皓々と煌めく月桂が叢雲を率いて夜空に静寂を漂わせている。天上の大海原の蕭殺とした気配に触発されて現世に充満する陰気は水面に垂らした一滴が波紋を拡げるように、不可視の領域から現実へと着実に影響を及ぼしているように思われた。
人々が寝静まり、負の感情を伴う異質な存在が活気付く深更に菅田と祢木の二名は逸に連れられ屋敷から車で一時間東にある森林へと足を踏み入れた。呪霊祓除の名目で帳を降ろし、数体の呪霊を気休めに祓い大層な健脚ぶりで月明かりすら通さぬ密生した雑木林を進んでゆく逸に二人は怪訝に見合わせながらも歩を早めた。
草木のざわめきと密やかに生息する生物の息の他には何も聞こえぬ道なき道を迷いなく進行して、奥地で彼等を待ち受けていた者達に菅田と祢木が眼顔を愕きに彩らせた。
「真奈美?利久?」
「アンタ達、どうして此処に」
「俺が呼んだんだ。」
意想外の旧友との邂逅に驚き入る四人の間に立ち逸は云った。丁度木の間に差し込む青白い天体の光が彼の白黒が色相が馴染む髪を輝かせる。前置きもなしに放たれた次の言葉に四人は対応姿勢をとった。
「お前らに話があったんだ。今の偽物じゃなくて、去年五条先生に殺された夏油傑の家族だったお前らに。」
折悪い突風が彼等から表情を吹き飛ばした。さもありなん、現状呪詛師の頂点に君臨する——それも稀有な術式と先代の贔屓でひとかどの大物になっただけの青二才と反主流派には陰口を叩かれている——青年が夏油に纏わる禁じられた背景を口にしたのだ。その一言だけで、逸が高専とも呪詛師とも一線を隔てた地点で物事を俯瞰しており、且つ継承の儀での宣言を反故にする可能性が浮上したのだ。彼等の掲げる理想を妨害する剛敵になる危険が。
これ迄に己らを欺いていた道化に引き出された戦慄を呪力に変じようとした菅田を制止したのは他でもない逸本人だった。
「待って姐さん、先に話を聞いてくれ」
「どの口が!」
「ならこれを渡す。」
「なっ、それは…!」
矢庭に懐から取り出された代物に一同の呪力は露骨に乱れた。
錆びた羊羹色の六面から碧眼が覗く忌み物、それは特級呪物、獄門疆。特定の条件下で封印した対象を期間に制限なく閉じ込めておける脅威の立方体である。己が五条を封印するという約束で偽夏油から引き受けた代物を手にする逸に、特に偽夏油との折衝の末に一時的に渋川家に協力するという取引を行った祢木らにとって到底看過できない状況だった。理想が、彼の掌中に人質に取られているのだ。
渋谷事変の絶対的な通過点を存知しない美々子と菜々子は混迷の孕んだ双眸を揺らした。けれども一年前には同じ釜の飯を食い志を友にした二人の反応に明らさまな警戒を滲ませた。
各々の敵意を一身に受けつつ、逸は軍参謀もかくやの蛇達との作戦会議を脳裡に蘇らせた。
『五条先生を封印するって…なんでだよ?』
『呪術師どもが最も弱体化した時、それは呪詛師どもが最も気を弛ませる時だ。即ち、お前にとって形勢を覆す絶好の機会となる。』
『これだからああ君は』
『前々から思ってんだけどその渾名なに?』
『分からない?
