ルルやスザがマーヤちゃんに無反応すぎたので、勢いで書いた!
1枚絵がない不具合と評判(?)のあのシーンはこうだったんじゃないか、という妄想。
ルル→マヤ←?スザ
ルルがメイン、スザクちょろっと……。
【ルルマヤ+スザ】思わぬ役得【水着イベ】
まったく、厄介なことになった。
突然、C.C.が出来たばかりの人工ビーチに行きたいと言い出した。
無視できればいいのだが、無理矢理にこいつを抑え込めば逆に何をしでかすか……かといって自由にしてしまっては何が起きるか不安すぎる。
仕方なく連れて行くことにした。が、速攻ではぐれたやつを探して辺りを歩き回っているところだ。
「! 見つけた。おい! ひとりでウロウロする奴があ」
「ルルーシュまでっ? どうしたって言うの?」
「は? その声……マーヤっ?」
はぐれたC.C.を見つけて駆け寄ると、ここにいるはずのない人物の声。見ればあの特徴的な黒い髪とやたらと白い肌が目立つマーヤがいた。肌が目立つのも当然。マーヤは水着姿で――心臓が止まるような感覚がした。
ぽかんと空きかけた口を必死に閉じ、ごくりとつばを飲みこむ。
ただでさえ雪のように白い肌が、太陽の光に反射して眩しい。
「(んぐっ)お前っ……! なんなんだ、その格好は」
「私はバイト。カレンと一緒にリヴァルの代役よ」
そういえば、補習で大事なバイトが、とかリヴァルが言っていたな。ここのことだったか。
偶然って怖いね、とマーヤはなんてことのない顔で言う。
なので俺も平静を装い、なるべく自然に目線を外す。心臓がうるさい。呼吸が乱れる。
(落ち着け。よく考えろ。ここは人口とはいえビーチ。水着姿は普通。普通だ)
自身を落ち着かせてから、こちらの状況を説明する。――視線はなるべくマーヤの顔から動かさない。
くびれた腰、すらりとした脚には目を向けない。それにしてもこいつ、本当に肌が白くて綺麗
(違うっ! だから見るな。見)
「ルルーシュ? どうしたの?」
ずいっとこちらに近づいて不思議そうに見上げてくるマーヤの白い首、鎖骨、そして普段は決して見えない胸元が視界に入り、慌てて額を手で押さえた。心臓がうるさい。
しかし自分の手で視界が遮られたことで少し冷静になる。
「はぁ。俺の方が知りたい。突然こいつが言い出したんだ」
C.C.は軍に追われていて隠れていなきゃいけないのだ。それがこんなところにいるというのはマーヤからしたら意味が分からないはずだ。
とはいえ、俺もよく分かっていない。突然言い出したから。
説明を始めると、少し気持ちも落ち着いた。先ほどより自然とマーヤを見ることが出来るようになっていた。
(よく似合っているな)
白と青の水着は彼女の雰囲気にあっていて、近くを通りがかった男がそんな彼女へ不躾な視線を向けていたため、視線を遮るように割って入る。
「まあ、見られたのがお前で助かったよ」
そして見れたことも良かった。……何をとは言わないが。リヴァルに感謝する。
「おい。そんなことより、早くリッチアイランドビーチコラボピザを持ってこい」
「後回しだ。何をするにしても、顔ぐらいは隠せるようにしてからだ。行くぞ」
C.C.の手を掴んで引っ張っていく。最後にちらっと後ろを振り返る。
急な展開に驚いているマーヤが可愛らしく首を傾げていた。その様子はいつもと同じであるのに、さらけ出された肌のおかげで破壊力が高い。
(って、しまった! あんな恰好を大衆の目に晒させ続けるわけには……せめてシャツをかけてくれば)
今からでも自分のを着せるか、と思ったものの再び対峙した上で自分が着ている上着を羽織っている姿を想像し、ダメだと首を横に振る。それはそれでダメージが大きい上に、あとで返された上着の処理に困る。
(いやまて落ち着け。たしかここに売店があったはずだ。C.Cにかぶせるものを買うついでにパーカーでも買っておくか)
空いている手で口元を押さえる。
とにかく、
(くそ、可愛い)
こんな状況でなければ記念だとでも言って一緒に写真を撮ったのだが。
「ふふん、どうだ? 私のおかげで良いものが見れたじゃないか」
「……うるさい」
にやにやと笑うC.Cに、頷きを返してやるのは癪で……そう返すのが精いっぱいだった。
***
「リヴァルの代役?」
「そう。あ、私だけじゃなくてマーヤもね。反対側の担当だけど」
職場の人たちと来ることになった人工ビーチ。そこでまさかの顔見知り、カレンとの遭遇。話を聞くと、ここに来る用事のせいで断ってしまったリヴァルのバイトの代役だそうだ。
