仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~ 作:唐 十三郎
「頑張れってもなぁ……左近寺とボルボはしばらく無理だし、景和はポンコツだし……こりゃ詰みか?」
「そんな事無いよ! 俺頑張るから!!」
「そうかぁ? カエルの置物にヘーコラしている様じゃ不安になるけどな」
「そんなぁ……」
「おうおう言ってくれるじゃねぇか、両津勘吉ぃ!!」
「うわ、出た……」
気が付くと目の前に豪華なちゃぶ台が置かれ、その上にカエルの置物状態のケケラがドンっと座っていた。座っていた? まぁ座っているのであろう……
「俺の推しに色々吹聴してきたみてぇだが、これからはそうはいかねぇ! 桜井景和は俺が育てていくんだからな!!」
「ほー、そーか。じゃあしっかりな~」
「? ちょっと両さん、見捨てないでよ! 俺、こんな変なカエルの置物からあだこだ言われるのなんてイヤだからね!!」
「? お前、桜井景和……言うに事を欠いて”イヤだからね”ってテメェ……」
「やーい言われてんぞ、カエルの置物。まぁ突然現れてデカいツラしてきたら誰だって嫌悪感はあるだろ。足長おじさんするのもタイミングって必要なんだよ。わかるかコラ?」
「るっせぇな、この短足ゴリラ! 少なくともお前よか俺の方が何倍も桜井景和に貢いできたんだぞ!」
「カエルの置物風情がワシに随分偉そうだな……いっそこのまま叩き割って燃えないゴミにしてやろうか? あ”?」
「! やめろお前ー! 撮影出来なくなるだろーがよ!!」
「言いやがった……やっぱり小道具じゃねぇか」
「違うよ? 違うからな……おい、桜井景和? どうした? なんつー目で俺を見てるんだ! おい!!」
景和はジト目でケケラを見つめ出した。そして両津に提案する。
「両さん、メルカリってやってる?」
「おー! それよかヤフオクに出品ってのもあるぜ」
「そうか! じゃあ商品名はどうしようか?」
「そこはお前、”正真正銘ホンモノ! あの仮面ライダーギーツで使われた実物大ケケラ”で良いんじゃねぇか?」
「そうだね~ じゃあケケラ、撮影するね」
「お、おい……冗談だよな? まさかそんな雑に売りさばくなんて……」
最早冗談には見えずにどんどん出品準備を進める2人。梱包方法がどうだとか、郵送方法がどうだとか相談し始めた。
これを読んでいる貴方も、実物大ケケラを手にするチャンスが訪れるかもしれない。
ちゃぶ台の目の前に置かれた木製のチェスト。様は小さめの引き出し付きタンスだ。その上にスーツを着たカエルの置物が置かれていて、そこから声が聞こえた。しかし見るからにこのカエルの置物、生意気そうな態度を取っている。腰かけに座りつつも左肘は左脚に立てて頬杖をついている。良く見るとスーツだけじゃなく靴下と革靴まで履いている。スーツの下のシャツは首元を開けてネクタイはしていない。リアルでこんな態度の人間が居たらどんな気分になるのかと考えるより前に、そもそもどこから声が聞こえるのかとカエルの置物を動かしてみる。
「え? ……これってスピーカー?」
「おい! 気安く触るんじゃねぇ!! そしてクツを脱げ!」
許可も無く自身の本体をみだりに触ってきた事、畳の上をクツのままで歩いている事を指摘するカエルの置物姿のケケラ。
「いいか? そーっと置けよ……」
「うん……そーっと……」
「この絶妙な設置場所が大事なんだ」
「……細かいね」
「何か言ったか?」
