジャベリン!」「ジャンヌ!!」「ジャンヌ・オルタ!!」

「さぁこれで彼女たちもゴール前に行ける筈だ!」

 

 タートルズソルジャーのその発言通りロポとナーゴの2人はどんどんゴール前まで進行出来た。つまりこれは――

 

「なるほど、彼らも何かしらの通信手段で連携を取っていたのか」

「そう言う事だ。また悔しいがチームとしての統率力は明らかに向こうの方が上だな」

 

 司令塔としての数体のジャマトがライダーたちの出方・動き方を観察。ジャマトたちがこれだけ無数に居ると自分たちが斥候、つまりは偵察隊である事には気付かれにくい。その間にどんどんジャマトたちで連携を組んでわざとロポとナーゴをゴールから遠ざけていく。恐らく隙あらば彼女たちのボールを奪って、次の得点に繋ぐ気であったのだろう。

 

「しかし良く気付いたものだね」

「兵役経験があるからな」

「流石ボルボ西郷。グリーンベレー経験は伊達じゃない訳か」

「おい。こうなるとまだ斥候は別に居ると考えた方が良いのか?」

「ああ。だから気は緩めない様に。なんなら直接叩いてくれても構わん」

 

 ギーツからの質問に即で返すソルジャー。ここまで来ると後は時間の問題だ。ゴール前まで詰め寄ってきたロポとナーゴ。上空で待機していたタイクーンも急ぎ降りてきてタートルズにパスを繋ぐ。

 

「「「「いっけぇえええええええええええ!!」」」」

 

 ロポとタートルズ、そしてパスを繋いだタイクーンとナーゴの声が重なる。2球同時ゴールが決まった。

 

 ――RIDER team26 VS JYAMATO team29――

 

「「しゃあ!」」

「やったな冴ちゃん!」

「そっちもね両さん!」

 

 ハイタッチを決める2人。だがまだ油断はできない。2つのボールは今ジャマト側にある。と言う事はまたあの大フェンスを繰り出されると言う事だ。

 

「ギーツ! 頼んだ!!」

「ま、そうなるよなぁ……」

『 GIGANT SWORD 』

 

 ギーツはギガントソードバックルをビルダーバックルに素早く差し込み、ギガントソードを造り上げる。超巨大な両刃剣が生み出されるとジャマトたちで組み上げられた大フェンスを一気に斬りつけた。

 

「ぬぉおおおおおおおおおおお……りゃぁああああああああああ!!」

「ジャバ?!」「ジャバババ?!」「ジャンジャンジャンジャンボリー?!」

 

 大爆音と共に消失していくジャマト大フェンス。これで射出状態となっているルークジャマトの真正面で対峙出来る。ライダーたちは我先にと突進した。

 

「急げ! もう時間が無い!! アイツに1球だけでも撃ち込まれたら負けになるぞ!!」

「真正面で防ぐのは俺たちで!」

「1球。せめて2球奪えたら直ぐシュートだ!!」

 

 タートルズ・タートルズファイター・タートルズソルジャーが文字通り肉の壁となる。1球目はファイターが、2球目はソルジャーが弾いた。だが超圧縮の砲弾となった球の威力はマトモに喰らったら流石に無傷であるとは言えず……

 

「ぐはぁああああああああああああああ!!」

「ぬぉおおおおおおおおおおおああああ!!」

「左近寺ぃいいい!! ボルボぉおおお!!」

 

 大ダメージを負って強制変身解除となる2人。だがそれでもボール2つはライダー側に回った。2人を犠牲にして防いだシュートボールはそれぞれギーツとタイクーンの手に渡った。

 

「急ぐぞタイクーン! タイムアップは目前だ!!」

「! ……わかったよ、英寿!」

 

 全速力でゴールに向かうギーツとタイクーン。襲い来るジャマトたちを次々避けて突き進む。だがまたしてもタイクーンの目の前にルークジャマトが豪徳寺の姿で現れる。

 

「消防士なんでね……」

「うわぁああああああああああああああああああ!!」

 

 錯乱するタイクーン。だがその間にギーツがシュートを決めた。

 

 ――RIDER team29 VS JYAMATO team29――

 ―― DRAW ――

 