『次罵倒したやつ契約解除な。』
後半はさておき、自分という変数が如何なる事変を呼び起こすかという難題に最適解を導き出せなかった逸は神話や伝説を所在とする蛇達の助言を素直に受け入れることにした。彼の呼び出しに偽夏油は存外直ぐに応じた。そうして云われた通りの台詞を誦じた逸は難なく獄門疆を手に入れたのだった。
「これをお前らに返そう。これからする話を受け入れられなければアイツに俺が裏切ったと伝えれば良い。けどこれだけは断言しとく。…アイツを生かしておけば何れ俺達は全滅する。術師だろうが呪詛師だろうが非術師だろうがな。」
それが早いか遅いかの違いだ。
三つ編みにあしらわれた襟足のモロクロームが風に巻き上げられた。季節は孟秋なのにヒヤシンスの新芽が薫ってくるような凛然たる声音に一同は眼を合わせる。
故人の遺体を悪用する外道に天罰を下す為、片や理想を引き継ぐ為。
「またいつか」などという聞こえ栄えの良い餞別の言葉で分たれた家族がどうしてか丸一年も経過せぬうちに再会している。それも無関係の人間の計らいで。
深慮を巡らせど彼の本意が読み取れるわけではない。けれども例の男を偽物と明言し、余所者の盗聴を避けるべく山奥に案内したうえで常時召喚している蛇を下がらせているという眼前の事実、その摯実さは感嘆に値する。少なくとも己らを夏油傑の家族と呼んだ青年の話を聞く価値はあると思われた。
「言いぜ。聞かせろよ。その代わりしょうもねぇ話なら…」
「後悔はさせないよ。」
灰鼠色の雲が幾度となく月を隠した。
帳よりも深く暗い闇の只中で動揺、混乱、衝撃、沈痛…様々な情感が移ろいだ。夜陰に乗じて語られる虚脱ものの未来予想図に四人は息を殺して清聴していた。
「美々子と菜々子は夏油傑の体を解放したい。姐さんと兄さんはあの男が託した未来を実現したい。それで結構だ。渋谷が終わって互いのその後を深追いする必要は無い。あくまで一時的な協力関係だ。」
偽物の討伐なくして各々の希望は叶えられない。現状のまま仇敵を見誤って事変に突入すれば遅かれ早かれ自分達は襤褸雑巾の如く使い捨てられる定めにある。脅威は偽夏油だけに留まらず呪いの王に特級呪霊、漁夫の利を狙う悪徒が水面下で蠢いているのだ。
理想に逃げるか、過去に死ぬか。何れかを択べと渋川家の新たな主柱は暗に訓戒を垂れていた。
そうでありながら一人の人間として人々の存続を願う純心と、その為に頭を垂れることも厭わない姿態は気位ばかりが高い術師、或いは醜悪な非術師と邂逅してきた彼等の眼には青雲さながらの清浄な魂に映じた。
似ている。誰かなしに思った。守備範囲は異なれど何にも代え難い者達の為に最善を模索して、結局己らの目に届かぬ場所で呆気なく散ってしまった誰かに。
満開の八重桜が絶好の三日月夜に乱舞するような潔い散り方ではなかった。蒼が転じた宵闇に、黄金の満月の偉大さを際立たせる為にはらりと零れ落ちる鬼灯のような終生だった。それでも彼等にとって彼の存在は空虚ではなく、犬死などでもなかった。
「あんたが、殺せるの?夏油様の偽物を。」
菜々子の声は震えていた。
「殺す。命に替えてでも。」
力強く、自己犠牲心も甚だしい声調は酷く夏油と被った。
大人二人は些かの哀れみを呪術師に抱かずにはいられなかった。殊、夏油傑が親友と呼び未練を残した現代最強の呪術師に。きっと逸は、本意を誰にも打ち明けずに独り修羅の道を選んだのだろう。相談もせずに彼が行き着いた最良の方法を実行する為に。呪詛師に転じた身でありながら、その心はどんな術師よりも崇高だった。一度は兄姉呼びを許した相手に此程の覚悟を示されて一刀両断に切り捨てられるほど澆薄ではない。
