とある外道の6人組   作:毛糸ー

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7.負け犬錬金術師の逆襲

――『船の墓場(サルガッソー)』内部――

 

「「イヤーッ!」」KRA-TOOOOOOM!

 

 アウレオルスとドロームの戦闘は、拳のぶつけ合いで始まった。もっとも、ドロームはこの一撃でアウレオルスの身体が消し飛ぶと半ば確信していたのだが。

 

「ほほう……!」

 

 わずかに見開かれたドロームの目を見て、アウレオルスは確信を深める。やはり、ドロームを殺すには殴り合いという奴の土俵に乗るしかない。ドロームと戦い、殺され、()()()()()()()後、アウレオルスはずっとドロームを殺す方法を考え続けていた。

 

 アウレオルスはあの後、ステイルなどのツテを頼り、イギリス清教に身を寄せることになった。イギリス清教にいながらも、ドロームひいては『鋼龍』の悪名はいくつも彼の耳に届いていた。アニェーゼ部隊強襲、『女王艦隊』襲撃、リドヴィア殺害……。

 

 そのほとんどの凶行がドロームの配下によってなされたものであり、そいつらを束ねるドロームが配下より弱いなどと言うことは考えられない。並の魔術師程度なら踏み潰せる凶悪無比なゴロツキ共を束ねるドロームを、どう倒すか。

 

 アウレオルスが考えたドローム対策、それはあえて殴り合いに応じること。『鋼龍』側はこちらが魔術を使おうとするとその隙に暴力で容赦なく殺しにかかってくる。ゆえに、魔術は自動で発動できるもののみにして、奴らの速度に応じて殴り合う他ない。

 

 聖人のような圧倒的な身体能力に任せて蹂躙はできぬ。そもそも、奴らには聖人を死にかけにまで追い込んだという恐るべき噂がついて回っている。ならば、技巧だ。技巧で奴等を圧倒する他無し!ついてこない体は、霊装で補う。代償は重いが、奴等と戦えるなら些事だ。

 

「イヤーッ!」「イヤーッ!」

 

 ドロームの恐ろしく正確で残虐な拳を避け、カウンターを打ち込む!だが、ドロームもさるもの。これを最小限の動きで避け、反撃!拳の応酬が始まる!

 

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」

 

 均衡が続くかと思われたその時!ドロームの脚が踊る!アウレオルスは転倒!

 

「イヤーッ!」「グワーッ!?」

「短い期間でよう仕上げてきておるが、ワシには届かんぞ!イヤーッ!」

「ぐうっ……!」

 

 すかさずドロームの踏み付け!アウレオルスは両腕を組んで盾とする!一瞬の均衡!アウレオルスはあえて力を緩めるも、それにたじろぐドロームではない!一瞬後の力の張りを難なく抑え込む!

 

「死なんかい、このまま……!」

「ヌウウ……ヌゥゥゥーッ!」

 

 ドロームは脚の力を強めて潰さんとし、アウレオルスは両腕に力を籠める!……力比べに勝ったのは、当然ドローム!足がアウレオルスの両腕と胸を粉砕!

 

「イヤーッ!」「アババーッ!?」

(……殺ったか)

 

 ドロームは残身する。”異世界”では、残身を怠った愚か者がそのまま背後から首を搔っ切られ、死んだ例がいくつもある。彼はそのような轍を踏むつもりはなかった。また動き出さんとしたら、即座に踏み殺す。そうアウレオルスの身体を見ていたその時!

 

「なんじゃあ!?……クカカカッ!おんどれ、ようもまぁ、こんな外法に手を出したものよ!」

 

 アウレオルスの粉砕された両腕と胸の傷口から、黄金の繊維が溢れ出し、体を修復していくではないか!?ドロームは連続側転によりその場を離れると、構え直す。アウレオルスはゆっくりと立ち上がる……!

 

「ここは、通しはせんぞ……!」

「クカカカッ!」




アウレオルスが旧約2巻を生き延びていたらどうなっていたんだろう、と考えたことがある人はきっといるはずだ。
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