とある外道の6人組   作:毛糸ー

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14.自由時間~秋津浦々の場合~

――『避雷針』周辺――

 

「ったく……コイツ等何なんだ?鬱陶しいったらありゃしねぇ」ZAAAP!

「とはいっても麦野、コイツ等を超放っておくわけにはいきませんよ」KRAAASH!

「結局、フレメアを狙う連中は放っておけないって訳よ!」KBAM!KBAM!

「……南南西から信号が来てる」

 

 元『アイテム』の者達は襲い掛かる『ヒーロー』共を雑談交じりに片付けていた。このまま『ヒーロー』共を蹴散らし、フレンダ=セイヴェルンの実妹、フレメア=セイヴェルンを探しに戻るかと思われた。だが……

 

「イヤーッ!」KRAAAAASH!

 

 突如麦野沈理がスクラップに変えた車に、赤熱人型存在、煤即ち秋津浦々が飛び降りた!遅れて赤熱瓦礫が降り注ぐ!その左腕は巨大な瓦礫蚯蚓めいた有様だ!

 

「アバーッ!?」「アババーッ!?」

 

 暗部時代の経験で赤熱瓦礫を回避した元『アイテム』のメンバーであったが、『ヒーロー』共は唖然としているうちに瓦礫に飲み込まれ、死亡!帽子めいて赤熱カラーコーンをかぶっている件のヒトガタは、麦野らを見、嘲笑うように襲い掛かった!

 

「ケケケケエエェェーッ!!イヤーッ!」

 

 ジャンク集積めいた左腕を叩き付ける!当然麦野らは回避!そして麦野は額に青筋を浮かべながら目の前の相手を誰何する!ついでに原子崩し(メルトダウナー)による死の閃光を放つ!

 

「テメェ何者だ!いきなり襲い掛かってきやがって!ブッ殺してやる!」ZAAAP!

「麦野、超聞く気無いでしょう……」

 

 絹旗最愛がつぶやいたように誰何の答えを聞く前に、愚か者は原子崩し(メルトダウナー)によって消し飛ばされるだろう。……その愚か者が並大抵の存在であるなら。だが!

 

「ケケケケ……イヤーッ!」

 

 ジャンクを纏った尻尾めいた有様と化した右腕がイアイめいて閃くと、原子崩し(メルトダウナー)の閃光が弾かれた!麦野・絹旗は警戒を強める!こいつは賽とかいう殺し屋紛いと同類だ!侮ってかかれば死あるのみ!

 

「フレンダ!滝壺さんを連れて下がってください!コイツは()()()の同類です!」

「わ、分かったって訳よ!滝壺!捕まって!」

「……うん」

「ヒヒヒハハハーッ!一匹も!逃がしゃしねぇよ!イヤーッ!」「イヤーッ!」KRAAAASH!

 

 絹旗の指示に従い戦線を離れ始めたフレンダと滝壺に、ジャンクが組み合わさった伸縮腕が襲い掛かる!だが、絹旗のインタラプト!伸縮腕がへし折れ、ジャンクがまき散らされる!

 

「……あーん?」「行かせませんよ」「……んん?」「絹旗!抑えてろ!」ZAAAAP!

「……うーん?」「チッ……何とか言ったらどォなんですか!」

 

 絹旗と麦野の猛攻を上の空で回避しながら考え込む煤。だが、ふと立ち止まると、残忍に笑いだした!

 

「ヒャヒャヒャァッ!てめぇら、賽のシノギに茶々入れたくせに助かったラッキーガール共か!てめぇらの首持ってきゃぁ、賽にしてる借金、チャラになるかもなぁっ!イヤーッ!」

 

 高笑いしながらジャンク左腕を旋回させ、麦野を狙う煤!だが、絹旗が身を挺してインタラプト!窒素装甲(オフェンスアーマー)による不可視窒素装甲により、絹旗は無傷!そして、ジャンク腕を掴み、止める!

