とある外道の6人組   作:毛糸ー

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やっっと新約7巻編に入れる……!


新約 第5章:藍花悦抹殺作戦
0.闇から現れし外道共


――ストレンジの九龍城:広間――

 

「藍花悦、潰すことにするわい」

 

 アーランズがドロームのそんな宣言を聞いたのは日常の何気ない会話のことであった。藍花悦。学園都市が誇る超能力者の一人。そして最近、『鋼龍』のシノギを高頻度で邪魔してくる輩。

 

 無論、『鋼龍』側もそんな事をされて黙っている訳がない。ドロームの統括理事会会員としての権力をフルに用い、藍花悦を抹殺せんと試みた。だがすぐに()()()()を殺しても何の意味もないことに気付いた。

 

 藍花悦とはミームなのだ。恐らく()()()()が広めた、『暗部を許さぬ存在、藍花悦』と言うミーム。そのミームを受け取った者達が『鋼龍』のシノギを妨害していたのだ。()()()()を消したとしても、ミームは残り続けるだろう。

 

 そのミームを消し去らないことには、『鋼龍』のシノギを安息に行うことなどできない。即ち、藍花悦を名乗る・あるいは名乗っていた者達を消し去る必要があった。一匹残らず。そして出来るだけ『藍花悦』というミームを神格化させぬために一気に始末する必要がある。

 

「だが、どうするんだ?藍花悦を名乗る連中は学園都市の広域にいるんだろう?一気に全員殺すとしたら、ここにいる連中を全員出さなきゃならんだろう?アンドレや『人形師』、『解体屋』のようにあからさまに目立つ奴らを動かしたうえ、チンピラ共の蛮行を覆い隠すのは統括理事会の権力でも難しいのではないか?」

 

 アーランズの言うとおり、藍花悦を名乗る阿呆は多すぎるゆえ、一気に血祭に上げようとすれば、間違いなく隠蔽には大変な手間を取る羽目になろう。そもそも学園都市外に親がいる学生も多く、その死の原因を隠蔽するのは隠蔽工作に慣れた『スウォーム』と言えど相当な骨となろう。それをどうするつもりなのか。

 

 アーランズの懸念に、ドロームはニヤケ面で答える。

 

「そのために()()()()を呼んだんじゃぁ」

「たった十人で『藍花悦』を名乗る連中を短時間で皆殺しに出来るのか?いや、隠蔽の問題はどうするつもりだ?」

 

 アーランズの疑問を聞き、ドロームは笑い出した。邪悪な哄笑であった。ドロームはこれだけで木原唯一とかいうガキがアレコレしている小細工を笑って許したくなるほどだ。

 

「統括理事会におるワシの同僚に、薬味久子ちゅう若作りババアがおる。木原唯一があれこれちょっかい出しとったせいで人格がちと変わってしもうてのう……近日『人的資源(アジテートハレーション)』たらいう大騒ぎを起こそうとしとんのよ」

「つまり、その機に乗じて藍花悦を殺せば……」

「そう!ことは全部薬味のせいになるっちゅう訳よ!」

 

 邪悪に口角を吊り上げた邪悪なさまのドロームに対し、アーランズは微笑でこたえる。そして最後に残った懸案事項について尋ねた。ゴロツキ共が虐殺の機会を黙って見過ごすはずが無いからだ。

 

「藍花虐殺を”新しくやってきた”十人にすべて任せるのは無謀ではないか?それに、”前々からいる”ゴロツキ共の反発を招くだろうし、独断行動をとる奴が出ないとも限らないだろう?」

「それについては心配いらん。……極秘プロジェクトに遅れが出ておるようでのう、それに人員を派遣するわけじゃな。んで、警備も大量にいるからそこで鬱憤晴らしが出来るという寸法よ」

 

 ドロームは当然、その点は対策済みであった。『6人組』でもドロームと多々羅しか知らぬ『極秘プロジェクト』の詳細は気にかかるが、当座の藍花殺戮で同じ『6人組』たる蠢動に多大なる負担がかからぬのは良い知らせだ。

 

「ククククク……」

「カカカカカカカァッ!」

 

 ストレンジの九龍城内部から二人の邪悪な笑い声が響く……!

 

――ストレンジの九龍城:会議室――

 

 さてドロームとアーランズが邪悪な哄笑を響かせている頃、ストレンジの九龍城にある会議室には十人の恐るべき者達が詰めていた。彼らは近々、『人的資源(アジテートハレーション)』の機に乗じて『藍花悦』を皆殺しにする予定の者達である。

 

 現在は担当地区の割り振りも終わり、つまらぬ雑談に興じている。

 

「何回でも言うが、自重してくれよ早々」

「ククク……それは保証できんなぁ」

「オイオイ頼むぜ、後処理大変なんだよォ……」

「儂の知ったことではないな!グワハハハハ!」

 

 今も全身から流血している包帯で身を覆った不審者、六角散々が高僧虚無僧めいた老人、早瀬早々に釘を刺す。この老人は全身を極めて危険な毒が巡っているにもかかわらず、自重と言う言葉を知らぬ。ゆえに、しばしば都市一つ壊滅するほどの大惨事を引き起こすのだ。

 

「ウシッ!ウシッ!ウシッ!ウシッ!ウシッ!」

「我は死せる電子の神故に全てを見通す。蒙昧なる毒蟲に自重を求める方が無駄也」

 

 サンドバッグを叩き続ける塗仏ズンビーめいた巨漢は橋詰悠々。瞑想しながら全く役に立たぬアドバイスを送ったのは椎名朗々。この集まりの中でも屈指の話が通じない連中だ。朗々の発言を聞き、大笑いしたのは黒襤褸を纏う東条猩々。

 

「ははははははは!朗々に自重を知らんと言われてはおしまいだな!」

「そんなことを大声で吹聴するのは不味いだろう……」

「止めておけ。時間の無駄だ。小職の拘束を解こうとするのと同じようにな」

 

 その猩々を諫めようとした矮躯の老人、手塚鬱々であったが、拘束服に身を包んだ蓑虫めいた元囚人、船越延々に窘められ、口を閉じる。猩々に口さがないのは今に始まった話ではなく、朗々は斯様なからかいを気にも留めない。狂っているからだ。

 

 会議室の隅でポーカーをするのは社会落伍者めいた浮田重々と固まりかけの溶岩めいて体内から仄暗い光を放つ秋津浦々。宇宿粛々、別名ザン・ギャクは浦々と重々がいるのとは別の隅で武器を磨く。秋津浦々は目玉を銭の色に変えながら手札を捨て、カードを引く。

 

「ケケケ……当然、殺した連中の持ってる金目の物は俺のものだよなぁ?」

「ヒック……欲張りは失敗の元だぜ、浦々さんよォ」

 

 散々は各々勝手な行動をとる傭兵たちの注目を集めるために早々への無駄な宥めを止め、両手をあげ、パチパチと叩く。そして、ゆるい激励を行う。作戦を成功させるために。

 

「さて、君ら。楽しみのために殺す奴も、信念のために殺す奴も、暇だから殺す奴も、金のために殺す奴も、ターゲットは覚えたな?……存分に殺してきな。そしてもちろん、ターゲットを殺り尽くした後は自由時間だ!本当に何しても構わん。おっと、油断や焦りは禁物だ。帰って金を受け取るまでが傭兵の仕事だからな。じゃ、明日の深夜12時、またここで会おう。全員壮健でな。……ヒヒヒ、行こうじゃないか。パーティーの時間だ」




新キャラの設定と活躍シーンを考えてる時が一番楽しい。

……増やしすぎると地獄を見るけど。
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