Q.なんで怪物と戦うのに病弱物知りお姉さんになる必要があるんですか? 作:王者スライム
──
何しろ、その技術は簡単に説明すると
明るく活発的で基本的に男子との距離が近い女の子が性癖な人はまさしくその通りの姿に。
ついつい美脚に惹かれてしまうような人はその理想通りの美脚を持つ人の姿に。
凛々しい百獣の王のライオンに興奮を覚える人はそんなライオンの姿になると──
まあ、なんにせよ言いたいのは性癖とは力そのものになり得るということ。
大抵の場合は自分好みの異性の姿になるだけだから、強力な力を得るなんてことはそうそうないけれど……それでも例外ってのはいつだって生まれるもので、力を持っている例外だからこそ出来ることもある。
例えば、
怪物──というのは異なる世界から来たとされる生物の総称。
通常の兵器があまり通用せず、しかも変な能力まで持ってる厄介な生物だ。しかも、女性に襲いかかり、えっちな展開を繰り広げて自分の種を増やそうとする。
なら、男性は大丈夫かと思えば不思議な力で女の姿に変えられて、同じようにえっちな展開を繰り広げる。人類の新たな天敵とも言える存在。
日本のK県、しかも一部地域にのみにしか現れないことや、ちょうど発生時期が新型ウイルスの自粛期間と被ったことが幸いしたのだろう。被害者の総数こそは多くはないけれど……居ない訳じゃない。
その被害者を増やさない為に、
さて、説明もここら辺で終えて現状の話をしようか。
その
そして、そんな私たちをハエトリグサをそのままトラックを二台縦に積み重ねた大きさまで拡大して、手足のように触手を生やした怪物が追いかけてきている。
怪物とは言えどう見ても植物なんだから動くのは遅いかと思ったけれど、普通に私と同じくらいのスピードは出せているようだ。ズルい。
「さて、最初に聞いておこうか。君の性別は、どっちだったのかな?」
「あっ、えっ、えっと……男、でした」
「そうか。じゃあ、少年──
「えっ……?」
次の瞬間、
そして、空中を飛ぶ私たちは自然と怪物の方向へと向かって、その勢いのままに持っていた刃物で触手部分を切り落とす。
空中を飛んだと言っても、所詮は数メートル。切り落とした触手をクッション代わりに使えば、何一つ怪我なく私たちは無事に地上へと帰還した。
動きが止まっている怪物から再び距離をとると、少年は安心したらしい。安堵の声を漏らした。
「びっ、びっくりした……」
「あはは、ごめんごめん。あんまり一般市民を巻き込む訳にはいかないんだけど、さっきまではそうはいかなくてね。まあ、けどこれで大丈夫だよ」
「……大丈夫って何がですか?」
「あいつのターゲットが私に移ったってことさ。今なら君を逃がせる。君、性別も変えられちゃってるからなるべく早く
「……あっ、はい!」
状況を理解したのか、少年は私にお辞儀をすると怪物から離れるように迷いなく走り去っていった。私はそれを見届けて、また怪物の方へと目を向ける。
先ほど切り落とした触手は再生していて無傷のような状態だ。けれど、今度は私しか見ていない。それだけでも、先ほどの一撃は確かに働いたというべきだろう。
「あと、三十二回……時間にすると四十分か……めんどくさいけど、やらなくちゃね」
怪物は基本的に再生能力を持つが、それは無限じゃない。つまり、先ほどのような行為を繰り返し続ければ、面倒ではあれど殺せるということ。本体部分はともかく、触手の部分はさほど硬い訳ではないのは分かっている。後は、私がちゃんとやり遂げられるかと言った所だ。
覚悟を決めた私はキックボードに足を乗せ、しっかり刃物を握り締める。そして、先ほどと同じように壁へとぶつかり────
────それから、
怪物、名称キョダイハエトリグサの討伐が確認された。