「何でもないです!」
「ケッ!」
自身では身動きが取れないのか、景和に持たせ設置場所を指定するケケラ。改めて真正面に景和を座らせて会話を再会する。
「俺はテメェのサポーターだ! 礼儀を知れ」
「……サポーター?」
「俺がどれだけお前に目をかけてきたと思ってんだ? 今までお前がブーストバックルに恵まれてきたのは、俺のおかげなんだぞ」
「? ちょっと言ってる意味がよく……」
「俺が! お前に! プレゼントしてやってたんだよっ!!」
「えっ? そうだったん……ですか……?」
「なのに……何だ後半戦のあのザマは?」
「退場した人がジャマトになってたんです。だから、とっさに守らないとって……」
「ライダーたちの言葉をバカ正直に信じてんじゃねえ。あいつらのうち誰かがデザスターなんだぞ」
「! はい……それはわかっています。けど!!」
「黙れ!! ……信じるやつほどバカを見る。このゲームはな、デザスターを食うかデザスターに食われるかの戦いなんだよ」
「わかり……ました」
「よし! じゃあ今から俺と一緒に歴代ライダー研究会な」
「研究会?」
「そうだ。今から俺が推してるライダーたちを研究して、お前の今後の戦い方に役立てろ」
「はぁ……」
「行くぞ。おい、そこ退けろ!」
「え? うわぁあ?!」
突如カエルの目玉が怪しく光り、驚いた景和はその場から動く。景和の後ろにいつの間にかプロジェクター用のスクリーンが設置されていて、カエルの目玉から映像が映された。予めパワポ辺りで編集されたものなのか、チープな動画が始まる。
―― ケケラのオススメ! 最強のライダーたち!! ――
小中学生辺りが思いつきそうなタイトルが出てきて一気に不安になる景和。最初のライダーが出てくる。
―― シャドームーン 登場作品:仮面ライダーBLACK・BLACKRX ――
初手からとんでもない所を持って来た。色んな意味で衝撃的だった景和は思わずツッコミを入れる。
「シャドームーンて!」
「あ? なんだ? 俺のベストチョイスにケチつけるってのか?」
「いや、そういう訳では……」
「シャドームーンはなぁ……主人公:南光太郎と戦う為に存在した唯一無二の悪側のライダーなんだぞお前」
「ですよねぇ……確か元々は南光太郎と一緒に育った義理の兄弟の秋月信彦でしたっけ……」
「お! 知っているんじゃねぇか。それでなBLACKが全身真っ黒なのは太陽光を効率的に吸収できるからって説に対し、シャドームーンが白銀ボディなのが太陽光を反射する色だからって説があるんだぜ」
「へぇ~……」
この後もケケラの説明が行われる。夜は長そうだ。
夜の公園にて、1人寂しく歩く道長。そしてその目の前にコンビニ袋を下げた男が現れた。
「元気そうで何よりだな」
「ギーツ……」
現れたのは英寿だった。
「どうせロクにメシも食ってないんだろ? 差し入れだ」
「誰がお前の差し入れなんか!」
と売り言葉に買い言葉で叫んだ瞬間、道長の腹の音が盛大に鳴った。
「ま、まぁ? せっかく持ってきてくれたんだし? 食べなくもないですけど?」
「いや、腹減ってるなら素直にそう言えよ……」
「うるさい! 寄こせよ!!」
顔を真っ赤にしながらひったくる様にコンビニ袋を受け取る道長。中にはオニギリが数個。メンチカツパンとアンパン。それとペットボトルのお茶が入っていた。だが問題はオニギリだ。具の中身が”牛めし”と書かれている。これは英寿なりのネタなのか悪ふざけなのか?
