アクシズに立ち寄ったら、逆襲の〇ャアのようなテロ事件に巻き込まれました~逆襲のテテテ 作:ひいちゃ
入ってきたのは、旧ジオン軍の軍服の名残をほとんど残していない軍服……第二次大戦後のドイツのように、シャアが首相に就任した後のジオン共和国では、旧ジオンとのつながりを感じさせるものは全て排除されている……に身を包んだ、20台前半の青年だった。
その青年……首相直属部隊隊員ギュネイ・ガスは、シャアとハマーンに対して一礼すると、手に持ったレポートを見ながら話し始めた。
「情報部からの報告なのですが、アクシズの周辺宙域で何か不穏な動きがあるようです」
「不穏な動き?」
「はい、所属不明の艦やMSが出没している、と」
「ふむ……」
報告を受け、シャアはしばし考え込む。
「奴らが敵対的な勢力だとすれば、アクシズに対して何かしようとしている可能性があるな……。ハマーン、確かアクシズの核パルスはそのまま残してあるんだったか?」
「あぁ。何かの事情で動かす必要ができたときのためにな。核パルスを動かして、他宙域に動かすだけならさほどの人員もいらん……まさか」
その会話を聞いて、シャアとハマーンが気づき、懸念したことを、ギュネイも気づいたようだ。その表情が衝撃に変わる。
「まさか彼らは……アクシズを地球に……?」
「可能性はあるな……確かカレルが言っていたか、別世界のお前がそれをやろうとして、アムロ・レイに阻止されたと」
「あぁ。もし実現していたらどうなっていたかもな。『別世界のあなたが考えていたことよりもひどいことになる』と付け加えて。スタッフにシミュレートさせてみたが、同じ結果が出ていたよ」
それを受けて、フロンタルも表情を厳しくこわばらせてうなずき、口を開いた。
「あれは惨憺たるものでしたな……。一年戦争のコロニー落としがかわいく見えるほどの被害でした」
それにうなずき、シャアはカレルが教えてくれた『アクシズ落としの結果』を思い返していた。
衝撃波と熱放射で落とされた都市が焼き尽くされ、人々が細切れにされるのはまだ序の口。
周辺の地域に破片の流星雨が降り注ぎ。
仮に海に落ちれば、沿岸の都市に高さ100mを超える……下手したら1kmに迫るほどの大津波が押し寄せ。
周辺地域は、数百mから1kmほどの岩屑の層に覆いつくされ。
世界をマグニチュード10を超えるほどの大地震が襲い。
そして、地球を永遠の冬が襲う。太陽の光もほとんど届かなくなるので、植物は死に絶え、酸素レベルも低下してしまう。
かくして全生物の75%が絶滅し、そこから生態系が元の姿を取り戻すには、気が遠くなるほどの長い時間が必要となるだろう―――。
それが、カレルの語った、アクシズ落とし後の世界の姿であった。
別世界のシャアがそれを起こそうとしたことを知っているカレルは、こちら側のシャアに同じ愚行を引き起こしてほしくないと、戒めとしてこのことを語ってくれた―――シャアはそう理解している。
そしてそれが別の誰かによって起こされる可能性があるなら、それを阻止する必要がある、と。
「連邦のほうでも動いてくれるだろうが、それに甘えるわけにもいかん。こちらも動かねばなるまい」
「軍を動かすか?」
ハマーンがそう聞くが、シャアは首を振って否定した。
「いや、このサイド3の守りもあるし、軍を動かして、連邦軍との間に余計な波風を立てたくない。ガランシェール隊に任せようと思う」
「ガランシェールか……彼らなら問題ないだろう」
そこで。
「首相、出過ぎた真似とは思いますが、あえてお願いします。自分もアクシズの防衛に参加させてください!」
「そうか、お前は旧ジオンのコロニー潰しで両親を失ったんだったか。……どうする、シャア?」
「いいだろう。同じ悲劇を見たくないと思うお前の気持ちを汲み取ろう。ただちに出撃の準備をしろ」
「はっ!」
「……待て」
そこで、ハマーンがギュネイを呼び止めた。
「何か?」
「お前がここに入ってきたときから……いや、それより前から思っていたのだが……そろそろ、首相に対して挑戦的な視線を送るのをやめたらどうだ。その態度、不敬だぞ」
「も、申し訳ありません。以後、気を付けます……それでは」
そしてギュネイは執務室を退室した。それを見送ったシャアが、ハマーンに苦笑しながら言う。
