【ロススト】これは恋ではない【コードギアス】   作:染舞

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一つの話として載せるには短いものをまとめました。
書いた時期がいろいろなので、細かい設定に違いがあります。

・【日記帳を買ったというだけの話】
・【お兄様の彼女?】
・【深夜会話】.verゼロ
・【出来ない約束】.verルルーシュ

元々他の話とセットでピクシブに上げていたものもあるため、.verとつけさせていただいてますが、単独でお読みいただけます。


【ルルマヤ】SS集02

【日記帳を買ったというだけの話】

※自覚済みルル(ゼロ)→マーヤ。ロスカラ&原作ネタ有

 

 

 

 アジト内のゼロの部屋。いつものようにやって来たマーヤが事務仕事を手伝ってくれていた。

 こちらも重要なデータを眺めながらも、時折彼女を仮面越しに盗み見る。

「……ふふ」

 今日はやたらと機嫌が良いらしい。鼻歌を歌いそうなほど楽しそうに書類と向き合っていた。

「楽しそうだな」

 つい気になって話しかけるとマーヤは不思議そうに「え? なんのこと?」と首を傾げた。

 ふわりと黒髪が揺れる。

「気づいていないのか? 先ほどからずっと笑っているぞ」

 無意識だったらしい。

 マーヤは驚いたように数度まばたきをし、それから慌てたように口元を手で隠した。笑っていると自覚したのか、「あ」と恥ずかしそうにその白くて柔らかそうな頬が赤く染まる。 

 ガンっ。

「ゼ、ゼロっ? どっどうしたの? なんで壁叩いて」

「なんでもない! 気にするな」

 心の動揺を抑えるべく近くの壁を思いきり叩くと、マーヤが焦った顔をした。拳は痛いが気にするな、としか言えない。

(恥ずかしそうな顔が可愛かったとか言えるか)

 マーヤが恥ずかしがるようなことは殆どない。自分と二人きりだろうが、距離が近かろうが、手が触れ合おうが照れて恥ずかしがるのはいつもこちらだった。

 正直、何度か想像したことはあるが、想像の何倍も可愛らしく、それだけで大ダメージを受けた。これは非常に危険だ。

――重要な記憶として保存はしたが。

 とにかく話題を変えよう、となんとか口を開く。

「それより、何かあったのか?」

「え? ……うん。実はシャー……友達と買い物に行ったの」

 マーヤは戸惑いつつも、しかしそれ以上に話したくもあったのか。それは楽しそうに話し始めた。

 シャーリーとか。

 アジト内であるために途中で名前をぼかすあたりに、不良学生くせに真面目さが見え、仮面の下でマーヤらしいと笑う。

「服とかも買ったんだけど、最後に文房具屋によって一緒に日記帳買ったんだよね」

 そう言って横に置いていたカバンから『青い日記帳』を取り出して見せてくれた。青、といっても落ち着いた色合いでマーヤのイメージに合っている。

 マーヤはよほど嬉しいのか、日記の良いところを説明していく。

 書くスペースが広いとか、可愛いとか、値段も手ごろで、表紙も肌触りが良く、

「……お揃いなんだ。彼女は赤色で――」

「そうか。良かったな」

「ええ」

 友達とお揃いのものを買えた、と。マーヤはずっと幸せそうに話していた。

 

 ただそれだけのことが、とても幸せに感じた、ある日の午後。

 

 

 

***

 

 

 

【お兄様の彼女?】

※ルルーシュはほぼ出てきませんがルル→マヤです。

 ナナリーとのお茶会の話。やっぱりボイスからたぎった。

 

 

 

「最近、お兄様に彼女が出来たかもしれないんです」

 もはや何度目か分からないナナリーとのお茶会。ナナリーからの楽しそうなそんな報告に、私はただただ首を傾げた。心当たりがない。

「ルルーシュに彼女?」

 シャーリーとついにつき合うことになったのだろうか?

