煽り系ダンジョン配信者、視聴者を煽るたびに強くなるので、無理して煽り散らかしてみるも、配信を切り忘れたままひとり反省会をしてしまいバズってしまう   作:アトハ

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バーニングお嬢様、犯罪ギルドに突撃する(2)

 私が、更にダンジョンをズンズンと突き進んでいると、

 

「おい、随分と好き放題やってくれたでゲスな!」

 

 いかにもな盗賊装束に身を包んだ男が、突如として現れる。

 破れたコートを羽織り、顔は正体を隠すかのように黒いマントを背負っていた。

 

 

「我らダイダロスに逆らうモノには死を!

 けっけっけ、まともな死に方ができると思うなでゲス!!」

 

 そんなことを言いながら飛びかかってくるダイダロスの構成員。

 

 

「そちらこそ……! 覚悟、ですわ~!」

 

 相手は犯罪組織のベテラン探索者である。

 私は全力で迎え撃つべく、気合とともに詠唱を始めるのだった。

 

 

 魔法を詠唱する私に、素早く肉薄するダイダロスの構成員。

 

「どんなトリックがあるか分からないでゲスが、魔術師なんて近づいちまえばこちらのもん!

 我らがダイダロスを舐めたことを、あの世で――うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!?」

「口上が長すぎ、ですわ~!」

 

 ポン、と火の玉を飛ばす。

 ゲスゲス男は回避する様子すら見せず、火の玉は見事にクリーンヒット。

 そのまま壁に叩きつけられていった。

 

 

「げはっ!? バカな、まさか無詠唱でメガフレアを――」

「いいえ、今のはただのファイアボールですわ!!」

 

 私は、人差し指をピンと立てる。

 そこに魔力を込め、所望のメガフレアを作り出す。

 

 

「メガフレアは、これ、ですわ!」

 

 巨大な火の玉を解き放つ!

 ターゲットは、背後から飛びかかろうとしていた男だ。

 

 

「うぎゃぁぁぁぁぁあ!」

「不意打ちなんて、姑息ですわ!

 そんな手に頼らないと、か弱い女の子1人倒せないダイダロスの皆さま。

 お雑魚ですわ~、お雑魚ですわ~!」

 

 断末魔の悲鳴とともに蒸発する構成員B(名称不明)

 

 

 さらに火の玉は勢い衰えることなく、壁を破壊しながら直進していく。

 やがてはダンジョン中に響き渡る大爆発を巻き起こし、ようやくメガフレアは消滅した。

 

 

"??????"

"なにこれw"

"今のはメガフレアではない。ファイアボールだ!"

"まさかリアルでそのミームを聞くことになろうとはw"

"か弱い女の子??"

"この配信のどこにか弱い女の子がいるっていうんだ、いい加減にしろ!!"

 

 

(な、なんか今日は魔法の調子がおかしいですわね…………?)

 

 引きつった笑みを浮かべる私。

 ゲスゲス男にいたっては、あんぐりと口を開けていたが、

 

「親分! 親分~~~!」

 

 最後には、涙目になって敗走を始めるのだった。

 

 

 

***

 

 その後も、私はゲスゲス男を追いかけてダイダロスのアジトに向かって進んでいく。

 

 何回か、ダイダロスの構成員と思わしき人間と遭遇した。

 しかし私が炎魔法を撃ち込むと、皆、戦意喪失した様子で逃げ帰っていくのだ。

 

(はて……?)

(ダイダロスといえば、大手ギルドが束になっても敵わなかった極悪ギルドだと聞いてましてよ?)

 

 どうやら噂は、随分と誇張されて広がっていたようだ。

 

"ダイダロス君さあ"

"これは年貢の収め時w"

"こんなバケモノに襲われたら人間が耐えられる訳ないだろ!"

 

「なっ!? バケモノって、まさか、私のことですの!?」

 

 

 ダンジョン攻略の様子は、なおも配信中。

 同時接続数は、今も際限なく増え続けていた。

 それに比例するかのように、私の炎魔法は更に威力が増しているようで……、

 

(うん! きっと、ちづるちゃんが力を貸してくれているんですわ!)

 

 私は、ニコニコ上機嫌に突き進む。

 そうして、ついに私は、ダイダロスのアジトと思わしき場所にたどり着くのだった。

 

 

 

 それは、一言で言えば城だった。

 元は、ダンジョンの中に偶然生まれた広場だったのだろう。

 そこに数多の贅を注ぎ込んだかのような、どでかい城が立てられていた。

 

 城の入り口には、見知った顔ぶれ。

 今更ながらに慌てて、逃げ出そうとしているその顔は――、

 

「どこに行くんですの? 篠宮社長。

 おかしいですわね、あなたはシャドウ・メロディアの社長。なんで、こんな場所にいるんですの?」

 

(まさか本当に、ダイダロスのアジトにいるとは驚きですわ)

 

 ダンジョンは危険地帯だ。

 たしかに、逃げられる安全地帯など、そうは無いだろう。

 だとしてもこの騒ぎの中、なおもダイダロスのアジトに居続けたのは、さすがに危機感が足りないのではないだろうか。

 

 

 果たして篠宮社長は、

 

「――おい、木下! 貴様、ここに居れば大丈夫だと言っていたよな!

 我らがダイダロスに万の一つの負けはない。

 例のことだってバレようがないと!」

 

 ――あろうことか隣にいた男に、責任転嫁を始めた!

 

 

"はっ?"

"え????"

"どういうこと!?"

"シャドウ・メロディア、終了のお知らせ"

"【速報】ダイダロスとシャドウ・メロディア、繋がってた"

 

「篠宮社長、年貢の納め時ですわ!」

「ぐむむむむむ!」

 

 篠宮社長は、悔しそうに地団駄を踏んでいたが、

 

 

「バーニング嬢! 貴様のことだけは許せん!

 友達の命が惜しいだろう――大人しく、投降しろ!」

 

 そんなことを言い、パチンと指を流す。

 その声に応えるように現れたのは、でゅふふと気持ち悪い笑みを浮かべる男と――

 

「ちづるちゃん!」

「焔子! なんで来ちゃったの!?」

 

 ――大天使ちづるちゃん、その人であった。

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