とある外道の6人組   作:毛糸ー

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3.不吉なるオーロラ

――学園都市:裏路地――

 

「全く……ドロームも悪い奴だなぁ。特能総研で作った新たな防衛装置だと言って、魔術での結界を張らせるとは。しかも、こんなに目に見える形で」

 

 アーランズはゴミ箱の上に座りながらクツクツと笑う。煤けた路地から見上げる学園都市の空には、虹色の不気味なオーロラがかかっていた。傍らに控える腹心ヴェイズも、空の異様さに呆れたような表情。

 

 あのオーロラはアーランズ達が学園都市に施した小細工により発動した、学園都市を隔離するための『今は失われた体系』に属する魔術。学園都市に入ろうとする者も、出ようとする者も問答無用で死ぬ。

 

 これは元々、学園都市から出ようとする上条当麻を抹殺するための結界であった。……ただ、対『グレムリン』抵抗勢力の動きは予想以上に早く、この結界を張り終える前に上条当麻を乗せた飛行機は飛び立っていたのだが。

 

「……ここのボスは魔術を嫌っているというそうですが、こんな真似をされて黙っているものでしょうか?」

「さあな。来たら来たで、地獄を見せてやれと言われているが」

 

 アーランズ達が喋っている所に、犬がてくてくと歩いて来る。ゴールデンレトリバーか。手をひらひらとさせて追い払おうとするが、奇妙だ。目が、変に理性の光を帯びている。……ザゾグがいつも罵倒していた「アレイスターの犬っころ」とやらが、こいつか!

 

 アレイスターの刺客を前に、二人は臨戦体勢を取る。それを見たゴールデンレトリバーが、壮年男性の声で喋り出す。

 

「ほう。勘はいいようだな」

「……ついに学園都市から刺客が出たか。ドロームの狼藉が目に余るようになったかね?」

 

 スリ・アシ(注:摺り足)で間合いを図るアーランズと中腰で構えるヴェイズ。ゴールデンレトリバーの背後から巨大な兵器複合体が現れたかと思うと、暗闘が、始まった……!

 

――東京:堤防――

 

「姉ちゃんよ。ちょっとその携帯、見せてくれないかい?」

 

 浮田重々は、堤防で待機していた折、不審な人物を見つけた。

 

 その影は、あからさまに妊婦染みていた。マタニティドレスに身を包むその女は、奇妙な事に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。現在、東京は『グレムリン』の策略により、電話通話が出来ぬ状態にある。その状況で、通話を……行っているだと?

 

 これを訝しんだ重々は女に話しかけんとした。だが、女は何かを小さく呟くばかりで、答えない。キツく威圧しておくか、と重々が思った矢先。

 

SHHHHHHHH!「あ?」

 

 海中から謎めいた『何か』が彼を海に引き摺り込んだ!周囲の釣り人はその圧倒的な非現実性に硬直!意識を逸らし、重々のことも『何か』のことも考えまいとす!マタニティドレスの女は振り返らずに悠々と歩いていく。そして、呟く。

 

「んじゃまー、そういう事で。ムスペルの撃破報告が一番多いトコにはあたしが直接出るよ。そんな訳で、待ってろよ強敵。この豊穣神フレイヤちゃんが相手をしてやるぜ」

 

 然り……!この女こそは、東京に炎熱巨人『ムスペル』を大量に放ちし『グレムリン』構成員の一人、フレイヤである!

 

 

 ……そしてフレイヤが消えてしばらくした頃。突如海面から魚雷めいた水柱が上がる!同時に、堤防にしがみついて登ってくる男の姿が!おお、見よ!男の姿を!あからさまな社会落伍者めいたブルーカラーの服と帽子は、浮田重々そのものではないか!

 

 難なく堤防を登り切り、地面に降り立つ浮田重々。慄く釣り人達に構わず、彼もフレイヤの向かった方角へと歩いていく。

 

(あいつ、『グレムリン』だな。海に落としてくれた礼だ。存分にぶち殺してやらねぇとなぁ……)

 

 懐から()()()()()()()()()()()()()()()を取り出し、もてあそぶ。その口は、これからの暴力の匂いを嗅ぎつけ、悪魔めいて吊り上がっていた……。




シンウインターの『オーディンの軍勢』、いいよね……
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