「やったー!」

「よし! 間に合ったー!!」

 

 ナーゴは大喜びだ。横に居たロポも声から笑顔である事が想像できた。

 

「良かった……皆、ゴメンね」

「……人命救助が最優先だ」

「?! ……あれ?」

「まさか城を? それは無理だ」

 

 タイクーンが弱気に呟くと目前にルークジャマトが現れた。攻撃を仕掛けてくるものと見てタイクーンも警戒するが、特にそんな素振りも無く素通りしていった。

 

「なんとか此処までは無事で済んだか。さてこの後はどうなる事やら……」

 

 ナッジスパロウは少し離れた場所からライダーたち、そして何処へともなく消えていくジャマトたちを眺めていた。ジャマーウォールはまだ消えていないため、何処かには居るのだろうが。

 

「何とか引き分けか」

「ああ……イテテ。俺たちも身を挺して防いだ甲斐があったものだ」

「ありがとうな、お前ら」

「「両津!」」

 

 変身解除して仲間を労う両津。左近寺とボルボも誇らし気な顔になる。

 

「まさか引き分けとはなぁ! ……逆転を狙っていたんだが」

「まぁそう言うな。この後の延長で決めれば良いだけだろ?」

 

 左近寺がそう言った瞬間。デザイア神殿のツムリの声が聞こえてくる。

 

「後半戦を終えて29対29の同点。ゲームは明日の延長戦にもつれ込みます」

「明日?!」

 

 両津の顔が一気に引きつった。と、その時どこからかカラータイマーが鳴っているかのような音が聞こえてくる。

 

「おお、何処かで良く聞くあのタイマー音だ」

「まさか俺たちの活動限界って言うんじゃないだろうな?」

「「まっさかなー!」」

 

 左近寺とボルボの2人が爽やかに笑っていると両津は少し距離を置いた場所に移動していた。

 

「なぁ両津、お前はどう思……う?!」

 

 と言うよりも逃げていた。左近寺が声をかけた時には既に5メートル先に走っていた両津。その態度で全てを察した2人は両津を追いかける。

 

「待て両津!」

「逃げるな貴様!!」

「そいつぁ無理って相談だっての! くっそ、何でさっきからデザイア神殿に戻れねぇんだ?」

 

 両津は何度もスパイダーフォンの転送機能でデザイア神殿に戻ろうとするも全て失敗する。その矢先、ツムリからまた連絡が入る。

 

「左近寺様とボルボ様は例外認証でデザグラに参加されていますので、両津様がデザイア神殿に戻られますと自動的にお2人も着いてきてしまいます。そのため、今は転送拒否させて頂きますね」

「なーにー?!」

「こちらで爆発されても迷惑なので」

「「爆発だとー?!」」

 

 ツムリの言葉で全てを察した左近寺とボルボ。背中に貼られたライダーカード・そしてそれが音を立てて点滅・そして爆発と言う不穏な言葉。カンが良い2人はそれら全てが繋がっているものと理解出来てしまった。

 

「何とかしろ両津?!」

「できたらとっくにやってるわ。あ、左近寺の後ろにさおりの限定グッズが!」

「おいおい……いくらなんでもこの状況で左近寺が引っかかるとでも……っておい、左近寺ぃいいい?!」

「どこだどこだ?! さおりの限定グッズはどこだ?!」

 

 両津の嘘に見事に引っかかる左近寺。急に立ち止まり在りもしないグッズを探し始める。

 

「そしてボルボ、あれを見ろ! お前の為に美女軍団が手を振っているぞ!!」

「まさか……まさかいや、そんな? くぁああああああ!!」

 

 実際はこども食堂の参加者たちで美女軍団どころか大半は子供ばかりなのだが、ボルボの妄想は爆走し美女たちが手を振っているように見えてしまった。そしてうずくまり、噴き出した鼻血に困惑するボルボ。2人がモタモタしている間に両津は逃げ切り、爆発のタイムリミットを迎えてしまった。

 

「「あ!」」

 

 その日、ジャマーウォール内で建物1棟丸々無くなる大規模な爆発が起きた。幸いこども食堂が入っている建物で無かった事に景和は安堵する。前回デザグラで事の顛末を知っていた英寿と祢音は両津が2人を召喚した時点でここまで察していたため大事には至らなかった。2人に誘導される形で避難出来た冴・大智・そして景和も同様である。