(ううん。もしもシャーリーとならシャーリーはそういうの周囲に隠せないタイプだし、違うかな。

 じゃあカレン……はないか。カレンもそういうの隠せそうにないし、C.C.なら隠せそうだけど違うよねぇ。ミレイさんは……隠す、かな? シャーリーのこと考えたら隠す、かも)

 それか自分の知らない誰かだろうか。

 ルルーシュは基本モテるので、恋人がいても全くおかしくはない。ようでいて、ナナリー第一主義の彼に恋人というのは中々難しいだろうと思っていた。

「あれ? 違うのでしょうか?」

「少なくとも私は知らないけど……ナナリーはどうしてそう思ったの?」

 こてんと可愛らしく首を傾げたナナリーに問いかける。彼女は指を唇に当てて考えながら言葉を紡ぐ。

「最近、学校に行く前に身だしなみに以前より気を付けるようになって、そして登校が待ち遠しそうな雰囲気がします」

「たしかに恋人が出来たらそういうのもありそうだけど、ちょっと根拠が弱いかなぁ」

「えーっと……あ! そうですっ! 先週の日曜日。お兄様、とても気合を入れてました」

 先週の日曜日、というとルルーシュに頼まれて一緒に買い物に行ったのを思い出す。なんでも最近ナナリーに寂しい思いをさせてしまったから、贈り物をしたい。助言をくれ、と。

『構わないけど、どうして私なの? シャーリーとか』

『お前ならオレたちの素性を知っているからな。頼む』

 なんで私なのかと首を傾げたものの、とてもとても必死に頼まれた。プライドの高いルルーシュの切羽詰まった姿が印象深い。

 私もナナリーが寂しがっているのを知っていたし、彼女を喜ばせるためならと了承し、私もナナリーに贈り物をした。

(それにしてもルルーシュってやっぱりナナリー第一なのね。あんなにも必死で私に頼み込んだ上にそんなに気合を入れるなんて……さすがというか、納得というか)

「大事な買い物があったみたいだからね」

「……昨日も! とても楽しそうにお出かけになられました」

「昨日?」

 昨日と言えば、私の練習成果を直接目で見たい、とルルーシュが言ってKMFシミュレーターのある地下にやってきていた。

 別にデータとしてゼロにも提出しているので見に来る必要はなかったはずだけど。

「そういえば、C.C.と話してたね」

「え? C.C.さんと、ですか」

「うん。……まあ、いつもみたいにC.C.にからかわれてルルーシュが怒ってた感じだけど」

 私がシミュレーターに乗っている間にやってきていたらしいC.C.の、やたらとニヤついた顔は記憶に新しい。

(とはいっても、あの二人はいつもあんな感じだし、恋人って話には関係ないか)

 きっと地下に来る前に何か良いことがあったのだろう。

 納得していると、なぜかナナリーが段々と言葉に詰まり始めていた。どうしたのだろうか。

「えと……そうです! 3日前も」

「3日前って言えば、パーティへの招待ありがとうね。兄弟水入らずを邪魔しちゃって」

「いえ。私こそ、素敵な贈り物をありがとうございます」

 家族だけで行うささやかなパーティに招待された。その時、日曜日に買った贈り物をした。

「ふふ。日曜日も、ルルーシュってばナナリーへの贈り物をそれはそれは真剣に考えてたんだから」

「まあっそうなのですね。……ふふ……って、あ。いえ。そうではなく」

 笑っていたナナリーが不意にトーンダウンした。悲しそう……というより困ったような顔をしている。

 何かあっただろうか?

「お兄様も、大変です」

「へ? ルルーシュが大変って?」

「……でも、マーヤさんらしいですね」

「えっと、ナナリー? さっきからなんの話? どうして私の名前が」

「マーヤさん!」

 ふいに名前を呼ばれる。あらたまった、かしこまった口調に思わず「は、はい」と背筋を伸ばす。

「お兄様、とても優しくてカッコいいんですよ」

「え? う、うん?」

 なぜかルルーシュの良いところを説明され始めた。拳を握りしめて必死に語るナナリーの姿はとても愛らしかったものの、なぜ突然兄自慢を始めたのかは分からなかった。

 ルルーシュが忙しいから寂しかったのだろうか?

 

「――っていうことが先日あったんだけど、なんの話だと思う?」

 後日ルルーシュにそう聞いてみたら、頭を抱えられた……なんで?

 

 

 

***

 

 

 

【深夜会話】.verゼロ

※自覚済みゼロ→マーヤ

 

【本当に見てない?】

 

 

 

「遅くまでご苦労だったな。短時間でも休むと良い。パフォーマンスが下がっては本末転倒だ」

 夜に行われた任務。そこからいつものように無事に、かつ期待以上の成果を上げてきたマーヤをそう出迎えた。

 任務成果を必要以上に持ち上げて褒めたりはしない。他の者には厳しいものでも、彼女なら問題なくこなす。当たり前のことを褒めても、それは失礼に値するからだ。

 それにカレンを始めとした他の団員ならともかく、マーヤは自分にそのようなことは求めていない。褒められるだとか、甘えるだとか、そういうことは。

(……求められたとしても、悪くはないが)