「そっか。マーヤも……大丈夫かな?」
「大丈夫じゃない? 喫茶の時もけっこう上手に接客やってたし……サボったりも、たぶんしないと思うし」
「え? ああ、そうだね。寝坊したならともかく、もう来てるならマーヤはサボらないんじゃないかな?」
心配で思わずつぶやいてしまった。そういう意味での心配ではなかったものの、なんとかごまかす。
(変な人たちに絡まれたりとか、してないかな。マーヤ、そういうの無頓着だから)
ただでさえ可愛らしいのに、接客も喫茶店の時に上達して固定のファンがいたくらいで……さらに水着。
(様子を見に行きたい、けど)
ちらと視線を同僚……セシルさんに向ける。
「店員さーん、パクチーと、それから梅とーゴウヤとー」
一体何をするのか分からない注文をしている。そして、特派の大人たちはすでにダウンしていて止められる人がいない。今ここを離れるわけにはいかなかった。
「パクチーって、ここにはそんなものないのに」
「あは、ははは……どこかにないかな?」
「そうね。レストランの方になら置いてあると思うけど」
「分かった。分けてもらって来るよ」
「いいの? あなた、お客さんでしょ?」
「まあそうなんだけど……あの状態だし」
「……お願いするわ」
「うん。任せて」
マーヤがいる、と言われた方角を気にしながらも、カレンに言われた通りにレストランでパクチーを分けてもらいに向かう。
それ自体は、カレンがあらかじめ電話していてくれたらしく、あっさりとできたのだけど
「カレーン! さっき言われたパクチー、をもらって」
戻ってくるとカレンの隣に見慣れたあの黒い髪があった。僕の声に振り返ったのは、間違いなくマーヤだ。
白と青の可愛らしいビキニ姿をしていた。あまり日に焼けていない白い肌が眩しい。
ドキドキする。
マーヤがこちらを振り返り、青い瞳を丸くした。
「え? スザク? 今日は確か軍の人たちと約束があるんじゃ」
「ああ、マーヤ。そうなんだ。実は……」
マーヤの事情は知っているので自分のことを説明する。やたらと2人に軍のことで驚かれたけど、まあ……あのセシルさんを見たらたしかに驚くだろう。
普段はとてもしっかりした人なんだけど。
「ごめんね。僕も手伝えればよかったんだけど」
「気にしないで。でも、リヴァルの言ってたスザクの用事がまさかここだったなんてね」
「そうなんだよ。僕もまさかリヴァルの言ってたのがここでの仕事だなんて」
凄い偶然ね、とマーヤが笑う。いつもと同じ笑みなのに、服装と場所のせいか、いつもと違って見える。
ずっと見ていたいのに、見ていられない。無性にソワソワとしてしまう。
「って、そういえばマーヤは担当場所が違うんじゃ」
「私が呼んだの。1人じゃアレ、回しきれないと思って」
「あー……その、ごめん」
「あなたが悪いわけじゃないでしょ。ということでマーヤ、手伝って……マーヤ?」
「ごめん、カレン。私も向こうに呼ばれちゃって。これ、注文の商品ね」
「えっ、ちょっと」
「スザクもまた後で。楽しんでいってね」
「あ、マーヤ……行っちゃった」
すごい勢いで走り去っていったその背中を見送る。――残念。近くで働いているところを見守れると思っていたのに。
「この、薄情者~!」
カレンもまた別の意味で残念がっていたみたいだけど。
***
マーヤと別れた後、なんとか人目につきにくい場所を見つけ、そこで普通に客として過ごしていた。
だがマーヤが慌ててやって来たことでゆっくりはしていられなくなった。スザクと軍の関係者がここに来ているらしい。
さらに言えば、カレンと出会うのも不味い。
速攻で帰ることになった……のだが、なぜかすんなりと行かない。
C.Cの目的だったリッチアイランドビーチコラボピザと限定コラボグッズが手に入っていないからだ。そんなもの、と正直思うもそれらを手に入れない限りこの女はてこでも動かないだろう。
だというのに、ピザが人気で最後の一つが売れてしまった。仕方なくギアスを使って手に入れたものの、その後も順調に行かない。
ボールが飛んできてマーヤに庇われたり、女に絡まれたり――よりにもよってマーヤ(こいつ)の前で――
(そしてお前はもう少し何か思えっ! 大変そうだな―、という顔でこっちを見るな……助け……いや、助けなくていい。
ああくそっ、面倒だ)
ギアスを使い、切り抜ける。
(なぜこんなことでギアスを使い、精神を疲弊しなければならないんだ)