 両津も辛うじて無事ではあったが、切り札として呼んだ2人がしばらく使い物にならなくなった事を悔いた。

 

「まさか延長戦が翌日になるなんてなぁ。さーて明日はどう切り抜けるか……」

 

 そして見事に爆発した左近寺とボルボは爆発の影響で背中が尻まで丸見えの状態で満身創痍となり、爆心地中央で倒れていた。

 

「やっぱり……両津が関わるとこうなるのがオチだな」

「あんの疫病神ぃいいいいいい~~………」

 

 そのまま姿が消える2人。通常の脱落とは異なり理想を願う心は失わずに済むが、デザイアグランプリで負ってしまった身体の傷はそのままの状態で戻る事となる。2人とも恐らく、自身が突然満身創痍となった事を驚くであろう。ちなみに以前に本田が招かれた時も同様で、速度違反者をバイクで追跡中に突然満身創痍となり同僚含め多いに驚愕。急ぎ警察病院送りとなっている。

 

 その爆発の様子をジャマーエリア内の一角で見ている人影があった。ジャマーガーデンから脱出してきた吾妻道長である。

 

「なーにやってんだ、アイツら?……」

 

 道長は若干呆れてその場を去った。丁度その近くで付近の様子を確認していた変身解除前の英寿は立ち去ろうとする道長の姿を偶然見かける。

 

「ん……?」

 

 その後サロンにて集うライダーたち。明日の延長戦に向けて思う所があるのか、それとも疲労感が拭いきれないのか、全員無言となっていた。そこへ大智の寝床でもあるテントがガサゴソ動き、中からチラミが現れた。

 

「ん~……景和ちゃん、絶対絶命ね~♪」

「おい待てチラミ……アンタ、僕のテントの中で何をしていた?」

 

 景和が応えるよりもテントの主である大智が質問した。

 

「別にナニもしてないわよ! ……別にナニも」

「……何で頬を赤らめている? 一体中で何をしていたんだ?!」

 

 大急ぎでテントの中に入る大智。後に”入るんじゃなかった”と後悔したらしい。

 

「景和ちゃん、ちょっと良い? キミに逢いたいって人が居るの」

「……俺に?」

「くれぐれも……粗相の無い様に、ね?」

 

 サングラスの片側だけレンズをパカリと開いて裸眼で微笑むチラミ。いつになく慎重な感じもしてくる。

 

 そこはVIPルームの中でもかなり異質だった。畳が敷かれ、ちゃぶ台があり、屏風が置かれフスマも設置され……そして周囲にはネオン管らしき派手な灯りが目立つ壁紙があしらわれ……正気の沙汰とは思えない部屋に招かれて入っていく。

 

「えぇ……? えーと、ここは?」

 

 1歩足を踏み入れた瞬間から”帰りたい”と思い始めた景和。だがそれを許さないのか急に声がした。

 

「お前の説教部屋だよ、桜井景和」




 筆者です。「玉晒XI」をお送りしました。
 
 前回書ききれていなかった事を申しますと、今回左近寺とボルボが使っている小バックルって商品化されていないものを使っています。これは読者様から頂いた情報なのですが、玩具のデザイアドライバーに収録されている音声で、実際は商品になっていないものがあるのだと。そこで改めて確認したらあるわあるわ……。そこで読者様のご意見で色指定とかもあったので簡素ながら使わせて頂く事にしました。匿名ご希望の方なので名は伏せておきますが、いつもありがとうございます。

 さてTTFC加入者限定の話で申し訳ありませんが、10/8から”ギーツエクストラ 緊急特番 蔵出し! デザグラスペシャル”と言う動画が公開されています。ジーンが主体となって、実際には本編でカットされた場面を紹介する番組になっていて、ケケラとベロバも出てきます。デザグラライダーで出てくるのは英寿だけですね。英寿としてなのか簡くんとしてなのか境界線が曖昧ですが、そのブレ方も含めて楽しい動画作品です。見れる方は是非お楽しみあれ。

 では明日も間に合えば17:30ですのでよろしくお願いします。

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