まだCPとまではいってないので+表記。
こういうのから始まる何か、というのも良いんじゃなかろうか。
【ルル・スザ+マヤ】猫と仮面
これはまだ、彼らが出会ったばかりの頃の話。
何かが芽生える前の話。
『猫だ!』
唐突にそんな放送が流れた。だけど周囲を見てもその放送に疑問をいだいている人はおらず、猫探しを始めている。それに、猫というと思い当たることも有り……放送のことはよく分からないものの猫探しをしていると、
「ちょっと! そっちは危ないってば」
「ん? この声」
聞き覚えのある女性の声に顔をそちらへ向ける。
『そんなんじゃ落ちないよ』
先日、汚れた体操服を洗っている時に声をかけてくれた女子生徒。自分のことを『名誉ブリタニア人』『イレヴン』と差別せずに話しかけてくれた、
「マーヤ?」
以前助けてくれた出来事が頭をかすめる。今、彼女の声はなにやら切羽詰まっている。ならば今度は自分が助けないと、と思って顔を声のした方へと向ける。
「あれ、……ってマーヤっ?」
思わず驚きの声を上げる。
なぜって、マーヤが屋根の上を走っていたからだ。何かを追いかけているようで……もしや放送の猫かもしれない。
(たしかに猫でも屋根の上は危ないかもだけど……でも君の方が危ないだろうに)
登れるところはないかと周囲を見回している間に、彼女の姿が見えなくなっており、余計に焦る。
なんとか登っていけそうな建物の入り口を見つけたところで、反対側からやってきた人物がいた。
「ルルーシュっ?」
「スザクっ? どうしてここに」
「猫を探していたらマーヤが」
「マーヤ? あいつがどうし」
――にゃあっ。
――わわっ、ちょ、待っ!
「上か」
「マーヤっ」
走り始めたのは同時だった。
どうやらルルーシュとマーヤは知り合いで、それも仲がいいらしい。ルルーシュが「あいつ」と呼ぶほどには親しいようだ。
感情を抑えがちな彼が感情をむき出しにしているのは珍しい。
その事について少し話をしてみたくなったものの、今はとにかく猫とマーヤだ。先ほど聞こえた声も心配だ。
「待て、スザク。お前は帰れ!」
「でも、生徒会長さんが捕まえろって……それにマーヤも心配だし」
「いいから帰れ。猫とマーヤは俺が」
「身体を動かすのは僕の方が得意だよ。前に小鳥が逃げた時だって」
「古い話を持ち出すな!」
「たった7年前だよ」
そう言い残して、スピードを上げる。後ろからルルーシュの舌打ちと「体力馬鹿」なんて悪口も聞こえたけど、昔から言われていたことだし、彼に言われるのは嫌な感じがしない。
そして、屋根の上でルルーシュが落ちかけるハプニングはあったものの、無事にルルーシュも猫も、そしてマーヤも無事だった。
どうやらマーヤはいつのまにか増えていたギャラリーに驚いて鐘楼の影に隠れていたらしい。
何もなくて良かった。
猫と共に下へ降りると、一人の女生徒が「ありがとう。ルルを助けてくれて」と話しかけてくれた。
ルル。つまりルルーシュのことだろう。隣にいた男子生徒も「やるじゃん」と笑いかけてくれた。彼らの目に、ナンバーズだという蔑みはなかった。
なんだか、その空気に肩から力が抜けるのを感じた。
「無事で何より。それで! その猫、何か持ってなかった?」
「何か被っていたみたいですけど、良く見えなかったですし、気がついた時にはとれていたみたいで」
「ねえ、ルルは?」
「あ、ああ。実はその、マーヤが」
「マーヤ? マーヤがあそこにいたの?」
「あ、はい。そうみたいで……猫を追いかけていたらいつのまにかギャラリーが増えていたから影に隠れていたみたいなんですけど、そのあと腰が抜けてしまったって……今はルルーシュが介抱してます」
あと、何か忘れ物があるとかも言ってたかな。
マーヤの話をすると、みんな驚いた顔をしてから無事だと知って安堵の息を吐いていた。
でも忘れ物の話をすると、会長さんが「それだ! あいつの恥ずかしい秘密」と叫んだ。
ザッと土を踏みしめる音とため息が聞こえて顔をあげると、ルルーシュとマーヤがそこにいた。
「そういうことですか、会長」
「あーあ、せっかく弱みを握れると思ったのにぃ」
「ルルってかっこつけだから……あ、マーヤ! 大丈夫?」
「ハハハ、大丈夫。本当にただ腰が抜けただけだから、恥ずかしいことに」
ルルーシュと一緒にマーヤが現れる。すると会長がマーヤに詰め寄った。
「ねぇ、何だったの? ルルーシュの秘密?」
「鞄みたいなものを被ってたみたいですけど、中身はさっさと回収してたみたいで……やっぱり日記とかじゃないですか?
