とある外道の6人組   作:毛糸ー

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11.蛤と鴫を捕れ

――ストレンジの九龍城:椎名朗々居室――

 

「……ハッ!?」

「破落戸の王よ。豎子(注:青二才、若造の意。ここでは上条の事)と神の僭称者(注:オティヌスの事)はいつの間にか和解したらしい。蟲共(注:グレムリンの事)も僭称者を追い始めた」

 

 ドロームはいつの間にか、椎名朗々の円卓型スパコンの上で横たわっていた。その顔を覗くは椎名朗々。ドロームはゆっくりと身を起こす。

 

「……奴らは」

「他の『6人組』メンバーなら、そこの朗々殿が()()()()()()。それと、統括理事会の連中がドロームを出せとうるさかったから、『静養中』と答えてしまったよ」

「……何やってくれとんのじゃ!?」

 

 ドロームは爆弾発言をしたアーランズに怒鳴る。アーランズはどこ吹く風。せっかく今から上条当麻らをブチ殺しに行こうとしていたというのに。『静養中』の統括理事会がオティヌスをぶち殺すために大立ち回りをしたとなれば相当に睨まれることは明白。

 

 その際に失われたイニシアチブを奪い返すためには学園都市を傾けるほどに大暴れする必要がある。シャチと化した蠢動の移動手段と()()()()()()を取り戻す方法を見つけられていない現状、それは上手くないと言える。

 

「……グレムリンは、オティヌスは、どないするつもりじゃ?」

「『グレムリン』の方は多々羅殿が対応するようだ。人造人間の実用性を証明する時だーと言っていたよ。オティヌスとかについては、朗々殿がありがたくもハッキングで通信等を盗み見したところ、各国政府連中が追っ手を出しているらしいので、手出しは()()()()()だけにすると決まったよ」

 

 流石に『6人組』の中で最もドロームと付き合いが長いだけあって、打てば響くように答えを返すアーランズ。ドロームは唸る。各国政府連中が手出しをする時に『鋼龍』が横やりを入れれば、敵が増えすぎる。

 

「どうせ趣味の悪いアメ公なんぞは、逐一オティヌスと上条当麻の去就を見張っとるんじゃろ?その状況で『鋼龍』が横やりを入れると表の連中ともやり合わんといかんくなる。ま、別に敵が増えた所で来た順に殺しゃいいんじゃけど、殺しとる隙にアウレオルスのようなワシら専用の対策をした連中に横腹ブチ抜かれんとも限らんしのう……」

「……待て。アウレオルス=イザードとやらが君らの対策用だけの術式を組み上げただって?」

 

 聞き捨てならぬ発言に聞き返すアーランズ。代わりに朗々が厳粛とした様子で答える。不出来な信徒に教えを授ける神めいて。

 

「然り、魔道の者(注:アーランズの事)よ。()()は必ず結実しよう。……そうといっても、一定の条件を満たさねばこの破落戸の王は殺せはせぬし、万一殺されようともいつか必ず再び蘇るがな」

「それは……即殺せねば不味いだろう」

「魔道の者よ。一定の条件が必要と言っただろう。それは、この怪物を正面から殴り合いで圧倒することだ。あの小僧がこの世界の不完全な方法論に頼り、葦よりも貧弱な力をいくら強化しようと、それが叶うことは無い」

 

 厳粛と話し切った朗々に続き、ドロームが口を開く。血に飢えた目玉をぎょろつかせ、暴虐そのものの一言を放つ。アーランズはそれに薄笑いを浮かべる。

 

「次に会ったら、奴は殺す。それだけよ」

「フッ……君は足を掬われたら、転ぶまでに相手のはらわたを引き摺り出そうとしそうな奴だし、信用するとしよう」

 

 

「……そういやぁ、猩々の奴がおらんな」

 

 ドロームが『盗み見』でストレンジの九龍城を見ながら独りごちる。東条猩々は先日の人的資源(アジテートハレーション)にて片目と半身の皮膚が消し飛び、更に片腕が重篤な怪我を負っていたため、『解体屋』による治療を受けていたはず。

 

「ああ、彼なら()()()()()の刺客に随分熱心に志願していたので、散々が行かせたんだ」

「おいおい……」

 

 ドロームは呆れる。いまだ万全でないというのに、何という無茶を。だが、猩々が重傷を負ったといっても、腕は完全に元に戻っている。それに、奴は治療前の状態であってもオティヌスはともかく上条当麻ごときに遅れをとることはあるまい。

 

「ま、しゃあない。奴は上手くやるやろ……」

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