 内心そう思ってはいるが表には出さない。

 マーヤは特にそんな自分に不満をあらわすことなく、いつものように頷き、

「ええ、そう、す、る」

「お、おいっ?」

 普段ならば別室の仮眠室へと向かうというのに、ふらふらとソファに倒れこんだ。

 先ほどまでは気丈に見えたのだが、相当疲れていたらしい。こちらの言葉を聞いて、緊張の糸が切れたのだろう。

(そういえば、生徒会の方も忙しかったと聞いたか)

 俺は出ていないものの、リヴァルから文句のメールが来ていた。マーヤは素直に手伝いに出ていたようなので、そちらと黒の騎士団の任務で体力の限界が来たようだった。

 しかし

「おい、ここで寝るな」

 ここで寝られては困る。ここはゼロの私室で、今。C.C.はいない、つまり二人きりなのだ。

 仮にも年頃の男女で、しかも気になっている相手が無防備に目の前で寝るという状況は自分の精神上余りよろしくない。

 肩を揺らしてみるが

「ごめっ、5分、だけ……」

「おいっマー……百目木っ? くそ」

 そんな自分のことなど知らないとばかりに、マーヤは限界が来たらしく、そのまま目を閉じた。この様子から、絶対に5分で起きれるわけもない。

 舌打ちしたくなったが、ため息に替える。仮面を外し、疲れ切った様子の彼女を見下ろす。

「無茶をさせたのは俺、か」

 組織を作ったものの、まだまだ素人集団。信頼できる技量を持つ者はいない。必然とマーヤに頼ることが多くなる。そのせいで『ゼロのお気に入り』などと呼ばれてしまっているほどだ。

 マーヤはKMFの操縦だけでなく、機械系にも強い(もちろん専門家ほどではないが)。ナイトメアのメンテナンスは元より、潜入捜査などでも非常に優秀だ。

(休ませてやりたいが、人材が育つまでは厳しいか)

 出来たばかりの組織。人手は足りていないが、かといって安易に増やすのも危険。まずはしっかりと地盤を固める必要があり、今はその地盤固め中。苦しい時期でもある。

 仕方ないことではあったが、せめて生徒会の仕事だけでも負担を減らすべく、ルルーシュ側でも動いた方が良さそうだ。

「ん……」

「あまり動くと落ちるぞ。まったく」

 肩をすくめていると、マーヤが寝返りを打つ。マーヤが倒れこんだソファは部屋に置いてある中でも小さな方で……こんな時まで妙な気遣いを見せる彼女に苦笑した。

 狭いソファの上で、しかも倒れこむ姿勢のせいか寝苦しそうな顔をしている。

 しょうがないかと近寄り、その体の下に腕を差し込む。別に、他意はない。仮眠にも使える大きめのソファに移し、楽な姿勢にしてやろうとしているだけだ。

 抱き上げると、ふわり、と鼻をくすぐる香りがして少し呻く。マーヤの髪が揺れるたびに微かに香ってきた。――身体の奥が熱くなる。

(平常心だ。平常心)

 深呼吸を繰り返し、なるべくマーヤを意識しないようにする。

 という努力をあざ笑うようにこちらへと身体を摺り寄せてくるのだからたまらない。柔らかい体が押し付けられる。

 深呼吸が荒くなったが、なんとか無事に移動させた。

「ふぅ……」

 ただそれだけのことで、今度はこっちの方が色んな意味で疲れてしまった。

 ぐたりと向かいのソファ……先ほどまでマーヤが寝ていた方へと腰かける。

 静かだった。

 普段もこうして2人きりになることは多いが、任務のことや生徒会のこと、雑談と何かしら話していることがほとんどだ。

 話さない時というのは、互いに別の作業をしている時くらいで。

 目の前ではマーヤは暢気な顔をして、穏やかな寝顔を見せている。

 文句を言いたい気持ちと、愛らしさに心臓が早まるような感覚と。無防備すぎると苛立つ感情と。信頼してくれている嬉しさと。

 それら様々なものがぶつかり合い、最後は脱力した。諦めたともいう。

「まったく。仕方のない契約者だ」

 他の誰でもない、マーヤだからこそ。こんな風に過ごす時間も貴重なものに思えた。

 ただ静かに、何をするでもなくその空間に身をゆだねた。

 

 途中、再び寝返りをうったマーヤのスカートが捲れた時は少々焦ったが。

 ちなみに断じて見てはいない。というか、見えるほどではなかった。きわどかっただけで……決して! そのっ、じっと見たりはしていない。すっ、すぐにっ! すぐにゼロの外套をかぶせたから、俺は何も見ていない。

 白く健康的な足につばを飲み込んだとか、そんなことは断じてない!

