仮面ライダーギーツvsこちら葛飾区亀有公園前派出所~両さん、デザグラに出るってよ~ 作:唐 十三郎
「え? 急に来るの? えーと……しょ、勝利をこの手にする為にかっ飛ばして行くよ~!!」
「素晴らしい! やっぱり元気のある女性ライダーは良いですね~」
瞳を潤ませながら感激するツムリ。持ち上げられた纏は若干噛みぎみだったが。
「纏様! この後お時間ありますか? 祢音様と冴様もお招きしてライダー女子会と行きましょう!!」
「ちょっと待って! そのデザグラは良いの?」
「構いません。あんなの英寿様と景和様に任せれば良いんです」
「いやそれだとどちらかがデザスターでどちらかがデザ神で……」
「良いですから良いですから♪」
「ツムリちゃん、意外に力強っ!! いやいやちょっと待ってぇ~――」
ドップラー効果を残しながら纏とツムリは何処かに行ってしまった。
「どうする?」
「待つしか無いだろう。俺たち2人じゃ進められないし」
「だねぇ……オセロでもしようか」
英寿と景和はオセロからの将棋からのチェスからのポーカーと続けるも、ツムリと纏は帰ってこなかったらしい。
両津の様子を伺うために超神田寿司を訪れた景和。店には直ぐ入れたが肝心の両津にはまだ会えていない。一先ずは何か食べる事にする。
「そういえば何も考え無しに来たけどここって高級寿司屋だった……金、足りるかなぁ。え? 嘘? 意外に安くね……?」
メニューはランチタイム用のものであり、値段も予想より安くて安心する景和。勿論2~3000円する物もあったが、一番安いのが”今日のおまかせ寿司1200円(税込)”である。迷わずそれを選ぶ事に決めた。
「すいません、今日のおまかせ寿司を1人前ください!」
「ありがとうございます! あと300円お出し頂ければ茶碗蒸しも付きますがいかがしましょうか?」
「じゃあそれもお願いします!」
「あいよぉ! おまかせ1丁と茶碗蒸し頂きました~」
「「「「あいよ!」」」」
1500円なら問題は無いと気が大きくなる景和。改めてやってきた超神田寿司に心躍る気持ちになっている。少し贅沢な昼飯だと思うと嬉しみも増すもの。
待つ事10分でゲタに乗った寿司が運ばれてきた。
「へいおまち! おまかせ1丁になります!! 茶碗蒸しはもう少しだけお待ちください!」
「はい、ありがとうございます」
やってきたのはおよそ他所の寿司屋でも上に相当する量の寿司だった。赤身・トロ・イカ・タコ・サバ・銀カレイ・ウニの軍艦巻き・赤貝・サケ・穴子・玉子となっている。
「これで1200円? ……嘘じゃないよね? 後で追加料金とかは……」
寿司と一緒に渡された伝票にも”おまかせ1200円、茶わん蒸し300円(内税)”と書かれているので間違いはない。
「じゃあ……頂きます!」
供えられた箸を手に取り早速頂く景和。玉子は以前食べたので味は間違いないと思われ、今日は寿司の王道的食べ方で赤身から行く事にした。
「う、美味い……! これでおまかせなんだ。やっぱり超神田寿司凄ぇ……」
マグロの赤身特有の美味さが口全体に広がって幸せの極致に至る景和。その余韻を一旦お茶を飲んでリセットさせて、次はトロに手をつける。
「これも美味いなぁ! こんなん食べたら冴さんだと喜びで泣き続けると思うよマジで!」
以前に英寿たちと食べた時も美味かったが、今日食べるトロも中々のものだった。舌の温もりで溶ける脂の味にトリコになった景和は目の前の寿司を早々に平らげ、最後に茶碗蒸しを食べ終えて幸せですっかり顔が緩み切っていた。
「ととと、いかんいかん。寿司を食べに来る事が目的じゃなかった……すいません。両津さんはいらっしゃいますか?」
「両津……? ああ、イチローの事ですね。すいませんね、今日あいつは店に居ないんですよ」
「と言うか、最近全然見ないねぇ。イチローのヤツ」
「おかみさんの所にも戻ってないんじゃなかったか?」
「え? そうなんですか?」
割り込んで来た仲居の言葉に驚く景和。
「お客さん、イチローの知り合いで? もしかしてまた何か迷惑でもかけましたかい?」
「いえ! そういうのじゃないんですが……」
「もし良かったらお嬢さんにも聞いてみますかぃ?」
景和の返事を待たず仲居の1人が纏を連れてきた。
「景和くん! 久しぶりだねぇ。元気してたかい?」
「う、うん! 久しぶり。元気だよ~」
実際は昨日のジャマーボール戦で逢っては居たが、デザグラの記憶がリセットされ、更に微妙に変更されているらしく纏は全く覚えていなかった。纏の記憶では景和と出会ったのは道長が神田神社で檸檬とプラスを救ったその後で両津が連れてきた時のままで止まっている。
「勘吉に会いに来たって? ゴメンねぇ、アイツならしばらく帰ってきてないんだ」
「そうなんだ……昨日とか一度戻ってきてなかったかな?」
「ぜーんぜん。連絡も全く無し。一体どこに行ったんだかねぇ」
「そうか……ゴメンね、急に来ちゃって。お店忙しいのに」
