――――船越延々について
「奴は哀れなる咎人にして、縛り付けられし者。死せる電子の神たる我の恩寵を受け取るべき存在也」
――――椎名朗々
「……俺が体を改造してやったのに感謝一つねぇとはどういうことだァァァァッ!!」
――――『人形師』
「初めはただのピンボケかと思うたが、話してみると中々頭のネジが飛んでおるわ!」
――――ドローム・A・ヴィスタ
――学園都市第二十二学区――
学園都市の学区の中では面積は最も狭いが、地下街が広がる第二十二学区。その地下は現在、地獄絵図と化していた。その血と死の吹き溜まりの中で、拘束着に包まれた異常な男が尺取虫めいて這いまわっていた。
「小職は頭が痛い……何とかしてくれんか」
「アッ……アッ……」
この化け物が最初に『ヒーロー』達に立ち塞がった時、ただの全身拘束された哀れな囚人にしか見えなかった。自分達は
地獄はそれから始まった。痛めつけるたびにこの囚人の身体は変化した。貧相だった体躯は長大になり、頭はいつの間にやら金属球めいた有様と化し、背中からは呪われたる名状しがたき存在や悍ましき殺戮科学の集積が噴き出し、蹂躙した。
何より厄介なのは、話術だ。『ヒーロー』達は当初、痛めつければ痛めつけるたびに強大化する謎囚人から離れ、別ルートで
「コッチヲ見ロォーッ!」
あの声はとにかく不快で、発している相手を即座に黙らせたくなる魔力に満ちていた。あんな声を出せるコイツは人間ではない。頭を振り上げる化け物囚人を見ながら、彼女は走馬灯めいてあの不気味な声を思い出していた……。
船越延々はパンプアップした体が縮んでいくのを感じながら、周囲を見る。彼に、この殺戮を作り出したことへの感情の起伏はさほどない。
「……壊しすぎたな」
船越延々は元々、さる財閥の御曹司の取り巻きに過ぎなかった。元より不快感を際立たせる発声に秀でた彼は、御曹司の
だがその遊びが、破滅に結び付いた。よりにもよって六角散々にケンカを吹っ掛けたのだ。御曹司は生きたまま
だがなぜだか延々は気にいられ、散々が恭順していたメガコーポの実験試料として送り込まれた。そこで大量の身体改造を受け、
さらに、彼の特技に目をつけたメガコーポの者達は、延々に『リザレクター』を摂取させ、不死身の
延々が実験までの待機中、壁の染みを数えるのにも飽きた頃に散々が現れた。長年仕えてきたメガコーポを裏切り、ドロームの『鋼龍』についた彼は、延々を一種手土産めいて持っていくことにしたのだ。延々は散々による一連の非道について特に含む所は無い。ゆえに彼の誘いにも応じた。
延々はいまだ金属音鳴り響く頭を振りながら、地獄絵図を顧みることもなく去っていった……。
人間爆弾、スゴイコトダマだな……
そしてこれと同じような事を旧日本軍がやっていたという事実よ……