仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~   作:唐 十三郎

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「リアリティライダーショー、デザイアグランプリ! さぁお待たせしました。次のゲームの始まりです!!」
「お前たち、本当に待たせたな。前回の”玉晒”で、まさか19話も使うなんて筆者も思っていなかったらしい。さぁここからがハイライトだ!」
「いえ、英寿様。そう言う事では無くてですね」

 英寿がフォンガースナップを決めるもツムリから物言いが入る。

「何だ姉さん、違うのか?」
「もう、姉さんじゃありません。こちらのテキストをご確認ください」

 ツムリが用意したテキストには今回の内容が書いてある。それを読んだ英寿は少々驚いた。

「えーと……マジか?」
「マジです。だから”お待たせしました”と皆さんに言っているんです」
「あーね……うん、そうだな! 本当にお待たせして済まなかった! さぁここからがハイライトだ!」
「濁しましたね」
「いやだって、この内容だとここで明確に言うわけにもいかないだろう?」
「ハァ……それもそうですね。では皆さま、あまりここで引っ張るわけにもいきませんから続きをどうかご覧ください」

 いよいよ次のデザイアグランプリが始まる。


麗羅編
麗羅M~I:そして彼女がやってくる


 早朝の超神田寿司。擬宝珠家の皆は朝食を摂っていた。両津勘吉は今日も居ない。連絡が途絶えてから既に2週間は過ぎた。食事を終えた纏は手を合わせる。

 

「ごちそうさまでした」

「そろそろ行くのかい、纏」

「うん。そろそろ時間だからね」

 

 祖母の夏春都から声がかかる。孫娘の出発を今日ほど心配する事は無かったと後の彼女は言った。玄関先に集まる擬宝珠家一同と超神田寿司の従業員たち。

 

「気を付けるんだよ」

「お嬢さん。どうかお気をつけて」

「ちゃんと連絡してきなさい」

「マトイ……」

 

 妹の檸檬が心配そうな瞳で姉の纏を見つめる。

 

「どうした檸檬? 大丈夫。ちゃんと勘吉は連れて帰るから」

「……うん! 任せた!! じゃあこれじゃな!」

 

 そう言うと火打石を取り出す檸檬。切り火を行い無事を祈ろうと言う彼女なりの気遣いに纏の胸中は満たされていく。

 

「ありがとう檸檬。アンタも気を付けるんだよ」

「うん! ではいってらっしゃいなのじゃ!!」

「ああ。じゃあ皆、行ってきます!」

 

 纏の明るい声で別れの挨拶が行われた。背中を見送りながらすすり泣く声も聞こえる。姉の姿が小さくなると檸檬は瞳に涙を溜めていた。夏春都が腰を落とし、檸檬の頭をそっと撫でる。

 

「良く耐えたねぇ……もう我慢しなくて良いよ、檸檬」

「ば、ばぁちゃん……う、うわ――ん!!」

 

 ボロボロと涙を零す檸檬。夏春都は抱きしめて自分の胸で檸檬の涙を受け止めた。

 

「ばぁちゃん! レモンは、レモンは今ほど悔しい事は無い! どうせならレモンがカンキチを救いに行きたかった! 行きたかったのにぃ!!」

「アンタって娘は……全く。勘吉のバカは幸せ者だよ。一体どこをほっつき歩いているやら」

 

 先日のデザスター投票で脱落して以降、本来日常生活に戻されるべき両津勘吉は行方不明となっている。彼が戻らないのは日常茶飯事であるが今回は少々事情が異なっていた。記憶こそ無いがジャマトの脅威は超神田寿司の面々、当然夏春都や檸檬の心に沁みついている。その最中での失踪はやはり心配になるだろう。

 

 ―― ちょっとツテが出来てね。勘吉を連れ戻せるかもしれないってさ。少しの間家を空けるよ ――

 

 数日前に纏が家族に打ち明けた言葉がこれである。そして出発する今日を迎えた。

 

「纏。無茶だけはするんじゃないよ……」

 

 夏春都は泣き続ける檸檬を胸に抱いて呟いた。

 

