とある外道の6人組   作:毛糸ー

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前回出たのとは違って、今後の布石になる原作キャラが出ます。


9.『千鳥足の重々』

――――浮田重々について

 

「酒飲みのくせにそこはかとなくプロの匂いがすんだよなぁ、あのオッサン。ホントにただの飲兵衛だったのか?」

――――秋津浦々

 

「ういい……いいいーやつ。さ、サケかけてくれるし」

――――ヒダルマ

 

「昼行燈の振りして侮れんやっちゃ。その調子でツケも払ってくれんかのう」

――――ドローム・A・ヴィスタ

 

――学園都市第十七学区――

 

 学園都市の暗がりで、ある少年が歩いていた。彼の名は加納神華(かのうしんか)。彼は、連絡の取れなくなった友人、フレンダの行方を追うため『藍花悦』の名を借りていた。彼は眠れず、夜道を歩いていた。もしかして、フレンダは死んでいるのではないか?もう、あの笑顔は見れないのでは?

 

 

 彼の心配は杞憂である。フレンダは暗部抗争で命の危機に瀕していたが、なんだかんだあって見逃された。そして紆余曲折ありてロシアに赴き、またもや命の危機に瀕したが、極悪非道の統括理事会会員『峰岸』の気まぐれにより命を拾ったのだ。

 

 ……だが、それには代償が伴った。フレンダの人脈は広く、友人が多い。その友人達にプレゼントを渡そうと第十五学区のランドマーク、ダイヤノイドに立ち寄った時、彼女はふと、刺すような視線を感じたのだ。その視線の正体は、彼女を拉致したチンピラの一人であった。

 

 彼女はその視線を『峰岸』が己を監視していると理解した。あの恐るべき非道と残虐が身体を持ったかのごとき『峰岸』が、彼女の人脈から邪魔者を探さんとしている、と。ゆえに彼女は友人達と連絡を取ることを差し控えたのだった……。

 

 

 そんなこととは露知らず、物思いに沈む加納神華。その前方から、明らかに社会不適合者めいた男が歩いてきた。学園都市に似つかわしくなく、小汚い作業着に身を包み、酒瓶を引っ繰り返して意地汚く酒を飲まんとしている。

 

 その薄汚い輩を避けようとした次の瞬間、男の腕が翻ると、加納神華はバランスを崩す!

 

「エッ?」

 

 疑問を抱いた加納神華の頭に、男の神速の蹴りが迫る!

 

「アバーッ!?」

 

 そして、加納神華は頭を砕かれ、死んだ!サツバツ!

 

 

「これでしまいか……イック……」

 

 無論、加納神華殺害の下手人は『藍花悦』殺しを請け負った傭兵の一人、浮田重々である。彼は超常的なバランス感覚を持つ。それが殺しに応用されたのが先程の魔技である。最小限の衝撃で相手のバランスを崩し、致命の一撃を叩き込む。

 

 そして、加納神華、即ち彼の担当分のうち、最後の『藍花悦』を殺した重々は、ゆるゆるとストレンジの九龍城に帰っていく。彼は他の連中のように暴力至上主義という訳ではない。そしてまた、ポーカーでの友人、秋津浦々のように貴金属をコレクションする趣味があるわけでもない。

 

 ということで、残った選択肢はストレンジの九龍城に戻ってサケを呑み散らかすことしかない。ゆるゆると歩いていた重々だったが、ふと暗部の噂を思い出した。

 

(そういや、不願竜造とかいう優秀な武器製作者がいたな……長老からもらった資料だと、ここから近いらしい。顔をつないでおくか。御坂美琴とかいう、おれの得物のことごとくに茶々を入れられるガキもいることだしなァ……)

 

 然り。彼の主な得物は多種多様なナイフであり、それらは全て頑丈さを優先して金属刃のものを採用している。ゆえに、電流を操る能力の応用として磁力を操る御坂美琴の能力で操作されかねない。恐らく御坂美琴とはもう一度ぶつかることになろうとにらんだ重々は、暗部でも有数の武器職人の元に向かった。

 

 ……この気紛れにより、土御門元春のせいで窮地に陥っていた不願竜造を救うこととなり、『鋼龍』は格安で武器製作を請け負ってもらえるようになるのは別の話である。

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