 

「断じて違うからなっ?」

「え? よく分からないけど、分かった」

 起きたマーヤが外套を「ありがとう」と差し出してきたときに、つい言い訳がましく妙なことを口走ってしまったが、疑われなかったのは幸いだった。

 安堵して再び身にまとった外套からマーヤの香りがし、くらくらしたが。

 

 

 

***

 

 

 

【出来ない約束.verルルーシュ】

 ピクシブではリヴァルの信頼度会話の話とセットで上げていたものになります。単体でも読めるのでこちらにまとめました。

 片思い自覚済み?

 

 

 

「そういえば、昨日の映画はマジで面白かったよな」

 書類に埋もれながら呻いていたリヴァルが、ふいに顔を上げてそんなことを言った。

 映画?

 なんのことだと軽く目を向けると、彼の目線の先にはマーヤがいた。彼女には心あたりがあるらしく、作業を止めぬままに「ああ」と頷いている。

「そうね。でもホラー要素はあまりだったかな。人間ドラマとして面白かった」

「昨日もそう言ってたけどさ、嘘だろっ? めちゃくちゃ怖かったって」

「リヴァルが大げさに怖がりすぎ。悲鳴あげすぎ」

「うるせー! ってか、悲鳴はあげてねえよ。あれは隣の客が」

「はいはい。そういうことにしておいてあげる」

「マーヤ! お前な」

 ぽんぽんと飛び交うやり取りから、どうやら一緒に映画を見たらしい。会長が呆れたように笑う。

「ほんとあなたたち仲いいわね。また一緒にでかけたの?」

「……また?」

「偶然都合があっただけですよ」

「でもあなた、昨日はツーリングに行くって言ってなかったかしら?」

「ああ、カレン。実は適当に走ったら個人経営の映画館があってね」

「そうそう! 良い雰囲気だったよなぁ。

 調べたんだけどさ、あそこ、映画好きの間では結構有名らしいぜ。あそこの映画館の映画はハズレがないって」

「そうなの?

 でもたしかに、他のタイトルも面白そうだったよね。時間的に今回はあの映画だったけど」

「ねえねえっ、ちなみにどんな映画だったの? タイトルは?」

「聴いたこと無いタイトルだったけど――」

「あ、その映画知ってる」

「あら、ニーナも見たの? ホラー映画なんてあなたにしては珍しいわね」

「ううん、違うの。私の好きな監督さんの作品なんだけど、まだ見れてないんだ。今までとジャンルが違うから迷ってて」

「そうなんだ? でもたしかにあの映画を撮った人の他の作品は見てみたいかも。面白かったし」

「へぇ? あなたがそこまで言うなんて、私も気になるわね」

 皆も書類仕事に飽きてきていたのだろう。リヴァルとマーヤの会話に自然と混ざっていく。

 だが俺はとある1つの文言が気になって仕方なかった。

『また一緒にでかけたの?』

 また。

 今回が初めてではないということ。誰もがその事に疑問を抱かないということは、リヴァルとマーヤが2人で出かけることは自然なほどに何度もあったらしい。

――俺はマーヤと2人で出かけたことなどないというのに。

 2人で過ごすことは多い。しかしそれは黒の騎士団の仲間としてであってプライベートではない。

 自分たちにとって必要なことで、そこに不満はない。ない。ないのだ。

 プライベートでわざわざ会う必要はなく、むしろ特別な仲だと疑われたくない、とはマーヤから言われている。

 俺としては別にそう思われたとしても、自然と一緒に過ごせるなら問題ないと思っているが……そうだ。自然だから問題ないと思っているだけで、そうなりたいわけではない。

 別に、俺はなんとも思っていない。思って、ない!

 

「で、どうしたのルルーシュ? 今日はずっとぼんやりしてるけど」

 コトっと目の前でカップが置かれ、はっと我に返った俺の目前にマーヤの顔が見えて思わずのけぞる。

「ぶっは、なっ」

 言葉が出なくなると、マーヤが驚いてからくすくすと笑った。自分の失態と、愛らしい表情に顔が熱くなる。

 袖で口元を覆う。

「笑うな」

「ふふ、ごめんなさい」

 くそっ可愛い。 

 そしてこんな可愛い彼女とリヴァルはよく2人で出かけているという。

 ああ、もう認めよう。

 

 やっぱり羨ましい

 




へたれでむっつりなルルーシュはありだと思っている
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