 家を出て少し歩いた所で待っている者が居た。デザイアグランプリのナビゲーター、ツムリである。

 

「お待ちしていました、擬宝珠纏様」

「うん。ゴメンね……待たせちゃったかな?」

「いえ……正直こうして貴女をお迎えするのは心が痛いですね」

「まあ仕方ないよ。アタシが望んだ事でもあるし」

「……ではこちらを先にお渡しします」

 

 ツムリは纏にアイテムボックスを手渡した。中にはデザイアドライバーと兎をモチーフにした意匠のIDコア。そして少し濃い目のピンク色に彩られたレイズバックルが入っている。纏は中を見て確認した。

 

「うん。確かに」

「では……おめでとうございます! 今日から貴女は仮面ライダーです!!」

 

 ツムリが真剣な表情で決意してその言葉を言った直後、2人はそのまま転送された。

 

 いつぞやと同じく、物々しいナレーションが始まる。

 

 ―― デザイアグランプリ、それは理想の世界を叶えるため怪物ジャマトから世界を救うゲーム ――

 

 ―― これまで数多の戦いが繰り広げられ、勝利と敗北のドラマが紡がれてきた ――

 

 ―― そして今! このデザイアグランプリに新たなライダーが参戦する!! ――

 

 ナレーションのテンションが一気に上がり、デザイア神殿にピンク色の光の帯が出現し、ライダーの姿となって現れる。

 

 ――それでは、新たなエントリーメンバーを紹介しよう!――

 

 その言葉を言い切られるタイミングでモニターには新たなライダーの姿がハッキリと現れる。ピンクに輝く丸い複眼とそれを納めている白い面を包む様にピンク色の兎を模した様なヘルメットを被っていて長い耳が2本伸びている。エントリーフォームの姿を映すと更にデザグラのジャケットを気だるげに纏ったポニーテール姿の美しい女性の姿が現れた。

 

 ――急遽参戦、健気さナンバーワン! 魅惑の女闘士、仮面ライダーラヴィこと、擬宝珠纏!!――

 

『 ENTRY 』

 

 纏が現れるとオーディエンスたちが使用している目玉型浮遊カメラから歓声が聞こえてくる。初参加の彼女に文字通り好奇の目が集まる。

 

「あれが新しいライダーか」

「まさかの女性ライダーとはね」

「兎モチーフか?」

「あのエントリーフォーム、エッチくない?」

 

 オーディエンスたちの声に辟易した纏はすっかりイヤな顔をしていた。

 

「これがデザイアグランプリ……なんともここまで見世物にされるとはねぇ……」

 

 纏がデザイア神殿に現れてツムリがアナウンスを行う。

 

「皆さまお待たせしました。リアリティライダーショー、デザイアグランプリ……再開です!!」

 

 オーディエンスたちの歓声が一際大きくなった。纏を加え、いよいよデザイアグランプリの再開となる。

 

 事の発端は丁度2週間前になる。サロンにチラミが現れてライダーたちに突然の報せを告げた。――

 

「「「「……中止?!」」」」

「そーよ。デザグラは中止となりました。再開時期は未定」

「いや、いきなりそんな事言われても突然すぎるでしょ?」

「うるさいわねぇ! アタシが決めたんじゃないわよ!!」

 

 景和の問いにわめきながら返すチラミ。皆、眉間にシワを寄せて怪訝そうな顔つきになっている。ここで英寿が改めて質問をした。

 

「理由があるならそれも話せ。流石に納得が出来ない」

「……いきなり2人も脱落したからオーディエンスからクレームが殺到したのよ! ゲームプロデューサーからの指示で、新たな補充ライダーが決まるまで中止だってさ」

「補充ライダー……」

「せっかく人数が減ったのにまた増えるわけ?」

「「「……!」」」

 

 冴の言葉に皆がハッとなる。そう、この先も他のライダーを蹴落としていかなきゃならないのにまた更に人数が増えるのだ。これだと無間地獄である。

 

「今回限りだってプロデューサーは言っていたわ。上が決めたんだから文句は言わないで頂戴」

「わけわかんないよ……」

 