「協力してやるよ。但し、お前も精々長生きするんだな。」
「…ありがとう。」
…後々彼等は
*
残るは高専側の協力者の確保だった。これに関しては既に順平と決めていて、あとは接触する手段のみ。遂に獲得できた呪詛師側の協力者、美々菜々と姉さん兄さんの提案である作戦を決行することにした。必然的に高専の皆に不快な思いをさせることになるけど、これも敵味方を完璧に欺く為の苦肉の策として遂行させてもらう。深い事情を伝えていない作浪さんの傀儡であるウズメも随伴させることで説得力は増すだろう。
十月中旬、街々の緑が錦繍さながらに色づく仲秋。季節の凋落の手前にもう一息とばかりに燃え盛る木々の先端を堪能する間もなく、三ヶ月前までは通い慣れていた通学路を俺は登っていた。驚くべきことに、結界術が得意な蛇曰く天元は俺の存在を未だ彼の結界の探知警報の対象としていないらしく、それを利用して俺が先に潜り込み順平に接触することにした。八月半ばに俺を作浪さんに合わせた補助監督は健在のようで彼に高専生の一日の予定表を盗んでもらった。今更ながら完全に呪詛師の所業だと自嘲せずにはいられない。
それからウズメ達の突入は裁量に任せてある。幸いにも五条先生は北海道に出張任務だ。作浪さんとの稽古はその後も続いており、無下限術式を除く特級一人なら三十分は持つだろうとのお墨付きも貰っている。里桜高校から行方知れずの九十九さんに遭遇したとして大敗はないだろうと。呪詛師とはいえ、五条先生ですら成し遂げなかった俺の戦闘力の向上をたった一ヶ月あまりでやってのけるとは脱帽せずにはいられない。彼は人を育てることに長けていた。取り敢えず最も誤解が浅いであろう順平を説得する時間が欲しいだけで長居するつもりはない。
見慣れた校舎を迷いなく突き進み、第二グラウンドの真左に併設されている講堂に行き着いた。三十分足らずで昼食の時間がやってくる、経験上一番身が入らなくる時間帯だ。折を見てツッチーに順平をこの場所に連れてくるように頼んでいる。あと五分も掛からないだろう。
椅子の並べられていない広汎な侘しい空間の只中に俺は一人佇んでいた。舞台の一文字幕に刺繍された立派な日の丸と校旗を見上げて。
高専は俺にとって青春以上の思い入れの深すぎる場所だ。前世での漫画の記憶は勿論、五条先生と初対面した日に俺は運命というものを信じるようになった。術師としての可能性を見込まれた俺は中学一年生の春から自主練だけでなく週末に高専に立ち寄って教師の手解きを受けるようになった。この講堂は最初の二年間の待ち合わせ場所のようなもので、毎度都合の良い術師がグラウンドに連れて行ってくれる手筈となっていた。
一番手合わせしたのは日下部先生、次に夜蛾学長、それから五条先生。特級は何かと多忙で俺のような若造に費やす時間なんてないだろうに、合間を縫っては顔だけでも見せに来てくれた皆にも感謝してもしきれない。将来術師として食べていくかはさておき、高専の人達が生涯安寧でいられるようにと常に願っていた。だからこそ、こんなことになって残念でならない…
「全部、俺の所為だ。だから責任は取る。」
「梔子君?」
やや神経質そうな声が響めいた。最後に会った時よりもずっと改善された顔色が目を丸くしていた。
「やっほ、順平。」
「どうして、ここに」
「これでも俺も元生徒だからな」
擦り寄ってきたツッチーを撫でながら云えば、元生徒に順平は顕著に肩を揺らした。やっぱり、虎杖君達の云ってたことは…と思いに耽りだす彼に直様近寄った。
