――『6人組』定例会――
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特に、ザゾグの機嫌がよいのは珍しい。緑コートの外道科学者は、声高に成果を話す。
「今回の『
「……それはいい知らせだな。俺が
シャチ面の蠢動は人間なら涙ぐんだ目つきをしている。ドロームの配下共の大暴れ、『ヒーロー』・『藍花悦』の大量死を隠蔽したのはほぼ全て蠢動引き入る『スウォーム』だからだ。地獄のようなデスパレート業務を強いられたが、それに見合う成果は手に入れることができた。
そんな過労気味のシャチに一切注意を払うことなく、ザゾグの雄弁は続く。
「そうそう、ドロームよ、よくぞ配下を暴れさせてくれたものよ!貴様が貸してくれた
途中でザゾグの雄弁が切れた時、はじめ『6人組』の面々はまたぞろ不都合な真実に気付いてザゾグがキレだすと予想していた。だが、彼の身体が傾ぎ、机に倒れ伏せた時、その予想は裏切られた。
「おい!どないしたんじゃ!?」
「ゴッ……ゴボボボッ」
「ドロームどういうことだ!?何が起きている!?」
「
「ハハハハ!奇襲は戦場の花だが、上手くない状況だなぁ!ハハハハハ!」
「接続が保たれているということは、死んではいないということだが……不味いぞ、これは」
狼狽の声をかけたドロームを皮切りに、『6人組』の面々が騒ぎ出す。すわ、ドロームが作り上げたこの空間に何者かが奇襲をかけてきたのか!?瞳孔が開き、口から血を流すザゾグを見ながら、ドロームは思考を巡らす。ふと、倒れたザゾグの手首を見ると、先程までは無かったはずの注射痕。
「……なるほどのう。あのガキ、舐めたマネを」
「どういうことだ!?」
苦虫をかみつぶしたような表情のドロームが納得したように呟く。それに対して反応したのは蠢動俊三。ドロームはまず、蠢動に対してある前提を尋ねる。
「あの舐めたクソアマの恋人気取りの小僧がおるのは知っておるな?」
「……ああ。木原交雑のことか。奴が特能総研から情報を木原唯一の一派に横流ししていたのは貴様らに報告していた。だが、引き出したデータが唯一に無視されていること、『公開せずとも研究結果が広められるのは素晴らしい』とザゾグが寝言をほざいて俺達の調査を差し止めたゆえ、泳がせていた。それがどうした?」
蠢動がドロームの求めに応じ、木原交雑の情報を述べる。スパイとして働いているのは分かっていたが、ザゾグの嘆願と木原唯一に顧みられない様もあり、放置されていたのだが……。
「恐らくザゾグが今倒れたのは木原交雑の仕業じゃろうな。奴の専門は細菌の類だからの。奴の手首見てみい。注射針で穴が開いとるわ。寝込みを狙われたんじゃろ。おどれらも気い付けんかい」
「ここからザゾグの手首なんぞよく見えんが……寝込みを襲いかねないスパイなどには、くれぐれも注意した方がいいだろうな」
「……やはり、調査は強行しておくべきだったな」
ドロームが顎をしゃくるも、『6人組』の他の面々はドロームの如き視力を持ち合わせぬ。だが、寝込みを襲われたらしいと聞き、気を引き締める。……そして、この事態に対する報復をも、考え始めた。
「で?『6人組』の一人がたった今死にかけておるわけだが、報復はどうするつもりだ。後任も考えねばならぬぞ」
「取り合えず唯一のクソアマが薬味を良い様に操っておったことを統括理事会にチクる。一応あの小僧はこれで木原脳幹の下に入るはずじゃし、脳幹のクソ犬のすぐ上にはアレイスターがおる。今アレイスターにちょっかいかけると学園都市の戦争になる。それは学園都市から容易に移動できへん蠢動にとっては上手くないからの」
「……うん?報復はともかく、後任は考えなくともよいかもしれんぞ」
アーランズがザゾグの妙な様子に気付き、注目を促す。『6人組』の者らがザゾグを見ると、明らかに瞳孔が異常拡大し、喘鳴めいた呼吸ているにもかかわらず、一種のトモエめいた安定性を保っている。それを素早く見て取った甘粕は溜息をつく。
「つまらん。我等の敵は所詮この程度と言うことか……蹂躙戦も悪くはないが。生きているとはいっても今の奴に『6人組』としての職責を果たせるとは思えん。奴が目覚めるまでのつなぎ、あるいは後任は必要だろうよ。あてはあるのか、ドロームよ」
(((ザゾグの奴、
「おんし、もうちと手心っちゅうもんを持たんかい。つなぎの奴には当てがある。心配すんな。また明日、臨時の定例会で招くわい。おどれらも、寝首を掻かれんよう気をつけんかい」
こうして、ドロームは波乱の定例会を閉じる。後日、ザゾグの後任には木原幻生が当てられ、『6人組』の臨時体勢はすぐにでも整った……。
作品を書き始めた初期から、ザゾグがここで
このままでいることは無いです。お楽しみに。