煽り系ダンジョン配信者、視聴者を煽るたびに強くなるので、無理して煽り散らかしてみるも、配信を切り忘れたままひとり反省会をしてしまいバズってしまう   作:アトハ

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バーニングお嬢様、暴れる(2)

 ブラッド・ナイトメア。

 それはダンジョン配信を題材にした中では、おなじみの配信グループだ。

 

 そこそこ、有名なダンチューバーグループだと言える。

 ――悪い意味でだ。

 

 

「な、なんだと!」

「アニキ、やっちまいましょうぜ!」

 

 ――初狩りでイキってるお雑魚ギルド

 そんな私の言葉に、ナイフをもったごろつき集団は、いきり立ったように襲いかかってきた。

 

 数多の初心者を狩り、その様子を配信で垂れ流していた迷惑集団。

 所詮は初心者を狩っていただけの中堅ギルド。

 その実力は、おおよそ察しの通りであり……、

 

 

「お~っほっほっほ、まさかそれで本気ですの!?」

 

 真っ先に襲いかかってきたのは、丸っこい筋肉だるま。

 ドスドスという足音とともに、緩慢な動きでこちらに向かってくる。

 

 私は、手のひらから炎を出す。

 その炎は、みるみるうちに肉だるまに向かっていき、

 

 握りしめていたナイフを、一瞬で溶かし尽くした!

 

「…………は?」

「お雑魚ですわ~! お雑魚ですわ~!

 武器をマナでコーティングすらしていないなんて、あまりにもお粗末なのですわ~!」

「な、何を訳分からねえことを!?」

 

 ブラッド・ナイトメアの面々が、さらに顔を真っ赤にして襲いかかってくる。

 

 

「おのれ、よくも俺っちのナイフを!」

「まだやるんですの?

 バーニングショット、ですわ~!」

「あぢぃいいいぃぃいいい!?」

 

 私は、さらに炎を発射。

 お尻に火が付いた肉だるまは、そのままのたうち回るように逃走を始め、

 

 

「あ、そんなに叫びながらダンジョン内を走り回ると……、あっ――」

「あぎゃぁぁぁぁぁぁぁあああ!?(断末魔)」

 

 最後には、恐竜型のモンスターにパクリと喰われてしまった。

 きっと痛みもなく入り口にデスルーラしていることだろう。

 

 

「中層では珍しいモンスターですわね。フレア、ですわ~!」

 

 さすがに、仲間を呼ばれでもしたら面倒だ。

 私の炎魔法が発動すると、バカでかい恐竜は跡形もなく消え去った。

 

 

(ふう。余計な茶々が入りましたが)

(対、迷惑ギルド。スタ-ト、ですわ~!)

 

 私はパンパンと手をたたき、取り囲んでいたごろつき集団を振り返り、

 

「……さてと、覚悟はよろしいですわね!」

「「「すみませんでしたあああああ!!!!」」」

 

 その瞬間、逃げ帰っていくブラッド・ナイトメアの集団。

 

 

「イキって襲いかかった女の子に、返り討ちにされるブラッド・ナイトメアさん。

 お雑魚ですわ~、お雑魚ですわ~!!」

 

 私は、ここぞとばかりに追い討ちをかける。

 

(私、今、煽り系として輝いてますわ!)

(今日こそは、下僕の皆さまも私を煽り系として認めて下さるに違いありませんわ!)

 

 

 嬉々として、私がコメント欄に視線を戻すと、

 

"徘徊ボスモンスター消し炭にしてて草"

"そりゃ戦意消失するわw"

"人間相手のときは、ちゃんと手加減できてて偉い!"

"またダンジョンの治安が守られてしまったのか・・・"

 

 コメント欄も大盛りあがり。

 

(私の煽り系としての実力が、またしても上がってしまいますわね!)

 

 

「……さて、次のお雑魚ギルドを探しに行くのですわ~!」

 

 私が、意気揚々と出発しようとしたところで……、

 

 

 

(あれ?)

 

 感じたのは、ちょっとした違和感。

 目の前の壁から、ほんの少しだけ"造り物"の気配を感じたのだ。

 

(ふむ、そういうスキル?)

 

 私は、首を傾げながら、

 

 

「誰ですの!」

 

 キリッと、違和感の方向を睨みつける。

 

 

"え、なになに?"

"【朗報】バーニングお嬢様、覚醒する"

"今日のバーニング嬢、なんか格好良い・・・"

"バーニング嬢はいつも格好良いだろ、いい加減にしろ!"

 

 出てくる気は無し、と。

 それならば――、

 

 

「バーニング・ショット、ですわ~!」

 

 私は、違和感を覚えた壁周辺に、炎弾魔法を連打する。

 

 

「うわわわわ!? ウッソだろおまえ!!」

 

 炎弾がぶつかろうという、その瞬間だろうか。

 壁の空気が歪み、一人の少年が姿を現した。

 

 薄汚いソバカスが目立つ、猫背の少年だ。

 手入れされていない髪はボサボサで、不潔な印象を受ける。

 しかしその瞳は、ずる賢そうな光を湛えていた。

 

「やっぱり誰か隠れてたんですわね!」

「どうやって見破ったんだ? 擬態は完璧だったはずなのに!」

「視界は騙せても、魔力の質が違いますわ!

 お~っほっほっほ、何の用ですの?」

 

 この少年は、隠匿系のスキルを持っていたのだろう。

 実際それはもう見事な腕前で、私が不意打ちに警戒していなければ見落としていただろう。

 

 

"こいつは……、暴露家ルーニー!"

"ダンジョンの中で、いろんな噂を拾ってくると噂の!"

"な~るほど、隠匿スキルかあ"

"そんなスキル持ってやがったのか、こいつ!!"

 

 一方、コメント欄には、そんな言葉が続々と書き込まれていた。

 

 

「暴露家ルーニー? 有名な方、ですの?」

 

 私は、こてりと首を傾げる。

 コメント欄に質問してみたところ、

 

 

"暴露家ルーニー! 悪質なダンチューバーの1人だよ!"

"そうそう。ダンジョン内で盗撮して、それを元に火を付けて回る悪質なやつ!"

"この間も、芸能人がダンジョンで不倫デートしてたのすっぱ抜かれて偉いことになってた!"

"ここであったが100年目! こんなやつ、燃やしちまおうぜ"

 

 なんて書き込みの嵐。

 

(ふむ、暴露家ルーニー)

(なかなかに各所から恨まれているんですわね)

 

 

 ダンジョンでの盗撮、および火種動画の投稿。

 ――あれ? そういえば最近、似たような話を聞いたような……、

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