とても苛立ったものの、「ほら、急ごう?」とマーヤに手を引かれたので、溜飲を下げる。もういっそのこと、すべて忘れてこのままビーチを満喫したいが、そうもいかない。
その後はマーヤがスタッフということでビーチボートについて聞かれたのをフォローしたり……これで庇われた分はなんとか取り返したか。
なんとか出入り口までやってきたものの、最後の難関が待っていた。
問題のスザクたちがいるのだ。
「私がスザクの気を引くから、その間に」
「……ああ」
出来るなら、マーヤの姿をスザクに見せたくはないが……って、パーカーを着せるのを忘れていた。
とはいえ、今更追いかけて渡すわけにも。
「くっ」
これが今日一番の失態だったかもしれない。
***
マーヤが戻ってきた。少し、疲れた顔をしているので、向こう側も忙しかったのだろう。
「さっきは置いて行かれたカレンが怒っていたよ。薄情者って」
「ふふっ。向こうのブロックで急用があったから仕方なくね。別に遊んでいたわけじゃないんだけど……って、スザクひとり?
軍の人たちは?」
キョトンとするマーヤの疑問ももっともなのだけれど、「色々あってね」とごまかす。あまり、思い出したくもなかった。
マーヤは僕の様子から聞かれたくないと悟ったのだろう。あまり深く追及はされず、勝負を申し込まれる。
「水泳勝負?」
「そ。ただ待っているのも退屈でしょう?
このビーチは海に似せて作られているけど、端に壁があるから、あそこまで行って折り返してくるまでの勝負」
面白そうだ、と頷く。何よりも
(マーヤと一緒に過ごせるし)
彼女は仕事のはずだけれど、今はエプロンを外している。休憩中なのだろう。
マーヤと2人、ビーチの方に行くと彼女が髪を一つにくくり始めた。
珍しい様子につい見つめてしまう。
「さすがに泳ぐとき邪魔だからね」
「ああ、ごめん、じっと見て……その、初めて見たから」
「そう?」
「うん……そういう髪型も似合うね。あと、言うタイミング逃してしまっていたけど、水着も可愛いよ」
「あはは、ありがとう」
高い位置でくくられた髪。下ろしているのもいいけど、初めて見たその髪型も似合っていて本当に可愛いと思う。
心からの感想だったのだけれど、マーヤには届いてはいなさそうだった。
(こういうところが心配なんだけどな)
彼女は自身の魅力に無頓着すぎる。今だって周囲から視線を集めているのに、まったく気づいていない。
僕だって……普段は見えない、マーヤのうなじに目が行ってしまい、慌てて首を横に振った。
「ん? どうしたの、スザク」
「なんでもないよ」
その後はしっかりと準備運動をして……勝負とは言ったものの、女子のマーヤとなのでハンデをつけて勝負をした。
マーヤは泳ぎもけっこう得意らしく、中々勝負自体も楽しかった。
「はぁっはぁ、負けた~。さすがね、スザク」
「まあ、鍛えてるからね」
「ルルーシュに聞いた。昔から運動は凄かったって」
「そうだね。子どもの頃から得意かな。ルルーシュも運動神経は悪くないと思うんだけど」
「体力ないもんね」
あはは、と2人でここにいない友人のことで声をあげて笑う。心の内で「ごめん、ルルーシュ」と謝りつつ、僕は必死に意識しないようにしていた。
滑らかな肌を伝う水滴が光を反射し、塗れた黒髪が肌に巻き付き、その白い肌をさらに美しく映えさせる。そしてバランスの良い弧を描く体のライン。
正直、目のやり場に困る。
「あ、あー。なんだかもっと泳ぎたくなってきた。マーヤは先に戻ってていいよ」
「そう? 分かった。じゃあまたあとでね」
本当ならずっと傍についていて邪な目から守りたいところだったけど……まずは自分の気持ちを静めるのが先だった。
***
マーヤがなんとかスザクを連れて行ってくれたものの、その後で軍の連中が戻ってきて、さらには酔っ払いに絡まれるという緊急事態……は、なんとかなった。
が、時間はロスしており、慌てた様子のマーヤが帰ってきた。
スザクは泳ぎ足りない、と再び泳いでいるらしい。
とはいえ、これでもう障害はクリア、
「ちょーっと待った!」
とはならなかった。
見れば怒り心頭らしいカレンがそこに立っていた。カレンがマーヤに詰め寄っていく。
「カレンっ?」
「やっと見つけたわよ! よくもさっきは見捨ててくれたわね」
「見捨てたって人聞きが悪い。悪かったとは思うけど、私は私で大変だったんだから」
「私がどれだけひどい目に……あれ? そこにいるのはルルーシュ?
