アクシズに立ち寄ったら、逆襲の〇ャアのようなテロ事件に巻き込まれました~逆襲のテテテ 作:ひいちゃ
そして戦いが終わった後、サイド3。
俺は、ジオン共和国の軍人さんに依頼され、サイド3に、ジオン共和国の事後処理の会議に参加することになった。
そこで俺は驚いた。あのフル・フロンタルがいるじゃないか!
原作UCでシャアの亡霊を演じ、第三次スパロボZではシャアと敵対した彼が、この世界ではシャアの補佐をしていて、しかもシャアと仲良くやっているとは。これなら、原作UCのようなことにはならないかもしれないな。いや、今回みたいに別の形で起こる可能性はありうる。気を付けないと。
さて、シャアだが、俺が伝えた伝言を聞いて、深刻そうに腕を組んで唸っている。かなり苦悩しているように見えるが。
「どうしたのだ、シャア?」
「いや……いまさらながら堪えてるだけだ。その女兵士が残したその言葉にな」
「なるほど……」
シャアの言葉を受けて、フロンタルがうなずく。彼にはわかっていたようだ。言葉の意味が。
「旧ジオンの兵士から見れば、首相はただのエースパイロットではありません。連邦と戦い、これを打ち倒してくれる反連邦の象徴のようなものなのでしょう。ですが現実は」
そこで、シャアがフロンタルをとめた。苦笑を浮かべて。
「言うな、フロンタル。言わなくてもわかっている。彼らにとって、ジオンの栄光、反連邦の象徴であるべき私が、現実では連邦と協調路線をとっている。それが彼らには許せんのだろうな」
「おそらくそうなのでしょう。極論を言えば、彼らにとっての赤い彗星が反連邦の象徴、圧政者を打ち倒す正義の象徴なのだとしたら、それを為す者なら、例え首相……シャア・アズナブルではなくても、赤い彗星となるのでしょう。例えばこの私でも」
あああああ、そんな第三次スパロボZでいったような不穏なことをーーーーー!! と、そこでフロンタルがこちらに気が付いたようだ。
「何か?」
「いえ、なんでもありません……」
「まぁ、これは極論ではありますし、私はそうなるつもりは毛頭ありませんが」
そしてそこでギュネイが口を開いた。
「しかし、確かに自分も思うところはあります。『連邦との協調、共存という言葉をジオンの人々に言ってみろ』と。ジオン共和国が協調路線をとっているので、それに従うのが筋だと思ってはいますが」
そういえば、スパロボ30でもそんなこと言っていたな。確かに、ジオン残党にとってはそんなことは絵空事に過ぎないと思うだろう。
さらにジンネマンも口を開く。
「確かに、連邦の暴虐で大切な者を失った人々にとっては、連邦との和解、共存などただの理想論でしょうな。たとえ理屈ではあっていても、心で納得するのは難しい」
「……」
実際にグローブで、連邦に娘を殺されたジンネマンの言葉は重い。それがジオンの人々の嘘偽りない心なのだろう。
自分も大切な人を連邦に殺されたら、同じことを思うだろう。だが。
「ですが、理想論を述べて済みませんが、憎しみが消せないからと言って、そこで止まっていては何も進みません。憎しみのまま殺しあって何になります?」
「確かにその通りだがな……」
ジンネマンもギュネイもしかめっ面をしたまま黙り込んでいる。彼らも、理屈の上ではわかっているが、心では納得しかねているのだろう。彼らをジオン共和国につなぎとめているのは、それがシャアという素晴らしい人物が決めたことだから、という一点でしかない。
そこで。
――すみません、……さん。少し、身体を貸していただけませんか?