「……共食いしろってんじゃねぇよな?」
「? どういう事だ?」
「はぁ……お前のそういう所、全っ然変わってないのな。まぁ食えりゃ同じだ。頂きます……」
オニギリの袋を開けて早速食べ始める道長。当人も無自覚だったがよっぽど空腹だったらしい。食べ始めた道長に英寿が質問した。
「ジャマトにやられたのに……なんで生きてる?」
「傍から見てると滑稽だよな。理想の世界とかいうニンジンぶら下げられて、ろくでもないゲームやらされて……あ、これ美味っ!」
「マジで? 俺も買っておけば良かったな……」
「食べかけだけど半分要る?」
「くれ。代わりにこっちのプロテインやるよ」
「意外だな。そんなもん飲んでるのか」
「体力要るからなー……」
食べかけの牛めしオニギリと飲みかけのプロテインを交換した英寿と道長。
「さてさっきの話だが、フン! 負け惜しみか?」
「飯粒をホホに付けながら言ってもダサいだけじゃね? ……何もわかってない。今まで戦ってきたジャマトがどこから来ているのか」
「そうか、お前もとうとうジャマトの仲間入りか」
「違いますぅー! バッチリ生きてますーぅ! ……もとい、誰が……生きてるよ! ……俺だけはな」
「! じゃあ、お前以外はみんな……」
立ち上がり英寿に向き直る道長。
「俺は……他のやつらとは違う。ジャマトに利用されてたまるか」
「フ……何しろ無事でよかったな。お前のIDコア、ご飯粒でもつけて直せばいいじゃないか」
「マジ? 直せるコレ?」
「へ……? いや、多分いけるんじゃない?」
「んなテキトー言うなよお前ぇ。こっちはマジで大変だってのにぃ……」
「わ、悪い……」
意外な反応をする道長に困惑する英寿。
「とにかく! ……理想の世界、叶えたくないのか?」
「……俺は俺のやり方で手に入れてみせる。仮面ライダーをぶっ潰す力を!」
コンビニ袋を手に取る道長。そのまま英寿の横を通り過ぎて立ち去ろうとする。だが、
「ところでさ、買ってもらったカネどうする?」
「? いや良いよ。俺が奢るから」
「いや悪いって。こういうのはちゃんと返さないとさー」
スパイダーフォンを手に取りデザイアマネーの確認をする道長。
「何故か知らねぇけど、デザイアマネーはしっかり残ってんだよな。ギーツの方に入れておくわ。1000で足りる?」
「いやマジで良いって! そんな事するとデザグラ運営に足がつくぞ?」
「あー……それもそうか。じゃあお言葉に甘えて。じゃーな」
「あ、ああ……アイツ、変わったなぁ……」
今まで接していた道長とかなり雰囲気が変わった事に困惑した英寿はしばらく開いた口が塞がらずに居た。
デザイアグランプリ トレーニングルームY-1010にて。冴と祢音は明日の延長戦に備えてトレーニングを行っていた。休憩を取りながら軽く雑談をしている。祢音が呟いた。
「ホントに景和がデザスターなのかな……?」
「どうして、そう思うの?」
「景和って、根っからのいい人だからさ。ジャマトが退場したライダーかもしれないと思って、守ろうとしたんじゃないかなって……」
「だから動けなくなって皆の足を引っ張ったって言うの?」
「う~ん……景和って、守りたいものに対しては真っすぐな人だから……不器用なくらい」
「信じてるんだ、彼のこと」
「ううん! ぜーんぜん!!」
「へ……?」
意外な返事をあっけらかんと返す祢音の態度にハトが豆鉄砲喰らったような顔になる冴。祢音は続けた。
「だってそうやって裏かいて騙し打ちなんてデザグラでは当たり前でしょ?」
「いや、うん……そーだけどね」
「まぁ言ってしまうとぉ……英寿も怪しいし、大智くんも怪しいし、正直言うと両さんも景和も怪しい。もちろん冴さんもね」
「何この子、怖い」
「だって言うじゃない? ”信じる者は己だけ”って」
「いや、そーだけどね! と言うか、こういう時に使う言葉かなぁ?!」
「大丈夫! 冴さんが裏切らない限り、アタシは冴さんの味方だよ。おねーちゃん♪」
「うーん、そーか……祢音ちゃんってこういう娘だったのか……」
困惑する冴に抱き着いて甘えたムーブをする祢音。困惑しながらも祢音の頭を撫でる冴。その様子を自室のモニターにて観ていたチラミは悶絶しながら喜んでいた。
「これよー! これこれ~♪ ライダー百合、いいんじゃない? オーディエンスたちもさぞお喜びでしょうよ~ そしてここから疑惑と裏切りのシェアハウスが始まるのよ~ん♪」
