とある外道の6人組   作:毛糸ー

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ニンジャスレイヤーのエゾテリスム=サン、いい……


4.『電波の朗々』

――――椎名朗々について

 

「苦界に縛り付けられた蟲と同情してくれるのはいいが、電脳の世界に誘うのはやめてもらいたい。これでも小職は現状に満足しているのでね」

――――船越延々

 

「電波野郎だな。奴の肉はきっと、狂気と誇大妄想の味がするだろうよ」

――――アンドレ

 

「神を自称するだけはある、とワシは思っとる!」

――――ドローム・A・ヴィスタ

 

――学園都市第十学区――

 

「アバーッ!?」「アババーッ!?」「あっ、あっ、あっ、あっ」「あ、あた、まがガがガガガ」「キエーッ!?」「ンアアーッ!?」

 

 今宵の学園都市では『人的資源(アジテートハレーション)』による暴動以外にも、突如フリークアウトし、陰惨な犯罪を行い、最終的に頭部爆散する者達が多く発生した。奇妙なことに、フリークアウトした者達は過去に『藍花悦』を名乗った者ばかりであった……。

 

 

 『ストレンジの九龍城』で瞑想していた魔術ハッカーめいた男は目を開けた。彼の名は椎名朗々。『死せる電子の神』を自称せし狂人であり、恐るべき魔術師兼ハッカーである。

 

 彼は元々しょうもないハッカーであったが、インターネット空間へのダイブの最中に()()を見出し、発狂。『死せる電子の神』を名乗り、異様なカリスマを発揮した結果、彼を崇拝するハッカーカルトが数多く生まれた。

 

 魔術とハッキングを高度に融合させ、いくつかの大破壊を引き起こした後、外道の嗅覚で彼の居場所を見出したドロームにスカウトされ、今に至る。その彼にとってみれば、このインターネットインフラが整った土地で、標的のニューロンをハックして頭部爆散殺するのはお茶の子さいさいであった。

 

 担当分の全ての『藍花悦』を殺し切った朗々の元に、ある男が現れた。アーランズ=ダークストリートである。本来訪れるべきドロームはアレイスター謹製盗み聞き・盗み見装置たる滞空回線(アンダーライン)の監視網を誤魔化すのに忙しい。

 

「やぁ、終わったかい?」

「然り。我は死せる電子の神ゆえ、簡単な仕事であった」

「時に朗々殿。君はハッキングと魔術を組み合わせていると言ったね。我々の常識では考えられないことなのだが、どういう理論で繋げているのかね?」

 

 ドロームから”異世界”から連れてきた十人のロクデナシをざっと紹介された時、アーランズにとって一番気になった存在が椎名朗々であった。”この世界”の常識では、魔術と科学は明確に分けられており、科学の産物たるハッキングと魔術とが混ざる事などあり得ぬ話なのだが……?

 

「……簡単な事だ。ハッカーはコードでコンピューターのデータという小宇宙を書き換え、魔術師は魔術によってこの物理世界を書き換える。ここでコンピューターのデータ内にこの世界を再現し、魔術を再現したコードでデータを書き換えたとすれば?」

「……なるほど、類感魔術か」

 

 アーランズが呟いた類感魔術とは、「形の似たもの同士はお互いに影響し合う」という発想に則った魔術である。例えば、神話上の武器を模したものが、その力の一端を宿す、というように。話を聞けば簡単だが、世界をデータにするのも、魔術を再現したコードを打ち込むのも、普通は机上の空論で終わろう。

 

 それをこともなげにやってのける朗々が怪物であるのは言うまでもなかった。アーランズは輪郭が黒く沸騰しているかの如く曖昧な朗々の背中を畏怖と高揚と共に見やり、部屋から出て行った……。




朗々の異名である電波には二つの意味がかかってます。

※2024/05/02 延々のセリフ変更
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