――え? あぁ。
そして、意識の奥底に引っ込み、『カレル』に身体を引き渡す。表に出てきた『カレル』が口を開いた。
その口調はとても重く、彼女の心の傷にあえて触れるという重さと痛みを感じさせた。それは、俺に届く想いの波動からもわかる。
「すみません。少し私の話をさせてもらっていいですか?」
* * * * *
中学生のころ、私には友達がいました。
子供のころからずっと一緒で、ともに笑い、ともに泣き、ともに遊び、ともに学び、そしてともに夢を語り合った親友だった友達でした。
彼女との日々はずっと続くと思ってた。でもそれは、突然理不尽にも奪われました。
その友達がサイド3に留学に行ってすぐ、サイド3がジオン・ダイクン態勢からザビ家独裁に変わり……その熱狂とカリスマ性に陶酔した人たちの手で、友達は暴行を受け、無残に殺されたんです。本当に悲惨なありさまだったそうです。
その知らせを聞いた時は、本当に哀しかったし、悔しかったし、憎かったのを覚えています。連邦軍の軍人になり、友達を殺した人たちを皆殺しにしてやりたいとすら思い、そのために連邦軍の軍人を志したりもしました。
でも、それが間違っていることを、その友達が教えてくれたんです。友達は、その場にいた知人に私への最期の言葉を届けるよう頼んでいたそうで……。
サイド3から届けられた、私への遺言にはこうありました。
――サイド3の人たちを恨まないであげてね。彼らは悪くない。弱いだけなんだから。例え、嫌いあっても敵対していても、そして弱くても、少しずつでも歩み寄っていけば、きっとわかりあえる。また仲良くなれる。それを続けていけば、きっと。だから、彼らの中にある良い心を信じてあげて。それが私の最期の願い。
この手紙を読んだ時、私は涙が止まりませんでした。彼女の訃報に接した時よりも。
知人の話では、暴行を受けてる時でも、彼女は微笑んでいたそうです。きっと彼女は最期の最期まで、彼らの中の良心という光を信じていたのだと思います。
それから私は考えを変えました。少しでも宇宙の人々と地球の人々が仲良くなれる助けになろうと、連邦軍に頑張って入隊して……。
まさかそんな私が、テストパイロットとしての潜在的な才能を見込まれて、ティターンズに入るとは思いませんでしたが……。
* * * * *
会議の場は沈黙に包まれていた。『カレル』の過去にそんなことがあったなんてな……。
しかし、その遺言を聞いてもジオンへの憎しみを断ち切るなんてなかなかできないだろうに。
――『カレル』は本当に強い娘だったんだな。
――そんなことないですよ。今でもジオンの人たちにあまりいい気持ちは抱けません。でも、それで止まったら友達からの遺言を無にすることになりますから……。
――そうか……。
ふと見ると、みんなしんみりとした様子でいる。ギュネイは肩が震えているし、ジンネマンは鼻頭を抑えて涙をこらえている。あのハマーンでさえ、目尻に光るものを浮かべていた。
そして沈黙。やがて、シャアが口を開いた。
「その友達の言う通りだな、フロンタル」
話を振られたフロンタルも神妙にうなずいて返す。冷静そうに見えるが、その声はわずかに震えていた。
「はい。甘いとは思いますが、憎しみを捨てきれないとそこで止まってしまっては、戦い以外の道を見出すことはできず、人の中の良い心を見て見ぬふりすることになる、ということでしょう」
それにギュネイもうなずく。ジンネマンなどはとうとう泣き出してしまった。
「自分もそう思います……」
「マリー……!」
そしてシャアが改めて口を開く。
「ありがとう、カレル君。君の話を聞いて、やはり私が選んだ道は間違っていなかったと確信できた。互いへの憎しみや、連邦とジオン、地球と宇宙との溝はそう簡単に埋まりはしない。だが、それでも。一歩、半歩ずつでも進めていくのは大事なことだ。今すぐには無理でも、それを続けていけば、いつかは手を取り合える日が来るはずだ。道のりは困難だが、完全に憎しみに囚われ、一歩も進まないのよりはましなはずだろう」
「うむ……」
シャアの言葉に、ハマーンもうなずき、やがてその場にいた全員がうなずく。
すぐに連邦への憎しみや敵意を捨てることができるほど、人間は強くない。でも、弱いなりに、捨てられないなりに一歩を踏み出す、という思いだけは伝わったようだ。
「フロンタル、会見の準備をしてくれ。私自ら、この地球圏全ての人に伝えようと思う」
「了解しました」
さぁ、いよいよ次回、最終回ですぞ! お楽しみに!
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