 

「ああ?」「……ふざけた腕は止めましたよ。麦野!」「くたばれカス野郎!」ZAAAAAAP!

 

 動きを止めたところに到来した原子崩し(メルトダウナー)。しかも片腕を抑えられた状態で取りうる回避軌道は全て潰されている。殺った。麦野と絹旗がそう考えるのも無理はなかった。

 

 一方、煤はアドレナリン過剰分泌により止まったかのように見える世界を眺めながら、冷めた目つきでいる。自分の腕を止めている小娘の力は、実際小娘にしては凄まじいものだ。だが無意味だ。この程度で俺を止められるものか。

 

 煤はスローモーション世界を眺めながら、小娘、即ち絹旗最愛が掴んでいるジャンク腕の表層部分のみを爆散させ、引き戻す。そしてイアイ(居合)めいた体勢を取る。眼前に死の閃光が迫る。小娘共の驚愕をサラリと流しながら、ジャンク腕によるイアイを放つ!

 

「サツ!」

 

 体感時間が元に戻る!地獄閃光は全て弾かれたが、ジャンクアーム・イアイは回避された。暗部暮らしが長かった二人の勘と賽との戦闘経験が、咄嗟の回避行動をとらせたのだ。だが!

 

「バツ!」

 

 返す刀でジャンクアームが舞い戻る!おお!これは!イアイド(居合道)のワザ(技)の一つ、ツバメガエシではないか!?然り!煤はこのジャンクの腕を十全に生かすため、武器術の類を修めている!このツバメガエシもその一つ!

 

 アスファルトを削り、ツバメガエシ巨腕が迫る!立ち塞がった絹旗の窒素装甲(オフェンスアーマー)、不可視の窒素の鎧に赤熱コードが絡みつく!そのまま麦野も轢き殺さんとした時、真後ろから冷凍ガスが!

 

「グワアアアァァァァーーーーッ!?」

 

 たまらず悲鳴をあげる煤!ツバメガエシ巨腕の制御も解かれ、ジャンクの塊と化す!この冷凍ガスをぶちまけたのは生き残りの『ヒーロー』共。彼らは煤という超能力者以上の脅威を前にして、己の能力や技術を組み合わせ、煤に一矢報いたのだ!

 

「ヤッタゼ!」「ザマミロ!」「悪党め、くたばったか!」「()()()を助ける邪魔をするからこうなるんだ!」「行くぜ!()()()を助けるぞ!」

 

 浮かれる『ヒーロー』共に対し、麦野、絹旗は警戒を絶やさぬ。冷凍氷像めいた有様と化した煤は実際、その死を確信させるには十分な、無惨な有様であった。だが、僅かながら、あの不気味なマグマめいた光が確かに巡っている……!

 

 彼女らが暗部で培った観察眼でそれを看破し、慎重に止めを刺そうとしたその時!

 

ゴボリ。「ん?なんだ?」ゴボボボッ!ZAAAAAAAP!ゴボボボボ、ボバァッ!「イヤーッ!」

「「「アババーッ!」」」

 

 体が異常赤熱化し、溶融鉄めいた有様と化した怪物が、異音を察知した麦野の原子崩し(メルトダウナー)を弾く!煤の身体から発せられる凄まじい熱に、『ヒーロー』共は焼かれ、麦野も絹旗も急いで後ろに下がる!周囲を熱海地獄に変えながら、煤は勝ち誇る!

 

「ヒヒヒヒヒヒヒ!ハハハハハハハァァーッ!血祭だァッ!」

 

 麦野と絹旗は、悪魔的熱量を発し溶岩の大海で赤熱ジャンクアームを広げる怪物に向かっていく!この怪物を野放しにすれば、フレンダ、滝壺、浜面……そして何よりも、フレメアが危ない!




浦々はコンヴァージ=サンと被らぬようにするのに苦労するキャラ。取り合えず利き腕は逆にしてます。
だけど、ジャンクを纏い、ジャンクで鎧い、ジャンクで殴るキャラが大好きだから……。

※2024/05/16 文章追加
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