「いいよいいよ。こうして食べに来てくれるだけで十分嬉しいからさ」
「うん。今日も美味しかったよ。ごちそうさま。じゃあ俺、そろそろ行くね」
「もう? 少し待ってくれたら檸檬も戻ってくるから、良かったらお茶でも飲んでいかない?」
「いや……ごめん。檸檬ちゃんにはよろしく言っておいて。それじゃあね」
まるで何かに追われるように会計を済ませて店を出る景和。その態度が気になった纏は景和の後を追いかけた。
「景和くん!」
「! ……どうしたの、纏ちゃん?」
「いや、何か景和くんの様子がおかしかったからさ……」
「――……そう?」
嘘がつけない景和はこの時の態度を纏に勘ぐられていた。
「あのさぁ……景和くんに1つ聞きたい事があるんだけど」
「……何かな?」
「景和くん、”デザグラ”って知ってる?」
「! ……いや、何それ?」
その言葉を聞いて景和の顔が一瞬凍り付いたのを纏は見逃さなかった。そして今度は景和から纏に質問する。
「纏ちゃんはさ……何でデザグラってのを知っているの?」
「うん……ちょっと知り合いから聞いてね。何か勘吉、最近それで忙しいんだってね」
「そうなんだ……」
「ねぇ景和くん。怒らないから本当の事を言って。景和くんはもしかして勘吉が帰らない理由を知っているんじゃないかな?」
「知らない……本当にわからないんだ。いや、本当なら戻ってきていておかしくない筈なんだ! なのに何で……?」
辛そうな景和の顔を見て心配になる纏。これ以上の追求は景和にとって良くない事だと纏は察した。
「ご、ごめんね~。じゃあまた何かあったら食べに来なよ」
「うん……ありがとう。お寿司美味しかったよ。じゃあね」
その背中を見送った纏は嫌な予感がし始めた。
サロンに戻る景和。そこには英寿が居てコーヒーを飲みながらスマホで何か調べものをしていた。
「お帰りタイクーン。両さんの様子はどうだった?」
「それが……両さん、店には戻ってないって」
「何? どういう事だ?」
景和は超神田寿司での顛末を英寿に説明した。
「脱落したら元の生活に戻る筈じゃ無かったの?」
「その筈だ。少なくとも今まではそうだった」
「英寿、もしかして?」
「ああ。今までのデザグラで心配になった脱落者と退場者は時間がある時にこの目で確認してきた。勿論以前脱落したお前もな」
「! そうなんだ……」
「ナッジスパロウはちゃんと戻っていたがな。普通に過ごしていたぞ」
「良かった……大智くんは無事だったんだ」
「ああ……でも両さんだけ何故だ?」
2人は無言となる。以後2週間近く、ライダーたちの気まずい共同生活が行われた。時折本来の住まいの様子を見に戻る者、気ままに過ごすもの。それぞれが自由に行動していたが、両津が居た時の賑やかさはとうとう戻って来なかった。
景和が超神田寿司を訪れて数日後。纏は署長命令である場所へ出向となった。場所は麗子の運営している秋本商事が管理している研究施設。スポーツジムが併設されていて、更にその近くには用途不明の巨大なドーム型の施設もあった。
「こんな場所があるなんて知らなかった……」
「纏さま~こちらですわよ~」
マリアこと麻里愛に先導されて敷地内を移動する纏。そして目的の建物の前で待つ者が居た。
「早矢!」
「マリアさん、纏さん。先に来ていました」
「早矢は携帯も時計も持たないからなぁ。でも不思議と時間には間に合うし、だいたいの事は連絡しなくても伝わっているんだから凄いよ」
「これも日頃の修行の賜物です」
「修行とかで済まされる話なのでしょうか……」
早矢の言葉にマリアが呆れ気味になる。
筆者です。「麗羅II」をお送りしました。
時系列が掴み辛い構成となっていますが申し訳ありませんけどお付き合い頂ければと思います。大筋としては、ジャマーボールから2週間は経過する事になります。ではその間どうなったかと言うと、先にお伝えしておきますが両さんは行方不明です。派出所にも超神田寿司にも顔を見せていません。
既存のライダーたちは何をしていたかと言うと、景和はご覧の通り超神田寿司へ。英寿は脱落した大智の様子とか見てきました。冴は実家に時折帰宅。祢音も荷物を取りに行くくらいはしています。
そしてその間の纏の行動が明日更新分からの肝となっていきます。デザグラが始まるまでに少しお時間頂く事になりますが、どうかお付き合い頂ければと思います。
久々登場のマリア、そして本格登場の早矢。更に次回は本文お読み頂ければ予想がつくかも知れませんが、あの女性キャラも来ます。こち亀ヒロインズがどんどん出てきますのでご期待ください。
既にお気付きの方もいらっしゃるかもしれませんが、今後の方針決定の為に読者様方の性別比率について確認を取らせて頂こうと思います。もしよろしければアンケートにご協力をお願いします。
では明日も間に合えば17:30更新です。宜しくお願いします。
この作品をお読みになっている貴方は
-
男性
-
女性
-
どちらとも言えない