「ハマーン、そう言ってやるな。彼も若いのさ」
「それはわかってるが、彼のお前への反発は目に余るのでな……」
「心配はない。彼の反発心は、私への対抗心によるものだからな。それが致命的な事態に至る可能性は低いだろう。それにカレル君も言っていた。『対抗心は成長を促すのに必要』だとな。銀河なんとかいう小説からだったか。今は暖かく見守ってやろう」
「そうだな」
* * * * *
そのころ、地上である戦いが終わろうとしていた。連邦軍部隊と、ジオン残党軍部隊との交戦。小さくも激しい戦いではあったが、それも謎の攻撃による援護によって、連邦軍の勝利に終わるのだった。
その謎の攻撃を行った部隊のキャンプ。そのテントでいかつい男、スペロア・ジンネマンは体を休めながらも、悪夢にうなされていた。
罪もない幼い少女が炎の中、敵兵士に無残に殺される夢。その少女をジンネマンはただ叫びながら見つめることしかできなかった。
「マリー……! マリー!!」
そう叫んでいる彼を、通信端末のアラームが現実へと引き戻す。
目を覚ましたジンネマンは、通信端末を手に取る。相手に対する警戒はない。この端末で通信する相手は一人しかいないのだから。
「あ、おじさん、目を覚ました?」
「あぁ、お前からの通信で目が覚めた。というか、おじさんではなく船長と呼べ。何度も言っているだろう」
「えー、だってプルにとって、おじさんはおじさんなんだもん」
「まったく……それで、どうした?」
いつまでたっても、まだ子供っぽさが残っている部下に苦笑するジンネマンに、プルと名乗った少女の声が答える。
「首相から通信が来てるよ。シャトルのほうに来て」
「あぁ、わかった」
通信を切ると、ジンネマンは服を身にまとい、寝泊まりしているテントを出た。そして、彼が地上に降りてきたときに使ったシャトルへと乗り込む。そこには、15ぐらいの娘が彼を待っていた。その態度は上司というより、血のつながった父親に接するかのようだ。
「おはよう、おじさん。先方はお待ちかねみたいだよ」
「わかった」
そうして、通信設備のスイッチを入れる。すると、モニターに彼らの主……シャア・アズナブル首相の姿が映し出された。
「おはよう、ジンネマン。そちらのほうはどうだ?」
「はい。無事支援を完了いたしました。こちらの存在に感づかれた様子はありません」
「それは何よりだ。いくら連邦政府が黙認してくれているとはいえ、あまり君たちの存在を表に出すわけにはいかんからな」
「こちらとしては複雑な思いではありますが」
「確かにな……さて。それで本題に入るが、ガランシェール隊には、再び宇宙に上がり、アクシズのある宙域に向かってほしい」
「アクシズに?」
そう問うジンネマンに、モニターの向こうのシャアはうなずいた。そして続ける。
「そうだ、そこに不穏な動きがあるとの報告があったのだ。下手したら、最悪の事態が起こらないとも限らん。君たちにはそれを防ぐため、事が起こった時に、いつも通りに陰から連邦軍部隊を支援し、最悪の事態が起こるのを阻止してほしい」
「了解しました」
「うむ、健闘を祈る」
そして通信は切れた。そしてジンネマンは部下たちに号令を飛ばす。
「よし、ただちに撤収準備を始めるぞ。済み次第、ただちに宇宙に上がり、ガランシェールに帰還する」
「了解!」
「仕事終わったら、また仕事か~。ゆっくりシャワーを浴びる余裕もないよ~」
そう愚痴るプルに苦笑しながら、ジンネマンは自らも撤収の準備を始めた。
そういえば、0096時点でマリーダさんは18なんですから、プルが仮にマリーダさんと同年齢だとすると、逆テテテの0093時点では15になるんでしたね。さっそく修正しておきました。
なおテテテ時空では、ガランシェールはジオン共和国首相府直属の特殊部隊という設定です。
また、この世界では第一次ネオ・ジオン抗争(ZZ)は起きなかったので、その中で生まれたプルシリーズは生み出されませんでした。(したがって、マリーダさんも存在しません。マリーダさんファンの方、ごめん)
さて、次回からいよいよ戦闘パートに入ります。
また、意外な人物が現れますよ! お楽しみに!
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