もしかしてサボってルルーシュと遊んでたんじゃあ」
「そんなこと」
「だったら、どうしてプレオープンにルルーシュがい……もう一人いる? ルルーシュの後ろの子は」
まずい。ゼロではなくルルーシュである今、C.C.と一緒にいるところを見られるわけには。
マーヤも言葉に詰まっている。
と、そんなとき。やれやれ仕方のない奴だ、などと呟いたのは元凶。
C.C.は驚くことに手に持ったナニカ、でカレンの水着を切った。
「は?」
「え、ちょ、カレン、前、前っ! あ! ルルーシュ、見ちゃダメ」
「うわっおい」
「きゃああああっ!」
視界がマーヤの手でふさがれ、続いてカレンの悲鳴が聞こえた。それはいい……いや、良くない。
マーヤの熱が伝わってくる。
(近いっ)
「ばっ馬鹿っ、離れろ」
「何言ってるの、ダメだってば」
離れようとしたらマーヤが増々近寄ってくる。素肌にマーヤの呼気が直接触れ……どころか、何か柔らかいものが2つ、俺の胸でつぶれ
「っ!」
「ほらっもう、暴れてないで、そのまま後ろ向いて」
「分かった。分かったから」
頼むから離れてくれ。
思い切り叫びたいのをこらえる。意識が触れている柔らかいものに向かう。
「カレン、ほら、このタオルを」
「え、ええ。ありがとう」
ようやく離れてくれたマーヤとカレンの会話が背中から聞こえてくる。
とにかく今の内だ。そのまま出入口へと向かった。
結局マーヤに渡せずじまいだったパーカーの袋を握りながら。
帰宅後、ぐったりしながら椅子に腰かけ、放り出していたその袋が目に入った。
結局、大衆の目にマーヤのあの姿をさらし続けることになってしまった。あれだけの人数がいたのだ。さすがにギアスで消すこともできない。
日焼けなどしていない白い肌は、艶やかな黒髪とよく映え、細いその身を覆うのは白と青の水着のみ。その色の組み合わせは彼女のイメージに合うし、実際とても似合っていた。
さらには、ほっそりとした脚。柔らかな弧を描く体つき。そして
(柔らかかった、な)
意図せずに体に押し付けられた膨らみの感触が頭に浮かび、
「っ~~~」
頭を抱えて声なき叫びをあげた。
今回の騒動、中々に大変ではあったが、一つだけ心に決めたことがある。
(学校で会ったら、リヴァルのこと労わってやるか)
『よくやった、と大きな声では言えないけれど』
はい、ということでシナリオはよかったですねぇ、相変わらず。
男女差がないのは残念ではありますが、そこは妄想力で補いましょうぞ、マーヤ好きの皆さまよ。
ルルがマヤの水着姿にあまりにも無反応すぎたので、影でかなり悶えていると妄想。
スザクはたぶん素直に褒めてくれそうなんですが、褒める暇もなかった、ということで!
1人で慌てるルルが見たいし、ポニテとか他の髪型をしたマーヤちゃんも見たいし、とにかくマーヤちゃんに振り回される青年たちが書きたくて、敢えて今回マーヤ視点は抜きました。
正直、カレンの水着事件のところで、マーヤちゃんがルルの目を塞ぐという光景が思いついて一気に書いたので、その他もろもろ甘いところあると思いますが、むっつりルルが書けたので満足です!
ま・ん・ぞ・く・です!