「冗談だ。お前だけには誤解を解いてもらいたいと思ってこいつに呼び出させた。突然で悪かった。」
「誤解っていうと」
「今は呪詛師だが、俺の心が高専から離れたことは片時もない。」
「じゃあ若しかして…!」
賢い順平はそれだけで全体像を測ってくれた。真人に術式の基本を教えられたあの短期間で虎杖を相手取ったのだからと期待していた通りの思慮深さだ。
俺はウズメの作った特殊な蒲公英を彼に握らせる。前述した通り、ウズメの呪力を帯びた蒲公英は一本千切る毎に所謂無線がオンの状態になり、同じ花の所有者との回線が開通するようになっている。これをブートニア代わりに身につけていればまだ実力の足りない順平が例の晩に渋谷を駆け回っても呪詛師に襲われることはない。
「近々呪詛師勢力は大きな事件を起こす。けど呪詛師筆頭として俺はそれを止めない。碁盤横じゃなくて上から俯瞰できるうちに勝負に挑みたいんだ。なんとかこっち側に協力者を作ったけど、高専の皆は俺を敵だと信じて疑ってない。だからお前に」
「協力して欲しいんだね?勿論だよ。」
言葉を遮って協力を申し出た順平に拍子抜けした。なんか、もっとこう抵抗されるかと思ってたんだが。
面食らう俺の胸中を読み取った順平は莞爾として笑んだ。
「母さんを助けてくれた君を疑うわけがないよ。」
「…引きニーだったくせに見る目あるじゃん。」
「ちょ、引きニーは余計だよ!」
「はは、否定しねぇんだ」
寝起きの羊みたいに温容な面差しだったくせに、少し弄れば今度は蛸みたいに頬を赤らめるんだから矢っ張り感情のジェットコースター、降りれてないんだなって下らないことを思った。
何はともあれ、こんなにも手早く問題が解決するとは思っていなかったので二度肩透かしを食った心地だ。本音をいえばこのまま旧懐談に勤しみたいところだが生憎兄さん達を外で待たせている現状だし、呪詛師の身で高専の敷地内に留まっていて良いことなんて一つもない。
出番直前の投手のように利き手を思う存分回した俺は、順平の首根っこを掴んだ。
「んじゃ、早速で悪いが」
え?間の抜けた戸惑いが溢れる。今の俺はさぞや満面の笑みを浮かべていたことだろう。
肩から手先にかけて血管が浮き出る。云い切る前に、俺は順平をぶん投げていた。
「受け身、取れよ」
「う、うわぁあああ!」
華麗な軌道が高窓を通過するのと、侵入者警報がけたたましく鳴り響くのは同時だった。完璧なタイミングである。
遠くで伏黒の怒声がした。虎杖の叫びも。自分だけ取り残されてはならないと八岐大蛇の真ん中の頭に乗って講堂の天井を突き破らせる。
兄さんらは流石というべきかパンダ先輩達を上手くあしらっていた。どうやら折悪く居合わせた九十九さんにウズメが苦戦しているようだ。とはいえ、彼女を相手に食いついているのは感服に値する。
炎の蛇をけしかける。蒼色の火炎が噴石となり地上に降り注ぐ。質量を調整した九十九さんは凄まじい機動力で標的にされかけた虎杖達を自身の背中へと退らせた。
彼女が完全にこちらを見上げる前に、炎そのものを刀身へと変じた蛇を握って頭上に振り下ろす。凰輪が間一髪で受け止め、衝撃波が広がった。三秒も浴びていれば表皮を焦がしてしまいそうな熱風がグラウンドを囲む木々を枯らした。
再度剣を横薙ぎにしようとして、耳朶が空気を貫く音を拾う。咄嗟に屈んで毒液を滴らせたコブラが襟から突き出る。が、薙刀がその頭を斬り落とそうとしたのでやむを得ず後ろに跳躍した。