モニターの様子は一変。ライダーたちの宿泊所となっているサロンに切り替わる。トレーニングルームから戻った祢音と冴。そしてゆっくりと本を読む大智。そして更に遅れて戻る景和。景和は心無し疲れている様にも見える。気遣った大智が両津所有の冷蔵庫からミネラルウォーターを持って来た。
「疑惑と裏切り……ちょっとぉ? 何を和気アイアイサと仲良くしているのさ?! 大智ちゃん! あーたそんなキャラじゃなかったでしょ?! もっとイヤミの1つでも言いなさいよ!!」
「失礼します。オーディエンスの再生数は上々のようです」
やってきたツムリがデザグラの視聴状況について報告を行う。
「とーぜんよ! こう言っちゃなんだけど、ギロリのディレクションはちょっと硬派過ぎたよね~。なーんか、”押忍!! 俺のデザイアグランプリ!!”みたいな~?」
「は……?」
頭に大きくクェスチョンマーク”?”を浮かばせツムリは首を傾げる。
「オーディエンスのみんながみんな、世界平和のハッピーエンドだけを願って見ているわけじゃないんだからさっ!」
「そんなことはないと思いますが……」
ツムリの返事に応えるように立ち上がり両手を大きく広げ芝居がかった言葉を告げるチラミ。
「オーディエンスが求めているのは、スリルと刺激! それこそが、エン、ター、テインメント、なんだから~ああ~! ぷぎゃっ?!」
「まーたキモい動きと声してやがるな、てめぇ……」
「両津様?! ……どうされましたか?」
「中川の使いだ。データ寄こせってこのグラサンオネェが言っていたからな。直接ワシが持って来た」
筆者です。「玉晒XII」をお送りしました。
恐ろしい事に、今回なんと更新準備をしていくまで両さんの出番がありませんでした。”あれ? 居ないんじゃね?”とふと気付いて、本文終盤のシーンが書き足されたものです。故、申し訳ありませんが今回と次回の両さんの出番はスキマで埋めた感が拭えないかもしれませんが、どうかご容赦を。
ケケラがデカい顔して景和と対峙しています。ケケラ推しのライダー集は以前から考えていたもので前書きとかでも良かったんですが、せっかくなので本文に加えてみました。居ますよねー、自分の好きな作品を見てくれと押し付けて来るオタク。筆者がそうです。オタクだいたいそうです。あの庵野秀明さんもそうでした。大学時代に当時付き合っていた女性に1stガンダムの見どころを延々と語りながらVTRを観ていたとの事で、島本和彦先生の実録マンガにてその奇行がわかります。最近”踊るさんま御殿”にてあのちゃんが言ってましたがモテない男のやらかすイヤな行動だそうです。皆さまも気を付けましょうねw
今回どちらかと言えば毎回前書きでやってそうなドタバタを本文で展開しているような感じです。これも日頃リアルタイムで前書きを書いている成果かもしれません。
改めて説明しますが、前書きと後書きは本当に更新時にリアルタイムで書いているものでして、毎回出たとこ勝負なんです。後書きは前書きと本文の事や、筆者のヨタ話を書けば良いのでまだ楽なのですが、前書きは結構面白くも負担は大きいですね。ただし、これを続けられないとカンが鈍るのと、楽しみが減るので当分控える気は無いですが。
そろそろ書かないと旬が過ぎるなと思っている話題を少し。先日10/6~10/9の間、新宿住友ビル 三角広場特設会場で行われた”GUNDAM NEXT FUTURE<EAST>”に出かけてきました。ただその日は体調が優れなかったため、来場者全員プレゼントのノベルティを頂き、展示物の写真を撮影する以外は直ぐに帰りましたが……お目当ては水星の魔女ラジオの公開録音観覧でしたが、椅子付きは即予約締切。公開録音は午後15:30でしたがあまりに体調不良が酷かったので急ぎ帰宅。後程配信で確認しました。無理はいけません。とは言え、ビルドシリーズの軌跡を追う事が出来たり、歴代ガンプラを眺める事が出来たりとガンプラファン・ビルドシリーズファンにしてみれば夢の様なひと時を感じられる場所でした。配信のみでしたがスペシャルステージのトークショーとライブも楽しかったです。皆さんももしご興味がありましたらYoutubeのガンダムチャンネルにて是非チェックをオススメします。
今日の前書きと後書きは珍しく長くなりまして申し訳ありませんでした。明日以降はまた通常に戻るでしょう。明日も間に合えば17:30更新ですのでよろしくお願いします。
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