――大型タンクローリー周辺――
有毒ガス表記があるタンクローリーの周辺に、暗部のハイエナ共が集い、金塊を持てるだけ持って消えて行く。このタンクローリーは、暗部でも一、二を争う武器職人、不願竜造の所有物である。彼は有毒ガス表記をしたこのタンクローリーに、己の富を金塊として詰め込んでいたのだ。
(畜生……!)
その彼は現在、タンクローリーの車体の下で、ハイエナ共の狂騒を歯噛みしながら聞いていた。なぜ、彼は斯様な事態に陥っているのか?それを説明するには、薬味久子らが『
薬味久子は土御門元春が『
その後、土御門は己に妹の死を偽造させるという凶行を行わせた輩を探し出すため、『
脅迫した不願竜造からでは黒幕に至り得ないと知った土御門は、不願のタンクローリーに金塊が詰められていることを暗部の情報網にさらし、そこに現れた者達から更なる情報を引き出さんと試みた。
不願は土御門に膝を潰されたため、このタンクローリーの車体の下に這って避難する羽目になったのだ。金塊を奪おうとする連中は、不願を見つければ殺すに違いないからだ。
(クソクソクソクソ……!あの野郎……!殺してやる……!)
不願はこの苦境を招いた土御門への憎悪を滾らせることしか出来ない。だが、ふと不願が耳をすますと、言い争いの声が聞こえる。これは実際、有り得ぬことであった。この場で諍いを起こせば
訝しんだ不願であったが、その後に起こったことは言い争いが些末に見えるほどの凶行であった!車体の下にいる不願にまで届くほどの熱!隙間から見えるは、業火!暗部のハイエナ共の苦悶の声をかき消すほどに、轟轟と燃え盛るジゴクの火だ!
次いで大風が吹いたかと思うと、延々と燃え続けるかと思われた業火が一瞬にして散った!そして、奇妙に足音が聞こえる。
(お、俺のことも、殺すつもりなのか?)
ハイエナ共を焼き殺し、悠々と歩いているらしき足跡に怯える不願。だが、車体の下を覗き込んだ影は、闇の世界に足を踏み入れた者特有の不穏な気配を纏ってはいたが、敵意や害意が決定的に欠けていた。
サングラスをかけた社会落伍者めいた影は、呆気にとられた不願と目が合うと、ニヤリと笑う。酒飲み特有の異様な大声で彼を呼ばわった。
「ヒヒヒヒ、ヒック……助けに来たぜ不願竜造さんよォ。ちょっと悪いが、そこから這い出して依頼を聞いてくれねぇか」
新約7巻の土御門って、強要されたとはいえ自作自演しといて勝手にキレてるクソ厄介な奴だよな……。