 祢音が青ざめた顔でボヤいた。他のライダーも同じ気持ちだ。

 

「さぁこれで暫くアンタたちはフリーの身よ! 再開までトレーニングするもよし。羽根を伸ばすも良し。好きにしなさい!!」

 

 チラミはスキップをしながらサロンを出て行った。ライダーたちはその姿を睨みつけていた。

 

「いきなりフリーって言われても~……」

「仕方ない。アタシは一度家に戻るわ」

 

 冴は手荷物を纏めるために自室に戻った。

 

「……俺、両さんの様子見てくるよ」

「止せ。こっちは覚えてても向こうは忘れているんだぞ」

「そうだけど。あのまま脱落なんて可哀想だよ……」

 

 景和の提案に否定で返す英寿。デザグラを脱落すると参加したライダーは参加していた間の記憶を失い、更に夢や希望を持つ心も失う。

 

「行ってくる」

「俺は止めたからな。それとお前のIDコアを触らせる真似もするなよ」

「! し、しないよ……」

「やっぱり考えていたろ、お前」

 

 英寿の読みは当たっていて、ともすれば景和はタイクーンのIDコアを触らせる気で居た。

 

「だいたいさ、何で英寿は両さんの復帰を頼まないの? そういう事も出来るんでしょ?」

「そうすべきじゃないと思ったからだ。今回のデザグラはアイツには荷が重すぎる」

「! ……そうなの?」

「行くなら勝手にしろ。俺は止めたからな」

 

 そう言うと英寿もサロンを出てどこかに行ってしまった。

 

「祢音ちゃんはどうする?」

「アタシは良いよ。なんだか顔を会わせ辛いし」

「……わかった」

 

 景和は祢音の気持ちを尊重する事にした。先のデザグラ投票で大智を落としたのが祢音だとほぼ確証が取れている。デザスターであるかどうかはまだわからないが、記憶を取り戻した両津からその事を指摘されるのが辛いのだろう。

 

 景和はツムリに送ってもらって超神田寿司の前に来た。ランチタイムの為に店を開けたばかりか、店内にはまだ客が少ししか居ない。

 

「へいらっしゃい! 何名様ですか?」

「えと……1名です」

「じゃあテーブルとカウンターどちらになさいますか? 今だとどちらもご案内できますよ」

「それじゃあカウンターで……」

「へい! お一人様カウンターにごあんな~い!!」

「「「「あいよ!!」」」」

 

 店内中の職人と仲居たちの威勢の良い返事が聞こえてくる。カウンターに通された景和はメニューを手に取った。




 筆者です。「麗羅M~I」をお送りしました。

 ご覧の通り、前回で脱落した両さんは今回出てきません。いよいよ始まりました、両さん不在でのストーリー展開。主人公で且つコメディリリーフでもありました両さん不在でどこまで進められるのか筆者としても挑戦になるものですが、どこまで両さんに頼らず書き進める事が出来るのか? どうか今後もご愛顧頂ければ幸いです。

 暫くは纏ちゃんが主役です。今までの両さんを主役とした進め方と異なりましてだいぶルールも変えなければなりませんが、これはこれで結構楽しく書き進めています。と言うのもハーメルン以外でのオリジナル作品では結構女性キャラも動かして書いていたんですよね。別サイトの宣伝となってしまうのでリンク等はこちらに貼れません。ご興味ある方は筆者のXアカウント(@karazyu13zo)のプロフィールからどうぞ。「怪奇異端倶楽部 HITOMI ~ビーストハンターシリーズ異聞~」と言う作品です。残念ながらタイトルで検索しても出てきませんw 超常の力を持つJC2人?のお話です。
 
・仮面ライダーラヴィ・・・専用バックル含めて詳細はまだ明かせませんが、既に本文に書いてある通り、ウサギベースのライダーです。エントリーフォームですら詳細はまだ明確にできませんが、オーディエンスの1人が言っている言葉「あのエントリーフォーム、エッチくない?」からご想像頂ければと思います。

 では明日も17:30更新ですので、どうかよろしくお願いします。

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