とある外道の6人組   作:毛糸ー

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8.破滅の訪れ

――ストレンジの九龍城:椎名朗々の居室――

 

『……しかしまぁ、ロシア成教とローマ正教はすでにタタラの手に落ちているというのは滑稽極まる。そのまま上条当麻を指名手配し、戦端を開けば良かろうに』

『愚か者が、忘れたか。以前、ローマ正教が上条当麻個人を敵視し、それがエスカレートした結果第三次世界大戦が起こったことを。そして第三次世界大戦終結後に痛手を被ったことを』

『……そういえばそうであったな。しかし、アレを世界大戦というのはおこがましい。何より死者が少なすぎる!『鋼龍』の火事場泥棒と我々の暗躍が無ければ死者数は片手で数えられる程度におさまってしまったのではないか?』

『その最中と後に世界に起こったことを考えりゃあ、世界大戦といってしかるべきだろうが』

『第一次世界大戦の新兵器の数々や第二次世界大戦の核兵器を凌駕するのか、それは?』

「……魔術が朧気ながら世間に公開されただろう?何をやっても壊せぬ黄金の腕、ロシアで観測された天使めいた影、テロリストと交戦する教会陣営の不可解な道具……十字教勢力が必死に隠そうとして来た魔術というものが一般民衆の目に晒された。これは大きな変化だと思うがね」

「実際、カスの『グレムリン』が出てくる下地を作ったわけだしなァ……」

 

 ドロームがオティヌスの首を取ってくるまで雑多な話をしている『6人組』の面々を見ることもなく、円卓スパコンの中央で座禅していた朗々の閉じられた瞼がぴくりと動く。

 

(……あの破落戸の王*1がいまだにオティヌスと接敵していない?あの愚かな僭称者はすでに僭称者以下の愚物とその眷属との交戦に入ったというのに……)

 

 朗々の鋭敏な感覚は東京湾戦線の異常を感じ取っていた。ドロームが何者かに足止めされている。あのオティヌスの最大の武器、『槍』とやらの完成が近づいているというのに。

 

(……いざという時にはこやつらを守る必要がありそうだな。我は神であるゆえ、下々を守る義務がある。辛い事だ)

 

 朗々にとってあの愚かな旧支配者の思考や行動パターンを推察するのは容易い。どうせあのアウレオルスとかいうカスが己と伍し得る力を付けたのを見てその心意気を認め、一騎打ちに応じてやった、と言う所だろう。

 

 ドロームは日頃横綱相撲をする旧支配者を馬鹿にしているが、本人も自分が認めた相手には局地的に横綱相撲を取りがちと言う事には気づいていない。そしてドロームはアウレオルスを”この世界”で唯一の、いっぱしの『敵』として認めている節がある。

 

 上条当麻やステイル=マグヌスを巻き添えに、一度殺したアウレオルスを蘇生しているほどだ。

 

(何という愚かさ。蟲如きを対等と認めるとは。この死せる電子の神たる我が尻拭いをしてやる他あるまい)

 

 どうせドロームはアウレオルスを殺し切るまで、オティヌスの事は忘れ去っているだろう。ここは己がオティヌスを殺してやる他あるまい。そう考えた朗々は瞑想を深め、船の墓場(サルガッソー)、オティヌスとオッレルス・フィアンマコンビの交戦を見る。

 

 グリッドが走っていること以外全てが現実そのままの風景にて、朗々は粛々とオティヌスを殺しにかかる。……そして、奇妙な事に気付く。すでにオティヌスに弱体化の楔が打ち込まれている?それにしては、オティヌスは満面の笑み。痩せ我慢という顔でもない。

 

(……なるほど。そういう事か。我々にはない発想だな。反省しなければ)

 

 オティヌスの発言を聞くに、彼女はあらゆる選択に成功と失敗が半々の確率でつきまとうらしく、それを解消できればなんでもよかったようだ。

 

 それゆえ、己の選択を確実に成功させる『槍』が駄目ならば、己の選択を確実に失敗させる要素を取り込み、()()()()()()()()()()()()()()を選べばよい、と言う事らしい。朗々は素直に感心した。神は全知全能であるゆえ、優れた方法論は素直に称賛するのだ。

 

 それはさておき、オティヌスを止めねばならぬ。そう気を取り直した朗々であったが……。

 

「グワーッ!?」

[[ヒャヒャヒャヒャァ!ソーンナ 妻ラナイマネ サ・セ・マ・セ・ン ヨォ!]]

 

 突如痛烈なアンブッシュ!脳裏に響くはノイズめいた嘲笑!おお、なんたることか!読者諸君はこの最低のカスを知っている!この存在こそはホス卿の配下の一匹、トルネンブラ!バゲージシティでくたばったはずのかの存在が、何故ここに!?

 

 ……旧支配者というのは、己の死の運命をも踏み倒す。このトルネンブラがこの場にいるのも、そういう事である。

 

「ヌウウウッ……!貴様ら……!」

 

 朗々はトルネンブラの干渉を跳ね除けんとする。だが、この場には旧支配者がもう一匹いる!

 

「グワーッ!?」

『あー……悪く思ってくれるなよ。ホス卿はオティヌスを止められずにブザマにヒーロー共が負けるのが見たいんだと』

「おろ……愚かな……それならばいくらでも干渉する時があっただろう。鈍物共め……!よりにもよって今……!」

[[クフフフッ! ≪マッマ≫のお乳ガ恋恋シイ小娘ガ、世界ヲ変えられる!? ムフ ムフフ・・・・・・!ムフフフフハハハハ!]]

 

 話が通じないことを感じ取った朗々は、この二者を跳ね除けんとする!だが、更なる干渉!二者よりはるかに強い!

 

「グワーッ!?」

『おいおい……つまらぬ真似はやめてくれよ……』

「グッ……!アザト・ホース……!?」

 

 何たることか!アザト・ホースまでもがオティヌスが『槍』を作り上げ、世界に絶対支配をしくことを支援するというのか!?

 

 アザト・ホース一味が死ぬほど嫌いなドロームは、いまだアウレオルスとかいうカスと殴り合っている。アウレオルスは防戦一方かつ、気力だけで立ち向かっている状態であり、すでに体の9割9分まで金めいた何かに置換されているが、止まらぬ。

 

 愚かなことにドロームも這いずってまで己を止めようとするアウレオルスに付き合っている。彼の気力が擦り切れ、ぼろ雑巾になるまでズタズタにしてやろう、という歪な敬意の現れであった。

 

 ここにきて朗々は状況判断。オティヌスへの手出しの意思を一切捨て、『6人組』や『鋼龍』を保護にかかる。ドロームは……世界が滅ぼうが死なないだろうし、保護は要るまい。それと同時に旧支配者3柱も消える!

 

「……ちまちま戦うのも面倒臭せえな。世界を丸ごとぶっ壊してみるか」

 

 完成した『槍』を手に持つ、オティヌスの声が響く!そして、世界が、壊れ

*1
ドロームの事。




次は早めにあげたいと思います……。
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