碧落の真下、澄み渡る運動場は黒煙と土砂で混濁していた。紛糾の立ち込める広漠な更地の彼方此方にクレーターが出来ており、自然の燃える臭いが嗅覚を鈍らせている。香ばしい原因が人の肉が焼ける臭いではなく引火して燃え盛る樹々であるのは互いに幸いだろう。
九十九さんとの戦闘に加わった夜蛾学長と真希先輩を先頭に俺達は正式に対峙した。
「お久しぶりです。学長、真希先輩。」
「逸…」
「澄ました顔してんじゃねぇよ。そこに直れ糞餓鬼、マジで殴ってやる。」
それ暗に死ねって言ってない?フィジカルギフテッドの白んだ拳が今にも掲げられそうな様に上手く拵えた笑顔が引き攣りそうになった。九十九さん達の背後では一年の皆は勿論、パンダ先輩と狗巻先輩も臨戦態勢を取っている。
「梔子、お前何考えてやがる!」
「怖いって伏黒。釘崎も、んな睨むなよ。」
「あんた、のこのこ戻ってきたってことは殴られる準備できてるんでしょうね?」
「真希先輩と同じこと言うなよ。」
不敵に笑う釘崎はどこまでも彼女らしかった。誰もが俺を旧友ではなく、友の延長線として拗らせた関係を修復したいという想いを向けていて、だからこそその誠実な眼差しが針の蓆に素足で立たされるような気持ちにさせられた。
まだ、裏切り者への未練を捨てきれていない。納得も離別の寛容もしていない。そんな訴えが犇と伝わってくるから。彼等の信頼を踏み躙ったという事実が今すぐにでも奈落に堕ちてしまいたいと願わせた。いっそ、あのまま誤解していれば良かった。
「梔子ぃ!」
ほら、日下部先生まで駆けつけてくれた。四年もの月日を母さんの次に中身のあるものにしてくれた恩師の一人が。転生という摩訶不思議な現象の真偽を知っていて、それ故に生に今一現実感を見出せずにいた俺を活かしてくれた頼れる大人達。
ただでさえ己の不手際で傷ついた心に俺は今から塩を塗りたくる。
「せめてこの場に五条先生がいなくて良かった」
囁いた安堵は誰にも聞かれることがなかった。
俺は威風堂々と八岐大蛇に乗る。姐さん兄さん、ウズメは黙して背後に控えてくれている。美々子と菜々子は二度目の高専襲撃に複雑な面持ちを隠せずにいた。それでも付いてきてくれたことには感謝しかない。内四人は味方であることが地獄で手を繋いでいるような些かばかりの安らぎを与えた。大丈夫、これ以上最悪を超えることなんて早々ないんだから道化になりきれ。
日本中の呪詛師の頭領として恥ずかしくない威厳を背筋に纏わせて、腹に力を込めて前を見る。まさしく仁王像を彷彿とさせる険しい面輪で偽夏油と対峙していると無理矢理錯覚して、明確な敵意を剥き出しにした。
「前頭筆頭、渋川逸の名においてこの場を借りて呪術師に宣戦布告をする!来る十月三十一日、東京都渋谷にて我々は故夏油傑の悲願を叶える為百鬼夜行を実現する!刃向かうもよし、白旗を掲げるもよし!思う存分呪い合おう。」
その先にきっと、日常は待っている。涙が出るほどに幸せでなくとも、いっそ笑えるくらいの不幸は訪れない。訪れさせない。
「そんなことを許すとでも?」
「許可なんて求めてません。俺は俺の夢の為に進み続ける。」
「なら交渉決裂だねっ!」
一年前とまったく同じ状況に既視感覚を覚えて二の句が継げずにいる真希先輩達に反して、九十九さんは沈着を保っていた。
俺に二度も凰輪を壊されるところだったと嫌味存分に蹴り上げられるサッカーボール擬きのそれを難なく躱して、俺はウズメに目配せをする。意を汲み取った彼は予め運動場全体に挿し巡らせていた簪を共鳴させた。
立ち所に五感を妨げる白煙が立ち込める。場を満たしていた煤煙と入り混じり、空の雲と繋がる。
完全に視界が遮られる前に眴せを送ってくれた順平に点頭して、俺達は撤退した。