まあ、ルルーシュのことですから、すぐに隠しちゃいますよ」
「彼女の言う通りです。俺の弱みなんて握らせませんよ」
ルルーシュの秘密、か。気になるけど、ルルーシュには事情がある。公にはしてはいけない事情が……改めて他の人の手に渡らなくてよかったと思った。
「ねぇ、気になってたんだけど……スザク君とルルーシュって、知りあいなの?」
「だって、イレヴンと」
「っ」
空気が、再び重たくなりかける。どうしたらいいだろうかと言葉に詰まっていると、
「友達だよ」
「え?」
「会長、こいつを生徒会に入れてやってくれないか?」
「ええっ?」
「うちの学校は、必ず部活に入らないといけない。でも」
ルルーシュの言葉には、僕だけでなく会長も驚いていたものの「副会長の頼みじゃ、しょうがないわね」と頷いた。
最後はナナリーが僕とルルーシュの頬にキスをしてくれて、一件落着、となっ
「あれ、そういえば捕まえたのってマーヤじゃねえの?」
リヴァルという少年がそう言うと、会長も「そういえば」とマーヤに顔を向けた。マーヤは「わたし?」と青色の丸い瞳を大きく見開いた。
「で、あなたは誰にキスして欲しい? ちなみに今加入した彼も選択可能よっ?」
「はっ?」
「なっ」
「はい?」
マーヤが呆れた顔をし、僕は僕で背中を叩かれたこととその内容に頭がパンクし、あのルルーシュですら言葉を失っていた。
(そういえばあれだけ必死で猫を見つけていたのは、マーヤが生徒会の誰かと……その、キス、したいから、なのかな?)
僕は今加入したばかりだから違うだろうけど……。
なぜかすごくドキドキしてしまった。
「会長、私はたしかに猫を追い詰めましたけど、捕まえたのはルルーシュとスザクですよ」
「そ、そうだよね」
「もうっ。そこは『そうですね、じゃあ』ってノルところよ」
「どんなノリですか」
呆れた顔のマーヤとからから笑うミレイ会長。そしてなぜかとっても安堵しているシャーリーに、安堵しつつもどこか複雑そうなルルーシュが印象的だった。
僕? 僕は
「どんな顔、してたんだろ」
自分のことなのに分からなくて、ちょっと気になった。
もしも猫を捕まえたのが彼女なら、誰を選んだのだろうか
***
「おい、もう行ったぞ」
スザクが猫と共に降りて行ったのを確認してから声をかけると、マーヤは息を吐きだしながら、布に包まれたソレ――仮面をこちらに差し出してきた。
一応咄嗟に何であるか見えないようにと、包むものを用意していたようだ。さすがだ。
「助かった」
「なんとかなって良かった」
2人して安堵で肩から力を抜いた。こんな馬鹿らしい理由でバレなくてよかった。本当に。
「枢木スザクが来た時はどうしようかと思った」
「やはり腰が抜けたというのは嘘か」
「ギャラリーから身を隠したのは本当だけどね」
真実を混ぜた嘘はバレにくい。鈍いようで鋭いスザクを騙せたのは、半分真実だったからだ。
マーヤはまだ甘いところがあるが、やはり地頭はいい。
その後、仮面を安全なところに隠してからスザクたちの元に行った時も、スザクが「何か被っていたみたいですけど」という言葉を聞いて
「鞄みたいなものを被ってたみたいですけど、中身はさっさと回収してたみたいで……やっぱり日記とかじゃないですか?」
そういうことで被っていたという言葉から連想されるモノの一つである仮面は消え、日記というイメージに落ち着いた。
他の何か有力な目撃証言がない限り、このイメージは揺るがないだろう。
そんな風に安堵していると、
「あれ、そういえば捕まえたのってマーヤじゃねえの?」
リヴァルが余計なことを言った。事実、マーヤが仮面を取り戻したのだから間違ってはいない。
とはいえ、マーヤの狙いは猫を捕まえることではなく、仮面を取り戻すことなのだが。
猫自体は捕まえていなかったが、会長の狙いである俺の弱みを取り戻してくれたのは彼女であるため、咄嗟に美味い言葉が出てこないでいると、会長がリヴァルに乗った。
「で、あなたは誰にキスして欲しい? ちなみに今加入した彼も選択可能よっ?」
「はっ?」
「なっ」
「はい?」
驚き、思わずマーヤを見ると彼女も驚いていたが呆れているという雰囲気が強かった。驚いていたのは俺と、急に巻き込まれたスザク、そして……なぜかシャーリー。
(たしかに放送でキスがどうのとか……こいつはそれを俺よりしっかり聞いていたわけで……いやいや、そもそもこいつが猫探しに参加したのは仮面のせいで他の理由はない……ない、はずだ。しかし頭の片隅にあった、のか?)
――誰と?
生徒会にいるメンバーで男は俺とリヴァルしかいなかった。なら、ならば……。
いつもより断然鈍い思考が最後にそんな問いに行きついた時、
「会長、私はたしかに猫を追い詰めましたけど、捕まえたのはルルーシュとスザクですよ」
ため息交じりにマーヤがそう言い切ったことで頭が冷静になる。
そう。こいつはゼロの仮面のためだけに猫を追いかけたのだ。それだけのことなのだ。
一瞬、一瞬だけ。
想像してしまった一つの未来を、かき消した。
ロススト! 原作アニメを丁寧になぞっていてとっても面白い。バトルも戦略性があって、弱い状態でいかにSランクをとれるか、が工夫次第で取れそうなのが良き。
やってない方はストーリーだけでも面白いのでぜひ!
OPであった猫のシーンは主人公も含めた3人一緒だったので、たぎって書いてしまいました。
ゲームとは若干違う展開ですが、一ファンの妄想ということでお許しください。
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