とある外道の6人組   作:毛糸ー

121 / 203
これから最新話投稿の際にX(旧twitter)へ裏設定を投下するつもりなので、良ければ見てってください。


EX.突然の昏倒

――『6人組』定例会――

 

 『人的資源(アジテートハレーション)』が終わった後の定例会は、和やかに進んだ。大量の成果があったからだ。

 

 『人的資源(アジテートハレーション)』の計画書、恋査の設計図、『藍花悦』の抹殺、その他『ヒーロー』共が用いた能力や技術のデータなどなど……。死にそうな目つきをした蠢動に対し、ドロームとザゾグはホクホク顔であった。

 

 特に、ザゾグの機嫌がよいのは珍しい。緑コートの外道科学者は、声高に成果を話す。

 

「今回の『人的資源(アジテートハレーション)』で我々は数々の成果を得た訳だが、一番大きいのは恋査の設計図を得たことだろう!有機コンピューターを活用すれば、生身の人体に手術を施すことで自在に超能力者共の能力を使えるようになるだろうさ!」

「……それはいい知らせだな。俺が()()している()()()に組み込まさせるとするか。…………俺達が血反吐を吐きながら隠蔽をしたのは無駄ではなかったのだな……」

 

 シャチ面の蠢動は人間なら涙ぐんだ目つきをしている。ドロームの配下共の大暴れ、『ヒーロー』・『藍花悦』の大量死を隠蔽したのはほぼ全て蠢動引き入る『スウォーム』だからだ。地獄のようなデスパレート業務を強いられたが、それに見合う成果は手に入れることができた。

 

 そんな過労気味のシャチに一切注意を払うことなく、ザゾグの雄弁は続く。

 

「そうそう、ドロームよ、よくぞ配下を暴れさせてくれたものよ!貴様が貸してくれた滞空回線(アンダーライン)アクセス権から木原唯一の表情を見ておったが、傑作だったぞ!観測するはずのものが何もかも破壊しつくされ、キレるあの腐れ女の……!?」

 

 途中でザゾグの雄弁が切れた時、はじめ『6人組』の面々はまたぞろ不都合な真実に気付いてザゾグがキレだすと予想していた。だが、彼の身体が傾ぎ、机に倒れ伏せた時、その予想は裏切られた。

 

「おい!どないしたんじゃ!?」

「ゴッ……ゴボボボッ」

「ドロームどういうことだ!?何が起きている!?」

必要悪の教会(ネセサリウス)が感づいたとは考えにくいが……。何だ、これは?」

「ハハハハ!奇襲は戦場の花だが、上手くない状況だなぁ!ハハハハハ!」

「接続が保たれているということは、死んではいないということだが……不味いぞ、これは」

 

 狼狽の声をかけたドロームを皮切りに、『6人組』の面々が騒ぎ出す。すわ、ドロームが作り上げたこの空間に何者かが奇襲をかけてきたのか!?瞳孔が開き、口から血を流すザゾグを見ながら、ドロームは思考を巡らす。ふと、倒れたザゾグの手首を見ると、先程までは無かったはずの注射痕。

 

「……なるほどのう。あのガキ、舐めたマネを」

「どういうことだ!?」

 

 苦虫をかみつぶしたような表情のドロームが納得したように呟く。それに対して反応したのは蠢動俊三。ドロームはまず、蠢動に対してある前提を尋ねる。

 

「あの舐めたクソアマの恋人気取りの小僧がおるのは知っておるな?」

「……ああ。木原交雑のことか。奴が特能総研から情報を木原唯一の一派に横流ししていたのは貴様らに報告していた。だが、引き出したデータが唯一に無視されていること、『公開せずとも研究結果が広められるのは素晴らしい』とザゾグが寝言をほざいて俺達の調査を差し止めたゆえ、泳がせていた。それがどうした?」

 

 蠢動がドロームの求めに応じ、木原交雑の情報を述べる。スパイとして働いているのは分かっていたが、ザゾグの嘆願と木原唯一に顧みられない様もあり、放置されていたのだが……。

 

「恐らくザゾグが今倒れたのは木原交雑の仕業じゃろうな。奴の専門は細菌の類だからの。奴の手首見てみい。注射針で穴が開いとるわ。寝込みを狙われたんじゃろ。おどれらも気い付けんかい」

「ここからザゾグの手首なんぞよく見えんが……寝込みを襲いかねないスパイなどには、くれぐれも注意した方がいいだろうな」

「……やはり、調査は強行しておくべきだったな」

 

 ドロームが顎をしゃくるも、『6人組』の他の面々はドロームの如き視力を持ち合わせぬ。だが、寝込みを襲われたらしいと聞き、気を引き締める。……そして、この事態に対する報復をも、考え始めた。

 

「で?『6人組』の一人がたった今死にかけておるわけだが、報復はどうするつもりだ。後任も考えねばならぬぞ」

「取り合えず唯一のクソアマが薬味を良い様に操っておったことを統括理事会にチクる。一応あの小僧はこれで木原脳幹の下に入るはずじゃし、脳幹のクソ犬のすぐ上にはアレイスターがおる。今アレイスターにちょっかいかけると学園都市の戦争になる。それは学園都市から容易に移動できへん蠢動にとっては上手くないからの」

「……うん?報復はともかく、後任は考えなくともよいかもしれんぞ」

 

 アーランズがザゾグの妙な様子に気付き、注目を促す。『6人組』の者らがザゾグを見ると、明らかに瞳孔が異常拡大し、喘鳴めいた呼吸ているにもかかわらず、一種のトモエめいた安定性を保っている。それを素早く見て取った甘粕は溜息をつく。

 

「つまらん。我等の敵は所詮この程度と言うことか……蹂躙戦も悪くはないが。生きているとはいっても今の奴に『6人組』としての職責を果たせるとは思えん。奴が目覚めるまでのつなぎ、あるいは後任は必要だろうよ。あてはあるのか、ドロームよ」

(((ザゾグの奴、()()()()()()()()()で交雑の打ち込んだ殺人細菌だかウイルスだかを無理やり共存に持ち込んだわけかの)))

「おんし、もうちと手心っちゅうもんを持たんかい。つなぎの奴には当てがある。心配すんな。また明日、臨時の定例会で招くわい。おどれらも、寝首を掻かれんよう気をつけんかい」

 

 こうして、ドロームは波乱の定例会を閉じる。後日、ザゾグの後任には木原幻生が当てられ、『6人組』の臨時体勢はすぐにでも整った……。




作品を書き始めた初期から、ザゾグがここで()()()()ことは決まっていました。
このままでいることは無いです。お楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。